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6巻まで一気読みの面白さ

JUNEの時代から活躍されているベテラン作家様と言う事で、この作品もずっと気になっていました。

いやー、面白かったです。もの凄く。
レビュー、評価が思ったよりも少ないのですが、古い作品だからでしょうか。
でも古さは全く感じられず、と言うか、どっしりとした安定感のある文体で非常に読みやすく逆に新鮮に思えるほどで、6巻まで一気に読んでしまいました。面白い作品は年月が経っても色褪せないものなんですね。
SPモノなので起る事件は大きく、あり得ないだろ…という展開が多いのですが、そういうのもエンターテイメント小説として楽しめました。

6巻読み終わってまとめての手抜きレビューです。
以下ネタバレあり。

元機動隊の新人SP(25)×凄腕SP・SAT教官兼任(29)

闘う受けや、大型ワンコ攻め好きにはたまらない設定です。
冴え冴えとした美貌の凄腕SP美晴と、そんな美晴に一目惚れした新人SPの剛志。
精悍な顔立ちと恵まれた体格で、学生時代から男女問わずモテまくり、千人斬りと豪語するような節操なしのヤリチン剛志が、初めての恋にのぼせ上り押せ押せで迫るものの、冷たくあしらい全く相手にしない美晴。
実は剛志は、美晴を捨てた元恋人の弟。なり振り構わず美晴にモーションかけまくる剛志と、コイツとだけは絶対にない、と心に誓う美晴。そんな二人の攻防が面白い。

何が良かったって、攻め(候補)の剛志が初めは当て馬的ポジションだということ。これは多くの姐様には地雷となり得ると思うのですが、私には非常に美味しい展開でした。

警護対象のアラブの王族で外相アッジールと、あっさり関係を持つ美晴。二人はお互い出会った瞬間から惹かれ合うのですが、それを剛志がぐぬぬっっとなりながら激しく嫉妬する姿に萌え。
躾のなってないやんちゃなワンコには失意と屈辱から這い上がってもらいたい。(ドSですみません)

1巻で別れたアッジールと美晴ですが、2巻ではクーデターで国を追われた王と彼を警護するSPとして再会します。
そして二人の恋は当然の如く再燃。再び剛志のぐぬぬぬっっ、ですよ。

このアッジール、私は非常に好きでした。
だって凄くいい男なのです。二十歳で国王軍の指揮官になり外務大臣になるまでの十一年間にわたって国境紛争の最前線で戦い抜いた英雄です。
王道アラブものだったらこのまま二人でお互いを護り護られ、政権を奪還し、唯一無二の存在となり…となってもいいくらい。
美晴も常々言っていますし、恋敵の剛志も不本意ながら認めてしまっていますが正に「極上の男」です。

ですが、読者的に愛しく思うのは、やはりやんちゃなワンコ剛志。
当初こそ、傲慢で自信家で人の気持ちを汲む事の出来ない鼻持ちならない男でしたが、惚れた男の為に奮闘する剛志。プライドをぺしゃんこにされてもそれでも諦めない鋼鉄のメンタルを持つ男、最高です。

そんな剛志が、心神喪失状態で一時心が壊れてしまった美晴を親鳥よろしくせっせとお世話するシーンがあるのですが、そこが凄くいい。ゲリラに囚われ拷問され生死さえ危ういというのに時におちゃらけながら。こういうシーンに、美晴への深い想いが表れており、非常に萌えました。
そしてその後、これまた地雷になり得る痛い展開が待っていますので注意が必要です。

が、それらの試練の展開も、この先剛志が美晴の隣に立てる男になる為に欠かせない出来事だったのだと思います。
実際、巻を追うごとに剛志はいい男に成長していきます。そしてそんな剛志を密かに頼もしく思う美晴。
1巻では無神経な言動で寧ろ憎まれてさえいた攻めが、シリーズ終わりには、恋愛ペシミストの受けが心身共に受け渡せるパートナーとなる。(しかも甘々)
こういうのはシリーズものの醍醐味ですね。受けや攻めの成長や心の変化をじっくりと見守ることが出来る喜び。

この作品には私にとっての萌え要素がぎっしりと詰まっていました。
プライドを持って任務を遂行する男たちの眩しいこと。
全体的にコミカルではありますが、それぞれの事件はシリアスで、美晴が殉死した仲間を悼み涙するシーンでは胸に込み上げるものがあります。
そしてその時の二人のやり取りが愛しい。

コミカルとシリアスのバランスが絶妙で読んでいて心地よく、この先も何度も読み返すだろうなと思える作品でした。

二人の男の10数年の軌跡

上下巻読み終わっての感想です。

この作品は作家様が15年以上も前に初めて書いたBL作品だそうです。
改訂版の実本版を出したのが2013年で、今回再修正をしての電子書籍化だそうです。
同作家様の作品は幾つか読みましたが、自分にはこの作品が1番刺さりました。
文庫本にすると4冊分程だそうで、かなり読み応えがあります。
現在、Kindle Unlimitedにて上下巻とも読めるのですが、他の電書サイトでの取り扱いは無いようで非常に勿体無いと思いました。
こんなに面白いのに。
もっと多くの人に読んでもらいたい作品です。
そして、わたしのこんなショボいレビューでなく、もっと的を射たレビューを多くの人が挙げて下さればいいのにと願っています。

以下、ネタバレありの感想です。


両親がヤミ金取り立てに追い詰められ命を絶ち、一気に男娼へと転落させられた受け大崎と、その前に現れた攻め、稲村組若頭の黒川。
二人が縺れ合うように上り詰めて行く10数年が時系列バラバラで総集編として描かれています。

なんと言っても受けの大崎が非常に魅力的でした。
男娼時代も、そして組幹部となっても、受けは攻めへの尻奉公でのし上がったと一部から蔑まれ狙われます。
BLにありがちな危ういところで攻めが助けに来て…とのご都合展開は無く(全く無いわけではないのですがガッツリヤラれます)輪姦あり、暴行あり、撃たれたり、刺されたり。
その内容は目を背けたくなるほどハードです。
でも大崎は決して折れない。
「生き残って、絶対ここから這い上がってやる」と。
落とされても汚されても矜持を捨てない強さを持ち、それでいて何処か壊れた所のある、危なげで魅力的な男です。

そして、そんな大崎を守り這い上がる為の足掛かりを与える攻めの黒川。
彼も素晴らしくいい男でした。

攻めの黒川は苛烈な男です。
若くして若頭の地位を得た頭脳派のヤクザですが、裏切りや敵対する勢力との抗争では容赦しない獰猛な男。
そんな男が、大崎が拉致監禁され壮絶な暴行を受けた時の映像を何度も繰り返し見るというシーンがありました。
惚れた男が何人もの男に手酷く輪姦される映像です。本来なら攻めにとって絶対に目にしたくない映像ですが、繰り返し繰り返し見るのです。
大崎を嬲りものにした加害者全員を特定する為。加害者全員を人知れず粛清する為に。
一つのエピソードとして描かれていたこのシーンに、黒川と言う男の本気を見たようで、わたしにはとても印象的でした。

甘くない893BLと作者様は仰っていましたが、いやいや、二人のやり取りは甘いです。
チョコレート菓子で言うと、ビターな大人のテイストですが、使われているリキュールが上質でほんのり香る甘さが堪らない、そんな感じ。(どんな感じよ)
だって、出会って10年以上経っても、受け以外は抱こうとしない攻めって最高ですよね。

残念な事に誤字、脱字が非常に多かったです。
身悶えする程良いシーンで攻めの名前に誤字を見つけた時はガッカリしましたが、それを差し引いても素晴らしい作品だったと思います。


大崎同様東京から逃げてきたと言う福島のスピンオフもあるそうです。大崎を刺した相手に踵落としを食らわせたシーンから気になって仕方ない人物でした。是非そちらも読んでみたい。