恋愛未満の関係に終わった本作ですが、深い心の繋がりを感じられるシーンが多く個人的にはとっても満足感の高い作品でした。
清良やマチアプおじさん、岡田やポニテ女子社員などのサブキャラクターからもいい味が出ていて素晴らしかった、、!
間違えたり傷ついたりしながらも最後にはそれぞれが自分なりの着地点を見つけられたようで、読後はとても清々しい気持ちになりました。
blanc、homeと丁寧に描かれてきた佐条親子の関係にも前向きな進展があるので、「同級生」シリーズを追いかけている方には絶対に読んで欲しい作品です。
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アウティングの一件は会社の人たちの無神経な反応が苦しくてしんどくて、、。
岡田との確執が完全になくなっていないようなの
が気になりつつも、まあ簡単に考え方が変わることの方が珍しいし、人と人との関わりってこんな感じだよな、と。岡田も佐条父やポニテ女子社員みたいに、何かのきっかけで少しでも考え方が柔らかくなったらいいなと思います。
チクチクした発言ばかりしていた夏目がポニテ女子社員やマチアプおじさんに謝れるくらい柔らかい性格になったのは、佐条父に出会えたから。佐条父が利人に祝福の気持ちを伝えられたのは、夏目に出会えたから。
救って救われて、次第に繋がりが深まる様子に心が温まる思いでした。
一番心に刺さったのは、夏目が佐条母にお線香をあげるシーン。
佐条父を、そして佐条父が愛した佐条母を大切に思ってくれていることが伝わってきて、思わず涙がほろり。夏目の優しく愛おしげな表情も、それを聞いた佐条父の様子も、全部ぜんぶめちゃくちゃに良かった、、。
それにしても、つくづく佐条親子って似ているなと思います。愛情深いところとそれを覆い隠すくらいの不器用さ、頑固さがそっくりで、やっぱり親子だなとしみじみ。
ぶつかり合いながらも利人の結婚を機に少しずつ分かり合おうとしていた二人ですが、本作でようやくひと段落ついた感じがします。
佐条父と夏目が今後どうなっていくのかは分からないけれど、お互いがお互いを大切に思い、深い愛情を抱いていることには間違いないと思います。どんな形にせよ、佐条父も夏目も、そして利人も光も幸せでいてほしいなと思います。
上司と部下の間の愛、恋愛、家族愛。色々な形の愛に溢れた作品で、すごーく幸せな気持ちになりました。
中村明日美子先生、今回も素晴らしい作品をありがとうございました。心からの感謝~~!