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現代社会のテーマに陳腐なファンタジーが合ってない気がします。

凪良ゆうさん、一般小説でも有名になっている方なので、文章はまとまっていて読みやすいのですが、話自体まとまりすぎていて起伏がない…伏線もない…ドキドキするシーンがない…という印象です。

話のテーマが誘拐だったのか?愛する人の死を乗り越えることなのか?振り切れてないような中途半端さを感じます。
設定や人物を散りばめるのみで、受けや攻めの心理描写、彼らを見守る人たちの心理描写が足りていないために読者の気持ちが入っていかないように思えます。

後半にエロが1シーンだけありますが、この話の薄さの割にベッドシーンを詳しく描写するのはバランスが悪いんじゃないかなあと思ってしまいました。

また、誘拐事件の犯人となった受けが実刑四年というのもどうかな?と。子供と犯人に元々関係があったこと、子供に危害を加えられていないこと、期間の短さなどから執行猶予がつくんじゃないのかなー?と思ったんですが、いかがでしょう。

さらに、誘拐事件の過去を背負う2人を描いた話…という社会派的な要素にラストの荒っぽいお粗末な超現象が妙に浮いていて全く感動できず…。

「まばたきを〜」も設定が好きで読みましたが、そちらも現代物に妙なファンタジーが入るのが納得できずあまり感動できませんでした。

散々長ったらしくレビューしてきましたが、凪良ゆうさんとは相性が悪いのかもしれないです。確かめるべく、他の作品も読んでみます。

メリバ?

あらかじめ作品タグでメリバだと聞いていたので覚悟して読んだのですが、本編までの読後感はとてもすっきりしたものだったので驚きました。
イツキと龍が出会えて、トシミツのことを共有できたことが人生では稀有で幸福なことだと思えたからかな。

とはいえ、作品はとても面白かったです。刑期中にトシミツが自死を選んだことは自分勝手で社会的に間違っていると思いますが、散々悪いことをしてきた彼らには今更ですね。そういったお話ではないので…。
続編を含めずとも、幸せで希望のあるお話だと思ったので、「ハッピーエンド」としても良かったんじゃないかなと思える話でした。