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最初に読み終わった時には、好きな話だなぁ「萌×2」位と思った。
でも……
何日か経っても気持ちが離れず、
気がつくと彼らのことを想像している自分に苦笑し
再読してみて、もっと気持ちが引き寄せられた。
その後も折りに触れ浮かんで来くる二人……。
☆ ☆
中学の時に自分の性癖に気がつき、周囲にそれを隠している高校生の文人。
そんな彼が悩みを打ち明けられるのは、ネットのゲイサイトで知り合い
星という同じ趣味を分かち合う年上の男性”altir”。
卒業を機に、思い切って友人に自身の性癖を打ち明けたが
快く受け入れてもらったと思ったのは上辺だけで、蔭で語られる事を聞いて絶望し
会った事もない本名も知らないaltirに、「死にたい」というメールを送ってしまう。
傷ついた自分の元に駆けつけてきてくれたアルタイルの優しさに、
惹かれずにいられない文人だが、バイのアルタイルには彼女がいて
それを大切にしたいと本名も知らぬままに、二人は別れることに……。
タイトルになっているvegaとは、七夕の織り姫のことで、
七夕が誕生日の文人が、自身につけたHNだ。
それは最初から、アルタイル(彦星)を意識してのことだっただろう。
忘れようとしていた文人だったが、思いがけない再会が待っていた……
再会に関する予想は二つあった。
その二つのどちらかではなく、結果両方だったのだがある意味予測のつく展開、
物語が力を持って読ませるのは、そこからの二人の苦しい道のり。
この二人は、物語の最初から相思相愛なのだ。
そしてお互いにそれを知っていながら、お互いの立場に踏みとどまる二人。
そんなストイックで理性的な二人のありように、胸が絞られ涙が出そうになる。
まるで星のように。
とんでもない熱を孕みながら、青く冷たく見えるそんな二人。
理性で断ち切ろうと思いながら、でも断ち切れず、
長い時間をかけてようやく手を取り合った二人の行く末は
それまでの経緯を考えると苦しいこともあるだろう。
でも、どうやってもお互いじゃなくてはダメだった二人の未来に
幸多かれと祈らずにはいられない。
評価は、神。
今まで読んだ凪良さんの作品で、一番好きです。
もう一生誰にも心を開かないし恋もしない……傷つき頑なだった文人を優しく解いてくれた彼は絶対に好きになってはいけない人だった。
発売前から、このあらすじを読んでハラハラしていました。
絶対に好きになってはいけない人?
近親?親友の恋人?既婚者?
既婚者だけはどうか勘弁して下さい!と半べそで祈りを捧げていました(笑)
そして結果、地雷回避できました。
思いっきりネタバレですが、絶対好きになってはいけない相手、お姉さんの恋人なのです。
裕福な家庭で愛されて育ちながらも、自分のセクシャリティに悩み、それを誰にも打ち明けることができずにいる主人公文人は、ネットの掲示板でaltairという年上の男性に出会います。
この男性こそがまさに、後に再開するお姉さんの恋人なんです。
もうこの後の経緯書きたくて堪らないのですが、読み進める楽しみを奪ってしまうのも忍びないので我慢します…(涙)
ただ、本当に是非多くの人に読んで頂きたい一冊です
ハンカチ用意して下さいね〜!
かたがんさんも既婚者地雷なんですね。私も同じです^^
同じ地雷持ちとしてこちらのレビューがとても参考になりました。
凪良さんは個人的に外れのない作家さまなのですが、中でもこれはとても好きです。
内容は皆さま書いてくださっているので感想を。
とにかく主要キャラの二人にとても心惹かれました。
高校生で、自分の性癖に悩む文人くん。色々なことを経験してきた大人なら大丈夫と思えることも、まだ高校生の彼には明けない夜のように感じて。心に大きな悩みを抱えながら、それでもまっすぐで素直なとても清潔感のあるキャラで、新開さんのように「大丈夫だよ」と言って抱きしめてあげたい気持ちになりました。
対して攻めの新開さん。彼も誠実な、大人な男性だなと思いました。男性も恋愛対象になるのに「結婚したいから」「子どもが欲しいから」と女性を選ぶ人って個人的に好きではないのですが、文人くんの姉である夏那を大事にし、誠実であろうとした態度があったからか、彼のことを批判的に見ることはできませんでした。バイであるがゆえに、女性も愛することができるために、世間体を考え結婚したいという新開さんの気持ちもとても良く理解できました。自分自身が大人の狡さを知っているからかもしれません。
二人が出会ったときにはすでに新開さんには婚約者がいて、お互いに納得してもう会わないと決めた二人。それがいろいろな偶然が重なり縁が切れることのなかった二人。
メールだけで繋がっていた3年間の間に培われたお互いへの気持ちが、芽を出す前に摘み取らなければならなかった二人の気持ちを思うと涙が出て止まりませんでした。
帯にもある、「いつか、ふたりで満天の星空を見たい」のメモを見つけたとき、不覚にも文人くんと一緒に号泣しました。
星が好きで、それが二人を繋ぐきっかけになったのに、曇っていたり雨降りだったりで一緒に星空を見ることができなかった二人が、最後に「一緒に行ってみたい」と願っていた地で満天の星空を見ることができて本当に良かったなと思いました。表紙の、傘を外し、星が流れている中で二人が微笑んでいる絵がとても合っていて素敵でした。
7年もかかってやっと一緒になれた二人に幸あれと願っています。
ゲイであることに悩む高3の白石 文人は 『vega』と名乗って
掲示板で知り合った『altair』と名乗るバイの男性とメールのやりとりをしている。
好きな星の話、セクシャリティの悩み。
ある日友人にカムアウトした文人は、相手の言動に傷つき
「死にたい」とメールを送る。
会いに来てくれた『altair』に、はっきり自覚しないものの、恋心をいだく。
しかし『altair』こと新開 巧は姉の恋人だった----。
あらあすじはこんなのなんです。
「姉の恋人、婚約者ってありがち」?
ちがいます、
これありがちな話と違います。劇的なエピソードはないのだけど、
真正面から恋が描かれている。
主人公が号泣するシーンでは一緒に泣けました。
キャラクターそれぞれに個性があって思いも、事情もあって。
作中でそれぞれに生きている。
誰が悪いというのではないのに
うまくいかないもどかしさ。
キャラメル、万年筆そしてプラネタリウムといった舞台、小道具が
印象深く使われています。
あと、大学生になった文人を好きになる神崎が可哀相な奴で。
救いが用意されていてホント良かった。
2人が想いを告げ合うのは会ってもう数年、文人には大学最後の冬休みです。
読んでいる最中、胸の痛む恋を文人と一緒に感じているようでした。
良かった、結ばれて良かった。やっと2人は始まる。
BLって、どこかありえない設定が入ってて、「ありえないーあはは」と泣いたり笑ったりしながら、その設定も丸ごと楽しめてしまうところがあるんだけど、凪良さんの作品は、いつもリアル設定で、すごい引き込まれる。実際、文人のような男の子が町のどこかにいても全然不思議じゃないなあと思ったから。
ゲイであることを自覚し、そのことに苦しむ文人がネットで知り合った男性アルタイルに思いを寄せる。でもアルタイルは文人の思いに応えようとしない。アルタイルのほうも、文人のことを憎からず思っているというのに・・・ここがまず切ない。
「君と出会わなければよかった。もしくはもっと早く出会っていればよかった」このアルタイルのセリフ、やられたー。なんでこんなにアルタイルのガードが固いのかというと、アルタイルさんには女の婚約者がいて、その女はなんと文人の姉ちゃん。
ありえないー、でも笑えないー・・・
お互いに忘れなきゃ、距離を取らなきゃ、とする2人だけど、どうしても気になって、好きで好きでたまらなくて、でもどうしようもなくて、もがき苦しむ様子が切なくて仕方なかった。いいかげん、アルタイルを忘れて前に進まなきゃいけないのに、と思う文人だけど、心はどうしてもアルタイルを忘れられない。新しい恋なんてできない、と思う文人が切なくて痛くてどうしようもなかった。
ラストは、きちんとハッピーエンド。うっとりできた。恋は、やはり素敵です。いい作品でした。神評価です。