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女性ポッチさん

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エロたっぷり、愛情もたっぷり。

作家買い。
表紙は前作『千夜一夜ハッピーエバーアフター』のルト×ジャマルの2人のイラストですが、全部で4CPのお話が収録されている短編集です。あとがきで拳さんも描かれていますが、受けさんが全員褐色肌。そしてガチムチ。これがまた美しい!

拳さんらしい、と言っていいでしょう。エロ度はどれも高め。ガチムチさんたちが組み敷かれ、そして喘ぐシーンはなんとも言えない色香にあふれていますが、エロだけに特化した作品では決してなく彼らの間に流れる愛情がきちんと見える作品なのでどれも読んでいて気持ちがほっこりします。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。


表題作『千夜一夜アラビアントゥナイト』。
んーと。
成長したルトがカッコ良い!
前作はルトの幼さも目に付いていましたが、きっちり成長した彼のなんとカッコいいことよ。
見た目はもちろん、中身も昔からの優しさと愛情を持ち合わせたナイスガイっぷりが変わってない。

ジャマルに指輪をプレゼントしたい。

ハネムーンということで旅行に赴く二人だけれど、そんな思いを抱えたルトは彫金師を探して―。

魔人と人間。
異なる時間軸を生きる二人の、切なくも温かい愛情に満ちたお話でした。

『千夜一夜ステイナイト』
ルトが指輪を作ってもらった彫金師・ヴァプラのお話。

ヴァプラのもとに一人の人狼がやってくる。

弟子にしてほしい。

そう申し込むその人狼、オリアスには秘めた思いがあって。

「ゲイ」という性癖に悩むオリアス。
「魔人」ということで人と同じ時を歩むことができないヴァプラ。
種類は異なれど、悩み葛藤する二人が選んだ道は同じで―。

孤独に生きてきた二人が出会い、そして恋をした。
人に幸せを与えたい。そんな優しい思いを抱えた二人に、ずっと幸あることを願って。

『堅物清楚な石油王』
大学生×石油王のお話。
普通なら出会うことがない大学生と石油王、というCPですが、バックボーンがお上手で無理のないストーリーになっています。

しいて言うと二人の間に育っていく恋心が見えづらかった気がしましたが、褐色肌のガチムチさんがエロく乱れるさまが堪能できる作品です。

『麗しきシャングリラで強制交配』
タイトルから若干痛い話をイメージしましたが、いやいや、痛い展開は皆無。短編ということもあって短いお話ではあるのですが個人的にはめっちゃ好きなお話でした。

仕事の最中に船から落ち遭難してしまったカメラマン(もどき)のトモヤ。
そこで彼は紆余曲折あって、村の長の息子のココと結婚することになるが―。

トモヤがまあまあのクズ男なのですが、ココが健気で萌え禿げました。

ココが両性具有なので、もしかしたら好みが分かれるかもしれません。
が、ココがめっちゃ可愛いの。褐色肌で、ガチムチで、ビジュアルはめっちゃイケメンなのに可愛いんです。そのギャップがたまらん!

最後のハピエンも非常に良き。
幸せなお話でした。

拳さんの描かれるガチムチなイケメンさんがたくさん登場するのでとにかく眼福。できれば短編じゃなくて長編でがっつり描いてほしかったな。それだけ、どのCPも魅力あふれるナイスガイたちが描かれています。

が、どのお話も短編らしからぬ満足度もぎっちり。
短編ならではの早い展開でありながら、魅力あふれる登場人物、そして無理のないストーリー構成ゆえかと思われる。

魔人あり、人狼あり、ガチムチあり、褐色肌受けあり。
設定も魅力もてんこ盛りの、ナイスな1冊でした。

ほのぼの、な1冊です

『史郎くんのいちばんめ。(4)』は、これ単体でも発売になりましたが、「もげたま新作セット」も同時に発売になりました。

「もげたま新作セット」は、
・史郎くんのいちばんめ。(4)
・SHIRO×RENGE NAKAYOSHI BOOK
・「史郎くんのいちばんめ。(4)」B3サイズ感温ポスター
の3つがセットになったもの。とらのあなさんの専売商品です。

ということで、「SHIRO×RENGE NAKAYOSHI BOOK」のレビューを。

大きさはA5サイズ。16P。

表紙・裏表紙と、その裏に2P分のカラーイラストが収録されており、他には4コマ漫画とモノクロイラストが収録されています。基本的にTwitterとfantiaで公開されたイラストが収録されています。

A5サイズということでやや小ぶりなサイズながら、とにかく表紙が可愛い!淫魔ちゃんかな?に扮したれんげと(しかも「poyo~」って言ってる…)、そのれんげを見てハートマークを飛ばしている史郎くん、という甘々なイラストなのです。

本誌では史郎くんはツンデレ、に見えて実はれんげにベタ惚れ、と言った感じで描かれていますが、今作品は史郎くんのデレ要素満載です。れんげに対して執着心むき出しな様子が全面に出ていて、

めっちゃ良い…!

とにかく、ひたすら可愛い内容で、ページを捲るたびにほのぼのしてしまう可愛らしい1冊でした。

シリアス展開に突入しました

田中森さん作品の『ところで今は何番目でしょうか。』の続編にあたる『史郎くんのいちばんめ。』。今作品は『史郎くんの~』の4話目にあたります。

2020年4月5日に開催される予定だった(諸事情により中止されましたが)J.GARDEN48の新刊です。

田中森さんは電子も多く扱う作家さまですが、個人的に紙媒体のものが好きで手に入る限り紙媒体のものを購入しています。前3話は表紙がつるつるの紙質でしたが、今作品はざらざらでマットな紙質。どっちも良い!そして表紙のイラストがめっちゃ綺麗。タイトルの文字がキラキラなのも素敵だし、れんげのピアスをモチーフにしたイラストも良き。れんげちゃんの涙の表現の仕方も良い。こういった細部まで楽しめるのが紙媒体の大きな魅力の一つだと思うのです。

と表紙の素敵さにうっとりしつつ眺めましたが、表紙のれんげちゃんが泣いてる…。
今までは幸せそうなれんげちゃんのイラストだったので、その変化にややビビりつつ読み始めました。

前作でれんげの弟・のえると史郎くんの意外な接点が描かれていましたが、今話でのえるvs史郎くんの闘いの火蓋が本格的に切って落とされました。

ピュアっ子だったれんげがtkbにピアスを開け、テレフォンセックスをする。
そんな変化を、のえるは史郎くんのせいだと憤慨し…。

れんげが金髪にし、tkbにピアスを開けたのは紛れもなく史郎くんのためであり、なのでのえるの予想は大方はあっているわけですが、れんげは史郎くん一筋なのでのえるの抗議に対しては一刀両断。そんなれんげに業を煮やしたのえるはとある人物に救いを求めるが―。

れんげのバイト先の先輩の渡橋さん。
イケメンで、親切で、なによりれんげを大切に想っている。
れんげのバイト先に元セフレの女の子と同伴で赴く史郎くんと比較してしまうと常識を持ち合わせている大人の男性ではあるのですが。

『史郎くんのいちばんめ。』は、終始史郎くん×れんげの甘々、ほのぼの、そしてエロエロで進んでいましたが今話に入りややシリアスムードに突入しました。

二人の仲を反対するのえるの存在。
渡橋さんというナイスガイな当て馬さん。
そして、れんげと史郎くんの喧嘩。

史郎くんもツボキャラではあるのですが、渡橋さんがカッコよすぎて悶絶。当て馬さんはもっと嫌な奴でないと困るんですよね。だって攻めくんだけを応援できない…。

が、このカッコよく、パーフェクトな当て馬さんが今後どう動いてくれるのか非常に楽しみ。なんなら、のえくん(れんげはのえるをそう呼ぶ)とくっついてくれてもいいんだけど…。

表紙の紙質、イラスト、そしてストーリー。
今までのほのぼのな展開と異なる表現に、続編が待ちきれない!

本誌最後に、田中森さんのコメントとして2020年の夏~秋にかけて『史郎くんのいちばんめ。』の1巻が発売になるとの記載が。楽しみ過ぎる。

正座して、お待ちしております。

深い愛情に萌えが滾る

作家買い。

犬飼さんの描く官能童話シリーズの最新刊です。「人魚姫の弟」→「白雪姫の息子」→「シンデレラ王」→「赤ずきん王子」に続く第5作目。「人魚姫の弟」はフルール文庫から出版されているので公式には4作目、ということになるのかな?でもKADOKAWAさんから出版されているので第5弾ということで良いかなと思います。

童話をベースに犬飼さんらしいエッセンスとエロスをぶっ込んだ今シリーズは笠井さんが絵師さんを担当されているということもあって個人的に大好きなシリーズなのですが、中でも今作品が一番好きかも。

とにかく攻めさんの健気さと一途さに萌えが滾る!

童話って、実はかなりブラックな内容のものって多い気がしています。
愛、というものの残酷さを描いているからなのかな、と思っていますが、「眠れる森の王」も同じ。愛というものは、優しさや、温かさだけを運んでくるものではない。

甘くって優しいお話は多くの読者の心を掴みますが、今作品は、人間の残酷さや欲深さもきっちりと描いている。甘いだけじゃ物足りない、そんな腐姐さまに激しくお勧めしたい酸いも甘いも噛み分けた作品でした。

主人公は薔薇王・フィセ。
芳しい白いバラを生み出すことで、国に利益をもたらす妖精。
そんなフィセは恋をした。自分のもとに果敢にやってきた騎士のスペンサーに。情熱的に愛をささやき、快楽を与えてくれるスペンサーに身も心も捧げてしまうフィセだけれど、実はスペンサーは…。

薔薇王として数多の白薔薇を生み出してきたフィセだけれど、スペンサーに騙されていたことを知ったフィセは棘のついた黒いバラしか咲かせなくなってしまう。白いバラを金銭に変えることで富を得ていたこの国は貧困に喘ぐようになり、フィセも侮蔑の対象となってしまう。

愛を知り、けれど裏切りも知ったフィセを救ってくれる存在は現れるのか―。

と、そこを軸に進むストーリーです。

もうね、設定が素晴らしい。
「薔薇」が、フィセの内面をきっちり描く小道具としてフルに使われているのですが、この描き方が素晴らしくお上手。無理なくこういう展開を導き出せる犬飼さんに脱帽です。

フィセはスペンサーを恨みたくはない。
けれど許すこともできない。それはスペンサーという自分を裏切った人物に対する憎悪ではなく、スペンサーを信じてしまった自分への叱咤でしかない。なので、彼の想いが昇華していく術がないんですね。スペンサー云々ではないからです。

だからこそ、彼は黒バラしか咲かせることができなくなってしまった。

そんなフィセを救うのは、スペンサーの息子のオーレリアン。
オーレリアンは、フィセに出会ったその日からフィセに夢中。他の何者にも靡くことなく一途にフィセを想う。

ワンコ攻めの鑑ですよ、オーレリアンという攻めくんは。

どんな障害も真正面から立ち向かい、自身の正義と愛を貫こうとする。
そんなオーレリアンの想いに少しずつ自分に対する枷を外していくフィセだけれど。

うーん、ハピエンになるだろう、とは思ってるんです。
最後はきちんと二人が結ばれるのだろうと。

でも、二転三転する展開にハラハラドキドキしっぱなし。
息もつかせぬ展開で、最後までページを捲る手が止められませんでした。

オーレリアンの一途な想いに萌えが滾りましたが、フィセも良い…!
彼の葛藤、苦しみ、そしてそこから這い上がりオーレリアンのために自分を犠牲にするその愛情にも激萌え。

最高か。

で、その萌えをさらにアップさせるのが笠井さんの挿絵。
美しいですね。さすがとしか言いようがない。
口絵のイラストが、また素晴らしい。このシーンを切り取るその感性に、してやられました。

設定。
ストーリー。
キャラ。
そしてイラスト。

どれをとっても素晴らしかった。
官能童話シリーズの中ではエロ度はかなり低め。が、オーレリアン×フィセの濡れ場はどれも優しく、美しく、そして温かかった。

文句なく神評価です。

キャラが全員魅力的。

上巻と同時発売になった『高嶺の花は散らされたい』の下巻。

上巻は攻めの連雀さん、そして下巻は受けのハナちゃんが表紙に描かれています。同じシーンをそれぞれの視点から切り取ったそれぞれのイラストだと思われますが、さすが左京さん。美しい!

そして、ですよ。
上巻は連雀さん、下巻はハナちゃんのイラストなのに、上巻はハナちゃんの想いが、下巻は連雀さんの想いがメインで描かれています。なんというニクい演出か…。

と、表紙だけで萌えている場合ではありません。
下巻もすっごく良かった。

連雀さんがハナちゃんの、というか、Ωを、と言った方が良いですかね。
受け入れることに抵抗がある理由が描かれています。

彼の父親の番だったΩ。
彼女(父親の番のΩは女性だった模様)を、連雀さんは愛してたんじゃないかなあ…。
だからこそ、Ωを信じることができずにいた。番なんていらないと思っていた。

そんな連雀さんゆえに、ハナちゃんに対する当たりも最初は厳しかった。

が、ひたむきに自分を想ってくれるハナちゃんに少しずつほだされていって…。蒼葉に対して嫉妬心むき出しで立ち向かう連雀さんのなんとカッコいいことよ。

受けのハナちゃんはもちろん可愛い。
可愛いのですが、今作品の大きな魅力の一つは、キャラたちが等しく優しく魅力的だということ。

連雀さんの、内に秘めたΩに対する想いや、ハナちゃんに対する想いは、序盤キツイものがありましたが、彼の根っこは非常に男前で、そして優しい。口が悪く、横柄な態度を取り続ける連雀さんではありますが、そんな彼の男気がめっちゃカッコいいのです。

そして、今作品の当て馬くん・蒼葉。
彼も良い男でした。

ハナちゃん、蒼葉兄弟の両親についてはさらりと描かれているだけ。もう少し突っ込んで描いてくれたらなあ、と思う気持ちはあれど、蒼葉という青年は、心からハナちゃんを愛していたんですよね。兄弟という枷、そしてαとΩという壁が、蒼葉のハナちゃんへの想いの障害になったわけですが、彼も決して悪い子ではなく、むしろ10年という長きにわたりハナちゃんを一途に想い続けてきた健気っ子であることに変わりはないわけで。

彼メインのスピンオフを描いてほしいな。
絶対萌える作品になると思うのだけれど。

下巻は連雀さん×ハナちゃんの想いが通じ、濡れ場がキタコレ。
エッロ。
そして甘々。

連雀さんの持ちものを持ち込んで巣作りするハナちゃんの可愛さにKOされ、連雀さんの男臭い色香に萌え禿げ、蒼葉の一途さにも萌えが滾る。

「オメガバース」というバックボーンから、どんなストーリーを紡ぎだすか、作家さんの技量に問われる部分は大きいですが、さすが左京さんと言わざるを得ない神作品でした。

エロあり、健気受けの想いあり、コミカルさあり、のバランスが素晴らしい。

左京先生×オメガバースもの、ということで発売を楽しみに待っていました。エロに定評のある左京先生が描くオメガバースですから、まあとんでもなくエロいんじゃなかろうか、という予想を抱いていましたが。

うん。めっちゃ良かった…。

いや、もちろんエロいんですよ?
エロいんですが、それだけじゃないっていうのかな。
いい意味で、今までの左京作品とはイメージを大きく変えた作品だったように思います。




カフェに勤務するハナは、αに思われているが実はΩ。
26歳になる今も発情期が訪れず、恋人がいたこともない。
そんなハナには片想いの相手がいる。カフェの常連である連雀だ。
圧倒的なαのオーラを放つ連雀にひそかに想いを寄せているが、その想いを連雀に告げる気はない。自分の想いが成就することはないことを、ハナは知っているから。
そんなある日、ハナの弟・蒼葉がやってきて―。

というお話。

左京さんと言えばツンツン受け。
そして、スパダリ。
そんなイメージが個人的に強いのですが、今作品の受けちゃん・ハナはとにかく可愛い!ツンツン、どころか、攻めさんのことが好きすぎでデレデレなのです。

反対に言うと、左京作品の代表作と言っていいでしょう、『クロネコ』シリーズの真悟のようなツンデレちゃんがお好きな方には肩透かしを食う受けちゃんかもしれません。初っ端から攻めの連雀のことが好きなのが駄々洩れですし、オメガバースという設定のせいなのか若干女の子っぽいっていうのかな。濡れ場の最中の言葉遣いとか表情が、男の子というよりも女の子のそれに近い感じがします。

が。

イケメンでαに勘違いされるほどのオーラを放つハナでありながら、オメガである、というただそれだけのために彼が受けてきた過酷な過去、そして現実がさらりと描かれていて、彼がただの甘ったれのカワイ子ちゃんではないことが読者にわかる。その描き方が実に秀逸で萌えが滾ります。

ハナは連雀と恋人になることを願ってはいないんですね。だから恋の駆け引きはハナちゃんの頭にはない。

ただ、連雀さんが好き。

それだけが、ハナちゃんの想いであり、その想いを持ち続けることが彼の願いなんです。

すっごい一途な健げ受けちゃん。
もうこれだけで萌えはげます。
なのですが、今作品は切ないだけのお話ではありません。

ハナちゃんという青年は非常に豪胆なのです。
仕事には一生懸命。
連雀さんに対しては一途で恋の成就を願っていない。
だからこそ、彼のひたむきさが計算づくなものではなく、時にコミカルに、そして時に大胆な行動になって現れるんです。
その一途さと、コミカルさのバランスがすごく良い。

今作品は上下巻同時発売になりました。
ワタクシは声を大にして言いたい。

絶対、上下巻まとめて購入されることをお勧めします。
上巻だけで終わるとか、とんでもない寸止めプレイになります。

上巻はハナちゃんの発情期がやってきたこともあって早い段階で連雀さん×ハナちゃんの濡れ場が描かれています。左京さんらしいエロエロな濡れ場が堪能できますが、二人の間に愛情があるわけではないのでこれがまたエロい上に切ないというダブルパンチで読者の心を鷲掴みにすること必至です。

エロさあり、一途な健気受けの片想いあり、コミカルあり。
1冊で何度もおいしい作品でした。

心に突き刺さる「純愛」のストーリー

愁堂作品の『淫夢』のスピンオフ作品。『淫夢』で登場した、ミステリアスなお金持ち・神野才が登場するお話です。

才は今作品の重要な立ち位置にいる男性ではありますが、あくまでサポート的な立場にいる人物なので前作未読でも問題なし。ただ、彼がどんな人物なのかは前作を読んでいた方が分かりやすくストーリーに入り込みやすいかもしれません。

ということでレビューを。
ストーリーはすでに書いてくださっているので感想を。

笠井さんの挿絵目当てで購入した作品。

が。

めっちゃ面白かった…。

今作品の主人公は商社に勤める夏樹。
兄・冬樹を亡くし、哀しみの底にいる彼を中学生の時からの親友である東雲がなにくれとなくサポートしてくれて。

実は東雲は、ずっと夏樹のことが好きだった―。

というお話ではあるのですが、今作品は東雲×夏樹の恋の成就のお話ではありません。

冬樹の遺品を整理していた夏樹は、冬樹が写った動画を見つけてしまう。その動画には夏樹が知らない、兄の姿が収められていた。淫具でみだらな姿をさらす、冬樹の姿が。

この動画を取った人物がいるはず。

そう確信した夏樹が、その人物を探そうとする謎解きのストーリーです。

正直、読み始めたとき、兄ちゃんのそんな動画は見て見ぬふりをしてあげればいいのになー。なんて思ってたんですよね。読後も、その思いは変わりません。ぶっちゃけて言ってしまうと、今作品は「誰が兄ちゃんの淫らな姿を撮ったのか」というところを軸にしたストーリーでしかないんです。

ないんですが。

この作品の主人公はあくまで東雲×夏樹。
が、この二人の恋の成就を通して見えてくるものは彼らの恋愛模様ではありません。

冬樹の、切なく、一途な恋のお話なんです。

そのストーリー展開が、実に秀逸。
冬樹を主人公にせず夏樹を主人公にすることで、謎解きの側面を持たせ、話の結末が一体どうなるのか、読者を一気にこの作品の持つ世界観に引きずり込む。

前作『淫夢』は、主人公が刑事だったこともあり謎解き、あるいはミステリーの要素が盛りだくさんでしたが、今作品はミステリーの要素は皆無。皆無ですが、最後のオチにすべて持っていかれました。

笠井さんの描かれた表紙、そしてタイトル。
一見エロ度の高いストーリーを思い浮かべますが、紛れもなく純愛を描いた作品でした。

最後の最後まで、冬樹が報われることはない。
プロローグ、そしてエピローグ。
これがまた、なんとも言えない冬樹の想いを現していて切なくなります。

そんな冬樹を差し置く形で夏樹と東雲が幸せになることに若干納得できない思いを覚えつつ、けれど非常に面白く読みごたえがある一冊でした。

特筆すべきは「才」という人物の描き方でしょうか。
非常に個性豊かで強烈な存在感を放つ人物でありながら、彼は「恋愛」という側面では完全に蚊帳の外にいます。が、彼がいなければ、今作品は成り立たない。

彼が恋愛というベクトルから外れているがゆえに、今シリーズはこれからいくらでもスピンオフ作品ができそうなのも良し。

ということで、続編を正座してお待ちしています。

攻めさんのカッコよさに悶絶。

初読みの作家さまでしたが、小山田さんの美麗表紙につられて購入。

タイトル、そして表紙のイラストからも推測できるように、今作品は「竜」がベースにあるファンタジーもの。この世界観がすごい。複雑でダークな竜の世界ですが、きちんと細部まで設定が盛り込まれ、さらにその世界観をきちんと描き切っているために一気にこの作品の持つ世界観に引きずりこまれました。

文章の書き方って好みがあると思うのですが(技巧ではなく好みの問題です)、個人的に非常に読みやすい文章を書かれる作家さまで、読み始めたら最後、最後まで一気読みしました。

内容はすでに書いてくださってるので感想を。



警備員の圭は、仕事中に瀕死の状態の少女・ユタと出会う。異世界から来た、と説明する彼女に困惑しつつ、死の淵にある彼女の願いを聞き入れる形で竜の世界であるレシディアへと赴くことになる。

お腹の中に、竜の卵を抱えて。

ユタからその卵をマルーシャという男性に渡してほしいと懇願された圭はレシディアで竜人たちに襲われつつマルーシャを探すが―。

ストーリーとしてはかなり王道です。
自分の意志ではなく異世界トリップしてしまった主人公が、その地のスパダリに助けられ、少しずつ他の住人達に受け入れられ、幸せになる。
基本的なストーリーは、そういった「よくある」お話。

なんですが。

この「レシディア」という国の闇だったり、レシディアに住むのは、竜と、人間と、竜と人間の子である竜人、の三種類である、と言ったバックボーンが非常に壮大で面白い。やや複雑ですが、文章が読みやすくするんと理解できる文章力も素晴らしかった。

圭という人物もなかなかイケメン(ビジュアルも中身も)なのですが、攻めのマリウス(ユタにマルーシャと呼ばれていた青年)が、

めっちゃカッコいい…!

正義感と、男気と、優しさを併せ持ち、自分の信念を貫く強さも持っている。まさにスパダリです。

スパダリながら、彼は健気さんでもある。
圭に惹かれてなお、自分の想いよりも圭を守り、彼の意志を尊重する。

そんマリウスのカッコよさをさらにパワーアップさせるのが、小山田さんの挿絵。小山田さんの挿絵によって、萌え度は確実に上がりました。

圭のお腹に仕込まれた竜の卵を孵すために、マリウスの精液が必要、ということでエロ度はかなり高めです。高めですが、エロに特化しているわけでは決してなく、むしろ彼らの優しさだったり、愛情だったり、そういったものを表現するためのツールとして描かれているために温かさすら感じる濡れ場でした。

彼らは卵を孵すためにセックスするわけですが、ともに生活していくうちにお互いに惹かれていく過程がきちんと描かれていたのも高ポイント。ここでもマリウスという青年のカッコよさと男気が滲み出ていて悶絶すること必至です。

どこを切り取ってもストーリーに無理がなく、終盤に向かって少しずつ伏線が回収されていく展開で非常に読みごたえがありました。ストーリーも面白く、とにかく攻めさんがカッコよく萌えツボに突き刺さりました。

カッコいい攻めさんがお好きな方、ファンタジーもの大好物な方にお勧めの作品です。

これが吉田作品?と思ってしまう、ほのぼのな作品。

作家買い。

吉田さんと言えば、エロエロ、あるいはドシリアス、執着もの。
そんなイメージが個人的には非常に強い作家さまです。が、見てください。この可愛らしい表紙を!

今作品はこの表紙のイメージと違うことのない、非常に可愛らしいお話でした。




離婚後息子を育てているイケメン・ハイスペックな動物病院院長の高円寺×妻に先立たれ男手一つで息子を育てている絵本作家の彩人、という、表紙からも推測できるように、今作品は子育てもののストーリーです。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます。ご注意ください。





主人公は神威。
彼の毎日は、家の周りの点検から始まる。一緒に寝ている「彼」を起こさないようそっと起き、家の点検をし、「彼」の安全を確認するのが神威の日課。

「彼」とは彩人。神威の父親だ。
最愛の妻を事故で亡くし、以来絵本作家として日々生計を立てる彩人の懐事情は少々寂しい。諸事情により頼れる身内がいない彩人だが、彩人・神威親子は貧しくてもいつも幸せ。亡き妻、母を介し、彼らの間に愛情が満ちているから。

そんな神威は少々変わった少年。頭がよすぎて、中身は大人のそれなのだ。
それを知っていたのは、亡き母・龍子だけ。極道の家に育ち、男気と正義感にあふれた豪胆な彼女を、いつまでも彩人そして神威は愛し、心の拠り所にしている。龍子譲りの豪胆さと男気を持つ神威は、優しく綺麗な父親を溺愛し、今日も今日とて不穏な輩から父親を守るために日々奮闘している。

そんなある日、神威の通う幼稚園に一人の男の子が入ってくる。季節外れの転入生であるその少年・来夢に園児たちは興味津々だが、言葉を発せず、やられるがままになっている来夢を神威が助けたことで二人は急速に仲良くなる。

来夢が話せない理由、それは離婚後男手一つで来夢を育てている父親の凜太郎にあった。厳しく、愛情を向けることの無い父親からのストレスだと知った神威は凜太郎に直接抗議するが―。

というお話。

綺麗で、若干頼りないものの息子に深い愛情を注ぐ彩人。
ハイスペックかつイケメンだが、性格にやや難がある凜太郎。
同じ幼稚園に通う子を介し、父親同士が知り合い、そして恋に堕ちる。
そんなある意味王道のストーリー。

が。

今作品の面白いところは、今作品の視点が彩人の息子の神威である、というところなんです。神威は5歳の園児ですが、中身は非常にしっかりしていて大人のよう。名探偵のコ〇ンくんのような、と言えばお分かりいただけるでしょうか。彼の目を通して進んでいくストーリで、非常に斬新でした。

子どもたちが父親たちの恋のキューピッド役になる展開ですが、これがまた可愛いだけではない。神威が父親たちをくっつけようとする本当の理由は、来夢と常に一緒いたいから、なんですね。吉田作品はどす黒い執着心を持った攻めさんて多い気がしますが、今作品の腹黒さんは園児の神威。腹黒さんなのだけれど正義感を持ち合わせていて、さらに子どもならではの可愛らしさ(おもちゃにつられてしまうとか動物が好きとか)も兼ね備えていて、そのギャップが面白いのです。

神威と来夢もちゃんと両思いなので、彼らが成長した後のお話も読んでみたいな。

神威の祖父(龍子の父親)がヤクザもの、ということで若干シリアスになるシーンもありますが、それもちょびっとなので、終始甘く、優しく、そしてコミカルな展開で進む作品です。

吉田作品ではてんこ盛りのエロも、今作品は少なめ。正直、吉田さんが書かれたと知らずに読んだら吉田作品だと気づかないのではなかろうか。それほどまでに、既刊の吉田作品とは毛色が異なる作品でした。いつもの吉田作品を求めて手に取られる方には若干肩透かしを食う作品かもしれませんが、こんなほっこりな作品もなかなかいいなー、と思いつつ読破しました。

シリーズ番外編が後半に収録されています

朝丘先生の代表作の一つと言っていいでしょう。『坂道のソラ』から始まる「アニパーシリーズ」の最新刊です。

順番としては『坂道のソラ』→『窓辺のヒナタ』→『春と秋とソラの色-Complete Book 2-』(『坂道のソラ』のその後を描いた番外編)→『氷泥のユキ』→『月夕のヨル』、そして今作『清明のソラ』と続きます。シリーズものであり、「アニマルパーク」通称アニパーと呼ばれるオンラインゲームが基盤となっている作品ではあるのですが、今までの作品は前作が未読でも全く問題なく読める造りになっていました。

が、今作品は主要CPとして新しいCPが登場しますが、それは前半半分まで。後半半分は既刊のアニパーシリーズの番外編が収録されていますので、前5作が未読だと理解できません。未読の方はまずそちらから読まれることをお勧めします。

反対に言うと、前作までで登場していたキャラたちがオールスター出演している作品。ということで、今シリーズがお好きな方にはたまらない一冊になってるかと思います。

今作品の主人公は、『窓辺のヒナタ』の受け・日向の親友の忍と、日向の義理の弟の直央のお話です。

『窓辺のヒナタ』は早瀬×日向のCPはドツボに突き刺さるCPでしたが、日向を取り巻く彼の家族に萎えてしまって個人的にあまり評価の高い作品ではありません。で、その萎え要素の大きな要因だった日向の義理の弟のお話ということで、読み始めたときに読み切れるか危惧しつつ手に取りました。






視点は、日向の義理の弟の直央。
直央は日向の母親と再婚した養父の連れ子。ステップファミリーの義弟です。

子どもの時は新しくできたお兄ちゃんが大好きだった。
いつも優しく、自分を助けてくれるお兄ちゃん。お兄ちゃんの親友である忍も自分に優しく、お兄ちゃんが二人できたようでうれしかった子ども時代。
なのに、そのお兄ちゃんは男を好きになる「普通じゃない」男だとわかり、その失望が日向に対して攻撃的な態度を取る原因となった。

大学生になり家を出た兄と距離があくことになり、高校生になった直央に勉強を教えるべく家に出入りするようになったのは兄の友人の忍。忍には、兄の文句、不満、気持ち悪いという侮蔑の気持ちを言い続けてきた直央だったが、ある日忍に「好きだ」と告白され―。

というお話。

『窓辺の~』で、とことんまで日向を追い詰め、侮蔑し続けた継父と直央。今作品もその姿勢は変わっておらず、日向に、もっと言うと同性愛という志向を持つ人物に対する辛辣な態度は健在。

おお。これ、どうやって話を持ってくんだろうな。

そんな興味を抱きつつ、けれど自分と違うものに対して拒否し、否定し続ける直央がどうにも好きになれない。

そんな真央に、根気強く言葉をかけ続けるのが忍。
日向の親友であり、けれど真央に惚れてしまった忍。彼自身ゲイという性癖を持っています。彼は日向と異なりそのことに引け目を感じているわけではないのですが、直央の「ゲイは気持ち悪い」という感情に少なからず傷つく。

が、それでもなお、直央にそういう言葉を日向に言うなと言い続ける。

忍が懐の大きい男だから、というわけではないんですね。
直央が、そういう言葉を日向に言い続ける、本当の理由に、忍は気づいているんです。

ベースとしては忍×直央との恋のお話ではあるのですが、そこを軸に、家族愛、親が子に向ける情愛、子からの親への思い、そしてもっと言うと博愛的な愛情まで描いている作品でした。

ゲイである息子を受け入れられない継父ではありますが、それこそ彼の思考を変えることは他人には無理なわけで、言葉を尽くし理解してもらおうとする新×日向の姿に心打たれました。

あれだけ日向を拒否し続けてきた直央なので、忍と恋人になるのは至難の業ではなかろうか、という予想を裏切り、早々に恋人同士になってしまいます。

今作品は朝丘作品らしくかなりの厚さのある作品ですが、この厚みは忍×直央の恋の成就を描いた厚さではなく、後半は今までのアニパーシリーズの番外編が収録されている厚さです。

リアルサイン会で配布された番外編など、ファンにはぜひとも読みたいSSが収録されていて素晴らしい。今まで登場した全CPが、時と場所を変え、あの手この手で登場してきますがきちんと統一感を持ち、流れが繋がる描き方はさすが朝丘先生といった手腕です。

今作品の主要CPである忍×直央は、正直「青い」です。
ヤキモチを焼いたり、不用意な発言をしてしまったり。けれど、今シリーズで唯一若いCPでもあるんですよね。他のCPは攻めさんたちがみんな大人で、包容力も、経済力もバッチリな面々。このCPだけ大学生×高校生なのでそれも味があって良いのかな。

「アニパーシリーズ」は、今まで主人公の名をもじったタイトルがつけられてきました。が、今作品は違います。

今作品は忍×直央の恋、をメインに描いた作品というよりは、どちらかというと今までのシリーズに登場したキャラを通して、みんな違っていい、それぞれ進む道は険しい時もあるけれど、ともに歩んでくれる人がいることでどんな道でも進んでいける、といったエールが込められた作品だったように思いました。

「アニパーシリーズ」は、時にシリアスな展開に陥りがちなシリーズではありますが、今作品はひたすら甘く、そして優しい1冊で、読後ほっこり気持ちが温かくなりました。