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本格的なシリアス好きには合わない作品

下巻の内容も含みます。


受のキャラデザが年齢設定的に仕方ないのかもしれませんが可愛らしすぎる。個人的に苦手でした。

ストーリーについては筋は通っていたと思います。
ただ、冒頭から葵は既に故人なのだろうなとわかりますし、結末もタイトルでわかっているので“どう終わるのだろう”とわくわくしませんでした。
結末へ至るまでの過程は気になったので、上下一気に読みました。

心理描写は苦手なのか、感情移入はできないです。
そもそも福太と葵の恋愛感情がどのタイミングで生まれたのかわかりません。
幼少の福太にとって葵は自分を助けてくれた恩人であり、英雄的存在。
少年の葵にとって福太は心の拠り所と癒しであり、救世主的存在。
当時の二人に、恋愛感情があったとはとても思えません。
もしもあったのなら、福太の幼いながらの恋慕の表現として葵を見て赤面したり……等の描写があったはずです。
それがなかったので、大人になった福太が葵と再会しいきなり性的興奮・恋愛感情を抱いているのに違和感をおぼえました。
福太の中の葵の記憶は幼少の頃の“英雄だったお兄さん”で停止しているはずです。
それなのに、いつ性関係を望むほどの好意をおぼえたのかしっくりきません。

これは個人的解釈ですが、福太にとって葵への想いは恋愛感情ではなく、過去の罪悪感から生まれた歪んだ執着の偏愛だと思います。
確かに葵を好きなのは間違いないでしょうが、それは罪の意識やもう失いたくないという願い、そしてどこか償いを思わせるものです。
恋愛としての好きとは思えません。

葵に関しては、福太への想いは救済を求め続けた結果の悲しい偏愛だと思います。
わざと嫌がらせをしていたのも恋愛感情があったからではなく、かつて自分の心を癒してくれた”救世主の福太“への感謝と幸せになってほしい願いがあったからで、
けして“恋愛感情としての好き”があったからではないと感じました。
作中、幼少の福太を助けたのは葵ですが、実際に心を救われていたのは葵の方で、葵にとって福太は救ってくれる存在・救済の象徴という位置なのだと思います。
実際に、葵が男の手にかけられ心の中で助けてほしいと救済を求めたのは“幼少の”福太です。
自分よりも年下の幼い福太が葵を助けるのは物理的に不可能な事ですが、それでも福太を求めたのは葵にとって絶対的な救済の存在の証です。

そんな二人の関係性でエロに突入された時は正直「ヤっとる場合か」と思いました。
エロがないと売れないのかもしれませんが、そんな暇があったら恋愛感情で惹かれ合う“理由”をもっと見せてくれ、と思わずにはいられません。
一番引いてしまったのは、下巻冒頭の葵が福太との性交を期待していたシーンです。
葵にとって性的な行為というのはトラウマなはずです。
いくら相手が福太だとは言え普通ならあんな赤面し悶々とメス顔などできないはずです。
それなのに……あれではまるで性的快楽に堕ちた男性向けエロ漫画のお姫様です。

葵のセリフで、性交がこんなに気持ちの良いものだとは知らなかった的なものがありました。
それは葵にとっての性交は気持ちの良いものではなかった・苦痛なものだった事を暗喩したのでしょうが、
下巻冒頭で性に目覚めたメス顔をされては台無しです。

福太と幸せな営みをしたい・触れ合えるという奇跡を一瞬でも無駄にしたくない、という心理なのだとしたら表情をもっと切実にしてほしかったです。
ただの発情した顔すぎるので、セックスがしたいだけの下品なシーンに見えました。

その他のエロシーンでも、もっと心理描写をしてほしかったです。
それが無理なら表情だけでも“シリアス”にしてほしかった。
ストーリーはシリアスなのに、エロに関係したシーンはシリアスの欠片もなく、ただのエロ。
二人の重い切実な心理が表れていない。

この様なシリアスな作品において、エロも重要なストーリーの鍵です。
どれ程 他のシーンがシリアスで重くても、エロがただの卑猥な低俗なものなら、全体の雰囲気は台無しにされ、シリアス度も下がり読者の心も萎えます。
例えるなら、暗いシリアスなヒューマン映画を見ていたのに途中で勝手に下品なAVが流された感覚です。
本当に萎えました。


結末、そしてそこに至るまでの過程を含めて、この作品は恋愛要素は希薄・もしくは皆無で、
大人達の狂気のせいで傷付き肉体を壊された少年と、その少年への罪悪感と偏愛で心を壊した青年が悲劇でしか救われないお話です。

下巻でわかりますが、全てが狂気の連鎖と因果です。
全て繋がっています。
葵の父親さえまともだったら葵の家庭は壊れず、葵も疲弊せず男の手に落ちなかった。悲劇は生まれずにすんだ。
所謂バタフライエフェクトです。
関係ないと思っていたもの・出来事・人も全て繋がっていて、根源は葵の父親の低俗な狂気。
そこから更なる狂気と悲劇が生まれてしまった。
この作品は、狂気の連鎖の末に悲劇でしか救われる道がなかった哀れな少年と青年の物語。
個人的に、そう思いました。


題材は本当に重く暗いです。
しかし、絵柄や描写はライトなので、他のシリアス作品よりは読みやすいと思います。
ただ、ライト層で明るいお話やハッピーエンドがお好きな方にはお薦めできません。


もう少し繊細に描いて頂けていたら評価は上がっていましたが、
個人的解釈で述べた二人の感情は恋愛ではなく偏愛、という認識はあくまでも私が勝手に考えたもので、憶測・想像に過ぎません。
が、もしもこの解釈が正しいのなら明らかに描写不足。深読みしなければ全く伝わりません。
反対に間違っていて恋愛感情なのだとしたら更に描写不足です。
読者に読み取ってほしいと丸投げせず、最低限の描写はしてほしかったです。

シリアス好きな読者としては、エロでシリアスを侮辱された気持ちでした。

辛口で申し訳ございませんが、自分にはこの作者様の作風は合いませんでした。

中立で失礼致します。

大好きな作者さんだったのに残念です

作者のデビュー当時からファンなのでずっと応援していました。

待ちに待った はだける怪物 の続編という事でわくわくしながら読みましたが、正直心に響くものはありませんでした。
濡れ場も意味のある濡れ場とは思えず、下品な言い方で言わせて頂きますと、エロで読者を釣りたいのかな、という印象です。
ストーリーは元カレへのDVという重い罪を題材にし、自己嫌悪と償いと救済、そして前進を描いているはずなのに、どこか淡々としずきていて人物に感情移入も共感も同情もできない。

心理描写が薄すぎだと思いました。
確かに葛藤や苦悩のシーンはありましたが、その描写が圧倒的に足らない。
もっと二人が思い悩み、衝突し、それでもお互いを愛し、相手とずっと一緒にいたいと願い、少しずつでも前へ進んでいく……。
という話なら感動できたのですが、
本作は暴力という重い題材にも関わらず、なんとなくあっけない流れでした。

エロにページを使うより、もっと二人が苦悩し、衝突し、喧嘩でも良いので心から話し合うシーンを増やしてほしかったです。

結末は完璧だと思います。
だからこそ、そこへ至るまでの過程が残念でした。

作者は元は心理描写や人物への感情移入のさせ方が上手なタイプの漫画家だったはずなのですが、
ストーリーや心理描写よりもキャラクターやエロに萌えさせる作風へ変わったという印象を持ちました。

画風は相変わらず大好きなので、中立にしますが、ストーリーは期待はずれでした。

この作者さんの漫画なら内容も間違いない!と期待しすぎて読んだのが間違いだったのかもしれません。