高校1年、初対面の春。
あの時点でお互いどこか引き寄せられるような感覚があったのではないかな?と思わずにはいられないくらい、冒頭のシーンがすごく印象的でした。
感じたものがすぐ"恋"には結びつかないところも
その後の展開を期待させる始まりだったなと思います。
2年生になるまでに、失恋をしたり部活を辞めたりと様々な変化があった宇佐美。
苦しくてツラい時もたくさんあったけれど、そんな日々を過ごしていたからこそ出会えた恋心を
とても大切にしている様子が本当に素敵でした。
好きだから青凪を特別大事にしたいというのが伝わる彼の行動一つひとつを微笑ましく眺めつつ、
同じ気持ちになることはないと諦めているような空気を感じるのがなんとも切なくて。
青凪の幸せを願いたいのにそれでも自分と一緒にいてほしいと思う、宇佐美自身の揺れる感情に何度も胸がぎゅっとしました。
なのでふたりの気持ちが交わってくれたのが本当に嬉しくて…!
そこから始まる爽やかで甘い恋人時間にもめちゃくちゃキュンとさせてもらいました。
宇佐美も青凪も自分自身に関することで悩んだり葛藤したりと、色々な思いを巡らせてきたからこその優しさを持っているなと感じます。
そういうところも相性が良かったのかもしれないですね。
優しくて思い遣りにあふれたふたりが、笑顔でいられる結末になってくれて本当に良かったなと思いました。
眼鏡が似合うイケメンで、イケボで料理男子で…と、最初は良いところばかり見えていた京ですが。
知れば知るほど残念ところが見えてくる感じが
めちゃくちゃ好きでした。
完璧な人ももちろんいいなと思うけれど、
脆さや弱さがあってこそその人自身の良さが
より輝く気がするんですよね。
なので、スマートだけどもグイグイいっていた
最初の印象と超絶ヘタレなギャップが本当に良かったです。
なかなか前に進んでいかない焦れったさ、
真正面からぶつかれないもどかしさなども全部含めて。
ふたりの大切な時間の積み重ねだったのだなと感じました。
一咲もギャップを持ち合わせている人なので彼らのやり取りには萌えがたくさんあって、
眼鏡もギャップのある人も好きな私にとって
ものすごく美味しいストーリーでした…!
表紙の彼らの雰囲気から爽やかさを感じたので、
高校球児たちの青春と恋のお話なのかなーと思っていたら。
ふたりの関係自体はそれに当てはまっていても環境やそれぞれの心の内がとてもシリアスで、
イメージしていたものとは違うカタチで進んでいくのがすごく良かったです。
雛木に対しての僻みからくるイジメは我慢すれば耐えられるようなレベルのものではなくて、
物理的な痛みよりも精神的に削がれて消耗していくような危うさに胸が苦しくなりました。
でもその部分があえて軽めのタッチで描かれていることで、雛木自身の潔さと諦めが入り交じる感情がよりよく伝わってきたな、と。
何とも言えない気持ちにはなるけれど、だからこそ強く引き込まれたところがありました。
そしていつも穏やかそうに見える初見もその胸には正しく葛藤を抱えていて、
ふたりが一緒に居るためにその葛藤ごと向き合い
ぶつかってしまうところはとても切なくて…。
それでもドロドロせずに前を向けるところに高校生らしい柔軟さと青春が感じられて、
重たい気持ちを引きずること無く読み終えることができたかなと思います。
部活内に存在する縦社会の息苦しさのなかで
それでも自分らしくいようと笑う雛木の健気な想いには色々と気付かされるものがあって。
想像以上に深いストーリーがものすごく刺さった作品でした。
ようやく心の距離が近付いてきたか…?というときに梶の転勤が決まり、
それぞれ言いようのない不安に満ちたところで終わっていた2巻。
離ればなれになって続くか、それともこのまま切れるか。
どっちに転んでも切ない展開になるなと思っていたのですが…
この表紙を見ただけで「あ。これは良い方向にいくな」と確信。
深見の表情がこれまでと全然違っていて、梶への想いが変化したことを瞳の輝きが伝えてくれていたので、安心して読み始めることができました。
序盤はこれまでと同じような攻防があり、ハラハラする部分もあるけれど。
深見の前ですっかり素を出せるようになった梶の飾らない言葉はしっかり深見の心へと届いて、
ついにふたりの気持ちは交わることに…!
いいシーンなのになんとなくビシッと決まりきらない、そんなふたりらしい緩さが逆にグッときて(笑)ものすごく感動しました。
これまでのふたりの日々を振り返るとだいぶ性欲に振り切っていたところはあるけれど、
その関わり合いの中で自分の中にある大切なモノをそれぞれに見つけて、それが彼ら自身が変わるキッカケにもなっているのが素敵だなと思います。
どちらか一方が歩み寄るのではなく、一緒に新たな扉を開けた場面に立ち会えて本当に幸せでした。
本編ラストの甘さを感じる『恋人同士』なやり取りがたまらなすぎる…!!
可愛い深見の破壊力、やばいです。
この余韻に浸りつつ、次巻も楽しみに待っています…!
インパクトのあるタイトルと、とっても美しい表紙に惹かれて。
読む前からものすごくわくわくさせてもらいました。
ふたりを繋いだのは「社交ダンス」ですがそれだけがテーマのお話ではなく、
淳と晃介の恋愛についてが主軸になっているわけでもなくて。
それぞれの人生に関わる細々した部分含めてのストーリーになっていて、それがうまく噛み合いながら進んでいくので読み応えがありました。
将来についての漠然とした悩みを抱えながら、
淳に対する気持ちにも心が揺れている晃介の同時進行な思考がすごくリアルで。
どちらも晃介には大切なことだと伝わってきたのがとても良かったです。
そしてそれを柔らかく見守る淳も自分自身としっかり向き合っていて、簡単には答えを出せない部分から目をそらさずにいてくれたのが素敵だなと思いました。
ふたりの恋の合間にダンスのことや亡き母への思いなど様々なエピソードが心地よく挟み込まれていて、情報量は多いけれども読み疲れなかったのもめちゃくちゃポイント高かったです。
社交ダンスというとやっている人もダンス自体も結構アツいイメージなのですが、
情熱を前面に押し出しすぎず、でも影は薄くさせず…という絶妙な描き方がツボすぎました。
静かに伝わる熱って本当に良いものですね…!
こちらが初コミックスとのこと。素晴らしいです。
おどる先生のこだわりとの情熱が詰まったお話、読めてよかったです。
上巻はヒリヒリしたところで終わっていたので
下巻を開くときはちょっぴり重たい気持ちでした。
タイトルはハッピーエンドとなっているけれど
麻矢のあの涙を見てしまったら
交わらない結末になる可能性を拭い去れなかったからです。
でも。それはまったくの杞憂で、想像もしていなかった幸せがたくさん待っている展開に驚き&感動。
気持ちが通じ合った後の未来までも描かれていて、大きくなった颯太郎の姿にもまたグッときました。
長く一緒に居ても麻矢への想いは色褪せること無く、全身から愛を放出しまくっている榛名の姿にものすごくほっこり。
そしてそれをなんだかんだ言いつつもしっかり受け取り、自分なりのペースで榛名へと伝えていく麻矢の不器用な愛の表現もとても良かったです。
そして。15歳になった颯太郎がこれまた立派な子になっていて、それを見れたのも本当に嬉しかった…!
たくさんツラい思いをした颯太郎だけれど
彼がスレたりしなかったのはきっと榛名と麻矢がそばにいてくれたからだよな、と。
色々な思いを持ちながら一緒に過ごした日々を、3人それぞれが大事に心に留めているというのが本当に素敵でした。
上巻と下巻の帯に書かれている言葉を回収するシーンにも心揺さぶられ、
ふたりが辿り着いた『MARRY MERRY』なハッピーエンドを改めて祝福したいなと思わせてくれました。
上巻から色々と考えさせられる部分も多かったですが、そういうところも含めて読み応えがあってすごく満たされました。
恋人にフラれて沈みきっている乃英の危うい雰囲気にハラハラし、そこに現れたパワー全開な松璃にちょっぴり驚いて。
そしてそこからお試しのお付き合いまで…と一気に進んでいくので、冒頭数ページでかなり怒涛の展開にはなっていますが。
その勢いのまま流れていくのではなく、それぞれの気持ちがしっかり伝わる丁寧なストーリーとなっていたのがものすごく素敵でした…!
喜びを全身で表現する子犬みたいな可愛らしさと、後輩キャラから脱するため一生懸命に想いを伝えてくれる優しさと愛情たっぷりな松璃のキャラ、最高すぎました…。
自分らしく乃英を大切にしたいと考える松璃の真っ直ぐな愛を浴びて、乃英の心が解けていくのも納得。
一緒に過ごす時間が増えるほどにふたりの間にある空気も変化して、気持ちが交わるまでのドキドキ感もたまらなく良かったです。
乃英の元カレ・恭悟はやっぱりとても大きな存在で、ふたりがすれ違ってしまうキッカケにもなるけれど。
恭悟がまた乃英の前に現れたからこそ、ふたりが前に進めたところもあったのかな、と。
自分の不安を拭うために乃英にツラい思いをさせたことは許したくないけれど、本気で乃英のことを好きだったのはしっかり伝わってきたので、
不器用すぎた恭悟にもいつか幸せが訪れてほしいなと思いました。
恋人同士の甘さや、そこにたどり着いて感動して涙している姿など。
心が温かくなるような場面がたくさんで、ものすごく満たされた作品でした。
2巻は甘々な雰囲気全開だったので、
その流れのまま進んでいくのかなーと思っていたのですが。
幸せたっぷりなシーンはあっても明仁の家族に関するエピソードが不穏な空気しかなくて、正直甘々どころではないな…と感じた3巻でした。
これまではそれぞれの気持ちだったり恋模様だったり、という部分がメインになっていたけれど
そこに家族のことも絡むようになってきて
関係がまたひとつ次の段階に進んだのがわかります。
これだけ想い合っていたら離れることなんて考えられないだろうし、そうなったら"親への挨拶"というのは避けられないイベントになってくるので
ふたりの仲もついにそこまで深くなったのか…なんて思っていました。
でも。想像したよりずっと重たい展開となっていて、それに悩む明仁がなんだか痛々しくて心配になってしまいます。
彼自身も不安でいっぱいなのだろうなと思うと、
継母の底意地悪い笑顔はより恐ろしく映ったのでした。
甘くて幸せなシーンから、気持ちが沈み込むようなところまで。
わりと振り幅が大きいですがそのおかげでメリハリのついたストーリーになっていて、ものすごく引き込まれました。
今後どうなるのかはまだわかりませんが、もっとツラいことが起きるのだろうことを覚悟しつつ
次巻もまた楽しみに待ちたいと思います。
表紙の美しさに心奪われて手に取りました。
柔らかく降り注ぐ木漏れ日を浴びて視線を交わしあうふたりがとても絵になっていて、
風にさざめく木々の葉の音まで聞こえてきそうな臨場感もあって。
そしてふたりの関係性までをも的確に表現しているのが本当にすごいなと思います。
錦木と倉岡を繋いだのは「庭」なので、
それぞれの気持ちの変化の合間にも庭の表情を見せてくれているのが素敵です。
お話を通してそれはブレることなく、彼らのそばに寄り添っているようにも感じて
静かに進んでいくストーリーを彩ってくれていました。
恋心に激しく突き動かされたり振り回されたりするようなところはないけれど、
穏やかな日々の中に見どころはしっかりあって
ものすごく引き込まれました。
ふたりらしく想いを伝え合い、そこからまた気持ちを育んでいく様子にじんわり心が温かくなり。
とっても幸せな気持ちにさせてもらえて嬉しかったです。
タイトルや表紙から感じる印象をまったく裏切らない、ものすごく綺麗なお話でした。
タイトルからも表紙からも『どんな話か?』というのはストレートに伝わってきて、
内容もそれを裏切らないものなので設定はとてもシンプル。
ですが、ストーリーを構成しているふたりの気持ちは単純ではないので、
その部分を知るほどにグイグイ引き込まれていった作品でした。
"良い兄弟"として過ごしてきたふたりのバランスが崩れてしまったのは切なかったけれど、
それが八尋の本心を解き放つスイッチにもなっていて。
戸惑いの日々の中で自分に素直になっていく様子からは彼なりの決意も感じられるのですが、
そこから静かに始まっていくドラマもまた、切なさがたっぷり。
それぞれがどんな想いを抱えていようが真正面からぶつかることすら許されず、
兄弟であるからこそなくならない壁があるのを突きつけられる…
そんな苦しみも感じました。
そこからものすごくツラい結末へと繋がっていくわけですが、バッドエンドではないことに心底救われます。
ふたりが離ればなれになったことにはしっかり意味があって、
今はまだ言葉にできないキハチの気持ちも揺らぐことのない八尋の想いも、きっといつか報われる日がくるのではないのかなと読み手として希望が持てるんですよね。
切ない余韻の中、そんな風に感じさせてくれるラストが素敵だったなと思います。
ここで完結とのことですが、いつかまたふたりに会えたらいいなと願います。