皆さんのレビューを読んで、ホラー色強めだったらどうしようと思って悩んだのですが、いざ読んでみると平気でした。確かにゾクっとする描写はありましたが、それよりも謎が気になり、早く先を見たい一心で読み耽りました。
不憫受けが好きでこの小説を手に取ったのですが、想像以上に2人の前世が壮絶でした。
オワタリ様よりも四郎に感情移入してしまい涙が止まらなかったです。
四郎のオワタリ様を想う気持ちがただただ辛かった。どうにもならない境遇の2人、不幸を不幸と知らずに生きていけたら良かったのだろうか。例え、四郎が告げ口しなくとも、川藤が現れなくとも、どう転んでも前世の2人に幸せな未来はなかったのではないかと思うと、なんともやるせなさを感じます。
川藤の自分本位な偽善的な優しさも、間違っているのですが、ある意味人間らしい。村人たちもどうしようもないクズばかりなのですが、きっとこういう風習って昔はあったんだろうなと妙に現実味があって恐ろしくもなりました。
来世で巡り会えた2人の幸せを願わずにはいられない。
素晴らしい純愛ストーリーでした。
イイモ先生の過去作は全部読んでます。私は甘々BLよりダークな話が好きなので今作も地雷盛りだくさんでしたが大丈夫でした。むしろ、こういう救いのない世界での純愛、救済BLが好みです。
先生の作品は地雷多いですが、しっかりストーリーがあります。今回も小島や大門がどうして歪んだ人間になったのかという生い立ちがきんちんと描かれてますし、安直なものでもなくまぁ納得できる内容でした。お互いが惹かれていく心理描写もよく描かれていると思います。
受けの小島は美少年でもないし、攻めの大門もモブ顔なんですが、何故かこの登場人物たちに魅力を感じます。暗い過去と歪んだ性癖という普通ではない人間達の物語なので、変にキラキラしたイケメンより合っているのかも。それにしてもイイモ先生は人間の闇の部分を描くのが上手いなぁと思います。
2巻も読みましたが、2巻最後では少し甘々な2人も見られてホッとできます。
ただ、雑誌で3巻収録予定の話を読むとまた不穏な感じではありましたので、この話はハッピーエンドを迎えられるのか、ハラハラドキドキです。
小島くんが死への願望から解放されると良いのですが。
読み終えた後、あーついに終わってしまった、と思うほどこの世界に入り込んでしまいました。
本作は、ARUKU先生お得意の童話のような異世界ファンタジー。雰囲気としては、明日屋、昨日君が死んだ、に似ています。あの世界観が好きな方なら、BL要素少ないですが楽しめると思います。
虹色村で暮らすチロリが、本当に良い子で良い子で、チロリを想うアキラも小学生みたいな態度がまたいじらしくて前えます。2人の距離は最後までほぼ変わりませんでしたが、(アキラは父親の過去を知りさらに好きになったかな?)この距離感がまた可愛いなと。祭りでアキラがチロリを抱きしめて、その後無職になったアキラをチロリが抱きしめてまた抱きしめられて、の流れでさすがにチロリも祭りの時のお面の正体、アキラの恋心に気が付きそう。ゆっくり進展していきそうな2人です。
ジーンが亡くなってタロウが稲穂で佇むシーン、あの痛々しいモノローグが泣けました。
可愛い動物や不思議な生き物がたくさん出できて癒されます。こんな世界あったらいいなぁと思える素敵なお話でした。
泣きました。この感動は一言では言い表せないです。ARUKU先生はどうしてこんなお話を書けるんだろう。
先を読ませるストーリー展開は、文字数もコマも多いですが決して無駄がなく、時折挟みこまれる童話や御伽噺のような台詞の効果で、シリアスなのにどこか暖かく、そして寂しい気持ちになります。登場人物達の独特な台詞口調も可愛くて好きです。先生お得意の中盤に入る短い書き下ろし、小休憩のようでいて物語の核心だったり、ほんと構成がすごいです。
最初もくじを読んだ時、なんとなくラストはこうなるのかなー?と予測を立ててしまっていたのですが、見事に裏切られました。美しく死ぬこともできない、残酷なまでの現実。でも、彼らは寄り添い生きていくんでしょうね。これこそ、真実の愛。
こんなラストは勇気がいるので普通の作家さんはは書かないでしょうね。秀逸です。
愛とは、罪とは、救いとは、色々なことを考えさせられる、素敵な物語でした。