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……伊瀬君、今日は優しいね……
この作品、最初、避けてたんです。
私自身がおばさんなもので、中高年をずいぶん老けてるように描写されてるらしいということで、読んだらイヤな気分になるかも~と。
結果、大丈夫でした。イイトシをした皆さん、安心してください(数はすくないだろうが…)。
こんな枯れきって老けた48歳がいるわけないだろーと思えるので、かえって48歳って設定って記号かな、とか。そのくらいに割り切って思えました。(だって「モダン」ってことば、中年のボキャブラリーじゃないもの。70歳過ぎたウチの母がようやく使うかな、くらいだもの。「女学生」なんて、実際に使用されてる場面を見たこともないよ)。
草間さんの挿絵も髪が白抜きなのが、総白髪に見えてくる~。四十路どころかギリギリ定年間近か、もっと行ってる印象です(私学は定年、あるのかないのか、しりませんが)。(どっちみち、作者の意図はわからないですが…。)
さて。凄く頭がよくって、けどイチイチ辛辣な言葉を吐く、眼鏡の大学生、伊勢(攻め)は、枯れすぎで内気すぎなオドオドしたおっさんの教授、春井(48歳、受け)を一途に恋していて。でも伊勢の態度はキツくって。春井は伊勢の恋心に気づくはずもなく、すっかりビクビクしちゃってる、という関係です。
ある日、春井がふと除いた、伊勢のパソコン。そこに打たれていた恋文『(前略)好きです、させてください』をあんまりだ、とつい春井は伊勢にゆっちゃって、添削をはじめることから二人の仲が進展…ってあんま進展しないんですが…。とにかく意識しはじめる---。
春井が伊勢はほかの女性が好きなんじゃないかと誤解するなんていう筋はありがちなのだけど…積み重ねられる細かいエピソードが「どこかで読んだ感」がしない。これは貴重とおもいました。よく考えられていると思うし、よく調べてあるとも思いました。
こと、海の白波をうさぎに例えるシーンは目に浮かびました。オッサン、かわいい…。
そして、ファーストコンタクトで伊勢が春井に惚れた場面、ここだけ伊勢の視点になってるのですが、説得力あり、いきなり別視点なのになぜか違和感がなかったです。情感が溢れて…。うまく表現できませんが、素敵に思いました。
構成も、すごく早くに伏線があったり。…そういう工夫が説得力につながるのかな、と。素人ながらあとで気がつき、すごいなーと思いました。
「萌え」に関しては。わたしは年下攻めが好きだけど、正直、しなびた肉体が絡んでる情景を想像したいわけではなく。欲しいのは純愛…なのかなあ?その辺をみたしてくれたっていうか。甘甘ではないんだけど。…もう少し甘くなっても良かったかな…。
オッサン春井のオドオドっぷり、イラっとする人もいるかもですが、わたしは好き。可笑しみを感じて笑いを誘われたので。
ほのぼのした笑いと繊細なエピソード、印象がブレないキャラクター、わたしの好みです。好みですから、凄く分かれるところだとは思います。
オッサン受もしくは超しっかり者の年下攻が好きなら間違いなく読んで損はないと思います。
春井先生は枯れたような青くさいような48歳なのか18歳なのかよくわからなくなるようなフニャフニャな小動物で、オッサン受けでも40後半は…とたじろぐ読者でもすんなり入れる間口の広い可愛さ。
対して伊瀬君は卒業直前までエロい!辛辣で、ストイックなのかピュアなのか両方なのかわからない言動が萌心に猛烈に刺さる!
確証のないままただ相手に触れるだけの場面が密やかにエロス溢れて濡れ場よりエロく、これもう告白し合ってエンドでもいいかなーと思えば一転、事件が起こって憔悴しきった先生を幸せにできるのは伊瀬君の腕の中だけ…!早くくっついて!(そしてベッドインして!)と思わされてしまう。
年の差、年上受けのエッセンスが余すことなく盛り込まれ、ひやひやし、ちょっと笑い、ほのぼのし、悪人がいない作品。
オッサン受好きでも48は…とお思いの方に全力でお勧めしたい一冊。
多少 情緒面がずれているものの、言葉というものを感覚的に捉える力は優れている伊瀬君(もちろん頭脳も容姿も抜群)。
そんな彼が書いた奇抜な恋文がきっかけで物語はすすんで行きます。
伊瀬君が側にいると、春井先生は うっかり見とれていたり、うろたえて口をパクパクさせるだけだったり。
彼に論文を褒められれば、これは本物の伊瀬君ではなく妖怪なんじゃないの?と疑ったり、とにかく大変なのです。
神社で雨宿りをする事になった二人(先生が合宿先の裏山で遭難したせい)。
レビューを読み、恋文の相手が春井先生と知っていた私は、二人のやり取り(特に伊瀬君の言葉)が可愛らしくも、とても切なく涙が止まりませんでした。
成績優秀すぎる彼は 他の研究室からの誘いも多く、その方が伊瀬君の思う通りの研究ができるのでは との思いから、春井先生は 一番知名度もあり 研究内容も充実している所へ行った方が いいかもしれない…と、彼に告げてしまいます。そのシーンでの
「・・そんなに僕を、この研究室から出したいですか」
「――この場所で、僕は必要とされてないんですね」
「なんにせよ、貴方は僕を引き止めない」
淡々と言葉を継ぐ伊瀬君。
なかなか通じ合わない二人の心がもどかしい。
足繁く春井先生の研究室を訪れていた伊瀬君が顔を出さなくなり、彼に荷物を半分持ってもらいながら、叱責に似た助言を与えられながら何度 彼と研究室に至る長い廊下を一緒に歩いたかわからないと、思い返してみる先生。
物語は春井先生視点で語られていくので、どうしようもないくらい伊瀬君に惹かれているのに、だからこそ彼にだけは こんな報われない想いを抱えていることを知られたくない、伊瀬君に何もしてあげないことが、唯一自分にできることなのかもしれないと、先生が少しずつ彼と距離を置く様に、胸を締めつけられっぱなしでした。
二人が どういう結末を迎えるかは、是非 本編を読んで確かめて欲しいです。
先生の年齢が四十代と言う事を、実は知らずに読み始めたのですが、それを気にする間も与えない海野さんの文章は、やはり凄いなぁ 好きだなぁ。
評価は、萌×2にしようか迷いましたが、伊瀬君の心意気(本編ラストに語られる)に感動したのと、草間さんの描くメガネ男子の口絵が好き過ぎるので、神評価です!!
大学生×教授であっても、30代の見目麗しい教授じゃありません!物語のスタート時点では大学3年生×48歳さえない教授です。オヤジ否定派をすっぱり排除する思い切った設定に、冒頭部分ですでに拍手喝采でした。
丸ごと1冊表題作です。春井の目線で進みます。
春井(受け)教授は、優秀な大学生・伊瀬(攻め)に何かと叱られてばかり。そんなある日、伊瀬のパソコンに「好きです」の文字があり…。
理系男子の数学用語ラブレターに笑いました。バラの花という意外な情緒の後に呪いの手紙とか、緩急が面白かったです。春井が徐々に惹かれていく過程が自然で受け入れやすかったです。
さえないオヤジが格好良く変身することもなく、自覚はなかったけど周囲から見たら色っぽいというわけでもない。そのままのオヤジに一目惚れして6年がかりで人生設計を立てた伊勢は賞賛に値する男です!その惹かれたツボは理系男子じゃないと分からないかもしれませんけど(笑)
「四十を過ぎた」という風な描写が多々登場するのですが、実際は「五十近い」だろ、と心中でつっこみを入れて読んでいました。年齢で引いてしまうオトメを考慮なんでしょうか。春井の性格からしては年齢に抵抗しなさそうですし。そこがちょっと思い切り悪い気がして残念でした。
メガネ萌えでなくても萌えさせられてしまう、メガネ伝道師の草間さかえさんのメガネ×メガネのイラストも良いです。表紙、地味なオヤジだからバラでも飛ばしたのかと思えば、ちゃんと理由があったのにぐっと来ました!表紙めくってすぐのカラー挿し絵、男前ぶりに感嘆です。竹中先生のイラストも見たかったです!
さえない外見、でも中身はとろくて可愛いオヤジが、優秀で男前な大学生に落とされてしまう話です。コミカルで楽しい作品です。メガネが作品の小道具としてしっかりと使われていますので、メガネ萌えの方は必読です!私は、今まで読んだこの作者様の作品では一番好きな本です。
大学の研究室、年齢差、恋文、美しく頭脳明晰な学生、薔薇の花
これだけの素材が集まっているから、読む前は純文学的なやつを想像していましたww
冴えないおっさんが受なのは知っていましたが、思わず何度もツッコミを入れちまいましたよ。ストーリーに対してではなく春井にね。
「おっさん、とりあえず落ち着け」とか
「おっさん、失恋で泣き崩れるって・・・乙女か!」とか
「おっさん、急に走ったら心臓止まるで!」とか。
でも、そんな春井が可愛らしく思えてしまうんですよ。
対する伊瀬は、容姿端麗で冷静沈着、おまけにさりげない優しさをみせるイケメンっぷり。ただ、やっぱりちょっとズレてる。冴えないおっさんに憧れるまではともかく、ガッツリ欲情するとは…。
両親や周りへのカミングアウト、相手がそう遠くない未来に先に老いてしまうということ、同性だから子供も作れず自分が介護するしかないということ、同じお墓に入れるかどうかもわからないこと。
頭の良い伊瀬が、これから先のことを考えられないわけじゃなかっただろうに、それでも春井じゃなきゃだめだったんだろうなぁ。一途ですね〜。
伊瀬が書き上げた恋文に泣いてしまいました。
1日でも長く彼らの幸せが続くよう願ってやみません。