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「兄弟」という題材を「マイナスに描かない」

あがた先生がブログでそういったコンセプトでこの話を執筆したというだけあって、しっとりした優しい物語でした。

私は近親相姦に抵抗がないので兄弟ものはよく読みますが、やはり病み系だったり訳ありものが多い中、こちらは最後まで安心して読めます。
兄弟BLの入門書のような感じ。葛藤はあるのですが、精神的にキツイ…というような展開はありません。等身大の葛藤という感じでしょうか。

その分、ふたりの心理描写を丁寧に読ませてくれるので、背徳感よりも「萌え」が勝ります。
LINEの名前、幼少期の思い出、兄の元カレ、そして、二度目の朝が来たら……のモノローグ、
上巻にいろんな彼らのつ繋がりが散りばめられていて、ひとつひとつ拾い上げるようにして読むととてもじんわりとした気持ちになります。

イルミネーションの前でふたりが交わす言葉はとても印象的で、改めてタイトルを考えさせるシーンでした。
そして、誰にでも当てはまる台詞だと思います。本当にとても綺麗な終わり方でした。
重たい兄弟ものはあまり「何度も読み返す」という気分にはなれないのですが、この作品は読み返したい作品です。

と言いつつ、私はあがた先生の普段の作品から漂う陰鬱とした雰囲気が好きなので「次は今回と真逆の重めな兄弟ものも描きたい」とおっしゃっていたので、そちらも是非見てみたいと思いました。

漫画の魅せ方が上手い

まず画力が凄い…。凄まじいです。時々雑な線や背景がないコマが重なった時こそ気になったものの、全体的な画面の構成力がとてつもないです。

カップリングに関してはちるちるさんのインタビューで作者さんが「自分の中では決めてはいるが、読み手さんの中で受け攻めを決めてもらって構わない」とあるように、最後までどちらということは言及されておりません。…が、何となく作者さんとわたしのカップリングが逆な気がして…。その点で評価を萌え×2にしてしまいました……。わたしは有馬くん受けがいいです!

などはさておき内容ですが、あらすじにつきましては既に書いて下さってる方がいらっしゃるので割愛します。自分は女なのか、男なのか。とても難しい題材でありながらも時折コミカルな描写を織り交ぜとても読みやすく、また高い画力から大河くんや有馬くんの過去への葛藤などが表情から伝わってきます。お芝居の内容でありながら漫画の演出がとても上手く、まるで映画を見ているようでした。ひとつひとつの台詞にも重みがあり、終盤にいくにつれ思わず泣いてしまいました。大河のお父さん、かっこいいですね…。

昨今、エロ重視の作品がたくさん出されている中、こういったコミックスが評価されて欲しいなと強く思いました。
そう思うとCannaさんは今の流れにのらず、自レーベルの良さを曲げずにいろいろな作品を輩出して下さっていてとても好感があります。

痛みだけが傷じゃない

前作が良かったので、こちらの作品も購入しました。3つのお話が収録されています。切なくてしっとりとしたお話たちでした。
以下、作品ごとに感想です。あらすじは既に書かれている方がいらっしゃるので割愛します。

「モイストヒーリング」
元教え子(大学生)×高校教師。
先の方も感想でおっしゃっていますが、ピアスホールが安定しない所とふたりの関係性が対になっていてグッときました。「きっと一生消えない傷になる」という裏表紙のモノローグがこういう言葉たちで構成されていたのかと思うと、すごくいいなと思いました。

「春の凪」
生徒会の先輩×密かな噂がある後輩
作者さんの絵では初めて見るタイプの受けでした。童顔の褐色男子です。意中の先輩に、言葉少ない彼はどうにか関係を築きたかったのかな、と思うとこういった健気な受けもかわいいと思いました。

「目を閉じて君に会う」
転校してきた人気者×地味でおとなしいクラスメイト(幽霊)
設定が設定なだけにどういうオチになるのか気になったのですが、等身大な彼らの終わり方というか、無理矢理ハッピーエンドにならずかといってバッドエンドでもなく、すとんとくる終わり方でした。もし受けの子が幽霊じゃなければと思いつつも、作中の台詞であるようにこんな関係でなければ話すこともなかった彼らはやはり、今の関係性だからこそ繋がりが持てたのかな、と切なくなりました。
西野君の心に切なくも愛しい傷ができた瞬間だったのだと思います。

「ピアスホールをあけるとき」
高校生×高校教師
「モイストヒーリング」の過去にあたります。前回は攻めの教え子視点で描かれていますが、今回は先生視点です。表題作が「モイストヒーリング」と聞いていたので最後にこの話がきてなるほど、と思いました。所々「モイストヒーリング」と同じ場面があり、このシーンの先生はこんな風に思っていたのか、と心情を知ることが出来て良かったです。

「ファーストピアス」
表題作ふたりの描き下ろしです。
「モイストヒールング」の最後でふたりが交わしていた会話を知っているため、攻めが先生を名前呼びをしている姿にすごく萌えました。ふたりが順調に進んでいる様子が伺えてよかったです。

どのお話にもエッチシーンはありますが、濡れ場メインではありません。
今作のコンセプトが後書きに描かれており、作品を読み終えた後にもう一度読み返したくなりました。