累る-kasaneru-

kasaneru

累る-kasaneru-
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神91
  • 萌×252
  • 萌19
  • 中立14
  • しゅみじゃない14

234

レビュー数
34
得点
734
評価数
190
平均
4 / 5
神率
47.9%
著者
凪良ゆう 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

イラスト
笠井あゆみ 
媒体
小説
出版社
プランタン出版
レーベル
プラチナ文庫
発売日
ISBN
9784829626016

あらすじ

気持ちも身体も、もう離れられないと訴えている。

異母弟の奏人を母の虐待から庇い、夢に魘されると共に眠り宥めてきた七緒。ふたりが大学生となった頃、奏人から恋情を告げられ戸惑うが、七緒もまた彼が愛おしかった。けれど、夢を見た。奏人の夢と共通点があるようだが、徐々におぞましく苦痛に満ちていく夢。奏人に抱かれている時だけは、それから逃れられた。なのに夢が進むにつれ、恐ろしい疑念がこみ上げてきて……。

表題作累る-kasaneru-

及川奏人,異母弟,大学1年生
及川七緒,大学3年生

同時収録作品累る(昭和4年)

四郎、16才、行商人夫婦の捨て子、口が利けない
オワタリさま、山中のお堂で監禁されている

その他の収録作品

  • Harmony
  • あとがき

レビュー投稿数34

しばらく後を引きました

皆さんのレビューを読んで、ホラー色強めだったらどうしようと思って悩んだのですが、いざ読んでみると平気でした。確かにゾクっとする描写はありましたが、それよりも謎が気になり、早く先を見たい一心で読み耽りました。

不憫受けが好きでこの小説を手に取ったのですが、想像以上に2人の前世が壮絶でした。
オワタリ様よりも四郎に感情移入してしまい涙が止まらなかったです。
四郎のオワタリ様を想う気持ちがただただ辛かった。どうにもならない境遇の2人、不幸を不幸と知らずに生きていけたら良かったのだろうか。例え、四郎が告げ口しなくとも、川藤が現れなくとも、どう転んでも前世の2人に幸せな未来はなかったのではないかと思うと、なんともやるせなさを感じます。

川藤の自分本位な偽善的な優しさも、間違っているのですが、ある意味人間らしい。村人たちもどうしようもないクズばかりなのですが、きっとこういう風習って昔はあったんだろうなと妙に現実味があって恐ろしくもなりました。

来世で巡り会えた2人の幸せを願わずにはいられない。
素晴らしい純愛ストーリーでした。

0

夢で過去世を累ねて、遂げた祈り

八墓村のBL版のような和風ホラー要素を盛り込んだ、
虐げられ自由が無い底辺で生きるマイノリティ二人と、生れ変り?の異母兄弟二人、
この四人が主役の凄く切ない因縁物語。

「累」と書いて「カサネル」と讀む。
夢で見た過去世と同じことを、無意識に累ねる=辿るように生きる七緒と奏の兄弟。
七緒は天気の予知ができる、優しい少年。
奏人は、烏の雛のようなカクシゴの異母弟。

二人が見る夢は同じ内容だった、
座敷牢のオワタリ様と世話役の四朗の生涯は哀しすぎて、悪夢に近い。
夢と似た伝承を持つ村の存在を知り、二人は廃村に訪れる。そこで全てを思い出す七緒。

赤とんぼが飛ぶ時期に死んだオワタリ様の最期の呟き
「四朗、今度会ったら ずっと一緒に居よな」
「好きなとこ 一緒に飛んでいこな」
・・この言葉を七緒が「罪の意識を抱えて熊に生きたまま喰われた四朗」の生まれ変わり;奏人に告げる。
(何故二人を「熊」の餌に??著者が熊に拘る訳が謎。)

オワタリ様の「四朗を罪から解放して、一緒に居たい」という呟きは強い祈りになり、
時空を超えてオワタリ様の祈りにシンクロするように、オワタリ様達の夢を見る。
そして、オワタリ様と四朗によく似た今世の二人は、今生で過去世を累ねるように恋をする。
そして夢で過去で果たせなかった、オワタリ様と四朗の想いを成就する。
時空を超えた「オワタリ様の祈り」。オワタリ様は、実は凄い異能力者でした。

過去世と同じ人を好きになる=前世と変わらない今世を送るという意味を含む物語なら哀しすぎる、今生で幸せを掴んで欲しい。
マイノリティに視点を向ける凪良先生が本当に書きたかったのは、
差別されて自由を制限されて生きた「戸籍が無い人達」が実際に居たのだ、という告発じゃないのかな?

---
渡り巫女:オワタリ様
歩き巫女(あるきみこ)は、かつて日本に多く存在した巫女の一形態。
戦国時代に武田家に仕えていた忍者集団のひとつ「信玄の歩き巫女」は、アニメで有名。

0

良質なホラー映画を観た後のような余韻

凪良先生の作品はこれが初めてでしたが、面白くて一気読み。
怖くて悲しいのに、話に引っ張られ、ページをめくる手が止められなかった。
前世パートの痛々しさについてはたくさんの方が触れられているので、現世パートの感想を。

いいホラーものって、「後引き」がうまいんですよね。「リ○グ」のラストの主人公の行動なんて、めちゃめちゃ後味が悪くてゾクゾク…って来て終わる。このお話にも、似たような感情を覚えました。
ふたりが現世で想いを確かめ合って、感動のラスト。でもまだページがある。
で、明らかになる「秘密」。

もうね、予想していたとは言え、なんか、もう…。
正直このエピソード、なくていいんじゃないのかと、兄弟で愛し合っていくための代償としてはこれ、重すぎないか?って最初は思った。
前世での四郎の犯した罪との対比として必要な、兄側の罪のエピソードだというのはわかる。
けど、それにしたって、「もう終わった過去の話」としてではなく、現在のふたりが生きていく上でこれから一生背負っていくものなんだと思うと、救いの無さ、やりきれない気持ちをそこに感じてしまった。
虐待してたとは言え兄にとっては実の母。弟を引き取るまでは普通の優しかった母なのに。しかも虐待のそもそもの原因はクズ父なのに…と。
「愛するが故に犯してしまった罪」はBL的にはオイシイけど、前世があまりにも辛くて救いようのない悲恋でしかなかったがために、現世では一点の曇りもなくラブラブハッピーでよかったんじゃないかな?なんて思ってしまったのだ。
ラスト「Harmony」では一緒に暮らすふたりの、なにげない日常風景が綴られている。月日が流れ、父や再婚相手との折り合いは、どうにかついているらしいことがわかる。けれど、母のことにはまるで触れられていない。
奏人がひと言だけ「ああ、お盆だし」と、「どうでもよさそうに」言うのだ。そしてふたりは夕飯の相談をして、ベッドで愛し合う。まるで、なにごともなかったかのように…。

ここでゾクッときた。めっちゃ怖いよこれ。なにげない普通のシーンに見えるのに、いや、普通っぽいからこそ怖い。ここでこのお話が、ただの兄弟BLじゃなくて、禁忌を扱ったホラー小説だったんだって思わされた。
この据わりの悪いような、なんとも言えない後味の悪さがいつまでも尾を引く。

最後に気になっていたことがひとつ。
前世で赤の他人だったのに、転生後は異母兄弟っていうのはなんでなん?ってのは疑問が残る。どうせなら前世でも「実は生き別れの兄弟でした~」ってオチがよかった。なら兄弟BLとして二度美味しかったな…って思って読み返していたら、「あれ?もしかしてそうなのかな?」ってエピソードがあるんですよね。子守唄の。
あれは伏線ぽいけど、回収されてないところをみると、ただの偶然なのでしょうか? それとも…。

1

Jホラー風味、因習と時を超える禁忌愛

怖い偶然の一致…
というのも、昨日山岸凉子先生の「鬼」というコミックスを偶然読んでて、その、日本の土俗的な、伝承されている隠すべき禁忌のストーリーが余りにもシンクロしてて、心底震えあがった…!
そう、この作品は「和風ホラー」的要素が色濃いのです。
物語の序盤は、異母弟との共依存愛がこじれる話なのかな、と思いつつ読んでいたのですが、七緒が奇妙な夢に苦しみ始める展開になってから俄然面白くなった‼︎
私は怖い話が大好きですので。
しかし、日本の土俗を土台とするホラーってなんでこんなに怖いんだろう。
日本の、閉鎖的なムラの中で、巫女だ守り神だという建前の中で成人男性たちの性欲処理の対象だったオワタリさま。
そのオワタリさまの世話係をやらされることになる啞者の四郎。
聖と卑の表裏と、残酷な虐めの構図。
彼らの運命の過酷さ、過去(前世)からの絡みあう愛、禁忌、それらの描写の迫力がもう凄い。
その後七緒と奏人が見続ける夢の舞台となる現実の村にて起きる惨劇にも震えあがりました…
この話を読んでて、あれ?これ夜○花さんじゃなくて凪良ゆうさん〜?うそー、みたいな気持ちになりました。
凪良ゆう先生がこういう話を書くんだ…
私が凪良先生に抱いていたイメージを大きく覆す、どこか「魔」に取り憑かれて書いているのでは?と思わせるほどの、迫力。
この「累る」というタイトル。
人の怨念が他人に重ね合わされる…歌舞伎の「累物」からの言葉、だけど終局の「Harmony」にて2人の愛情が重なり合う姿にも掛かっているのでしょう。

物凄く怖いし残酷描写もありますが、オススメです。

3

一読の価値がある美しく物哀しい純愛もの

ちるちるユーザーの方の耽美系のオススメ作品に挙がっていて、それをきっかけにして手に取りました。凪良ゆう先生は初読ですが、名高い評判に大いに納得出来る内容でした。

全く前知識無く読んだ為、余計に衝撃が大きかったです。これから読まれる人は、あまり内容を知らずに読まれるのが良いです。

血の繋がりのある兄弟同士で愛し合うという設定なのですが、背徳感をあまり感じさせないほど、あっさりしています。こちらには余り重きが置かれていない様に感じます。

七緒編から、不穏で嫌な雰囲気の予兆のようなものが感じられますが、奏人編こそが真髄です。投げかけられたテーマが予想外で、余りに重くて心のガードが上手く出来ませんでした。

生きていく上で叶わない事、どうしようもない事が痛切に伝わってきます。特に時代によるものが大きくて。現代人にとって当たり前に与えられる事が当たり前でなかった時代がある…。昭和生まれの人は、目上の人の話や書物等から見聞きしている事が多いかと思われます。似た題材を他に扱っているものもあるかもしれませんが、この作品は文学的で訴えるものがあります。

前世で添い遂げられなかった者達が後世で近しい間柄で生まれ変わる…という浪漫的な言い伝えを聞いた事がありますが、まさしくこの話がピッタリでした。ただ余りに過去の描写のインパクトが強すぎて、現代描写があっさり終わった所は気になりました。もう少し現代編の杓子が欲しかったかも。

あとがきを読んで奏人編のラストの描写などを出版社の意向で控えられた事を知り、残念に思いました。法律上の表現規制であれば仕方ないですが、女性向けだからという配慮であれば、そろそろ見直して欲しいです。社会の変化に合わせて、読者も成熟します。読者が求めるのは配慮でなくリアリティーです。女性向けだからとファンタジーものとしてぼやかされるのは悲しいです…。

笠原先生の表紙が購入するのをしばらく躊躇した原因でもあったのですが、手に取るととても美しいです。今ではとても気に入っています。タイトルがまたふつくしい…。ちるちるユーザーの方のオススメが無ければ、エロが主題だと勘違いをして購入していなかったと思いますので、感謝の気持ちでいっぱいです。


長年のブランクを得て復帰をしてBL小説を何冊か読んだ結果、BL小説に対する認識が大きく変わりました。この本もエンタメで終わらない一読の価値がある本のうちの一冊だと思います。

5

微ホラー

凪良ゆう先生の作品を読むのはこれで3作目になりますが、今のところこの『累る』が一番好きです。もともとホラーとかおどろおどろしい話が好きだったので、趣味にどんぴしゃりと嵌りました。
内容については他のレビュアーさんが書いていらっしゃるので、私は感想をば僭越ながら書かせて頂きます。

『累る』で好きなのは、全編に漂うホラーな雰囲気です。
不審な母の死、繰り返しみる不思議な夢、夢の中で男たちに犯される自分。日常が少しずつ蝕まれていく七緒。
中盤まではおおよそこんな感じなのですが、まさにホラーですね。怪しいです。悪い予感がジワジワときました。腹違いとは言え実の弟との禁断の関係が、いい感じに物語を盛り上げます。
やがて悪夢に導かれるようにして辿り着いたとある廃村で、七緒と奏人を巡る全ての真実が明らかになるのですが…。
このクライマックスあたりは横溝正史的世界。おどろおどろしくて残酷で、そして物悲しい。思わず涙ぐみました。
ミステリー的要素も散らばっているので、夢の断片をつなぎあわせて過去に何があったのかを考えながら読むのも楽しかったです。頑張って色々と予想しながら読んでいたのですが、私は見事にミスリードされてことごとく外れてました。なるほど、そういうことだったのか、と全てを知ったときは切なかったです。
最初から最後まで、飽きることなく読み進められました。とてもおもしろかったです。読んで良かったなと思える作品でした。

それから、笠井あゆみ先生のイラストが作品の雰囲気に合っていてすごく良かったです。とくに、妖しい色気とどこか儚さを感じさせる表紙が、より小説の雰囲気を際立たせているようで大好きです。飾っておきたい…。

終盤はわりと残酷な描写があるので、苦手な方は気をつけて下さい。複数のモブに陵辱される美少年、下衆なモブたち、そういったものが大丈夫でなおかつ暗くて悲しいお話を読みたい方にはおすすめです。読んだらナナホシテントウが愛おしくなりますよ。

4

タイトルに物語のすべてが込められている

美麗でエロティックな表紙に惹かれて購入しましたが、主役の受け攻めの濃密な描写は一度だけ。
途中からエロスよりも二人の前世が気になり、ページをめくる手が止まりませんでした。
読み終えて、タイトルに物語のすべてが込められていることに気づきました。絶妙なタイトルです。

辞書によると、「累る」は、つみかさなる、いくつもつながる、わずらわすという意味があるのだそうです。

つみかさなるのは、異母兄弟でありながらひかれあう七緒と奏人の恋情。
いくども体をつなげる二人。
二人をわずらわせる前世の記憶がいくつもつながり、やがて二人は全てを思い出す。
そして前世も自分の中にかさね、ともに生きていくと決める…。

実は前世で、七緒はオワタリサマという男の巫女、奏人はその世話をする口のきけない少年・四郎でした。
前世の話がなければ、兄弟ものが苦手な私は二人の関係に納得できなかったかもしれません。

この前世の話がとても読みごたえがあります。
村人がどす黒いほどの欲にまみれていて、対照的にオワタリサマと四郎の関係が清らかで切なく感じられるのです。

村の男たちに共有され、お堂に閉じ込められて女郎のように扱われていたオワタリサマ。四郎は一生懸命にお世話し、見守り続けます。淡い恋心が四郎の中につみかさなります。
ところが町の青年のお節介な振る舞いが二人の静かな生活に波風を立て、四郎は青年のことを村長に告げ口してしまいます。周りの村に自分たちの汚れた振る舞いを知られることを恐れ、村長たちはオワタリサマを殺害しようとします。逃げる二人。道中のケガがもとで弱るオワタリサマ。でも恨み言一つこぼしません。
オワタリサマが四郎に告げるセリフが切ない。
町の青年から、交接は好きな人とするもの、好きな人とならとても幸せな気分になる、と聞いたオワタリサマは、「そんなら四朗としたいて思ったんや。だって俺、四郎が大好きなんや。」と言うのです。
オワタリサマの中にも四郎への想いがつみかさなっていたのですね。
その後、二人は結ばれることなく悲惨な死を遂げてしまいます。
おとなしく耐えるだけだった四郎がオワタリサマにひどいことをした町の青年と村長の息子を容赦なく殺してしまうシーンがあるのですが、四郎の変貌ぶりが鮮烈で、とても悲しい。
「人扱いをされないのなら、苦しい思いをして人であり続ける必要がどこにあるだろう。」
四郎の中につみかさなってきた苦しみの熱量に圧倒されました。

七緒と奏人の前世を知ってから、口絵のイラストはエロスよりも切なさが増して見えます。このとき奏人だけが前世の二人の悲しい結末を知っていたのですから、切羽詰まるのも無理はないと思えます。

七緒と奏人は、喜びも悲しみもともに、これからも一緒に生きていくことを決意します。
二人の生き方はまさに「累る」。幸せがたくさんありますように、と願いながら本を閉じました。

6

すごかった。

面白かったです。もう、その一言に尽きる。
『累る』のタイトル通り、累積された想いを扱ったお話でした。

現在と過去が交錯していくストーリー。その中で、萌えと恐ろしさが深まる。
何が一番衝撃だったかというと、やはり二人の過去。
ストーリーが段々と佳境に入るに従って、「これ、相当すごい過去が秘められてないと『なんだ……』ってなっちゃうなあ」とハラハラしつつ(期待しつつ?)読んでいたのですが。
すごかった。
さすが凪良先生だと思いました。

二人の過去が衝撃的に感じられた理由は、設定その他ももちろんですが、やはり何といっても凪良先生の描写力ゆえだと思う。
受け視点と攻め視点でそれぞれ異なる恐怖があるのですが、それが交互に語られるので二倍怖い!
その後語られる現在の二人の繋がりや、てんとう虫の話に、正直ホッとしてしまいました。
現在の二人が、義兄弟だというタブー性など吹き飛んでしまうほど。
圧巻でした。
これは読むべきだと思います。

4

刻み込まれた愛情

hontoさんで購入。
なかなかに激しい表紙で前から気にはなっていたものの、ダークそうで
手がのびず・・・。カラー口絵は更に凄かった。中の挿絵もありました。

お話は 秘密Ⅰ、累るⅠ、累るⅡ、秘密Ⅱ、Harmonyというタイトルが
ついていて、攻め受けが小学生時代に出会ったところから話が始まり
兄視点、弟視点、現代、過去と変わります。混乱はなかったです。
内容はハード&ダークな部分あり、少々キツカッタ・・・・・
それでちょっと評価は下振れです。
ちょっと厳しい内容に耐性ない方は、ちょっと耐性つくまで見送りも
ご検討いただいた方がよいかも。

登場人物は父親とか知人とか少々いますが、ほぼ攻め受け二人だけです。
兄弟で生きていくことを決意するまでのお話と
最後のharmonyが、ご褒美ちょっと甘めなお話。でもちょっと足りない~
もう少し多めに甘いお話が欲しい・・・

ただ兄弟ものはとっても苦手なんですが、当作はあり!と思えました。
最後は、魂に刻み込まれた記憶、愛情を消化し、
二人できっちり生きていけそうな強さ、明るさを見せていただけて
救われた感、満点です。
「ななほし」=この本 に強く紐付けられたやや強い印象の1冊でした。

0

表紙のようなエロさではなく内容重視

切ないものが読みたくてチョイスした作品ですが、切ないよりも淡々とした静かな海のような作品でした。
実は悲恋のまま終わるのだと思っていたので購入後読むのがかなり遅れていたのですが、ラストはきちんとハッピーエンドとなっていますのでご安心を。

受けの七緒と攻めの奏人は異母兄弟。
幼い頃に奏人は父親の元へ引き取られ、そこで唯一自分を庇護し愛してくれる七緒と出会います。
そんな七緒と奏人の前世が、渡り巫女を母に持ち村の男衆の共有女郎とされるオワタリ様と、オワタリ様の世話係で村では差別され厄介者扱いされる四郎でした。
その四郎の悲惨な記憶が幼い頃から奏人を苦しめ、また現在では七緒をも苦しめ始めたことで、奏人は悲劇を繰り返さないために七緒から離れる決意をするのですが…

さりげなく書かれた七緒の天気を当てられる能力がまさかここと繋がっていたとは!と読み終えた時鳥肌が。
そしてすっかりわたしは忘れてしまっていた七緒の実母の死の原因も、ここで持ってくるか!と唸るばかり。
自分の不幸は認知しなければ存在しないも同然で、それを知るも知らぬも本人の自由で他人がとやかく言うことではないのだと感じた作品でした。
あまり先入観を持たないで、前世物、兄弟物くらいの予備知識で読まれる方が驚きや苦しさが味わえると思います。

凪良さんの書かれる作品では登場人物の後ろに筆者の姿が見え隠れすることはほぼなく、今回もオワタリ様や四郎の後ろには凪良さんではなく七緒と奏人が、七緒と奏人の後ろにはオワタリ様と四郎が…といった具合に、作中に登場人物たち以外が介在していると意識させられることはありませんでした。
そこが本当に素晴らしいなと。
たいていの作品(小説で顕著)ではチラチラと筆者の姿が感じられ、そのたびに現実へ引き戻される気がするのですが、凪良さんの作品でそういうことを感じたことはないかもしれません。

6

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