普段BL漫画はあまり読まないのですが、この作品は面白すぎて全巻一気買いしました。
「北山さんのえっちな顔が見たい」という南谷くんの不純すぎる目的から2人のお付き合いが始まりますが、ちゃんと段階を踏んで相思相愛の恋人同士になっていく2人の初々しい姿が丁寧に描かれていて素晴らしかったです。
受けの南谷くんは他人のえっちな顔を妄想するのが趣味で「恋人同士になれば北山さんのえっちな顔が見れるかも!」という下心から交際を申し込むので、一見すると性に奔放な子なのかと思われがちですが、彼自身は「性的なことへの興味関心が先走ってしまってまだ恋愛感情を知らない」という純粋な子なので、北山さんに対しても遊びとか弄ぶつもりは全くなく、純粋な好奇心だけで行動しているのが面白くもあり、かえってタチが悪くもあります(笑)。
行動動機は不純なのに、常に前向きで明るく、決して諦めない行動力の塊のような南谷くんの姿は見ていて元気が出ます。
そんな彼にターゲットにされてしまった北山さんは、優しく誠実で理性的な爽やかイケメン。北山さんは北山さんであまりにも自分のことを見てくる南谷くんに対し「自分のことが好きなのかも?」という勘違いをしてしまった上に、彼の方が本気で南谷くんのことを好きになってしまうという天然ぶり。
奥手で優しすぎて恋人の手をつなぐことすらスマートにできない北山さんですが、付き合う前に南谷くんから身体の関係を望まれたときには「こういうのはよくないと思う。」「身体だけの関係とかは嫌だな」とはっきり言ったり、南谷くんへ「好きだよ」と自分から好意をちゃんと言葉にしたりと、やるときはやる一途な男前です。
彼の奥手さは臆病さではなく責任感と優しさに由来するものなので、「高校生相手に無責任なことはできない」と両想いになったあともえっちなことをするのは南谷くんの卒業まで待ったり、年上としてこれ以上ないほど誠実で堅実な攻めで、彼の人柄に対して尊敬しかありません。
まっすぐに好意を伝えてくれる北山さんの誠実さと愛情に、はじめは「恋愛なんてゴールまで遠回りしてるみたい」と恋愛の良さが全く理解できていなかった南谷くんがどんどん絆されていくのが可愛いです。
北山さんのことを意識するようになり、ドキドキして顔すらまともに見れなくなる南谷くん、そんな南谷くんの反応を見て「嫌われた…!?」と勘違いして落ち込む北山さん、2人とも真面目で天然すぎるゆえのすれ違いが愛おしいです。
「相手の顔を見ると心臓がドキドキする」なんて普通に考えれば「恋」でしかないのですが、南谷くんはこのドキドキの正体が分からずに「病気…!?」と本気で不安になってしまうのが、本当に今まで恋愛感情を抱いたことがなかったんだなあと彼の純粋さにニコニコしてしまいます。
「北山さんと一緒にいると心臓がやばくて」という南谷くんのストレートすぎる告白(本人はその自覚なし)を聞いた北山さんが、普段よりもちょっと強引に迫ってキスをするシーンは最高でした。
キスをしてようやく自分の気持ちに気づいた南谷くんが、「もっかいキスしてもいいですか」と聞いた時の「何回でも」と優しく笑う北山さんの表情がとにかく素敵で大好きです!こんなにも優しくて包容力があって誠実な人に初恋を捧げた南谷くんは幸せだなあと改めて思いました。
南谷くんの卒業式の日に念願の初エッチを果たす2人ですが、この時の南谷くんの「えっちな顔を見たら満足するかと思ったけど、もっとこの人の色んな表情が見たくなる。多分これが恋ってやつだ」というモノローグは、恋愛漫画史に残すべき素敵な表現だと思いました。えっちな顔を見ることが目的だったのに、それだけでは満足できなくなってしまった。自分がまだ知らないこの人を全部見たい。北山さんに対する自分の気持ちを理解して素直に受け入れる南谷くんがとっても可愛いです。
終始ハイテンションでテンポよく楽しく読めるのに、恋愛描写の丁寧さと初々しさが本当に素敵な作品でした。攻め受けどちらも真っ直ぐな良い子で、どちらも見ていて応援したくなるところも大好きです。
えっちする時もムードや段階を大切にしたい北山さんと、さっさと事を進めたい南谷くんですれ違っているのが彼ららしくて可愛かったです!
ここまで性格が対極な2人なのに、ケンカすることがないのはお互いの素直さと真面目さゆえでしょうか。恋人として始まったばかりの2人をまだまだ見たくなる終わり方でした!
この作品に出会えてとても幸せに思います。
人気シリーズの最終巻。
自分にとっては人生で初めて買った商業BLで、一生特別な作品だと思います。
社会人となった北山さんと、大学3年生になった南谷くん。念願の同棲生活を始めた2人ですが、お互い多忙ですれ違いが続く日々…。新生活にはお金が必要だし、北山さんは慣れない社会人生活で毎日へとへと…という大変な日々ですが、相手に不満を感じるでもなく真面目に前向きに自分ができることをそれぞれ頑張る2人がえらいなあと思います。
1巻から続く2人の交際はもう3年にもなると思いますが、いまだに2人が本気でケンカするところが想像できないのがすごいなあと思います(とにかく2人とも素直で性格がよすぎる…!)
すれ違いが続いて我慢の限界になり、「えっちがしたい」と南谷くんに珍しく積極的に迫る北山さんに対し、いつもはえっち大歓迎な南谷くんは逆に「自分が欲求不満なのがばれて気を遣わせているのでは…?」と心配になってしまい、相手のことが大好きすぎるゆえに嚙み合わない2人がいつものことながら可愛いです。
2人とも真面目で責任感が強すぎるゆえにすれ違い続けているのが、もどかしくもあり愛おしくもあり。
恋愛ものって両想いになったらそこでお話が終わってしまうものだというイメージがあったのですが、きたみなくんは早い段階で両想いになったにも関わらず、「2人とも天然で真面目すぎる」という理由で勘違いとすれ違いが続くのが面白いなと思います。2人とも「相手のことが大好きでずっと一緒にいたい」という根っこの気持ちは決して揺るがないので、ハラハラはさせられるけれど安心して楽しめます。
「寂しいという気持ちを自分が感じるなんて思わなかった」「北山さんといると自分の知らなかった感情がどんどんあふれてくる」「でもそれが嫌じゃない」
2巻でも思いましたが、恋を知った南谷くんが今まで自分の中になかった感情に戸惑っている描写が本当に可愛すぎます。初恋の特別感や初々しさをここまでわかりやすく言語化できる作者様の感性と言葉選びのセンスが本当に素晴らしいです。
待望のえっちシーンではいつもより強引な北山さんが最高でした。嫉妬の対象が人間ではなくオモチャなのがまた嫉妬深い彼らしくて可愛いです。
「南谷くんは変わらないね。ずーっと可愛いなって」と笑う北山さんの幸せそうな表情が素敵すぎます。
南谷くんと付き合ってからの3年間を思い返して、彼が今自分の腕の中にいる幸せをかみしめていたのかなと思って見ているこちらも幸せな気持ちになりました!
単行本加筆シーンも最高でした。強引でねちっこい北山さんが最強の攻めすぎて何度も読み返してしまいました。
欲をいえば北山さんの「3回」もぜひ見たかったな…と欲張ってしまいたくなるほど最高でした。
BLマートのバカップルと化している2人のシーンもとても良かったです。
出会ったときに高校生と大学生だった2人はいつの間にか大学生と社会人になり、きっとこの先も、もっと大人になっても変わらず手をつないで歩いているのだろうなと感じさせられるラストでした。
読者である私たちに見せてもらえるのはひとまずここまでとなりましたが、2人の日常がこの先も続いていくのだと思うととても幸せな気持ちになります。
恋愛漫画の面白さを教えてくれてありがとうございました。これからも2人のことがずっと大好きです。