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エキスパートレビューアー2025

女性1740さん

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ラブコメでもシリアスでもあるかも?

美しい表紙に惹かれて購入しました。
いきなりエッチなシーン。3か月の出張で離島に行くことになった会社員の大和が、ゲイバーで出会った眼帯をする美しい藍色の瞳の蒼葉に一目惚れします。すると「お前のちんこは世界を救えるぞ」と叫ぶ蒼葉にラブホテルに連れられ…そんなギャグのような出会いからふたりの物語ははじまります。
蒼葉が最初は謎です。不思議ちゃんなのか、ふざけているのか、ただのビッチ受けなのか。シリアスな物語だと思っていたのにラブコメなのか?少し困惑するオープニングになっています。

そして大和は離島に着いてすぐに蒼葉と港で再会します。すぐにセックスを求められますが、真面目な大和はセックスは恋人同士でするもの、セフレは嫌だ、一目惚れした……と告白してしまい、お試しで島に滞在する3か月の間付き合うことになります。

藍葉の家のシーンによって母親が亡くなったこと、行方知らずの父親(義父)とうまくいっていないこと、痛くて苦しいセックスがしたいこと、キスをしたくないことが描かれています。もうわかりますよね?藍葉の過去が。どうしてふざけたように見せながらセックスに依存しているのか。
義父による藍葉へのレイプや刃物で傷つけられるシーンなどもあるので地雷の方はご注意ください。

義父による性的虐待によって覚えさせられた身体の快楽に嫌悪感を覚えながら、それがなくてはいけなくなってしまった藍葉ですが、鈍感で優しい大和を振り回しながら大和に一途に愛され、だんだんと藍葉も大和に癒されていく様子が描かれていきます。藍葉が少しずつ笑顔や無邪気さを見せてくれるようになるので、読んでいてとても嬉しかったです。
また大和も今までと違う恋愛と過去の恋愛で逃げてきた行動をすることによって、成長が見られます。互いにやっと出会えた本当に大切な人。大和が出会いたかった「運命」はきっと藍葉にとっても「運命」だったんでしょうね。野生のカンでしたもんね!

タイトルの「青藍の夜」は作中に出てくる印象深い夜の海のイメージと藍葉の瞳の色に藍葉の苦しい過去と胸の内のことだと思います。ずっと父親からの母親代わりのキスにトラウマを持っていた藍葉にとって、やっと救い出された大和によるくちづけだったんでしょうね。
ふたりとも前に進めてよかった!

ふたりのその後

前巻ではすれ違いから別れ、そして復縁してのハピエンでした。続編の今巻では、ふたりの幸せと成長した姿が見られます。

独立してレストランのオーナーシェフの遥とサラリーマンの晃成は、仕事の忙しさでなかなか一緒の時間を取れません。それでも幸せに過ごしていましたが、遥は物わかりのいい晃成を見て、自分の口下手さにロマンチストの晃成は不満がないかと不安になります。
前巻読んでる人は知っていると思いますが、晃成がめんどくさい性格なんです。察して欲しい感じが多々あるのにノンケの遥に対してゲイである自分と付き合ってくれているという思い込みもあるし。そんな晃成の想いをなんとか汲み取ろうとする遥は、それだけでめちゃくちゃ晃成を好きじゃん!って読者は思うんですが……。ふたりの凸凹な想いがなかなかピッタリハマらないのがこの作品のおもしろさでもあります。

今作では、遥の中学時代の元カノの登場や晃成の同僚との仲良しさ、晃成のいとこの結婚式などによりまた相手の気持ちを疑ったり嫉妬したり、自分の想いを押し付けすぎているのではと、互いに疑います。ただ互いに相手のためを思って、負担にならないようにがんばっているだけなんですけどね。
晃成としてはちょっと強引に抱かれるのも喜んでいますが、それを遥は無理やりやってしまったと思ってしまいます。ふたりとも傷つきやすいのに自分が発する言葉遣いや行為がそっけないので、無自覚に相手を傷つけてないか悩んでしまいます。それですれ違って別れてしまった前巻ですが、今巻はちゃんと話をします。またそんなこと考えて!言っちゃって!と読者は保護者な思いで読みむことも、惚気ちゃって!と友人気分で読むこともできます。ケンカップルではないけれど、拗らせカップルのふたりを読むのが好きな人は楽しめると思います。

もちろんハピエンです。家族はどう思っているのか不明ですが、友人に自分の恋人が同性だと話せるようにもなったので、ふたりの関係を秘密にしなくてもいい友人ができてよかったなと思いました。談したり惚気たりする相手ができたて、ふたりとも自分の中だけで悩みこまなくなりそうですね。

タイトルの「dozen rose」は「1ダース」のバラの花束のことで、12本のバラには1本1本「感謝」「誠実」「幸福」「信頼」「希望」「愛情」「情熱」「真実」「尊敬」「栄光」「努力」「永遠」と意味があります。パートナーへ想いを伝える贈り物として、ふたりのハピエンにぴったりな演出がありました。
ふたりがこのまま幸せに暮らしていきますように!

楽しい世界一周旅行ありがとう!

最終巻!とうとうあさひとみつきの世界一周旅行が終わります。
たくさんの国を訪れて、いろんな人たちと出会い語り、時には泣いたりケンカしたりしながらもふたりで楽しくやってきた旅。カナダで友人と出会い、改めてふたりで生きることの意味を考え、最後にやってきた国はオーストラリア。7巻も楽しく、そして胸にぐっとくるようなできごとがありました。
ネタバレなしでぜひ楽しんで欲しいです。

最終回!ふたりらしい最後の夜の晩餐にその翌朝、帰国前のドタバタも微笑ましかったです。
いつもポジティブなみつきの不安そうなところも、あさひが一緒だったからまた元気になれたり、ふたりだったからこその楽しさを改めて感じたり、前向きになれたあさひからの帰国後のプロポーズがすごくよかったです。空港からはじまって空港で終わったふたりの旅。すごくいいエンディングでした。

連載開始がコロナ禍だったこともあって、読者も一緒に旅に出ているような気持ちになれるとても楽しい作品でした。
もうふたりに会えないのは寂しいと思っていたら、スピンオフがあるとのこと。みつきの大学時代からの友人・薫とシェアメイト・ポールのふたりがどうなるのかそれも楽しみです。
みつき、あさひ、楽しい世界一周旅行ありがとう!

めちゃくちゃラブラブ!!

甘々です!前半はほぼふたりののろけ!めちゃくちゃかわいい、そして平穏なふたりの同棲生活が読めます。
物語は「ドメスティックビースト」の2年前なので、桜次郎の殺人に関することがチラリと出てきて、その殺人事件とバイターについてアンナを探っている記者がみつるに接触することで起こる、アンみつのふたりの相手を思いやっての隠し事のお話になります。
3巻においてのこの軸である事件については、ぜひネタバレで読んで欲しいです。その方が楽しめると思います。

でも本当のメインストーリーは、隠されたみつるの気持ちです。もちろん隠すことのできない愛情表現や愛される行動はめちゃくちゃかわいいし、アンナの溺愛ぶりや嫉妬心なども今まで以上に表現されています。ふたりのちょっとしたしぐさやセリフがすごーーっくいいです!ラブラブで幸せでめちゃくちゃ甘々です!!
幼い頃からのふたりの絆がさらに深まった3巻になっています。

もともと続く予定じゃなかったBL作品が人気になり、1巻、2巻、3巻と続いてもここまで楽しめる作品はなかなかないのではないでしょうか。とてもおすすめです。

おげれつ先生だからのラブコメ

最初のページから大和の辛い過去が出てきます。貧困の中で育てられ、世の中は金だと思い込んでいます。そして悠星はお金持ちでNo.1ホストのようでしたが、愛されること、褒められることに餓えています。
おげれつたなか先生のキャラは家族、特に母親との関係がうまくいっていない子が多いですよね。親からの愛情を受けなかったから歪んだ認知、暴力が描かれていることが多いです。

周りからバカにされたり暴力を振るわれたりしている悠星を助けながらも、悠星の裕福な暮らしに嫉妬をして大和は無理やりフェラをさせます。それでも「よかった」と言ってもらえてだけで喜ぶ悠星の笑顔はすごくかわいくて毒気を抜かれてしまいます。
ふたりは酒盛りして「ホスト王になるぞ!」と盛り上がりますが、翌日にはもう「ニューチューバーになる!」と言い出す悠星に呆れる大和。
それでも一緒に過ごして、エッチして動画も撮っていきますが。なかなか視聴回数は伸びません。ふたりの周りにいる他人を利用する人たちとの絡みもありながら、お金と嘘のある中で楽しく一緒に暮らしていくふたり。
お金を渡すことで誰かと一緒に過ごせた悠星と、お金がないことで誰とも過ごせなかった大和。そんなふたりの想いが少しずつ変わっていき、恋をしていくお話になっています。

ふたりはめちゃくちゃ能天気です。おバカで破天荒です。だから辛いことが描かれていてもそんなに痛々しくないです。暴力はわりと出てきますが、それでもラブコメと言えるのはおげれつたなか先生の作品だからでしょうね。
なんだかんだとまるっと収まってしまう物語展開。ふたりの過去やキャラの説明もうまくまとまっているし、見た目もすごくいい!もちろんエッチもたくさんあって、かわいさもかっこよさも切なさもワクワク感もすべて詰め込んである1冊になっていました。

描き下ろしの互いに必要とされて愛されて、楽しく暮らしていけるふたりのハピエンを読めてよかったです。かわいかった!

How to melt コミック

末広マチ 

安定のうまさ

末広マチ先生のBloom.レーベルでは初のサラリーマンBLでしょうか?Qpaレーベルの作品とは違ってかわいいカプのお話になっていると思います。今作、色の塗り方を変えたそうですが、ちょっと絵の感じも変わったのかな?
タイトル「How to melt」の通りに雪深の心を芽吹が「どう溶かしていくか」が物語の鍵になっているようです。わりとわかりやすく定番な感じなのでとても読みやすくなっています。BL初心者にもおすすめです。

雪深が恋愛に対して冷めている理由や芽吹の恋した理由なども無理なく感じられたし、ふたりのファーストキスのシーンのさりげなさはさすがだなと思いました。安定したうまさですね。
一途な後輩が憧れの先輩にアプローチして、だんだん恋になっていく様子が丁寧に描かれているので、エッチは最終回までありません。でも描き下ろしにもがっちり描かれているので、物足りなさはありませんので、かわいいふたりのお話だけでなくエッチもぜひお楽しみください!

かっこよくてかわいかった

1、2巻よりもふたりの性格や表情や行動に広がりがありました。
「かっこつけてる間は一生かっこ良くなんてなれねえ」
レオに嫉妬するタカラにガクがキスした後に言うタカラのセリフがとてもよかったです。
受けだってかっこいい!守ってもらいたいわけじゃない!攻めだってかっこいいだけじゃなくて、時にはかわいくもなさけなくもなる!
ガクの前でかっこつけていたけど、拗ねたり焦ったり嫉妬したりするかわいいタカラの方が今までよりより魅力的に感じました。高校生らしいし!大人になる前の青さがとてもよく表現されていると思いました。

レオがガクに会いに来た理由、ガクがイギリスで過ごしていた過去、自分を信じることの大切さ、素直になることのかっこよさなどが3巻では描かれています。
レオという当て馬のような「過去の男」が出てきて、タカラもそしてガクも仲良くしている相手に対して嫉妬しますが、物語に無理やりな感じもわざとらしい感じもありません。3巻まで続くと時々惰性で続いているようなワンパターンのような作品もありますが、この作品ではそんなことを感じることもなく、学生時代の友人関係っていろんなことがあるよねと思える物語展開になっています。
タカラとガクだけの恋愛物語ではなく、ふたりの周りにレオや侑にサクラちゃんたち同級生やガクの父親など魅力的なキャラクターもたくさんいるから読んでいてわくわくできました。芸術祭の様子にレオ自身のことを読むのも楽しかったです。

もちろんエッチなシーンはすべて濃厚でとてもえちえちでした!嫉妬しつつもずっとラブラブのふたりを読めるのでご安心ください!

后と河 2 コミック

山中ヒコ 

王佳がかわいい!

1巻の終わりに「完璧」であったはずの皇帝が自分だけに見せる弱さにドキリとした王佳。皇帝のお役に立ちたいと思いますが、どうしたらいいのかわかりません。
規則だから自分の身体を触り、その結果、皇帝の手を汚してしまったことを恐れ多いと涙目になるのもかわいいし、無邪気に男同士の閨のことを聞いてびっくりするのもとてもかわいい!そして近習の真単と付き人の端正の試してみる?なんて様子もかわいかったです。

もともと河のことしか興味がなくて人の気持ちを汲み取れない、今で言う発達障害なんでしょうね。皇帝に恋をしはじめて、表情も豊かになってきて、周りの人もその変化に気づきますが、初心で鈍感なんです。自分の気持ちにも相手の気持ちにも。だって皇帝は最初からめちゃくちゃ優しいし特別に対応してくれているのに、自分も恋い焦がれているのに。
自分は妹の身代わりだから、男だからと皇帝への想いを素直に伝えられません。
皇帝は好きでしてるんだってわからないのもかわいいんだけど、河工事の仲間に嫉妬するほど王佳が好きな皇帝がだんだんとかわいそうになってきます。
皇帝が欲しいのは身体じゃなくて王佳の心だから、臣下として尽くしてほしいわけではないので、最後まで手を出しません。そのままふたりの気持ちがすれ違ったまま、王佳は河の視察で旅立ちます。
そんなふたりなのですが、河の視察に行って離れ離れになることによって、やっとどれほど相手を愛おしく想っているかに王佳は気づきます。よかったよかった!
ふたりは自分の気持ちを伝え合って両想いになり、心も身体もひとつになります。
そして3巻へ続きますが、皇帝の後継者問題や河工事のリーダー王悟たちとの関係もどうなるのか?妹のことはどうするのか?これからの皇帝の手腕が楽しみです!

この作品はBLだけでなく昔の中国の様子や河工事の話なども知ることが出来るので、物語やキャラに深みが出て読んでいてとても楽しいです。長く続いてほしいなと希望しています。

激しさはなくても萌えは語る

ろじ先生らしい思わせぶりなキャラに素直になれないキャラ。
不眠症に悩む小説家の恵人と、喫茶店で隣に座る寝具メーカー勤務の古河。
恵人が新商品のモニターになることで、ふたりはよく話すことになります。ノンケとゲイなのかな?そこでまずときめきはあっても前に進めないもどかしさがあります。
添い寝をしてほしい理由や寂しさ、過去の失恋に「自分じゃない」という失望感、そのキャラのことを知ることによって好きになっていきます。

そして今作にもかわいい子ども、恵人の姪の莉里ちゃんが登場します。切ない物語の中に笑顔をくれますよね。
恵人が姪や妹と過ごすことによって、子どもの頃に妹とふたりで過ごしたことや、「誰かと繋がるために書く」ことに気づき、メインキャラのふたりだけじゃなくて周りの人たちも前に進むきっかけを作ってくれるのも、ろじ先生ならでは。

恋愛のドロドロさや激しいエッチなシーンはなくても萌えが語っています。十分に登場人物の大事な気持ちの揺れや変化が上手に描かれています。
ふたりの瞳、掴む糸の表現や手を繋いで歩くシーンなど、言葉じゃなく行動・絵で上手く表現されています。わざとらしさがなくて、すごく素敵です。
お仕事系であり日常系であるろじ先生のBLは、読んでいてとても穏やかな気持ちで幸せになれます。今作もその通り!ぜひ楽しんでください。

各話の間に描かれている喫茶店のベンチに座るふたりのイラストも、物語を読みながら行間を妄想できて楽しかったです。

陽介の過去

キスしそうになったことを「冗談だから」と言って誤魔化して逃げ出した陽介。同級生たちの同性愛者についての差別的発言に傷つきます。自分の気持ちを認められなくて、女性と関係を持とうとしても気になるのは百合川先生のことばかり。
そんな時に先生に偶然会い、実は誰にも恋したことがないけれど、自分への想いが好意なのではと伝えられます。「大切なものが周囲の目より価値があると思えるぐらい好き」と素直に言える先生に、陽介はまだ恋だと認められなくても先生をモデルに絵を描きたいと願います。

ヌードモデルになってくれて先生の身体を見て興奮し、結局ひとりでそれを慰め、やっと恋だと認めます。
そして、陽介が頑なに同性に恋することにおびえている理由がわかります。カトリックファミリーとして暮らしていた中、大好きだった兄に同性の恋人ができたことによって親が拒絶した過去。
同級生にからかわれて強く否定しまい、先生に顔向けできなくなったり、姉の結婚式で実家に帰って息苦しさを覚えたり、大切な人を傷つけて自分を苦しめているのは自分だと気づいてきます。

先生との待ち合わせの場所にストーカーが包丁を持って現れます。陽介を庇って刺される先生に包丁を掴みストーカーに立ち向かう陽介。大事な人を守るため、すべてをさらけ出して助け合うふたり。
このことによってふたりは強く結ばれます。周りの人に認められなくても自分を信じ、周りが見えていなかった自分に気がつかされたりもします。陽介は頑な過ぎたんですね。怒りと悲しみと愛をやっと解放できたようでした。

セックスはしていません。キスをするぐらいで。でもエッチなシーンはなくても十分に満足できる作品になっています。絵も巧みですし、物語運びも上手いです。
自分の好きなものに素直に!そんなメッセージが強く伝わってくる物語でした。

タイトルの「月とピエタ」聖母マリアのあの顔に衝撃を受けたのは自分への怒りとも思えたのでしょうか。カトリックの教えの元に同性愛者であることの苦しさは耐え難い苦しみだと理解できます。でも導いてくれる月に出会えてよかった!そしてピエタは美しいものの象徴であり、また「救済」でもあるから。

デビュー作かな?上手いなと思ったら、青年・少年漫画のコミカライズを描かれていたみたいで、BL漫画ははじめてのようです。これからもBL作品を描いてもらえたらいいなと期待しています!