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"精液くれる?"は2人だけのサイン

セックスの誘い文句で、"精液くれる?"は、初めて聞きました。

そもそも、精液くれてないし、逆に貰ってるし?(笑)
ちゃんとした意味なんか実はそんなに大事じゃないんですよ。セックスしよう、の2人だけのサインが通じ合っていればそれでいいんです。
それにしても毎度の中出しセックスは後始末が大変そうだけど、ゴム無しは夜久のポリシーなのかしら……。事後のあれこれを考えると中出しされた角田のその後に私の方がソワソワしちゃいました。


精液とマグロなんて、普通に生活していたら交わることのないワードですが、この作品ではこの2つが2人の出会いにとって大事なキーワードになってることにご注目です。
元彼に罵られた角田のトラウマこそが、"マグロ"。
あくまでもベッド上でのスタイルであって、ツナの意味のマグロではないのでご理解下さいね(笑)
そして、そんなマグロから角田を救ったのが"精液"。精液の受諾契約によって、マグロのトラウマから救われることになりました。

こうやって書いてみるとなんの話?ってなるのが、この作品の面白いところ。淫魔風に誘う夜久の口説きのセンスが少々ややこしめですが、ウィット感あって楽しいです。
セフレのような関係の2人だけど、水面下ではしっかりと意識し合っている両片想いがやや焦ったく感じます。でも、そんな距離感を穴埋めするかのようにセックスシーンはは非常にエッチーで甘々も甘々。早くくっつけーと何度思ったか分かりません^ ^
元彼にはもうちょいギャフンと言わしめても良かったかもです。あんな対応では生ぬるい……。そして、マグロを軽くディスった罪も併せて、あんな振り方をしたことを死ぬまで後悔するがいい(笑)


気持ちが多少すれ違っちゃってるとは言え、エッチであまあまなベッドシーンが盛りだくさんだったので、糖分供給は十分でした。
大人の不器用な恋をたんまりと堪能した一冊に大満足です♪

ああ…素晴らしきかな、飴色の同居生活

約3年半ぶりの飴色パラドックスの続刊……っっ!!

待ち侘びていた続きが読めるとあってか、こちらのブチ上げなテンションとは裏腹に、いつもな感じでスルッと普通に前巻の続きから始まる温度差よ(笑)どれだけ続刊の間隔が空こうが空くまいが、いつでもどんなタイミングでも2人が普段通りの姿を見せてくれるだけで、飴色のホームに帰ってきたなぁ…としみじみしています。

また飴色パラドックスの世界を楽しめるワクワク感!
またこの2人のイチャイチャワチャワチャにクスッと浸れる懐かしさ!

ケンカップルにしては少々甘めに仕上がりつつある蕪木と尾上の徐々に進む関係性も、ついには同居(同棲)へと突入し、仕事もプライベートも充実しつつある2人に超絶ニンマリの一冊でした。

プライベートの部分を同一にする共有の空間も時間も以前より増え、これまで見えてこなかった新たな一面にドキドキしたりするのが同棲したてカップルの醍醐味ですね。意外とマッスルボディな雄味の強い蕪木や、布団の中から眠そうにいってらっしゃいをする可愛い蕪木のギャップ差が、ウヒョヒョーでした(〃∀〃)
これまで色々あったけど、このステージにまで段階を踏むことができたことがすごく嬉しいです。

そんなあまあまな同居生活からスタートすることになった7巻ですが、蕪木の過去に迫るなど、未だ知り得なかった情報がザクザク出てくることにご注目です。
その流れで、蕪木と編集長との接点も明らかになり、登場人物たちの裏の繋がりが露わになったことに驚きと興奮でいっぱいでした。
もう7巻にもなるのに、蕪木の全貌が見えていなかったことに、そういやそうだったなんて思ったり。家庭環境的にも陰のあるバッグボーンを秘めた男なので、今後も彼の過去エピが顔を覗かせそうです。

そんなこともあり、まだこの2人のお話はまだ続いていくと思われます。
巻を追うごとに彼らの関係が少しずつ進展していくのがこの作品の醍醐味とも言えるでしょう。
読み終わった側から期待に満ちる終わり方も非常に心地よい読後感でした。
今後の2人からもますます目が離せません。既に続刊が楽しみです♪

空の男たちの今と明日を生きる物語

『碧のかたみ』の六郎と恒、『天球儀の海』の資紀と希。
それぞれの作品の後日談であったり、本編のストーリーを補完するような内容になっていたりと、この番外編集において琴平兄弟を取り巻く世界観がより一層強化されたように思います。

この作品の旨味は何といっても、二つの作品の橋渡し的な役割を果たしていることでしょう。
個々別の作品であったときは、恒は六郎と、希は資紀と。各々の出会いを起点とし、惹かれ合うようになり、そして恋人同士へと関係を深めていく経過を追うのがメインでした。それがこの番外編によって、恋人への愛情だけではなく、父子愛や兄弟愛を含めた家族愛、同じ環境下に身を置きながら切磋琢する友人愛、人種の壁を越えて育まれた親愛の情といったことにも触れ、ストーリーに広がりと奥行きが増しました。

番外編ならではのエピソード集だと思いますし、本編にはないフランクさやとりとめのない日常感をこのフィールドでしか味わえないことを思えば、ちょっとしたお得感を感じる一冊でした^ ^
厳しい訓練や過酷な生活の合間にも、こんな風に穏やかに過ごす時間があったんだと。国のために戦う彼らも、愛する人のため、自分のために生きる1人の人間なんだと。
なんて事のないささやかな場面1つ1つから登場人物たちのその人らしさや素の姿が見えた気がして、過酷な一時代を共に過ごした多くの人たちの生命力や息吹をも感じるストーリーになっていると思いました。


歴史の重みも同時に感じながら味わっていくストーリーは、時に戦争の恐ろしさを目の当たりにするシーンも登場します。捕虜にされたばかりの六郎と恒の姿は目を背けたくなるほどの生々しさがありました。
これが彼らの生きる世界であり、時代なんですよね。
こういうリアルに近い情景描写の中で、この作品の重みや深さを理解することが、六郎と恒を……または資紀と希を知ることの礎だと言えるでしょう。

取り扱う時代と内容が重たいせいか、"BL"とジャンル分けするには少々心許ないような気がしました。BLの枠に止まらずとも、一般小説としても遜色のないストーリーだと思います。
BLのような、ブロマンスのような、ヒューマンドラマのような、ドキュメンタリードラマのような、回顧録のような。色んな表情を覗かせる彼らの物語にぜひ浸って下さい。

分かりやすいけど分かりにくい2人の恋の終着点やいかに

受けの島崎の視点をメインに物語が進んでいるというのに、はて?
どういうわけか、攻めの立山の気持ちが痛いほど伝わってくるのは何故だろう。
島崎の秘密の片想いが響くストーリーであると同時に、立山の島崎への執着が垣間見えるシーンの数々に前のめりになりながらドキドキに溺れました。


一見すると、不器用そうに見えるのは島崎だけど、実は立山のほう。
ハプニングに乗じて島崎に触れたのはそっちなのに、島崎に罪悪感を抱かせるとはなかなかの策士だと思いました。
"あの夜のキス、マジだったんだな"って。いやいや、あなたがでしょうよ、と言いたい。
何でキスした?もそう。だから、あなたも何故キスをし返したのかって話なんですがね…
"俺にしとけ"と、カッコいいこと言ってる風だけど、あくまでも選択や答えを島崎に委ねてるのがどうにも締まらない。自分の気持ちはどうなのよ?と。
既成事実のキッカケを作ったのは、元はと言えば立山なのになぁ…と思いつつ、そこを逆手にとって島崎と関係を深めようとする立山の不器用でヘタレなところが相当に拗れてるなと思いました。

そもそも論でいうと。スイーツで島崎の興味を引いたり、繋がりを持ち続けたりしているところから、立山の隠れ執着が見え隠れしていたのを私は見逃していません(笑)ここまで分かりやすい好意を向けてくる攻めも珍しいけど、この分かりやすさはある意味安心材料にもなるので、ノーハラハラで2人の関係を見届けるには最高のロケーションでした。
薄井いろは先生の吐息がかかるような艶めかしい色欲シーンがたくさんあるのは目の癒しではありますが、親友兼ルームメイト以上恋人未満の微妙な関係性の中、2人の交錯する想いだけが置いてけぼりになっていくのが、何とも焦ったい。

決定打がね……なかなかチャンスがこないんですよね。
2人とものらりくらりで、しかもすれ違いまで生まれるわで、親友期間が長いことの弊害が出ちゃっててもどかしくて仕方ありません。性欲でごまかすやり方はあまり良くないけど、こうまでして隠すことに良い未来が生まれるとも思えない。

甘いような、切ないような……不器用で臆病な2人の恋模様に注目しながら最後まで見届けて下さい。
親友だからこそ足踏みしてしまう繊細な心と心のやりとりにもぜひ。

非日常の中に見えるいつもの日常感にドキリ

情事のあとの能美先輩の佇まいにドキリとしました。

温泉来て、浴衣着て、甘く激しいセックスを堪能して迎えた朝。ここは2人してお布団の中で目覚めて、起き抜けボンヤリとしながら甘い雰囲気の中もう一戦というのが温泉旅行の定番エンディングだと思うんです。
しかし、この2人の温泉旅行の朝はちょっと違う。

たくさん愛し合ったであろう(上限3回)瑛人が目覚めると、能美は既に起きていて、窓際にある椅子に座って"おはよう"と声をかけます。
その手には本があって、瑛人が起きるまで読書をして待っていたのでしょう。非日常の朝の中に存在するいつもの能美の日常感に思わず惹きつけられました。

あんなに瑛人を求めて乱れていたのに、朝になると情事の名残も余韻も見せない能美の隙のない朝の出迎えは、美しく、凛としていて、それでいて神々しく映りました。
旅行にきてるのに本を持参してるんかいというツッコミはさておき、能美のチャラい雰囲気からの、朝のリセット感とのギャップはずるい〜(笑)朝、意外と強いんだね、起き抜けに本読めるんだね、と彼の朝の強さに尊敬です。

やっぱ能美って品があるのよね。
あんなにチャラチャラしてても、隠しきれない育ちの良さが滲み出てる。それが能美の魅力であり、愛されるキャラに繋がってるんだと思います。

温泉も宿もグルメもセックスも。たっぷり2人だけの時間を堪能するカップル2人に癒されまくった番外編でした。

業界のリアルとBLを絡めたパーフェクトな完成度は、もはや感動の域

キャラ文庫さんの現代お仕事ものは、作家さん自身がこの業界に実際に身を置いていたんじゃないかってくらいリアルなものが多いです。
本作もその例外にあらずで、リアルかつ緻密。不動産業界にフューチャーしており、不動産売買の裏舞台をベースに繰り広げていくBLがめちゃくちゃ面白かったです。面白いを通り越して感動というか……私にとって素敵な出会いとなった一冊になりました。


心が読めるという設定始まりだったので、ファンタジー寄りかなと最初は思ってましたが全然。ほぼ日常現代ものといっても差し支えないですし、なによりリアルな不動産業界の光と陰の部分へのアプローチがとんでもなくハマる!話題の地面師トラブルにも触れていて、営業マンとして売り上げを競い合うバチバチ感も面白いです。
何千万、何億という取引と契約が発生する業界に関して、私は勝手に派手な仕事だと思ってましたが、実は地道な下地作りによって成立する繊細な仕事でもあるんですよね。
不動産物件を相手にするとはいえ、それを売り買いするのは人。まさに人を見る、人を知ることが売り上げに直結する業界ということを考えれば、やりがいは大きそうだけど相当に大変そうで、営業マンへの見る目が変わりました(笑)

あくまでもフィクションなので、不動産業界事情に対する真偽は一旦置いとくとして、リアルとエンタメが入り混じるストーリーに終始興奮でした。作者さんの分かりやすくて読みやすい文章力も相まってか、専門用語が飛び出してもなんのそのでした。
そこにBLが乗っかってくるわけでしょ?面白くないわけがない(≧∀≦)

この作品のすごいところは、お仕事パートとBLパートがどちらも同じだけのレベルで構築されていることです。
どちらも面白くてしかもトータルバランス力としてのまとまり方も完璧。全方位で楽しめる神作品でした。
恋愛面では受けの安達が人間不信ってる不器用系のキャラクターではあるのですが、そんな安達に対してブレない一途な好意を向けてくる同僚兼ライバルの久慈が温かく受け止めてくれるのがサイッコウです。

この久慈って男は、キラキラ安達もドンヨリ安達もまるっと全てを受け止めてくれるスーパーナイスガイ。シゴデキだし、安達の仕事のフォロー力も素晴らしいです。
読心術の能力が失われた安達の不安や戸惑いに親身になって寄り添ってくれる優しい男の姿に、ハートを奪われてしまった読者は多いのでは?私はバッチリ盗まれましたが(笑)
溺愛だし、独占欲むきだしだし、好きってちゃんと言ってくれるしで、この男のイケメン度は衰え知らずです。かゆいところに手が届きまくる久慈のイケメンぶりを見るだけでもこの作品を読む価値は大いにあると思います^ ^

安達が丁度よく不器用に振る舞ってくれるというのもあってか、久慈の良い男ぶりが際立ったというのもあるかもです。
安達は安達で仕事に誠実で一生懸命なところが好感度大でした。最初はツンツンしていて生け好かん感じもしたけど、久慈に心を預けるようになってからの安達はトゲがなくなって応援したくなるイケメンに変身。
2人が同僚として切磋琢磨するバディ感もよく、恋愛も相乗効果的に甘みを出していくBLの進みにドキドキでいっぱいでした!


読み終わった読後感はハンパなくよろしかったです。
たくさんの人におすすめしたい素敵作品です♪

異能を持つ皇帝の孤独や苦悩は、あの有名作品に通じるものがある

この作品を読んだとき、ディズニー映画の「アナと雪の女王」のお話みたいだなと思いました。
パクリとかそんなんではなくてですね、異能持ちの為政者としての孤独や苦悩といった背景描写がすごく通じるものがあるなぁと思ってついつい読み入ってしまいました。
最後の最後までめちゃくちゃ面白かったー!ファンタジーの良いダシを存分に味わえて旨味だらけの素敵作品でした。
不遇の生い立ちとワケアリの境遇を持つ2人の運命力の強さが、絶妙なドラマチック展開を生み、またロマンチックに惹かれあっていくストーリーが素晴らしかったです( ´∀`)


雷帝と称されるゼイランは類稀なる雷の特異体質で、あまりにもそのパワーが強すぎて実の母の命を奪ってしまったという過去の持ち主。そのせいで誰の温もりも知らないまま、皆から恐れられるという人生をこれまで送ってきました。
氷の女王の方とは生い立ち的に異なるけど、自分の能力に対して苦しみながら生きてきた境遇は2人よく似ています。危害を加えてしまうほどの強大なエネルギーをその身に宿した両者の主人公像とその苦悩がリンクして見えました。

だからと言うわけじゃないですが、ゼイランの生きづらさや、周りと距離を置かなければならない孤独感の描写がすんなりと入ってきました。
二作品の共通項の多さは、物語へと導かれる関心に繋がりましたし、似てるなと思えば今度は逆に違う点が非常に気になってしまうもの。この作品独自のオリジナリティあるストーリー展開と、アシェルとのBLへと進む流れは唯一無二でした。
ゼイランの雷の刺激を受けないアシェルとの出会いは、偶然かそれとも必然か…といった感じ。もちろん奇跡の出会いなのは間違いないのですが、彼らの重苦しい過去の背景を顧みれば、色々と越えなきゃいけないハードルが多々あり、すんなりと上手くいかない状況が過酷すぎました。
2人は何も悪いことしてないのに、出自や血筋に翻弄されていく八方塞がりな状態が非常に苦々しい。。。

国家謀反を企てた身内悪役との対峙シーンなんかも含め、ストーリーの盛り上がり方が完璧で、ページをめくる手が止まりませんでした。
事件・シリアス展開ももちろん面白いですが、やはりBL展開が1番の気になりどころでしよう。
好きにならないと思っていたアシェルのことを日に日に好きになっていくゼイランの分かりやすい嫉妬や甘えや溺愛といったら、カ…カ…カーーーッ(〃∀〃)
ゼイランの剥き出し感情が最高すぎました。

最後の1ページ…史実っぽい語り方のアクセントも良かったです。
彼らが誠実に生きた過去を客観視できる歴史の重みに、読後の心地よさと満足感をしっかりと感じとることができました^ ^

自分が自分らしく生きることの勇気とエールを貰えました

読み終わって気付く、興味深いタイトルの付け方。
この作品は受けの光毅視点で進むストーリーなのに、タイトルは攻めの稲見視点になっています。作中では稲見に視点が当たっていなかったぶん、せめてタイトルだけでもって感じでしょうか(笑)
とはいっても、"隠してるつもりの、かわいいひと"の1フレーズだけでも、光毅に対するささやかな客観的視点になっており、稲見の温かい見守りが心地よく感じられる愛に満ちた素敵なタイトルだなと思いました。

そんなタイトルから想起できるように、光毅の秘密を稲見が好意的に見守る関係性が素敵です。
秘密というのは隠し事であり、即ち嘘のこと。光毅的には女装姿で稲見に近づいていることに後ろめたさを感じているんですよね。
過去のトラウマから、かわいいもの好きをカモフラージュするために女装をするようになった光毅は、普段はイケメン社長の顔を持っていますが、その裏の顔は美人モデルとしての顔を持っています。

面白いのは、女装姿の"ミツキ"が自分の会社のブランドの専属モデルになってしまったこと。社長とモデルが同一人物とはそんなバカなって感じですが、一応それが成立しちゃってることで巻き起こっていく展開から目が離せません。
恋に仕事に、身の回りの環境の変化にと光毅の周辺が慌ただしくなっていくのが楽しいストーリーです。好きな人を騙してる罪悪感の切なさも滲みますが、稲見が光毅をまるっと受け止めてくれる器のデカさや包容力がめちゃくちゃイイ!年下なのにカッコよくて大人な稲見が素敵でした。


カメラマンとモデルとして親密になった関係から、素の姿を曝け出していく"ミツキ"の解放された姿が微笑ましく映りました。
仕事の方向性だったり生き様だったりと、深いところまでアプローチしていくストーリーはキメ細やかな描写がグッときます。特にアパレル業界のアレコレは詳しすぎてお仕事BLとしての見応えも抜群。背景描写への拘り方はさすが切江先生だなと思いました。 

稲見と光毅が次第に想いを寄せ合っていく姿が素敵だなと思いましたが、やっぱね……誰にも女装がバレないというのがちょっと無理あるなというのが私の頭の中で引っかかっていて、リアルな描写とは別に非リアルを感じてしまったのがちょっと残念でした。アパレル業界の人間なら見抜きそうですけどね、化粧を施しているとはいえ顔も体格も一緒ですし。
匂わせ投稿をちょいちょいしてるところからしても、フツーにバレ案件。みんな鈍感すぎない?っていうツッコミを何度したか分かりませんでした。

細かいところに目を瞑ればおおよそ満足です。でもやはり稲見視点のストーリーもあった方が良かったなと思いました。

どうしようもなさを感じるには感じたけど

手のひらで転がされているように感じた物語の導入が、後半に差し掛かるタイミングでまさかそんな裏事情が隠されていたとは。物語の変化をつける技の上手さや、引きつけ方はさすがの作者さんです。

好きの想いをとことん引きずってしまう愚直な瀬戸のキャラクター性が面白く、天然なんだかちょっと変人入ってるところが物語の良いスパイスになってます。
自分の想いを急に熱く語りだすあの感じはイイですね。瀬田の相談や決意をいきなり聞かされた上司も探偵さんも反応に困っただろうな(笑)
見た目はパリッとスーツを着こなしているだけに、瀬田の素顔が面白かったです。


うだつの上がらない園山とのBLは、ぼやっとしながらも一応の終わりを迎えた感じ。
あんまり締まらないエンドの感じがこの2人っぽさがあって良いのかなと思うけど、クッキリハッキリとした終わり方を期待していた私としては少々心残り感…。続きがあるのなら納得も多少できますが、そんな風ではなさそうだし、うーん…でした。
"どうしようもない"2人がコンセプトとすればこの緩さがベストっていうことなのかしら。暗めの雰囲気とか過去を引きずってる執着心の重さなんかは結構好きな世界観なんですけど、ちょっと期待し過ぎちゃったかも知れない。

この先の2人を見てみたいなと思ったので、少々物足りない読後感でした。
恋人なのか、想いが成就したのか分らない曖昧な関係性を評価してしまうと、私の中では中立でした。

狙いにきてるタイトルに煽られてしまうワクワク感

狙いにきてる「腐」付き合のタイトルに思わずクスッとなってしまう^ ^
スピンオフ作品だけど、オリジナルの方は未読です。オリジナルカプは本作に多少なりとも登場しますが、それでも内容的には全然理解出来るので、未読でも気負わずにフレッシュな気持ちで臨めるのは有り難かったです。

「腐揃い」のワードでBLのラブコメの匂いを感じ取ることができる、遊び心あるワードチョイスに読む前から妙なワクワク感に襲われました(笑)
表紙的にもだいぶエロいし、試し読みの数ページでもだいぶこの作品の世界観が表出してるのがいいですね。それに、高城リョウ先生が得意とするケンカップル2人のワチャワチャシーンと、スパダリ攻めに言いくるめられてしまうチョロ受けの絆されっぷりも安定感があってこちらもすこぶる良かったです。

弓道部の2人がエロいご褒美(罰ともいう 笑)を掛けて勝負し合うことから始まるストーリーで、どんな展開になるのかは勘のいいBL好きさんならご存知の通りでしょう。攻めの大神に敗北を喫して、なし崩し的にキス→自分からキス→乳首攻めなどなど……身体から甘やかされていく2人のラブバトルはお約束展開だけど、それが分かっていても面白いです。
攻め側からの圧倒的執着があってこその恋愛模様は、甘いような切ないような…。この物語は扇の気持ち次第なところもあり、自分の中にある大神への想いを自覚しつつ自分の気持ちに向き合っていくといったストーリー展開から目が離せません。
意地っ張りな強気美人は少々手がかかるけど、チョロくて素直なぶん攻略しがいがあるってもの。高城リョウ先生の描くオレサマ攻めキャラは、そこんとこ分かってて楽しくオトしてくれるから読む手が止まんないです♪


エッチなシーンも多く、また。2人の複雑な心理描写が入り混じる恋愛シーンも読み応えがあって良かったです。
恋愛の駆け引きとか、アッチの方の手練れ感からしても大神が妙に慣れまくっていて高校生に見えないアダルティな感じが地味にツボでした^ ^

チョイ役で出ていたオリジナルの2人のお話も読んでみようと思います。