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女性kaya。さん

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事故番だけど、両片想い

本書が初読みの作家様でしたが、
既に次回作が楽しみになってしまうくらいがっつりハマッてしまった。
柔らかな画風も、細やかな心理描写もすごくよかったです…。

本作は高校生の二人がヒート事故によって
番になってしまうところから始まるオメガバース作品です。
ただ、元々が両片想いからの事故番なので、
悲壮感やしんどさはありません。ご安心下さい。

高校生でΩの基弥は幼馴染みでライバルのαの飛鳥と番同士。

Ωでありながらも持ち前の負けず嫌いっぷりで飛鳥と
張り合う基弥でしたが、本当は密かに想いを寄せていました。

けれど、突然のヒートによって二人の関係は変わってしまいます。

番契約が成立した後も以前と変わらず友人として一緒に過ごし、
番としても基弥を大切にしてくれる飛鳥。

だけど、基弥は自らに負い目があるからこそ、
優しくされる程に飛鳥に対して罪悪感を募らせていました。

飛鳥と番になれて嬉しい気持ちと同時に、
飛鳥の意志を無視して番として縛り付けてしまったこと。

だからこそ、高校を1年後の高校卒業を機に
飛鳥から離れようと心に決めていた基弥。
そんな中、項の噛み痕が薄くなっていることに気付いた基弥は
飛鳥との番契約が3か月後に解消されてしまうと知り…。

一方、飛鳥視点に切り替わると
飛鳥もまた基弥に想いを寄せていることがわかります。

そう、きっかけこそヒート事故ではありましたが、
元々両想いだった二人が結ばれただけのこと。

読者から見ればわかりやすいくらいの執着と溺愛ぶりの飛鳥ですが、
なぜか当の基弥にだけはちっとも伝わっておらず…。

本当は番になった直後に基弥に気持ちを告げようとした飛鳥でしたが、
自分との番関係を受け止めきれていない基弥に「好き」の二文字を
伝えられないままだったのです。

そのため基弥は飛鳥が自分を好きだと知らずに卒業後は別れようとして、
飛鳥は番関係であることを理由に基弥の傍にい続けようとして、
こんなにも両想いなのにすれ違ってしまう二人に悶絶しっぱなしでした。

はじめこそ自分から飛鳥と距離を置こうとしていたものの、
いざ番関係が失われてしまうとわかると、
頭では飛鳥のために番を解消してしまった方がいいと思いながらも、
心の中では飛鳥を想う気持ちがどんどん膨らんでゆき葛藤する基弥に
胸がぎゅーっと締め付けられました。
ほんと飛鳥も基弥も素直に好きって言ってしまえば一発解決なのに!と
ページをめくるスピードが読み進めるにつれて早まっていきました。

普段は負けず嫌いで強気な基弥ですが、
発情期には飛鳥の残していった数少ない衣類に縋りつく姿が
いじらしすぎて愛でたい欲と庇護欲を掻き立てられまくりでした。
Ωの巣作りってどんなにツンデレな子でもこの習性にだけは
全身でαを求めているのが素直に現れちゃっていて、健気で可愛いんです!

両想い後はずっと気持ちを抑え込んできた反動なのか、
飛鳥はクラスメイト相手にも威嚇しちゃったり、
行為中もラット状態になっちゃったりと、
基弥への独占欲と愛がさらに増し増しになっておりました。
エッチの度に基弥のチョーカーをがじがじ嚙んでしまうのも
基弥の項を噛みたくて仕方ない感が溢れ出ていてニヤニヤしちゃいます。

対して今まで飛鳥に対してもどこか一線を引いていた基弥は
飛鳥に抱かれているときに甘えたり素直に好きが言えるようになっていて、
表情も蕩けまくっていたりと愛おしさが爆発しておりました。
これまでがツンツンしてきただけに漏れ出てしまうデレの威力が凄まじくて
飛鳥がついつい過保護になってしまうのも納得でした。

あと、斬新だったのが一度成立した番契約の自然解消という設定。
投薬や手術、または番の死亡によって解消される設定はこれまでも
読んだことがあったけれど、今作のようなパターンは初めてで面白かったです。


ラストは安易に再び番契約を結んでしまうのではなく、
共に歩んでゆく未来を見据えて出した二人なりの答えが素敵でした。
母親からの反対にも感情的になることなく基弥への愛を誓う飛鳥の包容力よ…。
未来のスパダリを確信しました。

大学生、社会人になった二人の物語も読んでみたいなぁ。
ストーリーとしては大団円を迎えてはいますが、
二人の後日談を描いた続編も読んでみたいです。

胸の奥がぬくまる…

片方が恋に落ち、そのもう一方が絆され恋を自覚してゆくという王道ながら、2人の想い合う気持ちが純粋で胸が温かくなりました。

高校生の圭太は母親の再婚で新たにできた父親との距離を図りかねていました。
もう少しで妹も生まれてくるという状況の中、自分だけが“家族”に馴染めていないという疎外感に思い悩む日々を送っていました。

そんなある日、偶然の出会いから8歳年上の郵便局員・三浦と知り合います。
同姓なのに三浦の笑顔にときめいてしまい、頭の中が彼のことばかりになってしまい…。

一見明るく人懐こい三浦ですが、彼もまた圭太同様にどこか他人と距離を置いてしまう一面がある青年でした。
そんな内に秘める誰にも打ち明けられない“寂しさ”を通じて2人は親しくなってゆきます。

最初に恋愛感情を自覚したのは圭太の方で、三浦と鉢合わせる度にドキドキしてテンパってしまう姿は年下らしく恋愛慣れしてなくて、可愛らしさがありました。

傍から見ればそれが恋だということはありありとわかってしまうのに、当の三浦は告白されるまで全く気づいておらず、年末年始を一緒に過ごそうと誘ってきたり、無自覚ながらやや距離感がバグっているところは罪深き所業でした。

また、圭太からの告白でようやく彼の気持ちを知った後も、なかなか煮えきらずじれじれさせられました。
過去の恋人との恋愛がトラウマになっているのか、元からの生真面目さからなのか、圭太からの恋愛感情にも自身の気持ちにもどこか半信半疑のような感じで、後輩くんからのフォローがなければこの恋の成就はなかったのかもしれません。

そんな三浦相手に真正面から想いを伝え、身を引きながらも健気に彼を想い続けた圭太が健気でいじらしくてたまりませんでした。
恋愛下手な三浦に振り回されはしたけれど、最後は両思いになってよかった…!
散々ヘタれて圭太を焦らしてきた三浦が今度は自ら圭太に告白するという展開も三浦が圭太を好きなことをちゃんと実感させてくれてぐっと来るワンシーンでした。

いざ恋愛に踏み切ってしまえば溺愛タイプらしく、両想い後は圭太に一目会うために仕事の後に40分も車を走らせて訪ねてくる三浦に愛を感じました。
年の差もあるのだろうけれど、圭太の歩みに合わせてゆっくり(むしろ圭太の方が色々と準備を進めてくれてたり…)とお付き合いを進めてくれるのも微笑ましかったです。
今はプチ遠距離ではあるけれど、いつか同棲して朝も夜もイチャイチャできるといいな…。

元々ノンケ同士の二人ではありますが、両親の雰囲気を見るに驚きはしつつも二人の関係を受け容れてくれるような気がしました。

読者の意表をついたり、派手な展開はないものの、キュンとする瞬間があったり、読後は胸が温かくなる空気感に心満たされる1冊でした。

攻めザマァどころではない

ストーリーっが斬新で面白かったです。
他の作品も読みたいなぁと思って検索をかけたのですが、
本作が商業BLとしては初めての作品なのでしょうか。
だとすれば、初作品からこれってすごい…!
次作品も今から期待せずにはいられません!

高校生の左合は幼馴染みの正美と顔を合わせては喧嘩ばかり。
というのも、正美はいつも左合のモノを盗るから。

それは好物のいちごだったり、傘だったりと他愛ないものばかり。
けれど、今回は彼女を寝取られたことで我慢の限界に達し、
正美の元に乗り込む左合。

怒りのあまり、正美に掴みかかるもバランスを崩した二人は
屋上から落下してしまいます。

咄嗟に左合が正美を庇ったことで正美は奇跡的に無傷だったものの、
左合自身は記憶喪失になっていて…。

これ、はじめの方で左合視点の独白があったせいか、
最初は左合が主人公なのかと思っていたのですが、
記憶喪失後からは正美視点がメインにぬるりと切り替わっていて、
ああ、正美が主人公だったのか!とそこでようやく気付きました。

てっきり左合が主人公だと勘違いしていたので、
左合に意地悪ばかりする正美の攻めザマァが見れるのかと思ったのですが、
その後の正美の過去や募らせてきた左合への想いなどが明らかになっていくと、
攻めザマァどころのしんどさではなかったな…と
もう正美を責めることなどできなくなってゆきました。

ずっと意地悪を繰り返してきたのも全部左合に自分だけを見て欲しいから…。
それだけ聞くといい年して子供みたいなことを…と思ってしまうのですが、
その左合への想いが純粋で一途すぎて、こんなにも切ない片想いを
抱えていたのだ…と正美のイメージが大きく変わってゆくのです。


病院で目を覚ました左合は命にかかわる怪我はなかったものの、
記憶を失っていました。
というか、もはや別人と化していました。
素直で穏やかで誰にでも優しく、道端に咲く花を愛で、
母親とお菓子作りをして、テディベア作りが趣味の好青年。
(その脳内乙女っぷりから同級生からは「プリンセス」呼びされている)

これまでの素行も性格も悪い嫌われ者とは違い、
家族からもクラスメイト達からも愛される人間に生まれ変わった左合。

けれど、周囲がどれだけ嫌っても正美にとっては唯一の理解者で、
左合もまた正美だけを特別な友達として見てくれていた。
それなのに、プリンセス化した左合は自分との大切な約束も
忘れてしまっているのでした。

正美に笑顔を向けて「好き」と言ってくれる左合。
だけど、それは正美が愛した左合ではなくて。
変わり果てた左合を目の当たりにしながら
「あのとき二人とも死んでしまえば良かったのに」と
思ってしまう正美が切なすぎました…!
コメディだと思ってたのに、なにこれめちゃくちゃ心臓痛い…。

プリンセス左合と両想い?にはなるものの、
やはり正美は以前の左合を諦めることはできず、
左合を元に戻す儀式を行うことに。

その儀式が月夜の24時に屋上に描いた魔法陣の中でキスをするとかいう
少女漫画を参考にした黒魔術とおまじないをごっちゃにしたような
アホみたいなやつなのですが、これまた奇跡的に左合の記憶が
戻っちゃうのでした。

儀式の前にプリンセス左合と儀式が成功して元に戻ったあかつきには
今度こそ己の気持ちに素直になって自分の気持ちを左合に伝えると
誓った正美。

その宣言通り、儀式後から正美の左合への猛アプローチが始まります。
その素直さと言ったらもう…今度は正美の方が人格が入れ替わったのかと
思うくらいのキャラ変ぶりになんか笑ってしまった。
顔を合わせれば左合に好き好き言ってるし、隙を狙ってチューをして、
溺愛にも程がある…!!!!
最初の方のクールぶってる正美が好きだった方はこのデレデレっぷりに
衝撃を受けてしまうやもしれません。

ただ、記憶を取り戻した左合は性格も以前のやんちゃに戻ってはいたものの、
プリンセス左合時の記憶も人格もすっ飛んでしまっていました。
なので、左合からしてみれば屋上から落ちた時から現在に至るまでの
記憶がすっぽ抜けているだけ。
正美の豹変ぶりも左合にとってみればどうしてこうなった状態だし、
今まで嫌がらせばかりしてきた彼が好き好き言ってくるのにも
理解が追い付かず、戸惑うばかりなんですよね。
友達だと思っていた男が突如恋愛モードで迫ってきてコワっ…!みたいな
二人の温度差よ…。

そんなわけなので、左合が正美に絆されてハッピーエンドまではいかず、
なんか最近正美がイケメンに見えるし、ちょっとドキドキするな…と
無自覚な恋心のようなものが芽生え始めたところで終えてしまいました。
ああ…あとちょっとなのに…!

記憶が戻るときにプリンセス左合時の記憶も融合されていれば、
きっとラストの展開も違ったような気がするのですが、
そんなご都合主義エンドとはいきませんでした。
この後の二人も見たかったなぁ…(切実)
これが続巻ありなら、またこのラストも次巻への期待を煽られて
感想が違ったのかもしれませんが、今巻で終えてしまうとなると
少々未練が残ってしまいました。
今度こそ正美の恋が成就して彼が幸せになる瞬間を見てみたいのです!!
番外編でもいいので、ぜひこの後日談をください…!

No Title

身体から始まる恋、と思いきや、
読んでいくにつれておや、これはそうではないぞ…?とわかってきて、
後半はもうもどかしくてじれったくて早く「好き」って言ってくれ!!
と脳内悶絶状態で読んでいました。

会社員の黒木は同僚で営業部のエースの一ノ瀬と秘密の飲み友達。
けれど、実は友達以上の想いを寄せています。

ある日、酔った勢いで泥酔したまま寝こけた一ノ瀬の隣で
自慰に及んでいると目を覚ました一ノ瀬に現場を目撃されてしまい…。

そのまま体の関係にもつれ込んでしまうものの、
一ノ瀬は酔うと記憶をなくすのでした。

それをいいことにその後も一ノ瀬が酔う度に関係をもつ黒木。

そのときの二人の雰囲気が、もうこれ両想いじゃん?と
思うくらいにあまあまでなんでこれで付き合ってないのーー!?
とじれじれしておりました。

だからこそ、ラストで実は一ノ瀬が全てちゃんと覚えていて、
その上、ちゃんと黒木のことが好きで抱いていたとわかると、
もう喜び悶えてしまいました。

最後は無事あまあまな二人を見れたものの、
贅沢を申し上げるともっともっと見たいんです!!
これ、続編とか出ませんか…??

10年越しの恋

初読み作家様でした。
綺麗な絵も、ストーリーの構成も上手で、
とても次回作がとても楽しみです。

以下、内容に触れていきます。

離島で医師をしている廉太郎はある日、
都会からやってきたカメラマンを迎えますが、
それは10年前に付き合っていた元恋人の想一でした。

10年前の別れなどなかったように変わらない想一に
どう接して良いか戸惑う廉太郎。

けれど、一緒に過ごしていく中で
自分がまだ想一を忘れられてないことを思い知らされていきます。

廉太郎視点なので最初は想一がどんなつもりなのかわからずでしたが、
ちょっとした言動から彼もまた廉太郎への気持ちを消し去れていないことが
わかってゆき、元恋人同士の両片想い状態に胸がぎゅんぎゅん状態でした。

10年も時間はかかってしまったけれど、
恋に臆病で不器用な廉太郎がその気持ちを受け容れるには
それも必要な時間だったのかもしれません。

ただ、想一もずっと廉太郎を忘れられなかったのなら、
もう少し早く会いに来てくれていればよかったのに…!と
ちょっぴりじれったい思いでした。

再び写真を撮りに出かけた想一を廉太郎が「おかえり」と
迎えるラストシーンはこれからは二人がずっと一緒にいるのだと
実感させてくれてぐっとくるものがありました。
想一の職業柄離れ離れの時間はやっぱり多くて寂しいけれど、
それでも想一が最後に帰ってくるのは廉太郎の元なのだ、と。

新たに家族がひとり

こちらは続編となります。
前巻で紆余曲折を経て番になった狼のタツと人間の青年たま菊。
種を越えて一緒になった二人の蜜月を描いた後日談を描くと同時に
今回は新たな登場人物・いちごの登場によって二人が“親”となる
物語でもありました。

番として幸せな日々を送るタツとたま菊はある日、
ヤマ猫と人間の間に生まれた子供・いちごを拾います。

衰弱して生き倒れていたいちごを懸命に世話をするも、
最初は異種で見知らぬ二人を警戒していたいちご。
けれど、無償の愛を注ぎ、守ってくれる二人に少しずつ絆されてゆきます。

言葉は少ないいちごですが、じっと大きな瞳でたまやタツを見つめ、
懐いてくると狼姿になったタツの背中にしがみつくその姿に
愛おしさしかありませんでした。

他と異なる存在ゆえに人間から迫害を受けたいちごやその祖父など、
辛い過去もありますが、それでも最後は二人が番になったときのように
種を越えて家族になってゆく3人の姿に幸せが溢れました。

前巻から懸案となっていた人間たちにもタツの本来の狼の姿も受け容れられ、
まさしく完結巻にふさわしいハピエンでした。
怪我を負いながらも、拒絶ではなく人間たちと共生し一緒に生きようともがく
タツとたま、そして、幼いいちごに胸が温かくなりました。

不器用なふたり

内容ノーチェックで読み始めたら
主人公の恵人になんとなく既視感を感じ、
どこかで見たような…?と思っていたら、
なんとろじ先生の既刊『ぼくのパパとパパの話』の
2巻に登場していたあの恵人でした!!

一応本作はスピンオフ枠にはなるのだと思いますが、
オリジナルの登場人物たちにはほぼ触れられていないので、
スピン元未読のままでまっさらな状態でこちらから読んでも
全く不都合はないのかなと思われます。

オリジナルの方はメイン二人がとにかくお互いが大好き同士で
あまあまかつほのぼのな空気感だったのに対して、
こちらは恋に不器用な大人二人の駆け引きという印象でした。


絶賛スランプ&不眠中の小説家の恵人はひょんなことから
行きつけの喫茶店の常連である古河と添い寝をする関係になります。

一見人当たりは良いものの、いつも冗談めかして本音を隠す古河を
警戒していた恵人でしたが、一緒に添い寝をしてデートを重ねるうちに
古河に惹かれていってしまいます。

恵人にしろ、古河にしろ、互いに意識していることは間違いないのに、
過去の恋愛がトラウマで素直になれない恵人と、
幼い頃の苦い記憶から本心を曝け出せずに逃げてしまう古河。
あと一歩、いや半歩踏み出せば両想いなのに!と
じれったい思いで読み進めました。

くっつきかけたところでまた後退し、あわや破局かと思ったところで
最後の一歩を踏み出したのは意外にも恵人の方でした。
いつも飄々としているのに古河ってば肝心なところで逃げ腰なんだから!
対してこれまで臆病だったのが嘘みたいに古河に縋る恵人が必死で、
胸に響くものがありました。
恋に不器用な二人ではありますが、だからこそ、
恋に踏み出すことができた二人ならもう大丈夫と思わせてくれるのでした。

夕星のはなよめ コミック

ISIKI 

神様に溺愛されて

前世から続く、ロマンチックファンタジー。

かかわる者や自分自身を不幸に巻き込む体質の豊唯は
今度こそ新しい人生を踏み出すべく田舎の村の役場で働き始めます。
けれど、そこで彼が任された業務は「神様担当」なるもので…。

その言葉通りに神様のお嫁さん=生贄と物騒な噂を耳にする豊唯でしたが、
彼の前に現れた神様の彗親は生贄どころか豊唯を囲って溺愛してくる始末。
豊唯の不幸体質を治す“治療”と称してめちゃくちゃに甘やかしてくる
彗親に表情筋が緩みっぱなしでした。

ただ、読み進めてゆくと甘いだけではなく…
想いが通じ合ったにもかかわらず不幸にも結ばれなかった前世、
その後も彗親と結ばれることを願って何度も転生してくるも
現在に至るまで彗親と出会うことのできなかった豊唯、と
切ない過去に胸がぎゅっとなりました。

けれど、そんな前世の悲しい記憶を乗り越えて、
今度こそずっと一緒にいたいと想いを通じ合わせた二人。
ラストは文句なしのハピエンを迎え、多幸感で胸がいっぱいになりました。

神様と人間なので寿命差などが気になってしまいましたが、
その辺りは触れられずでした。
彗親の他に産土神や雷神など他の神々も登場し、
ケモ姿が可愛らしかったです♪

花盗人にキス コミック

あぶく 

身体から花が溢れる

モデルのマキは“花憑き病”という奇病に悩まされていました。
それは極度の疲れなどにより身体から花が咲いてしまうという稀少な病。

ある日、過労が原因で撮影中に花憑き病を発症してしまったマキは
花屋のバイトとして撮影スタジオを訪れていた大学生の勇星と出会います。

身体から花が咲くところを勇星に目撃されてしまったマキは
勇星にバラされてしまうことを恐れますが、
後日、マネージャー補佐として再会し…。


“花憑き病”という設定がロマンチックで面白かったです。
マキの奇病を知っても支えようと献身的な勇星のワンコみにも
キュンとしてしまいました。

はじめはツンとしていたマキが勇星に心を許すようになると
見せる甘えただったり柔らかな表情もギャップたっぷりで
可愛らしかったです。

また、当て馬?でもないけれど、“花憑き病”に心を囚われ、マキの叔母、
そして、マキをも自分の元に閉じ込めてしまおうとする叔父の存在が
怖かったです…。

Look@me コミック

メムゥ 

眼福すぎる距離感

DKたちの近すぎる距離感に終始眼福でした。
ありがたや…。

校内で人気の藤堂と阿久津は親友同士。
だけど、藤堂は密かに阿久津に恋をしていて、
距離感がバグ気味な彼にドキドキさせられっぱなしです。

ある日、偶然阿久津にゲイであることを知られてしまう藤堂でしたが、
阿久津は引くどころかお試しに付き合わない?と提案してきて…。

クール美人と見せかけて、実はピュアで一途な藤堂が可愛すぎました。
一方の阿久津は周囲にも堂々とバイを公言していて、
いかにも遊び慣れてそうなのですが意外にも藤堂一筋なところが
ギャップ萌えでした。
恋愛初心者の藤堂を気遣いつつも、藤堂の無自覚煽りに
不意打ちを食らって理性を飛ばしちゃったり、
翻弄しているように見えて実は翻弄されているのは阿久津の方だったのかも?

友人たちもそんな二人を生温かい目で見守ってくれていて、
ラストでは「本気のお付き合い」をカミングアウトされるも
盛大にお祝いしてくれたりと微笑ましい反応に幸せしかありませんでした。