ほんのり甘い手作りの焼き菓子のような、かわいらしく素朴でありながらあとを引く良さに惹かれた2巻でした。
なんだかもう既に名作になる予感がしています。
このやわらかい雰囲気、すごく好きかもしれない。すごく良かった。
佐野くんと一緒にいて嫌な気持ちになる人って世の中にいるのかな?と思うほど、とにかく佐野くんの人柄が良くてすっかり大好きになってしまいました。
誠実で、素直で、人の気持ちをよく考えることができて、ふとした時の照れ笑いがとってもかわいい。
読めば読むほど彼への好感度が上がっていっちゃいます。
なぜ恵くんはあの日牛丼屋にいたのか?
なぜ佐野くんに結婚しようと言ったのか?
2人の言う「好き」ってなんだろう?
そんな、1巻時点での疑問がストレスなくするすると紐解かれていくのですが…
そうだよね。好きな気持ちに普通も変もないよねと思える、あたたかみのある心のやりとりが本当に素敵だったのです。
こういう、心に寄り添う優しいBLっていいなあ。
1巻ではよくわからなかった複雑そうな恵くんの内面も見えてくるのだけれど、これがまたちょっとじわじわ胸にくる感じでして。
モノローグの恵くんの口調が明るいこともあってなのか、なんだか思わずグッときちゃうんです。
キラキラとしたアイドルの待つことしかできない孤独さや、佐野くんとの出会いによって変化した気持ちが丁寧に描かれていて、すごく良いエピソードでした。
ここまで当時の佐野くんのことを鮮明に覚えていて、過去の綺麗な思い出のままでいたくなくて今この関係になっているのなら、それはもう…ですよね。
恵くんの中では、まだ具体的にどう好きなのかがわからない状態でも、きっと遠くない未来に気がつくんじゃないかな。
佐野くんとの生活の中で育っていく恵くんの情緒と、1人の人間としての成長もこちらの作品の見どころのひとつでしょう。
はたして彼らは恋をするのだろうかと思っていた2人が、予想よりも恋人らしくなっていてうれしかったです。
佐野くんのオタクとしての葛藤も描かれていて良かったですね。
キスをして、触れ合って、もっとたくさん話をして、お互いのことを少しずつ理解しながら手探りでステップアップしていくかわいらしい2人を引き続き追いかけていきたいです。
恵くんがアイドルを目指した理由や、なぜ人を幸せにしたい気持ちが強いのかについてはまだわからないところも多く、ここは今後ゆっくり描かれていくのかな。
恵くんに過保護気味な元相棒のアイドル・愛くんや、佐野くんの同僚であり、愛くんのオタクをしている不器用な横山くんなど、サブキャラクターも非常に魅力的でした。
優しいお話をお求めの方におすすめしたい作品です。
オタク気質な佐野くん、なんてかわいい人なんだ。
ところどころで見え隠れする、彼のオタクな言動にふふっと笑みがこぼれつつ、大好きな恵くんに誠実な言葉をいつでもまっすぐに伝える姿がとっても素敵で好感が持てました。
人柄の良さと愛嬌がある素朴さがかわいらしいんだなあ。
かつて殻に閉じこもっていた自分に、ふたたび外の世界へ一歩踏み出す勇気と希望を与えてくれた唯一無二のアイドルが引退してしまい、胸にぽっかりと穴が空いた主人公・佐野くん。
そんな彼が訪れた牛丼屋に、大好きな元アイドル・恵くんがいて…と、導入から気になってしまうこちらのお話。
あのですね、すごく突飛な展開なんですよ。
いわゆる推しと再会し、突然結婚してと言われ同棲をすることになるなんて、なかなかないと思いませんか?
なんで?と疑問を覚える箇所があっても、そういうこともあるのかと…いや、普通はないのですが…どうかそのまま読んでみてください。
男同士もなにも関係がない、全方位が優しくてやわらかな世界です。
そこで繰り広げられるほのぼのとした同棲生活の中で、微笑ましい笑いも交えながら少しずつ2人の「好き」と内面が深掘りされ、徐々にキャラクターの人間味が増していく話運びがおもしろかったですね。
佐野くんはもともと恵くんの大ファンでしたから、そりゃあもうスタート地点から大大大好きなわけです。
その一方で、言い出しっぺの恵くんの気持ちが見えてこない。
自分のことを世界で1番好きでいてくれる人と結婚をしたら、その人のことを幸せにできるから結婚したいって、これって一見耳障りの良い言葉のようでもあり、心が伴っていないものとも捉えられる言葉なんですよね。
キラキラしたアイドルだった恵くんの内面が思っていたよりも少々複雑そうで、これは2巻以降が楽しみだぞとわくわくしました。
佐野くんの恵くんへの気持ちも、ファンとしての「好き」なのか、はたまた違う種類の「好き」なのかが曖昧な状態なので、こちらも今後どうなるのかが非常に気になるところです。
結婚というインパクトのある始まりから、寝食を共にして暮らしながら、何気ない小さな幸せや楽しさに気付いていく優しいお話でした。
はたしてこの関係が恋になっていくのかはまだわかりませんが、じっくり追いかけたくなる2人です。
先が気になる!で終わっているので、ぜひ同時発売の2巻もお手元に。
3巻でもやもやした人にこそ手に取ってほしいです。
これぞ最終巻。超王道オメガバースの文字に偽りなしの綺麗な結びですっきりとまとまっていて、4冊の中で飛び抜けて良かったです。
これしかない!と、やっと神評価が押せてうれしい…!
会えない時間が愛を育てるなんて言葉がありますが、まさにな2人の姿を見守るのが心地良くてにこにこしちゃいました。
理玖が不憫だった3巻時点では、ついつい圭騎でいいの?と思ってしまったのですけれど…
4巻を読んであっさり手のひらを返して、うおお…2人とも早く幸せになって…!と声をかけたくなった自分の単純さにびっくりです。
というのも、あくまでもオメガバースの王道を軸にしながら、4巻では恋愛における1番シンプルな気持ちや言葉のやりとりがメインとなっているんですね。
突然電流が走った出逢いから始まった2人ですから、じっくりと自分と相手のことを考えながら気持ちに向き合う時間が二の次になっていたと思うのです。
だからこそ最後の最後に超絶シンプルで、もどかしくて淡い初恋のようなやりとりと理玖の成長にフォーカスが当てられた演出とストーリー展開がものすごく効いてくる。岩本先生、上手いなあ…!
ただたんに攻めと受けが幸せになるお話なだけではなくて、受けの存在と成長によって周囲も変化していくお話だった気がします。
理玖は自分が圭騎にふさわしい人間になるためにと努力をしていたけれど、言葉足らずだった圭騎も少なからず理玖から影響を受けて変われたのではないかな。
懸命に頑張る理玖はもちろん、自らが理玖に追い討ちをかけてしまったことを強く悔やみながら、じっと遠くから見守り続け、きちんと気持ちをストレートに言葉にして伝えられるようになった圭騎にも感無量でした。
大好きを全面に出して見つめてくる理玖を見る、彼の愛おしそうな表情の柔らかさにグッときます。
2人とも幸せになるんだよ…!
そしてやはり、李里耶なしではこの結末にはなっていなかったでしょう。
当初は冷たそうな人物に見えていた彼ですが、とてもあたたかい人で素敵でした。
面倒見が良く心優しい彼の元に身を寄せられたからこそ、理玖も自分自身を冷静に前向きに見つめ直せたのではないかな。
彼と理玖の関係性がまるで親鳥と雛のようで、もっと見ていたいくらい微笑ましかったです。
欲を言えば、もう少しラブな部分もドバッと浴びたかったなという気持ちもありつつ…
静かに愛情を積み重ねていく丁寧な心理描写と、多幸感でいっぱいになった状態で読み終えられる話運びが本当に素敵な最終巻でした。
圭騎からの理玖への甘みのある独占欲に、一瞬ワッとなったのですが…
ちょっとちょっとそれはないよ〜…と急降下してしまった3巻でした。
本当に毎回惚れ惚れするほど絵が美しいので、そろそろ萌以上の評価ボタンを押したい…な…
超王道オメガバースなこちらの作品。
王道展開ならば、きっとこの後紆余曲折があったとしても幸せになるのだろうなと思いつつも、あまりにも圭騎のいいところがなさすぎて頭を抱えました。
受けがベッドで言う、もう出ないともう許しては、本来ならば両手をあげて喜んでしまうワードのはずなのにここまで萌えられないとは…そうじゃないんだよなあ…
ショックを受けて不安定な状態の理玖を、理性を忘れて激情のままに文字通り抱き潰す圭騎の姿が、平成初期頃のBLによくいた強引攻めのそれなんですよね。
少々懐かしさも覚えつつ、でもこの流れは萌えではないなあとこちらの評価になりました。
本気なのはわかっても、全体的に愛情が見えてこないのがなんともなあ。
積み木を重ねるように少しずつ圭騎への信頼と好意を募らせていた理玖が不憫で仕方がなく、もう圭騎じゃない方がいいんじゃない?なんて言いたくなってしまいますが、王道ならばそうはいかないでしょう。
±0どころかマイナス状態の2人の関係があと1冊でどう変化するのか?
はたしてこちらの作品ならではの萌えどころは見えてくるのか?
そんなことを期待しながら、最終巻まで見届けたいです。
はーーー、すっっっごく萌えた。大満足です。
読み応え抜群の事件ものに加えて、バディ要素もある2人のむずがゆい恋模様まで追いかけられる1冊でした。
なんでしょうか…あの、ものすごくかわいかったんですよ。
世話焼き+甘やかし攻め×甘え方を知らない人間1年目受けの組み合わせはそこまで珍しくはないと思うのだけれど、自分本位ではない甘やかし方とおぼつかない甘え方がこう…これこれこれ!と、ちょうど痒いところに手が届く素敵バランスになっていて萌えざるを得ませんでした。クーッ!
出会った当初は薄いグレーがかった寒色のようだった2人の関係が、次第に芽吹きの緑を通って、やがて春めいたやわらかなアプリコット色の花を咲かせグラデーションになっていくのがたまらなく良くて、読後すぐにレビューを打ちながら色々と噛み締めています。
こんなにかわいいDom/Sub、久しぶりに読んだかもしれません。とっても良かった。
武岡も桐生も、あなたたちは萌えの権化なのか?と思ってしまうほどツボにハマったキャラクターでした。
コマンドを使われたSubがとろ〜っと気持ち良くなってしまう姿がかわいらしいのは当たり前だとして、その姿を見たDom側も満足感を得ている姿がじっくり描かれている作品って、実はそんなにたくさんは見かけないのではないかな?なんて思うのです。
ところがどっこい、こちらの作品ではたくさん見られるんですよ…!さっきから鼻息が荒くてすみません。
若くして秀でた能力を持つものの、その代わりに人らしい情緒がやや乏しい桐生を、じわりじわりと武岡が距離を詰めてふかふかの真綿で包むように優しく甘やかしていくんですね。
武岡の、30代男性らしい口調も良かったなあ。
Subを慈しみたい武岡の優しいコマンドの数々に萌え、武岡からの優しさを毎日全身に浴びて、少しずつ本来のいじらしくて甘えんぼの寂しがりな姿が見えてくる桐生に萌え、次第に甘い支配欲を見せてくる武岡に萌えるばかりでした。
両視点で語られることもあり、武岡が桐生への庇護欲MAXでもっと満たしてあげたくなっている様子も、戸惑いながらもおっかなびっくりで武岡にぺたっと懐く桐生の心情の変化も手に取るようにわかる親切設計となっています。
お互いに第二性を満たし合いながらの関係の深まりは必見です。
そして、2人がバディを組んで追いかける事件がですね、これまた読み応えがある謎解きものとなっていておもしろいんですよねえ。
バツイチノンケの武岡が桐生に惹かれた理由のみ、ここはもうちょっと掘り下げてほしかったかなと思いつつ…
ただ甘いだけではなく、きちんとピリッとスパイスが効いたお仕事面も描かれていて、中弛みせずに最後まで楽しんで読めた1冊でした。おもしろかったなあ…!
Dom/Subならではの事件も恋愛面も楽しみたい方にぜひ手に取ってみてほしいです。
しばらくぶりに再読し始めた凍る月シリーズもついに最終巻。
獣人同士の闘いに手に汗を握っていたと思いきや、闘う対象が変化したりと…人間ドラマと恋愛模様も含め、目まぐるしい展開に最後までハラハラしっぱなしでした。
どの陣営も素敵だったけれど、個人的には須王と蓮とヨハンのキャラクターが好みでしたね。
強い信念があるキャラクターはやっぱり魅力的です。
最終巻はというと、はたしてどうなるのかと思っていた大きな風呂敷がどうにかギュッと丸く収まった感じ。
各章によって語り手が変わる構成はおもしろかったですし、敵対していたはずの者たちがそれぞれの正義のために手を組む流れは胸が熱くなりました。
だいぶマイルドになった希望のある結びも、元々の主人公である光陽のキャラクターを考えるとこれはこれでありです。
シリアスな展開が続く中、光陽と巴のぽやぽや具合と思い切りの良さにすっかり癒されてしまいました。
この2人、もしかしなくてもすごく相性が良いんじゃないでしょうか?
愛し方や愛され方は異なっていても、どちらも過保護な溺愛をしてくる恋人がいる2人ですから、今後も仲の良いお付き合いが続くといいななんて。
その一方で、当初のしんみり路線も気になります。少々苦しくなりそうですが。
ただちょっと…いや、だいぶ力技というか、今読んでみるとかなりの駆け足でギュギュギュギュッと強引に丸めたなあと思える箇所が多かったですね。
なるほど、そこでまとめるのかとおもしろく読めたところもありつつ、エピソードの詰め込みやメインとなるキャラクターの数に対してページ数が少なさが気になることも。
佐倉と銀に関しては、あれほどキャラクターが立っていたはずなのになぜ…と、やや物足りなさが残ります。
分量的に仕方がなかったのかな。
なので、シリーズ全体としては萌2、今作のみなら中立に近い萌かなとこちらの評価になりました。
うーん。花の残像と慟哭が良すぎたからか、オールスター大集合な今巻をもってしてもあの2冊をこえられなかったのかもしれません。
とはいえ、さり気ない伏線から本線に繋げる手腕も、映像が浮かぶような迫力のあるバトル描写も、魅力あるキャラクターたちによる多種多様な人間関係も含めて非常に楽しませていただきました。
読み返していたここ数日の読書時間が本当に楽しかったです。
いよいよシリーズも次巻でラスト。
少しずつ助走をつけていた今までの巻から、終盤に向けて一気に走り出した感じがします。
過去3作のスピンオフから一転して梁井×光陽へと戻ってはいるのだけれど、ストーリー的にはスピンオフ作からそのまま地続きで進んでいく形に。
なので、スピンオフを抜かして読むとなんのこっちゃとなってしまうかも。
銀陣営を含めた大人数が集結するからなのか、あまり梁井と光陽がメインという雰囲気はそこまで感じられなかったかもしれません。
こちらの巻。とにかく忙しいです。
組織を潰しにかかる銀陣営と梁井たちがするっとまとまるのかと思いきや、そんなに綺麗にまとまるはずもなく…
そんな彼らをただただ止めようとする光陽だけが妙に浮いている中、結局止められずにドンパチと始まってしまう。
どのキャラクターの正義も理解ができるものだからこそ、誰の味方をしていいのかがわからない凍る月シリーズ。
どうにか丸く収まってほしいと思う自分と、このハラハラをもっと見守りたい自分がいて、やめてやめてと1人止めたがるばかりの光陽を邪魔に思ってしまう場面もありました。
ただ、この光陽の無敵な平和主義者っぷりがいい味を出してくれるんです。
こちら側がくどさを感じ始めた頃合いで、光陽の無鉄砲さでパッと気持ちよくちょっと笑わせてくれる塩梅が見事でした。上手いなあ。
前巻後半から突然リーダーシップを発揮し始めた銀と、銀の意見になんだかんだと従いそうになる梁井たちに疑問を持っていたのですが、なるほどなあと。
銀の中のブレのようなものも、すべてはふたたび獣化してしまったからなのでしょうね。
そして、今までの自分が一瞬にして歪んでしまいそうな事実を知った彼が今後どうなっていくのかが非常に気になります。
隠し球をここで持ってきたか〜!と、銀には申し訳ないのですが、読み手的には展開のおもしろさににやりでした。
CP面では、どんどん糖度が増してきている梁井と光陽はもちろん、相変わらず巴のすべてを包んで愛していそうな須王が素敵でしたね。
素直な巴がかわいらしくて、これは須王も愛おしくなっちゃうよなあ…なんて。
梁井は光陽に振り回されて大変そうですが、光陽のおかげではじめの頃よりも随分人間らしくなってきたなあと思います。
銀と佐倉はどうなるのか。こちらも気になるところです。
昌史の置き土産の爆弾から、向き合わなければいけない相手がガラリと変化した彼ら。
はたして獣人たちはこの状況をどうくぐり抜けて生きるのか?
丸く収まる予感がしない緊張感とともに、最終巻まで一緒に駆け抜けたいです。
獣化をしないまま、たった1人で獣人たちを滅ぼそうとしていた、孤高の存在のようだった銀が主人公となる今作。
ものすごく萌えたか?のめり込んで読めたか?と考えると、前作の方が好みだったかなあ…と星3.5寄りのこちらの評価になってしまったのですが…
銀と佐倉というキャラクターの心情を掘り下げつつ、そうだったのか!と思わず既刊の1部を読み返したくなる見事な伏線回収に加え、これからどうなってしまうのかと否応なしに期待とハラハラとが混ざる結びでまとめあげる手腕がすごいです。
現在の夜光花先生作品と比べてしまうと、レビューを書いている現在から遡って16年も前の作品ですから、表現や展開にやや荒っぽさも見えるのだけれど、やっぱりどう考えてもおもしろい。
単巻よりもシリーズものが上手い作家さんだと思います。
今作の受けとなる銀の印象も、須王の異母兄・佐倉の印象も、作中でどんどん変化していくのがおもしろかったですね。
復讐のために自分よりも強い銀と手を組もうと突如として現れ、何かと強引に押せ押せ状態だった佐倉に、当初は俺様っぽい強引攻めなのかなあと思っていたのです。
ところがどっこい。これは…甘えたな赤ちゃんなのか…?はたまたでっかい犬なのか…?
見た目だけは一丁前でも、中身をパカっと開けてよくよく見てみれば、自分の感情すらよくわかっていない、心寂しい子供のまま体だけ大きくなったビッグベイビーにしか見えない不思議。
やっていることはかわいくないはずなのに、銀の前ではこんなになっちゃうのかと妙なかわいげがありました。憎めないやつです。
そんな佐倉の相手となる銀も、誰とも群れないクールな男前なんて印象があったのだけれど、なんだかんだと面倒見がいいというか、縋られると弱いというか、ほだされやすいというか…
根底にあるやさしさが滲み出てきてしまっているのが見てとれて、こんな一面もあったのねと楽しんで読めました。
シリーズに登場した他CPは強い攻めが受けを守るパターンが多かったので、攻めよりも強い受けが攻めを守り、やろうと思えばひっぺがすこともできるのに「抱かれる」のではなく「抱かせてあげている」ことも、また違った雰囲気になっていて新鮮でしたね。
個人的には男前なママ受けだと思っています。
愛や恋ではなさそうな関係性で、こんな関係性もありなんじゃない?と感じました。
シリーズ1冊目から再読をし始め、各陣営の裏事情を読み手側は知ってしまっている状態なわけじゃないですか。
なので、銀たちと光陽たちが手を組む流れに盛り上がりつつも、須王陣営にも愛着が湧いてしまっているものですから、先が読みたいけれど怖くもあり…にくい話運びだなあ…!
それぞれの正義の行方に思いを馳せつつ、引き続き次巻を追いかけたいです。
先が気になる結びで終わっていた前作の続きとなるわけなのですが、これがなかなかにハードでドラマチックで甘くて切ないという…
感情があっちこっちにハラハラそわそわと振り回されるこの感じ、初読時もたしかこんな感じになったなあと懐かしくなりました。
凍る月〜CPとどちらが好きなのかと考えると、この濃厚なスピンオフ2冊を読んでしまうと須王×巴に肩入れしたくなっちゃいますね。
サブキャラクターも魅力的なんだなあ。
生死不明となっていた巴の現状が容赦のない悲惨さでかなり痛々しいのだけれど、その後の展開が非常に印象的でグッときました。
絶対に巴を助けに来てくれるのがわかっているこちら側の期待通り、ちゃんと王子様が助けに来てくれた時の安心感ったら。
ここまでまだそんなにページ数が減っていないというのに、序盤からギア全開で読ませてくれる、読み手を飽きさせない話運びが上手いです。
スピンオフとなる前作・今作のおもしろいところは、凍る月〜では敵対側となっていた組織の獣人に焦点があてられているところでして。
どちら側にもドラマがあるというか、それぞれのCPの恋愛面をしっかりと読ませてくれつつ、同時に描かれる人間ドラマも見どころだと思っております。
見どころだらけの中でもやはり、もちろん須王と巴…と言いたいところですが、個人的にはヨハンかなあ。
彼の想いの強さは、ある種須王から巴への想いにも勝るものがあったのではないでしょうか。
たとえ妄信的で歪んだ形だったとしても、これも確かなひとつの愛の形で、そしてそれを須王もきちんと理解をしているというのがなんとも苦しくて切ない。
今読むともう少し余韻がほしかったかなと思う部分もありましたが、傷ついた須王が唯一寄りかかれる場所が、とても小さくて華奢な巴の肩というのが良くって。
いつか須王が心から自分の誕生日を祝えることを願わざるをえません。
恋愛面的には、2冊を通して須王が素敵なキャラクターでした。
巴のことをどれだけ愛しているのかが痛いほど伝わる彼の愛し方が素晴らしく良かったです。
身も心も傷ついた巴をとにかくやさしく包み込むように愛す須王の過保護っぷりも、絶望していた2年間の思いの丈をぶつけるかのように愛でつくす姿もたっぷりと堪能できました。
巴のうっかりもとい、自ら巻き込まれてしまう流れはまだお約束と思えたけれど、自分をあれだけ酷い目に遭わせた人々に対してもやさしすぎる考えを持っていることだけは理解ができませんでしたが…彼が育った環境を考えると仕方がないのかも。
その分、須王が巴を大事に大事にしてくれるんだろうな。
彼らが今後、スピンオフ元と交わっていくのかも楽しみですね。
かなり久しぶりの再読。
凍る月シリーズはやはりおもしろいなと、初読に近い感覚で楽しんでいます。
スピンオフ作品なのでこちらだけでも十分に楽しめますが、本筋を読んでいた方がにやりとできる箇所が多いかなと思います。
やはりなんといっても、須王のキャラクターが本当に魅力的なんですよねえ。
だから周囲の獣人たちもこぞって慕うのでしょう。
本編ではかなりのキーパーソンとなっていた須王。
獣人的な冷酷な一面ももちろんあるのですけれど…常に冷静な目で獣人コミュニティを見ている、個性豊かな獣人たちの中でも非常に理性的な人です。
物腰はいつも穏やかでやわらかく、それでいてものすごく強いとくればギャップがたまりませんよね。
過酷な状況下に置かれていた巴に対しての、とびっきりやさしい甘やかしっぷりと溺愛っぷりが気持ち良くて、これはまさに絵に描いたような王子様といった感じ。
受けのこととなれば、時には冷酷にもなれるスパダリ攻めって何回噛んでもおいしい味がします。
その王子様が夢中になって慈しんでいる巴も、なんだかかわいがりたくなるというか…庇護欲がそそられる子でして。
自由がない環境にずっと閉じ込められていた彼が、巴に助け出されてからというもの、新しい世界を知って少しずつ表情と感情が豊かになっていく姿が愛らしいのです。
須王との関係性の深まりも、巴視点で読んでいるとまるで初々しい初恋を見ているようで、じわじわ萌えが広がっていく甘酸っぱさですごく微笑ましくなってしまうんです。
トップ4と呼ばれる獣人たちと巴のやりとりも良かったなあ。
特に蓮と巴のやりとりは兄弟のようでこれまた微笑ましかったです。
受けのことが大事すぎて何もさせたくない攻めもおいしいのですが、今作の須王は巴に自主性を持たせながら情緒の育ちを見守っている感じがして素敵なんですよ。
そんな、凍る月〜とはまた違った柔らかい雰囲気を纏いつつ、ピリッとするところはきちんと濃く、メリハリのある味付けになっているのは夜光花先生作品ならではでしょう。
起承転結でいう転で続く!となっているので、先が気になって仕方がない状態で終わるという…上手いです。
はたして彼らの今後はどうなるのか?
ハラハラと不穏な空気にドキドキしつつ、次巻が読めることにわくわくが止まりません。