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ネタバレしてます

面白かったです。出先で読んだのですが、途中なんだかかなしくなってうっかり泣きそうになりました。
主人公は母親の仕事の関係上いろいろあって性格がねじれていて、序盤はそれでちょっと嫌な感じの子だなぁと思ったのですが、斜め上を行く思考回路をしているくせにときどきひどくまっとうで正しいことを口にする杏藤さんに、放任を主義としているわけではなく殆どネグレクトじみた仕打ちを受けてきた珠希君にとってそれは、そういうふうにだめなことはだめだとちゃんと言ってくれたりたいせつにしてくれたりといったことが悪い意味ではなく衝撃で、どんどん絆されていくのを見ているうちに、そして彼のさびしさを知るうちに、気の毒になってきて遣る瀬なくなりました。
年上と付き合うときは小遣いを貰うくらいどうということもなかったのに、杏藤さん相手にはせびることができない。それは相手の誠実さを前に、そんなことをしてはいけないのだということを、本当はよくよく理解していたからなのだと思いました。
自分の派手だった恋愛面の過去を明かしたことで杏藤さんと気まずくなってしまい、別れを切り出した珠希君は、つらいのを隠して励ますようなことまで口にして、いい子だなぁと思うと同時、かなしくてならなくなりました。そうして杏藤さんに誰にも言えずにいたことを話した、その素直な気持ちの吐露に、外出先であるからぐっと堪えましたが目の前が滲みそうになりました。
珠希君は杏藤さんと出会えて本当によかったと思います。真面目で温厚、ルックスも申し分ないけどときどき言動が突飛な杏藤さんに、この先ずっとだいじにされて、仲良くしあわせに過ごして欲しいなぁと思いながら読み終えました。
ちょっと笑ってしまったり、せつなくなったりハラハラしたり、そういうのがぎゅっと詰まってて一気に読めてしまうと思います。珠希君は誘い受とか襲い受にあたるのかも知れませんが、私はそれが苦手なのですが問題なく読めました。砂原さんがおすきな方なら楽しく読めるのではないかと思われます。

若干ネタバレがあります。

決してつまらないわけではないのですが、ちょっと攻の男性が私は好きになれない感じでした。やさしいひとではあると思うのですが、金にものを言わせて強引に事を運んでしまうところがあり、その強引さが悪い方向に働いてしまっていると言うか。
受の三嶋が怒るのも無理はないし、同じことをされたら私も腹が立つだろうなと思いました。肝心なところでひとの感情に疎かったり子どもっぽかったりして、その辺りも首を傾げてしまうひとつだったかも知れません。友人として付き合うならおよそ理想的なひとなのですが、もっと近しい関係性を築くには少々難しそうなひとであるように感じました。
受の三嶋は陶芸に対する姿勢が真摯で、だからこそそれが絡むと頑なで、そこを苛立たしく感じる方もいるかも知れませんが、私は好感が持てました。譲れない唯一のものであるからこそ守りたい矜持は誰にだってあると思いますし。
終盤で陶芸に関するいざこざがあるのですが、そこを読んで怒らせて本当にこわいのは三嶋の方かも知れない、と思いました。その辺りは読んでて楽しかったり。
絡みのシーンは椎崎さんなので濃くはありません。ライトな方だと思うのですが、そこはかとなく色っぽかったりきれいだったりします。
あ、因みに関連作品として『非保護者』がありますが、こちらは未読でもこの作品は充分楽しめます。この小説と時間軸は同じだそうなので、先の作品も併せて読むと、空白の時間の補完にはなるかと思います。
三嶋はすきだし、彼の作り出す陶器は文中でしか描写されていないにも関わらず、すごくうつくしい作品を作るのだろうなと想像できました。胸がきゅんとするようなときめきではなくしっとりとした話かと思います。