SS付き電子限定版
なんて、なんて面白い作品なのか。
読み終えて思わず「はー、面白かった…」と声に出てしまった。ワクワクしました。
小中先生作品の中で1番好みかもしれません。
何もかもがとにかく良かった。好みど真ん中でした。
ファンタジー作品なのですけれど、とっつきにくさは皆無で驚くほどに読みやすい。
ひとたびページをめくってみれば、これまた驚くほどに物語の面白さに引き込まれ、次第にページをめくる手が止まらなくなります。
何か予定がある前に読むのはあまりおすすめ出来ません。
ぐいぐいと読ませてくれる展開の数々に、時間を忘れて一気に読んでしまいたくなりますから。
こんなことある?と思うほど、400P超のうれしい厚みが一瞬です。
主人公が最悪の未来を回避するために奔走する。
題材としては非常にシンプルかつ、媒体を問わずこれまでにも数多く描かれてきたものだと思うのです。
そんなシンプルな題材をここまで魅力的な味付けにしてくれるのか!と驚きを隠せません…
夢中になって読みながら、なぜこんなにも面白いのか?でいっぱいになりました。
読んでいて読み手のアンテナにぴんと引っかかる「あっ」となるようなエピソードと言葉が、シンプルな生地の中にまるで隠し味のように本当にさり気なく混ぜ込まれているんですよね。
時に苦かったり、甘かったり、かと思えばしょっぱかったり酸っぱかったりもする。
人生も人の感情も、そういった複雑なものがぐるぐると混ざって出来ているんじゃないかなと思うのです。
主人公・エセルの序盤の印象は最悪です。
その一方で、オズワルドの印象は悪いものではないのです。
どんな物事でも、片方から見たものだけが真実だとは限りません。
ふと反対側から見た時、もしかしたらより良く見えるかもしれませんし、もしくは見えていたものよりも良くないものかもしれません。
そんなことを思いながら流れに身を任せて読んでいくと、隠れていた物事が徐々に明らかになり、気が付けばあれほど厚みがあったはずの本が薄くなっていくではありませんか。
もうこれは、夢中になって読ませてくれる話運びの上手さが見事としか言いようがないのですが…
その合間に描かれる、登場人物たちに深みを持たせる隠し味が効いたエピソードがたまらなく良いものばかり。
文字通り目が覚めたエセルを始め、どのキャラクターも良かったのだけれど、中でもオズワルドが別格なほどに良かった。
決してお綺麗な心を持った良い攻めではありません。
好みは分かれそうですし、良い意味ですごく人間臭い人だと思います。
なんでしょうかねえ。中盤・終盤の彼の中で渦巻く複雑でまとまりのない感情に終始やられっぱなしでした。
こういう完璧さがない人って妙に目が離せなくて。
相反する感情のすべてをエセルに抱いてしまうなんて、それはもう…ですよね。
ファンタジーとしても、内政ものとしても、逆転ものとしても抜群の面白さ。
シリアスさもBL加減もちょうど良く、個人的にはこれ以上ないほどヒットした作品でした。
よく談話室で紹介されていて気になっていた作品。ようやく読みました。先生の作品は初読みとなります。
422ページと長い作品ですが、あまりの面白さにあっという間に読了しました!
前知識少なめの方が楽しめると思います。ネタバレ少なめでレビューします。
読み始めは、エセル王太子(受)のダメダメさに驚きました。ここまでダメな主人公は初めてというくらい。エセルが心酔するオズワルド(攻)も、腹に一物ある感じで胡散臭い。
そんなポンコツなエセルが、謎の老人から、過去、現在、未来の真実を見せられる辺りから、物語が俄然面白くなっていきます。
ここからはもう、本当にストーリーが面白くて目が離せなくなり、どんどん読み進みました!
表紙から抱いていたイメージは、ファンタジーラブロマンスという感じなのかな、と勝手に想像してたのですが、とんでもなかったです。
とにかくBLよりもまず、エセルの成長物語がメインなんですね。
エセルが老人に見せられた、悲惨な未来を回避するために奮闘していく。それが最高に面白くて、エセルが格好よくて、時にはスカッとします!
もちろんBLの方も、少しずつ進んでいきます。オズワルドがまた、外見は最高に男前ですが、腹黒くてひねくれていて、エセルへの感情も愛憎入り混じって、複雑というか何というか…。途中、これほんとにBLになっていくのかしら、とちょっとハラハラしましたw
でも時々攻め視点となって、明かされるオズワルドの本音からは、斜に構えながらもエセルへの執着を感じられるのが、なかなかに良きでした。
そして終盤、ドラマチックな展開!
最高に面白く、そして最後には胸が震えるような展開が待っています!
愛の告白やそれに続く濡れ場は、とうとう!と感無量でしたし、二人のロマンチックなやり取りに、胸が熱くなりました。
電子限定SSは、エセルの参謀マルジン視点の「ある家庭教師の決意」。エセルとオズワルドが結ばれた翌朝のお話。これが短いけどめちゃくちゃ面白くて萌えました♡ マルジンはちょっと可哀想だけどもw
読後は素晴らしい物語の余韻に、胸がいっぱいになりました。
こんなに素敵な作品に出会えて嬉しい!
大好きな作品がまた一つ増えました。
先生の他の作品も、ぜひ読んでみたいと思います♪
シーモアにてSS付き電子限定版購入
最初、王子の性格の悪さが「気難しい」どころじゃなくてどうしようかと思いましたが、わりと早めにターニングポイントが来て助かりました。
謎の老人に見せられた最悪な未来を回避するために奔走する王子。
身近な人々への接し方を改める姿は好感が持てました。(庭師たちとのエピソードが好きです)
恋愛面は、すれ違い両片想いな状況が長く少し切なかったです。
物語の主軸は政治的な奔走で、先が気になってスラスラ読めました。
脇役ですが学者のマルジンが、いいキャラしていて好きです。
スピンオフとか、今後読めたら嬉しいな~と思いますが、本作がとても綺麗な終わり方をしているので、ないですかね…。
主人公の王子が気難しい通り越して性格が悪すぎて、序盤の150Pくらいで挫折しそうになりました。そこを乗り越えると、なぜ王子がそんな酷い性格になったのかが解明されて、王子の周りも動き出して変化していくので、引き込まれるように一気に読了しました!
序盤の嫌な感じが長すぎじゃねって思いましたがそれも物語のエッセンスでした。谷深ければ山は高いようです。
攻めの執着も萌えました^ ^