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黒い世界

明日美子さんの作品の好きな所が、ほどよい黒さなので
この作品は明日美子作品の中で私が一番好きな作品です。
言葉や台詞でで説明しないで、絵やキャラクターの感情や言動で
画面には描かれていないものを描写するという能力に
特化した作家だと思います

昔の少女マンガのように上質な、絵だけ、話だけでなく
両方を兼ね備えた現代でも貴重な作家さんだと思います!

ツミコさんの新境地

あんまり頻繁に単行本が出る作家さんじゃないので、すごい楽しみにしていました。今回ほど表紙と本文に相違がないのは初めてじゃないでしょうか?本文の内容は、表紙の雰囲気の通りです。ふわふわ切ない、綺麗で童話みたいな表題作シリーズと、短編3本が収録されています。

この作家さんの作品は、毎回感動したり泣けたりする作品でもどこかに黒い部分と言うか、毒的な要素が含まれていて、それが味でもあると思うのですが、今回の表題作にはそれがありませんでした。
なので物足りない!と感じる方も居られると思うのですが、私は大満足でした。今回のお話には毒要素の必要性を感じなかったし、その代わりに独自な、なぞなぞみたいな描写が追加されていたので。表題作の1話目で、会話や台詞に全く「好き」とか「恋」とか出てこないのに、教授の態度や言動や、感じる感情から「好き」と言うのが読み取れて、それがすごく読み手の感情を持ち上げると思いました。

あと教授の世界の中で出てくる絡みつく蔦と花の描写などがすごく良かったです。ツミコさんがここまでガチに「恋愛」的なものを主体にした作品を描くのは初めてじゃないでしょうか?まさに新境地だと思います。


その他の収録作品で個人的に「スゲー!」と思ったのは、短編の「ウィンクテ」!アマゾンに潜むゲリラの討伐に来た、特殊部隊の中尉と部下が不思議な体験をすると言うもので、これがまたよく出来ています。ツミコさんの軍ものはいつも面白い!

引き出しの多さにビックリする作家さんですが、今回の単行本は新しい作風と、いつものツミコさんの作風がいい具合に混ざって入っていてとても楽しめました。個人的に一番好きな単行本です!
ただ、受けの髭率が高いので(笑)髭受けが苦手な人にはオススメできません。また他の方も書かれていますが、読者をかなり選ぶ作風の作家さんですので、苦手な人には全く合わない可能性があります。