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名作ファンタジーの続篇

最後の1行まで美しく冴えた文章、胸が締め付けられるような切なさ…全てが沙野先生でした!

チェンジリングシリーズ
1作目「ゼイン×ルカ」
2作目「アンリ×オルト」

チェンジリング3黄泉篇は三部作になるとの事で1冊目が今作のルシスと黄泉の王子ロキ

1作目の妖精の取り替え子ルカの替わりに妖精界に連れ去られた白金の髪のルシス
連なる繭玉に住み、蕾から産まれる翅の生えた妖精たち
物心ついた時にはこの世界では異物で孤独だった「僕の場所は、ここじゃない」

6才の妖精の夜 繭の中に飛び込んできた青い小鳥は、 青い炎のような髪と眸をした男だった。
「お前は死にたいのか?人間が黄泉の国に行くのが、『死』だ」

見た目20代後半のロキと6才のルシス
毎年 妖精の夜にルシスを訪れる美しく怖いロキに『もう死んでもいいですか』と尋ねるルシス
『いや、まだ熟し足りない』と言いながらも約束のキスを残す
ルシスは妖精界で無菌状態なのでキスの意味も理解できず、茎が硬くなる病気に罹ったことを半泣きで相談したときは楽になる方法を教えてくれた
6才から着々と育て上げてるロキは中々手が早い!!


14才の妖精の夜
妖精界に現れたルカとゼインを陰から見つめるルシス
人間界の自分の場所を奪いゼインを手に入れるルカに対する羨ましさと惨めさでルシスは思わずロキに身を委ねようとする

この巻だけでも十分楽しめますが前2巻を読んでからを強くオススメします!
妖精の夜のシーンやオルト父の最期のシーン、2巻で不穏な動きをしていたあのキャラも…裏側が知れて何倍も楽しめます。
全てが繋がり人間界、妖精界、黄泉界と大きく物語が動き出しました。
ルシスの物語はこの後も続きますが、はっきり言ってすでに最高潮の盛り上がり!
不器用で嫉妬深いロキと運命の輪を回し自ら幸せを掴み取ろうとしたルシス
チェンジリングの世界観の素晴らしさを改めて感じました。とにかく面白い!

今作は商業ではなく沙野先生が個人出版された続篇です。美しい表紙も全て先生の手によるもの。高いクオリティとこだわりに本の隅々まで美学を感じます。
書きたいものを書いていただきたい。
読者にとってはたまらない喜びです。

次はゼインとルカの話が来年発売の予定とのことです。楽しみにしています。

至上の繋がり

予想のはるか上を行く面白さでした!!
沙野先生には毎回驚かされます。
最後まで気が抜けない、予定調和は一切ありません!
何となくお互い惹かれ合うなんて事にはならないのでご安心を。

兄弟の定理で掴みどころの無い「観察者」として結果的にはキューピットとなった式見槐
この式見がどのような恋愛をするのか…

沙野先生にしか書けない魂×魂がぶつかり合う命を削る様な恋愛でした。
弦宇の絶望、式見の空っぽの宝箱
強烈な個性を持つ2人が出会い 互いの全てを暴き合う。
その果てにあったのは、まさに至上の繋がりでした。

天使とは?笠井先生の表紙が素晴らしいです!!読後にぜひじっくり見て下さい!


深夜の高架下でチェロを弾く男
ドヴォルザークのユモレスクの一節だけを何度も繰り返し演奏する。
映画のW主演の相手役として出会う貞野弦宇。
過去に囚われて自分の中だけで完結した水底のような世界に生きている弦宇。

式見は幼少の頃から「幼さ」を観察して どのような子供であれば周囲に認められるか…常に高みから人を観察し分析して生きてきたクセ者。

映画の撮影が進むにつれ演じているのか素の自分なのか お互いの感情に引きずられて追い込まれてしまう。
観察し分析する式見と憎しみをぶつけるような弦宇

この2人以外の登場人物も拗らせ病んでてどこに着地するのか最後まで全く予想できませんでした。

最後のシーン ぜひユモレスクを聴きながら読むのをオススメします。
ストーリーと曲がこれ程マッチして そこにいるかのような臨場感で感動しました。
これまでの暗いトンネルを抜け心揺さぶられるシーンでした。

式見のマネージャーとして大活躍だった彼のスピンオフが決まったとの事。
なかなか興味深い過去を持っていて楽しみです。

流行に流されず書きたい物を書く
これがなかなか今は難しい状況ですが、この本はきっちり書き切ってくれています。
読んでいて嬉しくなりました。

最高の熱い男達!

沙野風結子先生と小山田あみ先生
最強のお二人による 夜が似合う男前同士
読む前から期待しかありません。

「疵物の戀」「チェンジリング」と今年後半連続で発売された沙野先生の本。
それぞれ趣きが違いながらも どれも最上のエンターテインメントでした。

この本はBL小説を読む皆さんが 一番飢えてた本じゃないでしょうか?
ともすれば攻めよりも向こう見ずな正義感溢れる鹿倉
男前×男前のこれ以上ない 熱い本です。

「好き」も「会いたい」もなし
会うのは夜、川沿いのマンション
2人だけの暗号のようなやり取り
甘さはないが濃厚な時間

痺れます!
立場が違い本来交わる事のない2人が ある目的の為に共闘する。
恋人とは呼べない関係ですが 思う気持ちは強く繋がりを深めていく。
バディのように張り合いながらもお互いを守りたい。

とにかく こんな本に飢えてました。ずっと読みたかった。 息切れしそうな熱い本でした。

来年に続く!! 楽しみです。

美味しいとこ取り!最高に楽しい

谷崎先生の100冊目にあたる記念本で四六版の長編です!

帯に「くせ者揃いのスラップスティックBL」とあるように登場人物が皆ひと癖も二癖もありとても魅力的です。

警視庁捜査一課の主任胡桃 身なりに無頓着な無精髭の残念な長身イケメン
無愛想で強面で仕事熱心なキレ者だけど
私生活に構う時間もない35才


物語は殺人事件の捜査
父の死による家族問題
そしてひょんなことから拾った自殺志願のヴァンパイア

この3つを軸に 胡桃が行ったり来たり。刑事の仕事ってこんなに忙しいのかとびっくりするくらい。

胡桃の部下は
仕事は出来るがオタク美少年好きな玉置
女好きのルーズな笹井
体育会系巨体の碓氷

なかなかくせ者の部下3人と、のらりくらりとつかみ所のない上司である南野

谷崎先生なので 捜査に絡む臨場感溢れる描写は見事です!本庁→現場→所轄と目まぐるしく移動しながら 核心に迫っていくくだりは読み応えたっぷり。
2つの殺人事件が繋がっていくところも地道な捜査と分析など部下3人もなかなか優秀で 面白いんですよね。谷崎先生の警察モノは ずっと読んでいたい飽きさせない文章力は流石です。

そこにチョイちょい登場するのが甥の美少年 朝生。父の葬儀で久しぶりに帰った実家で初めて会った義理の姉の息子。胡桃の父が愛人に産ませた義姉とのあいだには かなりの深いわだかまりがあり、甥とも関わるつもりもなく 事件の呼び出しで急遽もどる事に。
しかし何故か朝生に懐かれてしまい こっそり車に同乗し一緒に東京に帰るハメに。
その途中 道路に横たわるカミルをあわや轢きそうになり成り行きで3人で同居することに。

突然押しかけてきた甥の美少年 朝生に振り回され 白皙の美青年ヴァンパイア カミルに襲われとかなりのドタバタです。


ヴァンパイアのカミル 由緒あるヴァンパイア一族の生き残り。執事のベネディクトと眠りについたものの目覚めると一人に。ベネディクト探しを胡桃に依頼。
このカミルが世間知らずのお坊ちゃまで可愛いです!貞操観念はアレなので能力使って胡桃を襲っちゃうんですが 何とも憎めないキャラ。

口が悪くて強面なのに面倒見がいい胡桃に周りは頼ったり慕ったり責任押し付けたりとやりたい放題です。

スラップスティックコメディってチャップリンとかのドタバタ喜劇のことなんですね(見た事はないんですが…)
コントみたいな こうなると困るなと思うことが次々に起こり胡桃はドタバタ走りまわり振り回されっぱなしです。

なんでヴァンパイア!?(笑)と思うんですが まあ胡桃もそれを受け入れてて親身になって絆されちゃうんですよね。紆余曲折あって胡桃の元に戻ってきたカミルが可愛くて仕方がないのが微笑ましいです。

yoco先生の挿絵が斬新で素敵です!6つの章の始めに6人が同じ椅子に1人で座っている構図なんですが表情や座り方等 キャラの特性がとてもよく分かり面白いです。

長編ですが飽きさせない展開で一気読み。読後の感想は楽しかったーの一言です!

最後に胡桃の上司の南野と暴力団組長鷲沢の関係と南野の意外な1面がチラリと。
これが「その愛に終わりはあるのか」に繋がるので こちらも楽しめます!胡桃もかなり登場するので順番に読むのがオススメです!

愛と執着 獰猛犬です!

今年読んだ本の中でも 一二を争う傑作です。
一気読み まだ余韻でクラクラしてます。

お久しぶりの夏乃先生ですが 熱量が凄い。
長年に渡る因縁 執着 依存で
普通の関係 恋愛には辿り着けず
互いの感情が愛なのか憎しみなのか
壊れるまで追い込みあう壮絶な2人。


後継者として 父からは厳しく育てられ
母は甘え上手な弟にかかりきり
学校でもヒエラルキーに縛られ気を抜けず 抑圧されている一稀が手に入れた自分だけの「犬」猛。

不幸な生い立ちの猛にとって 一稀が与えてくれるものが全て。盲目的に一稀に傾倒していきます。

一方 一稀も猛を 思春期独特の気まぐれで
弄んだり 甘やかしてみたりと 素の自分をさらけ出せる相手として 自分だけに従順な犬として育てていきます。
何も知らない猛に自慰を教えたり
ハーネスをつけて散歩に連れ出したり
仕込んでますw

成長するにつれ 猛の一稀に対する依存は
度を越した執着となり
可愛い従順な犬は発情期を迎え獰猛な雄犬へ。
飼い主である一稀への欲情を抑えられなくなります。

その後 離ればなれになった2人が10年後に再会。

人生全てをかけて一稀を手に入れる為に生きてきた
猛の執着は凄まじく 憎しみとも思える方法で
一稀を囲い込んでいきます。

手段を選ばない執着犬が とても好きです!
もう愛しているのか憎しみなのか
共依存で壊れていく様が ゾクゾクして
読むのが止まらないです。

一稀が暴走する猛を止めきれず こんなふうに育てたのは自分の責任でもあると。
どんな犬でも捨てる事は出来ないし、許す理由を探している 「次はないぞ」って。

最後の2人は幸せそうです。

久しぶりに読後の余韻が震えるような本に会えた!
感動です。