• 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作3月22日、花束を捧げよ 上

小宮山 蓮
高校3年生
鈴木 海路
高校3年生

あらすじ

永遠に高校三年生をくり返す、この不毛なタイムリープから逃れたい──。同級生の事故死を回避するため、片想いの相手・蓮(れん)と何度も時を遡(さかのぼ)る海路(かいろ)。蓮が時間遡行する瞬間に居合わせ、巻き込まれてしまったのだ。幼なじみの親友を助けたくて必死な蓮は、海路が協力すると言っても頑なに拒絶!!「おまえが死んでも、俺はやり直さないからな」蓮にとってお荷物でしかない海路は、存在を否定されて!?

作品情報

作品名
3月22日、花束を捧げよ 上
著者
小中大豆 
イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
徳間書店
レーベル
キャラ文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784199011368
4.5

(113)

(82)

萌々

(18)

(11)

中立

(2)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
15
得点
517
評価数
113
平均
4.5 / 5
神率
72.6%

レビュー投稿数15

ああ……1ヶ月後にタイムリープしたい

来月まで待つとか拷問……((((;゚Д゚)))))))
読み終わった側から下巻が欲しくて堪らんのですけど、あと1ヶ月この気持ちの持ちようをどうすれば良いのやら…。どうにもこうにもストーリーの攻め方がすごくて、作品の世界観の虜になってしまいました。

小中大豆先生の上下巻作品って初めてみた気がするんですが(違っていたらスミマセン)、それだけのボリュームを使った作品ってことでいつも以上にワクついております。上下巻構成なので、ストーリー的にはまだまだ折り返し地点。核心という核心にはまだ辿り着いていないところが、下巻への期待を煽らせます。


どんなお話かっていうと、エンドレスタイムリープのお話。BL的には不毛な片想いのお話です。
海路が片想いをしている蓮の想い人である光一の死エンドを回避するため、時をかける物語です。最初は蓮1人がタイムリープの渦中にいたけど、ひょんなことから海路もそのタイムリープの当事者として巻き込まれていきます。
好きな人の好きな人を助けるために奔走する海路。普通なら気持ちが複雑になると思います。……だって。好きな人の恋の応援もすることにもなってるし、自分の失恋は確実じゃないですか。でもそこはやっぱ同級生の死を回避したいという気持ちもあるわけで、海路も光一の死を回避するお手伝いをするようになっていきます。
最初、お前には関係ねーからみたいなギスギスな態度だった蓮とも奇妙な連帯感が生まれていくのがミソ。タイムリープを繰り返すことでちょっとずつ過去が変わっていくと、2人の関係も少し変わっていきます。いくけど、BL的展開にはまだまだ遠いです。ミリもかすりもしません。ほぼ凪です。

蓮と海路のBL的には全然なんも起こらないし、タイムリープする度に蓮の光一への想いの強さを見せつけられているようで、海路の片想いが苦しく切なく映りました。海路に、お前が死んでも俺はタイムリープしねーから。とかハッキリ言って悲しませるのも胸が痛くなる原因の1つ。これ、2人のBL作品で合ってるんだよね…?と不安になることもしばしばでした。
そんなわけでBL的にはしょっぱめ。何も起きてないこの段階が、下巻でどう動いていくのか想像も全く出来ないぶん期待度は高いです。

それに、タイムリープの謎もまだまだ解明の糸口は掴めていません。終盤のタイムリープはいつものタイムリープじゃなくなってたとこが引っ掛かるなぁってくらい。これが何を意味するのか。そもそも3月22日の花束を捧げる行為がタイムリープのトリガーになってる理由は何なのか。気になりどころはいっぱいです。
タイムリープの謎解きとBL展開との2局面で大きな動きはないけど、でも少しずつ何かは変わってきてる感じはします。今は違和感だけだらけでムズムズしますが、早くこの謎が解けてスッキリしたい。そんでもってBLの方でもいっぱい萌え転がりたい。その気持ちでいっぱいです!


高校3年生を延々と繰り返す蓮と海路の見えない出口を抜け出す光となるは何なのか。片想いの出口も含め、下巻を早く読んで安堵感に包まれたいですね。
今もし私もタイムリープができるとしたら、1ヶ月後の下巻発売日に照準合わせて本屋に突撃します(笑)

15

息つく暇もない怒涛の展開に、震えた…

や、もう、ええと、レビュータイトルどおりです。

この時間まで息つく暇もなく読み耽り、ページをめくる手が止まらなかった……どころか、終盤は先が知りたすぎて、ページを最後まで読み切る前に次のページにいってしまったりして、「いかんいかん」と思い、一度戻ってしっかり読み直したほどです。


小中先生の現代高校生もの、タイムリープもの。
最高オブ最高、素晴らしい謎解き物語(上巻では謎は謎のまま、解かれていません)に、読みながらちょっと手が震えました。

この作品、ミステリー好きな方にはたまらないんじゃないか、と思う。

ミステリーもの大大大好きな自分にとって、謎だらけのこのお話、面白すぎて読んでる間中アドレナリンがどっぴゃー!!と脳内放出されておりました。血管切れるんじゃないか、って夜中にちょっと心配になった。
あれこれ考えるのが止められない眠れない……!嬉しい悲鳴を上げてしまいそう。

・なぜ、最後のタイムリープで海路だけがタイムリープし、ブラック蓮は戻ってこなかったのか?(海路のイレギュラーな行動があったから?)

・タイムリープを繰り返していた頃の蓮が、光一の事故を防ぐのに海路の介入を頑なに拒んでいた理由は??

→これ、実は蓮の想い人は光一じゃなく海路でした、ってオチなんじゃないの、と軽く考えていたのですが(ごめんなさい;)終盤の蓮の様子から考えると、そうじゃないのかな。。?自信がなくなってきました。いやでも、そうじゃないとBがLするお話にならないし←とか思ったりして、グルグルしております。

たぶん、蓮の一つ一つのセリフ、そして行動に重大な意味が隠されている…と思うのです。

それが何か、今後の展開を当てたくて色々思いを巡らせてしまい、とんでもなくたまらなくワクワクする…!!

えちちな展開、全くなし。
Bはまだラブしてません。

でも、怒涛の展開とハーフアップ黒髪男前攻めに「ぐああっ!!」と叫び出したいほどやられました。悶絶っ…!

このお話、下巻が出るのは1ヶ月後、なのですよね。1ヶ月……待たなければいけないんですね( ; ; )

「この先1ヶ月生きる楽しみができた」と思って耐え忍びます。

あっ、お話ももちろん文句なし!の「神」でしたが、笠井あゆみ先生のイラストもまた神がかっておりました。

表紙も美麗なんですが、口絵の穏やかに会話する3人のイラストが本当に好きです✨
光一のこちらをじっと見て微笑む表情…あああ色々考えてしまう!!

さあ、今から考察のために再読するぞ…!

(※一点だけ、気になった点を。。「幼稚園」という意味で”幼稚舎”という言葉が何度か使われていたのですが、幼稚舎は小学校のことじゃないのかな??とそこだけ気になってしまいました;)

11

夢中になりました

うおお…なんておもしろいのか…!
開始数十ページで一気に物語の輪の中にぐいっと引き込まれ、気が付けば上巻を読み終えてしまって今に至ります。
下巻の発売日を目で追っては、今日読みたい!と駄々をこねたい気持ちでいっぱい。それくらいおもしろかった。
早く続きが読みたいもどかしさと、先の楽しみができたうれしい苦しさに悶えています。

正直、上巻はBL的にどうこうというよりもお話が最高におもしろくてですね。
270P超あるはずなのですが…よほど夢中になって集中して読んだのか、体感的には15分で読み終えた感覚に。
今作で描かれているタイムリープという設定自体はそこまで珍しくはないと思うのです。
けれど、この設定をこう味付けしてくるのか!と読み手の予想をポンと軽く超えてきてくれる小中先生の手腕に見事にやられました。

物語の中心となるのは高校生の男の子3人。
3人ともどこにでもいるごく普通の高校生です。
いえ、正確にはごく普通の高校生でした。
ありふれた日常。憧れと恋が混ざり合った淡く青い感情。
同級生に憧れを抱く引っ込み思案な主人公・海路の視点で語られる日々はあまりにも平凡なものです。

かと思えば、読み進めていくうちに思ってもみなかった展開へと舵を切りはじめるのだから本当に目が離せません。
3月22日までの1年間を何度もなぞる蓮と海路の感情の波の描き方の巧さにうなり、タイムリープの謎はもちろん、繊細に変化する心理描写と飽きさせない話運びに魅了されます。
この先はどうなるのだろうか?と期待に胸を膨らませて本を読む楽しさがありました。
もう、こちらの評価以外思いつきません。
なんて魅力的な作品なのだろう。

10

面白くて一気読みッスよ〜

外れのない小中大豆作品、こちらの作品でも証明されました。面白くてページを捲る手が止まりませんでした。そして、早くも下巻が待ち遠しいです。
こんなにお話の先の展開が読めない作品は初めてでした。

上巻を読了してもまだまだ謎が多くて、結末の想像が全然出来ませんでした。タイムリープを繰り返す閉塞感や絶望感が、蓮や海路を通してコレでもかと伝わって来るんです。

そしてCPが誕生してないのに蓮に疎外されて悲しむ海路の気持ちや、思いがこれっぽっちも届かない切なさが文章から感じられてちゃんとBLしてるんですよ!ここら辺の上手さが流石でした。

1番驚いたのが蓮と海路がタイムリープして戻って来る日付けでした。ついこの間じゃないの!って現代版BL過ぎると興奮しました。小中大豆先生って異世界とかのファンタジーBLも上手いけど現代版BLも素晴らしいと再確認させて頂きました。

ここ最近の作品は殆ど神評価にしてるんですが、今作もとても秀逸で神評価とさせて頂きました。

個人的には最後のタイムリープ後の海路の吹っ切れたような心情が凄く良いと思いました。どんな風に恋愛になって行くのか下巻が凄く楽しみです。

9

虚しくやるせないタイムリープと恋

蓮×海路


切なさの中に隠れたダークな要素に震えた。
終点のないタイムリープを巡り、
現代の高校生たちの三角関係が、
2つの手に届かない片想いが交錯する。
虚しい時間の繰り返しと、
鈍くなっていく感情に駆られる2人の姿、
そして、やるせなさが募る中、
謎が解けるようなストーリー展開に、
読み進めるほどにどんどん引き込まれた。


地味で平凡な陰キャ高校生・海路が、
一年生の頃から同級生のスクールカースト上位の蓮に片想いしている。
しかし、蓮はいつも幼馴染の光一のそばにいる。
そんな蓮をただ見つめる海路。
卒業式の前に、光一が事故で亡くなってしまう。
3月22日の光一のお別れ会の日に、
蓮は何度もタイムリープを繰り返し、
一年前の5月6日に戻って光一の命を救おうとする。
そのタイムリープに、海路も巻き込まれてしまう。という設定。

好きな人の死を止めようとするタイムリープものはたくさん読んできたが、
この作品は一味違う。
海路は、好きな人が好きな人を救おうとする中におまけのような存在で、
ほとんど接点のない2人の少しずつ変化していく
タイムリープに縛り付けられた絆が見どころ。
光一の命を救うこと自体が無理な状況で、目的は次第に淡白化し、
もうタイムリープをやめたい海路だが、ずっと無理やり巻き込まれて、
その暗くなっていく心情、疎外感や、
盲目になっていく蓮の虚無感も上巻の注目点。

片想いポイント:

海路→蓮:
海路にとって、
蓮はまるでアイドルみたいで、どうしても届かない恋。
恋心が蓮にバレて、恥ずかしくて、
蓮の冷たい態度によって、嫌いになりそうになるけど、
それでもやっぱり好きで好きで、どうしようもない。

蓮→光一:
蓮にとって、
光一は幼馴染で、好きで、すべてをかけても守りたい大切な人。
光一はノンケだから、気持ちを伝えることさえ考えられない。
繰り返しのタイムリープの中で恋という感覚が薄くなって
ただ使命感だけで動いている。

切ないポイント:

海路:
好きな人の目には、自分が映らず、いつも他の人がいる。
蓮と光一の世界に決して入る隙間もない。
蓮が自分の気持ちなんて全然考えてくれない。
蓮を支えようとしても、邪魔者扱いされて拒絶される。

蓮:
好きな人が何度も死ぬのを繰り返して、
何度やっても救えない。

ダークポイント:

光一を救うのは到底不可能という無情な定めで、
やり直したい一心で繰り返すも、やり直せない空洞のような現実。
何度も死を迎える光一の悲惨な運命、その度に理不尽な死に方をする。
海路と蓮が無意味な繰り返しの中で、周囲の物事や人に
感情を失い、性格まで変わってしまう残酷さ。
海路が同じ時間と出来事を反復することに圧迫され続けて、
ついには耐えきれず心の病、狂気と苦しさに追い詰められ、
絶望感と憂鬱にに蝕まれてしまう。

謎ポイント:

三年生の5月7日を境に、
蓮は陽キャから暗くなった別人のように変わってしまう。(謎解き済み)
タイムリープの真実、
毎回同じことが繰り返される中で、
光一の死ぬ日や事故の内容だけは毎回異なる。
しかし、お別れ会は必ず3月22日に行われる。
蓮がなぜ海路の協力を拒むのか?蓮の本当の目的は何か?
ただ光一の命を救うだけではないようだ。何か隠している。

上巻のラストの衝撃が押し寄せ、
海路の孤立無援の状況が胸に突き刺さる。

笠井あゆみ先生の絵がやっぱり綺麗で、
作品の魅力が引き立っている。
ただ、個人的には海路が美形すぎて、
平凡な陰キャというイメージと一致しない点が気になる。

展開は全く予測不能で、どのように進むのか、
ハッピーエンドにたどり着くのかさえも見当がつかない。
下巻を待つ一ヶ月が長く感じるほど、期待が高まります。

8

この作品が収納されている本棚

ちるちる評価ランキング(小説)一覧を見る>>

PAGE TOP