夜啼鶯は愛を紡ぐ

nightingale wa ai wo tsumugu

夜啼鶯は愛を紡ぐ
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神76
  • 萌×232
  • 萌8
  • 中立5
  • しゅみじゃない17

--

レビュー数
20
得点
537
評価数
138
平均
4.1 / 5
神率
55.1%
著者
小中大豆 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
yoco 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829626504

あらすじ

不器用な男たちの十年純愛

オペラ歌手を目指して海外留学した与那覇凛は、
己の才能に絶望した時にエリアスと出会う。

貴族で実業家の彼は
凛を一流のアーティストにし、2人は恋人となる。

独特の倫理観を持つエリアスには
恋人が複数いて、同性の伴侶までいる。

自分だけを愛してほしいが口にできない凛は、
歌えなくなったらエリアスに捨てられると思い込み……。

不器用な男たちが繰り広げる十年に渡る純愛!!

表題作夜啼鶯は愛を紡ぐ

エリアス,36歳~46歳,凛を見い出した貴族で実業家、
与那覇凛,19歳~30歳,オペラ歌手を目指す留学生

その他の収録作品

  • あとがき

レビュー投稿数20

思ったほど攻めが酷くない(良い意味で)

レビューを読んでいて、だいぶ覚悟していたんです。
浮気はするし、愛人も居るし、そもそも1番大事にしているパートナーが居る。
そして金も名誉も力もある攻めのエリアス。
そんな相手に対して、受けのリンちゃんはまだ大学生で、将来や才能の部分でも行き詰まっていて、特別裕福なわけでも何かに恵まれている訳でもない。
そんな2人がどう足掻いたところで、リンちゃんが辛いし、エリアスは酷い人じゃないですか。
傲慢で強気な攻めがあんまり好きじゃないので、いくら攻めざまぁ展開だとしても、読めないかもしれない。
そんなふうに覚悟していました。
けれども、読んでみて良い意味裏切られたのは、エリアスが考えていたほど悪い人間じゃなかったというところです。
エリアスは、育ち方や環境(性格も少しは反映されてるのかもしれませんが)のせいで基本的に他人を必要としていないんですね。
自分に近づいてくる人は、自分の金や名誉や、なんらかの付属品が欲しい人ばかりだったし、自分が他人に近づく時もそうだった。
なんらかの利害関係があってこそ、人間関係が成り立つと無意識の中で思っていたと思うんです。
けれども、終始一貫して紳士的で穏やかなんですよ。芯の部分が冷めているからなのかもしれないけれど、こんな風に大事にされたら、そりゃぁリンちゃんだって諦めつかないよねぇ。優しいのに残酷。でも好き。その複雑さがすごくわかるなぁ、と思いました。

そして、この作品は、そういう孤独にも気づかない孤独な攻めが、優しくて残酷な仕打ちをしながらも、ちゃんと人間になるお話だったんだなぁと思います。
リンちゃんの不安定な心の動きもすごく理解できます。一見、ヤンデレの執着受けに取られかねないかもしれませんが、リンちゃんはずっと強かったと思うし、向けられない愛人を与え続けた唯一だったと思う。

このお話も小中先生の文書のおかげでどんどん読めてしまうんですけれど、最後のエリアスとの再会シーン、出来ればエリアスがなんかしら動いて欲しかったなぁ。でも、エリアスの性格を考えたら、出来ないよねぇ。は〜納得できないのに納得しちゃう不思議。笑

それにしても、ノウァちゃん。
好きになれないな〜〜〜笑

0

いろいろ言いたくなる作品

受に説教したい気分になったのと、攻が好みすぎるという複雑な心境での評価です。たいして魅力のない受になぜか翻弄される有能な攻、という構図が性癖にささりました。ヨーロッパのどこかの国が舞台の情緒に満ちた昏い雰囲気のラブストーリー、読後の余韻が長く続きました。

受がとにかく情緒不安定で重い。。”捨てられたらどうしよう”の強迫観念もすごくて、その一念で歌を生業にしている印象が否めませんでした。(最終的に成長はあるのですが…)し・か・も、貴族で実業家/攻の愛人の一人であるということを承知してスタートした関係だったのに、だんだん欲が出て正妻におさまりたくなる、、ってゆー過程が、、生生しくて、ほんとうに人間の業って…という件でした。

正直、エリアスの正式なパートナーだったデビットのほうに魅力を感じました。寄宿学校時代からの友人同士だった2人、いろいろあって長年連れ添ったけれど…凛が現れたことで別離が決定的になり、、対等な大人同士の哀愁がたまらんかったです。ここは凛の執着勝ちですが、”お前は俺がいなくても一人で生きていけると思うけど、この子は俺がいないと生きていけないタイプだから…”という別れのテンプレに重なってモヤりました(笑)。

新しいスターの登場で徐々に精神不安定に拍車がかかる凛の行動の痛さに、”アンタも同じことしてたやん!”とツッコミいれながら読み耽りました。たとえ、攻様に新しい愛人ができたとしても!、、、仕事のチャンスをくれて贅沢をさせてくれて優しかった恩人(攻)に対して、そういうふるまいができるんか?溺愛という真綿にくるまれた人間の大胆さが見えます…。自分が創り出した不安と恐怖で完全に壊れる受ですが、自爆なので全く同情できませんでした。

凛をライバル視するノウァが期待したほど性悪じゃなかったのが肩透かしでw、凛を失ってからの攻めの感情の変化については、中年後期にさしかかった男の心境あるあるに見えました。というところで、出会い、別離、再会にいたるまで絶妙なタイミングで行動していた受は強運ですね!
攻の示す好意を受は否定的にとらえるんですが、執着すること=”愛”なの?って小一時間くらい悩めます。そもそもポリアモリーだった攻の愛が間違っていたとは思えず、、むしろ、最初から最後まで攻依存が強い受の愛のがいびつでめんどくさいよね~!って叫びたくなりました。よって関係修復に関しては、”攻がすごく頑張った”展開にみえました。

攻受の資質と成熟度がアンバランスで違和感あるな~という印象が、攻様の”好きに一から十まで理由がある?”っていう台詞で巻き取られてしまいました。なんだかんだ、受の業が面白くて”えええ?”を連発する読者を作品に没入させる筆力は、さすがの小中先生です。

2

凛の視点で見たエリアスの変化

「鏡よ鏡、毒リンゴを食べたのは誰?」と、違うパターンの
「パトロンが、支援者の虜になる」恋物語。

エリアスにとって、凛は、最初は支援を求める一人にしか過ぎなかった。
凛が、淋しさを耐え忍ぶ過程を辿る粗筋になってますが、
物が溢れる中で情愛だけ受けず育った歪で無機質な心の持ち主;エリアスが、
本当の愛と愛を育む関わり方を、失ってから気づく話。

印象深い場面。
最初は、一夜の恋人:
海外留学中の与那覇凛は、憧れのテノールに不向きな資質と自覚、絶望する。
夜の街を歩いて、酔った暴漢から凛を助けてくれたエリアスを、凛はマフィアと勘違い。
凛を男娼と勘違いしたエリアスの一夜の遊び相手となり エリアスに「ずっと恋人」をねだる凛。
実は、エリアスは貴族の大実業家で、凛が在籍する学院の理事長、
しかも、男性の配偶者が居て、凛の他に恋人が複数いると知る。

エリアスから配偶者が去る:
エリアスの配偶者デビッドが借金返済を終え、恋人を作り去っていく。
「自分だけを愛してほしい」叶わない願いを封印する凛は、デビッドの心情に共感する。

凛も若手に譲る決意をする:
凛の喉にポリープが出来て、歌えなくなったら寵愛を失うと怖れる凛。
その頃、エリアスは若い歌手ノウァの支援を始めた。
過去のデビッドを思い出し、老いた自分の進退に悩む凛。
一切を整理して引退、日本に戻る。日本では凛は無名の一般人。
帰国後手術を受け、元のように歌えなくなった。

再会:
心の変調をやっと通常に戻せた二年後、凛は30才。
人を介して、凛に「エリアスが一目会いたいと言っている」と連絡が来る。
・・・凛が拒否らないように、エリアスが再会を手配。ココから後は、よくあるハピエンの展開。

エリアスは、本気で愛した人を失うことを怖れた寂しがりで、最後まで素直じゃなかった。
面白かった。
---

夜啼鳥:
ヨナキウグイス スズメ目ヒタキ科
小夜啼鳥、学名:Luscinia megarhynchos ナイチンゲール(英語: Nightingale)墓場鳥 スズメ目ヒタキ科
ウグイスより大型 名の由来は、夕方から夜更けまで美しい声で鳴くから。

カウンターテナー:
(英: countertenor)カウンターテノール
ファルセット(裏声)を用いて女声音域(男声のオクターブ上)を出すパート

0

美しくも切ない

小中先生はシリアスなお話も上手いですねー
攻めと受け両方に苛つきながら、あっという間にストーリーの中に引き込まれました。

エリアスは、ある意味正直な男だったかなと思います。
初めから最低な男でよければ恋人になろうと持ちかけていたし、実際その通りの男だったわけだけど。

むしろ思っていたのと違ったのは、リンの方でしたね。
恋愛にどっぷり浸かり、恋人中心に生活や仕事が回っていくタイプ。休日もエリアスが来るかもと思うと、どこにも行けず何も手に付かず……って、重っ;
でもねー、ちょっと分かるんですよ。
私もそういう経験あるから。同族嫌悪ですかね:

不安や疑心がリンの心と体を蝕んでいくところは切なくて、そんなリンの切実さ気付かないエリアスには憤りました。あっさり別れを選ぶって……流石にショック。

受けを失って弱々になっちゃう攻めは大好きなので、エリアスがそうなった時には不謹慎ながらも萌えました。
でも、リンは一度エリアスの傍を離れて良かったと思う。
そのおかげで、エリアスがいなくても生きていけると思えたし、もう一度歌うことと向き合えたから。

会えない時間が愛を育てる流れも、有りがちですが素敵でした。
リンは強くなったし、エリアスは人として成長したよ。

切なさの中に甘さを感じさせてくれる作品でした。
すごく回り道したけど、もう大丈夫だという安心感もあって、読後感も良かったです。
先生のシリアスもの、もう少し読んでみたいなぁー
yokoさんのイラストも作品の雰囲気にピッタリで素敵でした。

2

一度読んだだけでは理解できないかも

この作者さんの本を読むのは初めてです。表紙が綺麗だったので気になって購入しました。
シリアスであまり甘くない内容が好きなのでお話は◎ですが、作中で描かれている受けの描写と挿絵がかなり噛み合わず・・・うーんとなりました。
ページ数があまり多くはないのと攻めの行動があまり理解できないので、攻め目線での話もあればもっと理解が深まるのかなと思います。

1

No Title

テノール歌手としては劣等生だった凜がエリアスに見いだされ某国でプロデビュー、その全てを仕切ったのがエリアスです。

最初は充足した日々でしたが徐々に他の恋人の存在が明らかになり自身の声の調子も悪くなる、そこに登場した決定打が「クラヴィクラ」のノウァ。

『簡単に換えのきく、ただのツールにすぎない。だから執着もしないし、なくしても壊しても惜しいと思わない』と自分に見切りをつけた凜はエリアスからも歌手という仕事からも逃避して日本に戻ります。

人形でなくなった凜と、凜を失ったエリアスのその後がどうなるのかは実際に本を読んで欲しいです。

2

挫折しないで

表紙の美しさに惹かれ購入。
予想通りに美しさと、負の感情が混ざったようなお話でした。

あらすじは上記を参照してください。
エリアスが凛を恋人にし、歌手として成功させていくシンデレラストーリーの間は、顔をほころばせながら読んでいましたが、この先には闇しかないような文章が時折出てくるたびにビクビクしてました。
案の定。幸せだけではいられず、エリアスへの嫉妬心から始まり、歌うことへの自信喪失。喉の病気など次から次へと凛にのしかかり、最後には誰の言葉も信じられなくなる。
読むのが辛くなりました。
初読みの作家さんで、あらすじもあえて読まずにきたので、このままどす黒い感情に押しつぶされて終わるのでは!と思いました。
でも、できるなら読み続けて欲しい!

凛が全てを捨て日本に帰ると、あの異世界の様な作品の雰囲気はなくなり、現代へタイムスリップしたかのようでした。異世界の様に感じていたのは、凛の心を通して見ていたがらなのかもしれません。

何も欲しがらず、エリアスだけを一途に想い続けてきた凛にとっては、日本に帰っても消せる事のないエリアスへの想い。
また、凛が離れてしまってからのエリアスの改心。どんなにエリアスが凛に愛を唱えても、嬉しさと同じくらい捨てられる怖さで、その先には踏み込めずにいる凛。この2人の場面は、涙が出ました。

最後には唄うこと、エリアスとの関係、自分らしさを取り戻した凛が、本当に清々しく最後まで読んで良かったです。

4

愛と憎しみの10年間

なかなかのドロドロ愛憎劇でした。主役で受けの凛は欧州A国へ留学するも伸び悩み中のオペラ歌手志望。街で男娼と間違われた事をきっかけに好みの男と出会い、一夜を共にする。生まれて初めての恋人は貴族の実業家で凛を歌手として売り出しスターダムの道を駆け上がらせる。

しかし恋人のエリアスは多情家で凛の他に何人も恋人を持ち、同じ貴族で美形の公的なパートナーもいる人でした(全て男性)凛は辛い気持ちを隠しながら愛する攻めの為に歌手の仕事も必死に頑張るのでした、っていう健気で可哀想なストーリーですが…

結果、凛は7年程かけて全ての愛人を蹴落とし、正妻みたいだった公式男性パートナーも別れさせ、自分がナンバーワンとなります。正妻?だったデビッドはギムナジウムからの付き合いとのことだったので20年位付き合っていた人からの掠奪となります。ナンバーワンになっても浮気症の攻めのことは信用できず結局心身共に疲れきり、歌手として大事な喉も痛めて攻めとも別れて日本に一時帰国するのです。

凛は健気キャラだけど攻めの恋人デビッドと対決する時もマネージャーとの話し方も、誤解したまま逆ギレして日本に帰るシーンの時も決して大人しいとは言えない中々激しい芸術家タイプの性格だと思いました。見た目はナイチンゲールのようでも手強いライバル達を蹴落とす力強さを持った人だと思います。

しかし小中さんは浮気症だった攻めザマァの展開が多いですね。最終的にはハッピーエンドですが昼ドラのような修羅場場面が多くハラハラドキドキさせられたお話でした。

3

攻めザマァ要素がおいしすぎました

友人から「内容は攻めザマァ要素ありでとても楽しめたのだけど、受けの子の性格が面倒臭いのでここが甘受出来るかどうかで評価は分かれそう。」と教えていただいたので読んでみたけど、受けの子全然問題なかったです。
なによりも攻めザマァ部分が予想以上でして、大変おいしくて満足です。

出会った時から「自分は冷酷で誠実ではないので、純愛を望むなら必ず期待を裏切られるだろう、そんな最低の男で良ければ恋人になろう」と言われたうえで恋人同士になった二人。
その言葉通り攻めのエリアスは凛を可愛がる一方で、公的な男のパートナーがいて、更にあちこちで浮名を流しまくる。
いかがなものか…とも思うんだけど、「君一筋だよ」なんて言って陰で浮気をしまくる男よりも、あらかじめ釘をさしておいてそれでも良ければと提示してるあたりは、考えようによっては誠実かなと思うんです。嘘をついていないという点で。ただしすごく傲慢だと思うけど。
だからあらすじにある「不器用な男たちの十年純愛」という「純愛」には、え?!と思います。

ワーグナーのローエングリンに憧れ、オペラ歌手を目指していた学生時代。
蚊の泣くようなひょろひょろテノールなのに、将来ローエングリンを歌えちゃうような資質を持つ同級生と役を張り合い、それを周囲から指摘されても聞く耳を持たなかったというエピから、凛の一筋縄じゃいかない思い込みの激しさが伝わってきました。
(ワーグナー特有の分厚いオケの音量に負けない図抜けた声量と強靭な喉が必要な事から、オペラ歌手の中でも「ワーグナー歌手」という特別枠がある位なので、凛が同級生をライバル視するなんてあまりにも自分が見えていないというか、例えるならば猫がライオンに戦いを挑んでるようなものなんです。)

そんな彼が、エリアスという厄介な男を愛してしまったら……。
異国の地で自分には彼しかいない、そして彼を繋ぎとめておける手段は歌しかない、歌を失ったら自分の価値はない、みたいな思いつめも当然だろうなぁと。
そして「エリアスには何も言わない事が自分の矜持」みたいな自己満足など、その鬱陶しい重さも含めて楽しめました。

やがてミュージックシーンのトップを長年走ってきた凛が不調と同時に少しずつ凋落する気配を見せ始め、同時に新鋭の存在に焦り、足元から少しずつ崩れ落ちていくような気持ち……トップアーティスト達がドラッグやアルコールに手を出してしまう心理ってこういうものなんだろうなぁと思いました。

ついに愛を手放し歌もやめてしまった凛。
ノウァなら、愛を失っても歌い続ける、どんな苦しみの最中にあってもそれを歌で表現する、感情をそのまま歌にぶつける事が出来るタイプだと思うんだけど、凛はそういうキャラではないと思うんです。
芸の肥やしにするまでの処理速度が月とスッポンくらい違うんだと思う。
凛にとっては歌うことでエリアスへの愛を伝えていたのだから、愛を失って歌が枯れるのも仕方ないというか、歌を忘れたカナリア状態が哀れでした。

そして攻めザマァが美味しくてニヤニヤしまくりです。
受けに去られて、初めて愛を知るみたいな攻め、最高。
受けに去られて完璧だった攻めがやさぐれたり、弱り果てる姿が大好物なのでとても美味しくいただけました。
もっと弱ってもいいのよ、なんて。

恋人同士であった時は、凛を「大切にしてる」と言いつつも、仕事のためなら他の男を抱くことも躊躇しなかったような仕事人間で、人として大切なものが欠けていたエリアス。
凛も、あれこれ要求する他の愛人達とは一線を画していたいというプライドから、エリアスには何も言わず望まれる歌をただ歌うお人形さんのような存在だった。
そんな嘘くさかった二人が、初めて腹を割って話す様子が何とも好きです。ようやく人間同士の会話って感じで。
とりわけ凛の作った微妙なスパゲティを二人で食べてるシーンが好き。
凛が作ったものなら必ず全部食べるエリアス、かわいいし。

私は最後に「二人のための、新しい愛の歌を」となったところがうーむ……と思ってしまいました。
「歌=エリアス」で雁字搦めだった歌うお人形さんが、ようやく誰のためでもない歌を歌いたい、自分は歌が好きなのだということに気づけたのだから自由な羽を得て、軽やかに大きな視点を持ってアーティストとして羽ばたいていってほしかった。変わっていく様子をもっと読みたかった。
なのに、またしても二人だけの超狭い世界に戻っていってしまったように思えて、失墜感を覚えました。
二人のラブ的にはそれが望ましいと思うんだけど。

5

恋を知った歌姫の悲しみと喜び

切なさに胸を締め付けられるような思いで読みました。
yoco先生のイラストが素敵で手に取りましたが出会えてよかったと思う作品です。

初めて愛した人は恋人に対して不誠実な人。
パートナーと複数の恋人もいる貴族で実業家。
自分の知らないところで何をしているのか、他の恋人たちをどんな風に愛しているのか辛くて想像もしたくない。
一番の望みは他の人と別れて、自分だけを愛して欲しい、でもそれを言ったら捨てられる。
歌手として成功しても満たされない。
そんな凛の心情が健気で不憫で胸を締め付けられます。

作者様がおっしゃる通り『終始どよーんとした空気の話』でしたが、私としてはこのシリアスで重いお話が案外好きなのだと知りました。
途中で面倒になることもなく一気に読ませていただき、ファンになりました。

この手のネガティブでぐるぐる悩む自己完結型主人公にしばしばイラっとくる場面が少なからずあるのですが、この作品ではなんだかリンと同調したのか、嫌われたくない、捨てられたらどうしようと言いたくても言えないことを飲み込んで必死で歌いすがりついて行く感情が痛々しくて離れることを選ぶシーンでは泣きそうでした。

エリアスはその生い立ちから誰からも人を愛する喜びや辛さを教えられず、『不誠実』とは自覚していても改めることなく人を愛する気持ちを軽んじてきたツケを支払うことになるのです。
初めて人に執着したり嫉妬したり、あるいは恋するが故に怯える気持ちを知り凛を手放したことを後悔して深く反省することになるわけです。

最後にやっと本音を語り合い分かり合えるのですが、あのまま何もなく関係が続いていたらいつかきっと張り詰めていた糸が切れてしまったかもしれません。
又は、無理しすぎて疲れた凛が壊れ、理解できないエリアスとではやっぱり続けられなくなるかもしれないと思いました。
冷静になってやっぱり好きだという結論になる為に時間が必要だったのだとおもいます。

その後の二人は…
二人きりの甘々な隠遁生活もそう長くは続かず、新しい事業に触手を伸ばすエリアスと一斉を風靡した歌手の一皮剥け成長した凛を世間は放っとかないんじゃないかな。
静かな別荘暮らしはいつまで続くのやら…

5

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