言葉でしっかりと想いを伝えてはくれるけれど、
どこまでが本心なのかわからない水沢の謎さに
ちょっぴりモヤッとしてしまった上巻。
付き合ってお互いに胸の内を明かしていくことで、そのモヤモヤは晴れていくのかな?と思っていましたが…
想像していたよりもずっと重たくてツラい事実が判明することになり、『ふたりの恋のお話』だけでは済まないような展開となっていた下巻でした。
交換日記をはじめたことでどんどん距離は近付いて、謎だらけな水沢のことも少しずつ理解できるようになると紺の気持ちに変化が表れていきます。
ようやく甘酸っぱい雰囲気になり、このまま恋愛モードになっていくんだろうなぁと思っていたら。
紺にとって良くも悪くも大きな存在だった母親とまさかの再会。そしてふたりの間にある空気は一転するという流れに…。
一気にヒリついてあっという間に壊れてしまう脆さ、切なすぎました。
あんなカタチで母親と再会するなんてめちゃくちゃ心臓に悪いな…と思いつつ、全部知っていた水沢のことがだんだん許せなくなってきて。
これまでの優しさに嘘はなかったのかもしれませんが、最終的に紺がどんな気持ちになるのかをもっと考えてほしかった。
そして上巻に引き続き紺だけが苦しみを背負い続けているのがやるせなさすぎます。
父は再婚報告より先に借金返済の目処がついたと伝えるべきだし、母親のこともうやむやにしないで話してあげてほしかったな、と。
しかもあんなに近くに住んでいるなんて残酷すぎる。
読み進めるほどにズーンと暗い気持ちになってしまったのでした。
7年経っても水沢は肝心なところで逃げ腰で、身を引くことばかり考えている感じに言いようのないモヤモヤが募ります。
これはハッピーエンドだったのかも怪しいのでは?と思ってしまいました。
シリアスで重たい展開になっていく部分はしっかり読み応えもありましたが、応援したい恋だと思えなかったなぁ。という気持ちだけが残りました…。
書店員の圭吾と謎のキラキライケメン・世成。
道端で寝ていた世成を放っておけず、圭吾が介抱するところから始まるお話。
BLの世界でよく見かける出会い方をしていたので王道ストーリーなのかな?と思いつつ、
こんなド直球な゙タイトルなのだから個性的なキャラが出てくるに違いない!と期待して読み進めました。
世成が"その枠"の子なのだなというのはパンチの効いた言動の数々から伝わってきて、そこに圭吾のチョロさもいい具合に合わさって冒頭からクレイジーさを感じる展開に。
謎にポジティブで無自覚ストーカー気質な世成に振り回されながら、それに絆されていく圭吾との日々には甘さも感じるほどでした。
圭吾の決意(?)が固まるまでのすれ違いはありますが、それ以外には特に大きな問題はないので
さらりと安心して読める作品だったかなと思います。
でも。圭吾が酒を飲まなければ寝られなかった理由や、あんなユルそうな職場で社畜になるってどういうことなのか?というのはわからぬまま。
世成がヒモをしていたのはなぜなのかも結局明かされず、細かな部分がお話と繋がらないことにどうしてもモヤモヤしてしまって。
スッキリできないまま読み終えてしまった印象でした。
バディを組む刑事同士の咲夜と遼臥。
先輩後輩でありながら一緒に住み、恋人でもないのにセックスをする…
そんなふたりの不思議な関係を描いたお話でした。
『俺達 恋人じゃないけど ケンカップル刑事』
という、思わず口に出して読みたくなってしまう帯の言葉に惹かれました。
意味はよくわからないけど語呂はいい。みたいなのが面白くて好き。
ストーリーも大体この言葉に沿った感じで進んでいきました。
ギャグなの…?と思うようなシーンもあれば、
素直になれずにすれ違う切なげなシーンもあり、
単調ではない展開は良かったけれど。
その切り替わりが唐突で、うまく繋がっていないところに何度もモヤモヤしてしまって。
それぞれのキャラの濃さもぶつかって、読みづらさが増していたのがすごく残念に思いました。
ツッコミどころが多いのもギャグだと割り切ればそれほど気にならないのかもしれませんが、
ちょいちょい真剣な感情が挟み込まれるので割り切らせてくれないんですよね。
結果、なんかすごい気になるところがいっぱいあったな…という気持ちのまま読み終わってしまった作品でした。
同じ会社に勤めている同期の西浦と桃木。
特に仲が良いわけではなかったふたりが
ひょんなことから期間限定で一緒に住むことになり、ただの同僚から少しずつカタチを変えていくお話でした。
西浦のことを陰キャな自分とは合わないタイプだと感じていた桃木ですが、
一緒にいる時間が増えてこれまで知らなかった部分が見えてくると、苦手意識は消え去ってどんどん距離は近付いていくことになり…
やがて普通の居候ではしないことまでするようになるわけです。
「勃ってるから手伝おっか?」みたいなBLらしいハプニングから始まったふたりの不思議な関係ですが、そこには相手への想いはなく行為自体にも深い意味をもっていないので恋が始まるような雰囲気ではないんですよね。
ずっと後ろめたそうにしている桃木に対して、西浦は何も気にしていないという温度差も気になりつつ、西浦からの誘いが結構唐突で脈絡もなかったので、実は秘めた想いがあったのでは…?という期待は持てました。
でも本当にまっっったくその気はなくて、むしろなんでこんなに桃木のこと構いたくなっちゃうんだろ?みたいになってて…
西浦の言動があまりにも謎すぎて戸惑いしかなかったです。
彼は恋愛初心者というわけではないのだから、せめて桃木よりも先に色々自覚してほしかったなと思いました。
無事に両想いになって良かったけれど…
萌えよりも気になるところのほうに目がいってしまったなぁ。という印象でした。
戸惑いながらも色っぽい表情を見せる光佑と、
それを愛おしそうに見つめる竜弥…そんな表紙のふたりに惹かれて購入。
帯には光佑を指して"モブ顔一般人"とありますがモブ顔ではないのはこの表紙からも明らかで、美しい彼らのやり取りを見るのを楽しみに読みました。
読み始めてすぐ、表紙と中の絵はだいぶ違うな…?と感じずにはいられませんでしたが…
幼なじみ同士のすれ違いが繰り広げられるストーリーには王道展開ならではの安心感があり、さまざまなBL"らしさ"を楽しむことができたように思います。
ただ、ずっと一緒にいるわりにふたりとも相手の気持ちを汲まない言動が多すぎて、それが見えるたびにモヤモヤ。
相手のことを思っているようで結局は自分のことしか考えていないので、すれ違いの原因にも目を背けたまま。
どこまでもすれ違いっぱなしなふたりに「うーん??」となってしまいました。
言葉にしなくてはわからないことがあるのは理解できるんですが、ここまで何も伝え合わずにきたなら逆に空気感でわかることがあってもいい気がするんですけどね。
誰に対しても塩対応な竜弥が自分にだけ笑顔を見せてくれる、その意味すらも。言葉で言われなければ光佑はわからなかったのだろうか…。
周りの人たちがみんな応援してくれているようなあたたかな世界だったし、とても幸せなお話だったなとは思うんですが。
ふたりのキャラが刺さらず、なかなか萌えを見つけることができませんでした。
表紙から伝わるほっこりあたたかい雰囲気がとっても素敵。
おこちゃまが出てくるお話が得意ではないので、子育てBLはあまり手に取らないのですが
すごく幸せそうな3人の姿と、帯にある「癒やし癒やされ」の言葉に惹かれ購入しました。
偶然出会った奥塚親子と坂森でしたが、
そのひとつの偶然が運命を引き寄せたみたいにぐんぐん仲良くなって。
あっという間に家族みたいな付き合いになる辺りはBLらしいなぁと思ったけれど。
その打ち解け具合に違和感はなく、あまり得意ではないおこちゃまのアレコレも微笑ましく思えるくらい陽琉の存在感は程よい感じだったので
奥塚と坂森の恋愛部分にも集中できそう…!と期待して読み進めました。
でも…
坂森の緩やかな気持ちの変化は伝わったけれども、奥塚の「好き」は結構唐突で。
普段から天然っぽい言動が多いし感情が顔に表れないので、その場面になるまで奥塚の想いがほぼわからないことに戸惑いしかなかったです。
大きなキッカケはなく少しずつ気持ちが動いていったのだとしても、そこがもうちょっと伝わってきてほしかったな、と。
そして陽琉のママのエピソードというか、陽琉が生まれてくるまでのことにものすごくモヤってしまいました。
大好きなパパとママが愛し合ってないなんて、陽琉の気持ちを思うと切なさしかないです…。
愛情はたっぷり注いで育てているのはわかるし、
それを選択したのも間違いではないと思います。
でも美しく語ることもできない話ではないかなと感じました。
愛のある結婚をしていたら別ですが。
ものすごく微笑ましくて、ほんわか可愛いところもたくさんあったけれど。
スッと受け入れるのが難しいお話でした。
ウリをして暮らしているミカとお金持ちだけどちょっぴりクセのある社長・清廉。
そんなふたりのお話でした。
髪や顔の手入れ、身体のメンテナンス、身につける洋服やアクセサリーまですべてにお金をかけ、
その“商売道具“でまたウリをする、という日々を繰り返しているミカ。
「世の中お金がすべて」だと思っているミカ視点の世界は彼の思考がよく表れていて、お金が無ければ成り立たないものばかりだな…と、ある意味感心してしまうくらいに金銭感覚はバグっています。
彼を買う客たちはそれを理解しているのでしょうが、あまりにも桁違いな金額がたくさん出てくるので「ウリ」相手にこんなにポンポン大きなお金を動かしていいの…?みたいな気持ちがどうしても湧き上ってしまいました。
お金の価値ってなんなのだろうか…。
ミカがそうなってしまったのは切ない過去があるからなんですが、ひとつの失恋からここまでオチる振り幅がすごすぎる気が。
どれだけショックだったかよく伝わる展開ではあるけれど、現実的ではなさすぎてイマイチ理解できなかったな、と。
そして清廉を嫌うミカが何度も中指を立てるところがどうしても好きになれませんでした。
エロはたっぷりだったけれども、ミカのキャラが刺さらなくて萌えられず…。
それに清廉の指先が黒ずんでいたのはなぜなのか?というのもずっと気になっていたけど、結局明かされなくて。
なんとなくずっとモヤモヤしたまま読み終えてしまった作品でした。
義兄弟モノらしく背徳感たっぷりだし、拗らせまくっているふたりのヒリヒリした感情は序盤から見えていて。
このあとどうなるのかわからないドキドキと共に
かなり前のめりで読み進めましたが…
蓋をしている伊織の気持ちがわかっていくほどにどんどんモヤモヤが湧き上がってきて。
絢人に振り回されている被害者の顔をしながら、そのキッカケさえも都合よく忘れていた伊織の言動がすごく引っかかりました。
時間をかけて絢人の“中“に入り込んだのは自分なのに、ワガママを言わないようにしようと決めたのも「兄として」接するようになったのも何もかもが突然なんですよね。
それが絢人のためだったのだとしても、彼の気持ちを考えないソレはただただ残酷に映ってしまって。
養子として迎えいれるよう両親に提案したキッカケも、遡れば“顔が良かったから“みたいなところなのも「???」という感じ。
絢人が歪んでしまったのも無理はないし、逆にまだ好きで執着してくれていることが奇跡なんじゃないかと思うくらいでした。
一つひとつのエピソードは義兄弟の恋愛らしさがあってすごく好きだったけれど、すべて繋がってくると疑問に思うところが出てきてしまって
頭の中は萌えとモヤモヤが行ったり来たり…。
最終的にまたワガママな伊織に戻った辺りでモヤモヤが勝ってしまい、なんとも言えない気持ちに。
ふたりが思う幸せなカタチに落ち着いたのだと思いますが、心から祝福したい!とは思えないまま読み終えてしまいました。
あざと可愛い表情を浮かべる表紙のカナデ。
相当遊んでそうに見えるのにまさかの処女!というギャップが面白いなーと思って購入。
でも。そのギャップはそれほど活きていなくて、
表紙や帯から伝わるようなエロさは無く
恋愛に発展するまでのドキドキ感を味わうような展開でもなくて。
わりとさらっと進んでいく感じに「うーん??」となってしまいました。
そもそも初対面から目的にだいぶズレがあるふたりなんですが、真剣に出会いを探していたとしてもあまりにもユウトはピュアすぎだったし
セックスしたい!が丸出しなカナデにコロッと惚れるかなぁ?という疑問も。
「人を好きになるという感情を知らない」と言うわりにあっという間にユウトに惹かれるカナデのチョロさとか、“理想のちんこ“を追い求める清々しいくらいに快楽に直結してる思考を持つところは良いなと思ったのですが、ユウトとの温度差?がちょっとしっくりこなくて、モヤモヤしたまま読み終えてしまいました。
小説家の潮とリーマンの有輝。
夜道でぶつかってしまったのをキッカケに知り合ったふたりの日々を描いたお話でした。
あまりいい出会いをしたわけではなかったふたりですが。
流れるように距離が近くなっていくところから、性格は真逆でも相性が良いことは伝わります。
なんだかんだと世話焼きな潮のペースに飲まれていくことに抗いたい気持ちはある有輝だけど
一緒に居ることにだんだん心地よさを感じていく様子は微笑ましくもありました。
でも有輝があまりにもネガティブすぎて、全方向に敵意むき出しなのがどうしても受け入れられず。
ゲイを隠していることで生きづらさを感じているのは理解できますが、
その負のエネルギーを周りへの攻撃にかえてしまうのは違うんじゃないかなー、と。
これまで周りの人たちに恵まれなかったからなのでしょうかね…
冒頭の職場の同僚たちのデリカシーのない発言もちょっと許せなかったです。
潮の抱えているツラさも明かされますが、有輝のキャラとぶつかってしまってなんだかスッと入ってこないという…。
ストーリーはあっさりしていた気がするんですが、それぞれのキャラの濃さにピタッとハマらない感じがあったかなと思いました。