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女性ポッチさん

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花鳥風月 11 コミック

志水ゆき 

大団円。

2013年4月に1巻が刊行され、実に10年以上という長い年月読者に愛され続けている『花鳥風月』の11巻目。11巻目は大輝×サバトのお話。とある事故をきっかけにこじれてしまった二人の恋の行方はー。



個人的にツンデレちゃんてあまり好きじゃないんですが、サバトは可愛い。
大輝にツンツンしちゃう理由があるからでして。かつて二人で紡いだ時間を、事故で失ってしまった大輝の記憶は戻るのか?

個人的には記憶が戻るんじゃないかなー、と思いつつ読み進めましたが、さてその結末はいかに。ぜひとも読んで確認してみてください。

11巻の表紙で沢斗が身に纏ってるのが白無垢にしか見えなくてですね、え、あら、そういう感じ?といそいそしながらページをめくりましたが、もう、めっちゃ美しい…!そしてトラブルが発生して白無垢を脱ぎ、腰ひも一本でささーっとたすき掛けしていく沢斗のなんと男前なことか。カッコよ!

大輝が記憶をなくしたのは決して彼のせいではなく、沢斗もそれを頭では理解しながら気持ちを整理して受け入れるのには、それなりの時間が必要だったんだな。割れたお皿や自分たちが守っていく村の伝統と絡めながら、それらを沢斗が少しずつ咀嚼していく姿にめっちゃ萌えました。

大輝をきちんと受け入れようと決意した後の沢斗はまさに「漢」。
「尻で抱く」を地で行くナイスガイでした。

終盤には『花鳥風月』の他CPも登場していてそちらも大変よろしかった。

それにしても『花鳥風月』の表紙ってめちゃめちゃ素敵よね。いつも思うけど。最近電子で買うことも多いのですが、今作品に限って言うと、紙媒体で買ってしまうのです。

惡い男 コミック

中村明日美子 

「惡い」とは

明日美子先生のBL作品での新刊!
ということで発売日を心待ちにしていました。先生作品に外れなしのワタクシではありますが、今巻も最高すぎた…。純然たる萌えが、ここにあります。

明日美子先生は「同級生」シリーズや「おはよう楽園くん(仮)」のようなほのぼのでハートフルな作品から、「ダブルミンツ」「薫りの継承」のようなダークなものまで描かれる引き出しの多い作家さまですが、今作品はこのタイトル、そして表紙の絵柄からダーク寄りなお話かな?と思いつつ手に取りました。

今作品は、今まで明日美子先生が様々な雑誌で描かれた短編作品を、出版社を超え収録されている短編集。何話か読んだ作品もありましたが、こうして1冊にまとまって読めるとは至福の限りです。内容を一応記載しますと、

『春の画』 「DEAR+」2009年7月号 34P(4色2P)
『夏と冬のであう場所』「マンガ・エロティクス・エフ」 vol.52 2008年 24P 
『ぼくのすきなにいちゃん』「OPERA」VOL.31 2012年 16P 
『ヘンタイ』 同人誌「ヘンタイ」 24P 
『ボーイズラブ』「美術手帖」2014年12月号 16P 
『温室の果実』「コミックJUNE」2007年10月号 25P(4色1P) 

の6作品、に加え、
表題作かつ描き下ろしの『惡い男』の全7作品。

それぞれの内容をざっくりと。



『春の画』
時は明治か大正か。
学校に通う青年・安藤くんが主人公のお話です。
いわゆる「春画」と呼ばれるものが生徒の間を行き来している。安藤くんは、手元に来たソレを見てみたが…。

明日美子先生お得意の黒髪・真面目くん。その彼に声をかけてきたのは、転校生で髪や瞳の色が薄い加賀谷くん。性的なことにまっさらで無知な安藤くんに、加賀谷くんが仕掛けたのは…。

というお話。

加賀谷くんが安藤くんに声をかけた理由が、彼の生育環境によるものに思える。そして、そこから透けて見える、彼の孤独も。それゆえに、二人が短い時間で育てた淡い恋心に、萌えが滾る。

『夏と冬のであう場所』
高校生の男の子が身代金目的で誘拐された。
誘拐犯は、その男の子の母親に電話をかけ1000万円を要求するがー。

誘拐犯と誘拐された被害者、の関係のお話ですが、彼らをつないでいるのはそれだけではなく。捕まったのは、犯人の方か、それとも。というダークでありながらお好きな方にはたまらないであろう萌えが詰まった作品でした。私は、大好きです!

『ぼくのすきなにいちゃん』
小学生のカズは、下校後ども立ちの誘いを断りいつも赴く場所がある。大好きな「にいちゃん」の家だ。にいちゃんは何でも知っていて、お酒もたばこも好み、いい匂いがしてー。

カズの癖がゆがみそうな、なんとも不思議な色香を持つにいちゃん。
彼、高校生なんですねー。今ならちょっとストップがかかるんじゃなかろうか、と思うキャラでありストーリーですが、明日美子先生らしい、といっていいでしょう、壮絶な色香をまとわせるにいちゃんがカッコいいです。

『ヘンタイ』
教育実習の一環で母校に赴いた瀬戸くん。
が、そこで生徒として再会したのは、自分の人には言えない性癖を知り尽くした幼馴染でー。

これもダークです。
そして、今作品の中で最もエロ度が高い作品でもあります。
というか、噛むのはナシやわー、と思いつつ、でもそれが「ヘンタイ」ゆえだからか。

『ボーイズラブ』
高校生×高校生の、恋のお話。
同性が好きで、間違えているのかもしれないし、「普通」から外れるのも怖い。
でも、それでも好きで好きで。
甘酸っぱい、爽やかな、恋のお話です。

『温室の果実』
政界の大御所に、秘書として就いた村上くん。名前は「壱吾」。イチゴと読む。
美味しそうな名前だね、と呼んでくれたその名前を引っ提げて、彼は自分の主のために奮闘し、何でも欲求を叶えてあげようとするけれどー。

「先生」の要求は留まるところを知らず、イチゴくんが男に抱かれる姿を見たいと言い出した。その願いをかなえるために、ホストに抱かれるがー。

イチゴくんが愛していたのは。
そして、イチゴくんを愛していたのはー。

深い深い愛のお話。

『惡い男』
表紙の彼のお話です。
ボコボコにやられたのかな?と思わせるビジュアル。その意味するところはー。

アンダーグラウンドで生きていそうな彼の、唯一の願いは。
可愛いです。ヤバいです。

タイトルの『惡い男』。
誰にとって、どういう風に、どんな意味の「惡い男」なのか。

読み手によって受け取り方が変わりそうで、でもそこがいい。
『惡い男』の「惡」の文字が旧仮名なのもいい。味がある。ほっこりほのぼのなストーリーが読みたい方には、あるいは気分の時にはやや不向きか。が、個人的にはドツボに突き刺さる1冊。作品によっては10年、15年前の作品でありながら、明日美子先生らしさはそこかしこに点在していて古臭さは少しも感じない。

中村明日美子という作家の手腕に脱帽。
やっぱり先生は天才だった。文句なしの神作品です。

コミカライズ版の2巻目。

コミック版『魔道祖師』の2巻目。
続きものなので1巻未読だと理解できません。1巻から読まれることをお勧めします。

人を襲う舞天女の像を滅するために奮闘する魏無羨たちだがー?
という1巻の続きから2巻はスタートします。

強くなりすぎた舞天女の像をなかなか滅することができずに苦戦を強いられた魏無羨は、かつて彼が得意としていた術と同じように、即席で作った笛で悪霊を呼び出し、舞天女の像、=邪神を斃そうとする。が、魏無羨の笛で呼び起こされたのは、かつて彼が作り出した最強の凶屍・温寧だったー。

ということで、温寧登場です。個人的に温寧大好きなのでちょっとテンションが上がりつつ読み進めました。

温寧の登場により、藍忘機は莫玄羽の正体に気づいたか?というところで、時系列は彼らが出会った15年前へと移行していきます。15年前の2人が可愛い…。

小説版と異なり、詳細について文章で書かれるわけではないのでその都度注釈が描かれます。これが小説版とコミカライズ版の大きな違いの一つか。小説だとするする読める説明が、コミック版になるとちょっと蛇足感が否めない。でも説明文がないと初見の方には理解できない。仕方がないなと思うのですが。

あと、小説版とコミカライズ版の大きな違いは絵柄かと思われます。

落地成球さんの絵柄って、綺麗とか麗しい、というよりも可愛いんですよね。
小説版のコミカルさを出すためにデフォルメされた絵柄になることも多い。
意図は理解できますし、これが落地成球さんの味だとも思うのですが、小説版でそこかしこに漂っていたそこはかとない色香というか耽美さが欠落してしまっていて、それが個人的に残念というか「魔道祖師」の魅力が薄れてしまっているように感じました。ただこれは完全に好みの問題で、落地成球さんがよくないとか、そういうことでは全くないです。

小説版はかなりページ数の多い超大作なので、それをコミカライズするにあたって、読みやすく、初見の方でも理解しやすく、複雑な人間関係も分かるように描くのはなかなか難しいと思うのですが、その辺りはきちんと表現されていて読みやすい。真面目で勤勉な藍忘機と、彼と正反対のやんちゃでいたずっらこの魏無羨の2人の内面を、表情やしぐさできちんと読ませる手腕も素晴らしい。

藍忘機がカッコいいのです。寡黙でありながら、彼の内面の優しさにグッときます。

コミカライズ版は、どこまで刊行してくれるのかなあ…。
最後まで読みたいです。

18禁バージョンもあるのです。

2022年1月に刊行された『獅子の踊子』の新装版。
旧版を持っているのでこちらを買おうか悩みましたが、「新装版」という響きに惹かれてお買い上げ。旧版は笠倉出版社さんからの刊行。新装版はJパブリッシングさんから刊行されました。

電子で買いましたが、電子の作品ページ紹介のところに、

【電子限定特典8P収録内容】
・電子限定描き下ろし 1P
・笠倉出版社「獅子の踊り子」とらのあな特典 1P
・笠倉出版社「獅子の踊り子」Renta!特典 1P
・笠倉出版社「獅子の踊り子」コミコミスタジオ特典 1P
・笠倉出版社「獅子の踊り子」特約書店ペーパー 1P
・笠倉出版社「獅子の踊り子」アニメイトリーフレット 3P

との記載あり。
電子にしかつかない特典なのかな?紙媒体には収録されてない?紙で買われた腐姐さま、教えてくだされー!

レビューは旧版の方でも書いていますが、こちらでも一応内容をざっくりと書こうと思います。ネタバレ含んでいますので苦手な方はご注意ください。



人間と、そしてケモ耳を持つ「混血」、さらに人間と獣の姿になることができる「ハイブリット」と呼ばれる3つの種が混在する世界が舞台。中でもハイブリットは希少種で高貴な存在として崇められています。

ある娼館に一人のハイブリットの男が現れる。アムランという名のそのハイブリットが選んだのはヨルという人間だった。

ヨルはハイブリットと偽り数多くの舞台で踊っていたダンサーだったが、人間と分かり娼館に落とされたという青年だった。ヨルを抱きつぶしたアムランは、娼館の主人に大金を払いヨルを身請けし、自宅へと連れ帰るが―。

アムランがヨルに執着しているさまが序盤から読み取れますが、その理由は一体…?という謎解きを孕んだ作品でもあります。

薄幸受け大好物なワタクシにとって、王道といえる薄幸受けちゃん・ヨルは癖に突き刺さる受けちゃんなのですが、アムランがこれまたクソほどかっこいい。男娼に身を堕としたヨルを探し回った日々は、彼にとってどれだけ絶望だったのか。で、アムランは「ハイブリッド」ということで、タイトルの「獅子」という文句からも分かるように彼はライオンちゃんです。カッコいいです。発情期があるとか、それもまたたまらん設定で、王道といえるバックボーン、設定でありながらその王道さを上手に生かしたストーリー展開でめっちゃ萌える。

で。
画力がヤバい。
ヨルの細い腰とか、それを掴むアムランの大きい手とか。
ライオンの姿になったアムランのカッコよさとか。
踊りが好きで、一心に踊っているヨルの身体のラインとか。
もちろん、濡れ場も。
アムランがヨルを見つけたその時の表情一つで、アムランの心情を読ませるその描き方も秀逸。最高すぎて悶絶しました。

収録されている笠倉出版社さんで刊行されたときの特典の数々もめっちゃ良かったし、描き下ろしもカバー下もめっちゃ良い。余すところなく、どこもかしこも良い。

めっちゃ良い!
と思いながら読破した今作品。

文句なしの神作品、ではあるんですよ。
でもワタクシは言いたい。

18禁バージョンがあるなんて知らんかった!
hontoさんで電子で買いましたが、コミックシーモアさんなら18禁バージョンがあるやん…。知ってたらそっちで買ったやん…。かなしみ。

ということで、これから買われる大人な腐姐さま。

18禁バージョンがございます!
そちらを所望される「大人」の方は選択肢がいくつか(紙媒体、電子、電子かつ18禁版)ございますのでね!確認して買われてください!

というお知らせでした。

愛情あり、エロあり笑いあり。

作家買い。
いやー、やっぱり碗センセイ大好き!と、改めて思いましたです、はい。

可愛いとエロがてんこ盛り。「可愛い」って色々な意味合いを含むワードだと思うんですけど、碗さん作品はお互いがお互いを想う気持ちとか、周囲の人たちの優しさとかが本当に温かくて心がほっこりします。その人の温かさが、とにかく可愛いなあ、といつも思います。

ということでレビューを。ネタバレ含んでいます、ご注意ください。




主人公はのんびりとした田舎に住まう青年・太王(「たお」と読む)。
田舎が嫌いなわけではないけれど、煌びやかで何でもある東京に憧れを抱きつつけてきた。そして、23歳になった今、彼は芸能事務所の裏方として就職が決まる。

これからは華やかで、楽しい生活が待っている!

そう意気込んで田舎を飛び出し向かった東京は、自分が思い描いていた華やかな場所ではなくてー。

というお話。

田舎でのんびりと暮らし、家族とも友人たちとも仲が良いたおにとって、星空も月も見えず忙しない日々は、たおの心を少しずつすり減らしていくものだった。もう耐えられない、そう思っていた時に、幼馴染の新から電話があり…?

と話は続きます。

イケメン・新くんがですね、良い味出してます。
少しおどおどしていて、たおの後ろをずっとついてくるような男の子が、でもたおのことが好きで、手放したくなくて、「禊」とか嘘をついてまでたおを欲した。少し路線が異なると、たおのストーカーのようになりかねない男子なのですが、そこがドロドロな昼ドラのような展開にはならずほのぼのハートフルなお話になるのは碗さんマジックか。

たおもね、可愛いんですよね。
天然、というのか人を疑うことを知らないおぼこい男の子。
この子も一歩間違えるとあほな子になってしまうのですが、そうはならない。
まっすぐで、優しくて、たくさんの人から愛されるのも納得の可愛い男子なのです。

東京での生活に疲れ果て、ボロボロになって帰ってきたたおを自分の手中に収めたい。そこからなりふり構わずたおを求める新がカッコよく見えちゃう。最高か。

今まで「恋」という形ではなかった二人。
物理的な距離ができたことで、彼らは友達という均衡を破って唯一無二の存在だったのだと気づいていく。素地があったんですよね。彼らの歴史の中で。先に自分の気持ちに気づいたのは新でしたが、彼が行動を起こしたことでたおの方もまた、自分の中で育っていた感情が形を成していく。せき止められていた感情に一気に色がついたことで歯止めが利かなくなっていく新のエロ攻撃がとってもエッチでそこも良かった。

碗さんならでは、といっていいでしょう。おもらし。
こちらもきちんと描かれていて、そこもナイスでした。

二人の家族も温かいし、友達たちも良い味出していてそこも高ポイントだったのですが、個人的ドツボキャラはたおがマネージャー(というか付き人かな)をしていたモデルのミドリさん。と、彼のマネージャーさん。いや、これスピンオフ描いてくださいませんか、碗センセイ!絶賛所望中であります。

今巻も最高。
深い愛情あり、エロあり笑いありの碗さんらしい1冊でした。

どんな結末を迎えるのか

「光が死んだ夏」の5巻目。

今巻で、一応謎解きがなされた感があります。「ウヌキ様」「ノウヌキ様」「クビタチ村」そして「忌堂」といった不穏な空気が付きまとう「もの」の過去、因縁、理由が分かり始めました。

光の身体に入り込んだ「モノ」が暴走を始める描写が、非常にリアルで怖いです。その怖さを打ち消すのが、光と、光の中に入った「モノ」(作中では「ヒカル」と書かれる)、そしてよしきの間に流れる「愛」でしょうか。愛情なのか、友情なのか、はたまた違うものなのか。お互いがお互いを必要とし、守りたいと思っているのは確かなんです。

まだ高校生の彼らを取りまとめるのが「視える」人の暮林さん。
良い人そうな、人畜無害そうな、その見た目とは裏腹に、彼女は強く逞しく、そして優しい。過去にあったのであろう出来事が、彼女を強くしたのだろうか。彼女の息子や夫と、ヒカル、そしてよしきをオーバーラップさせているのかも。

彼らは、自分でできる闘いを人知れずしていますが、それに対して村のオッサンたちのなんと情けないことか。誰かに守ってほしいと思うばかりで、自分の足で立ち闘うことをはなから諦めている、ように見える。「田中さん」に任せきり。

その「田中さん」も得体のしれない怖さをまとう人物で、でも、彼は闘うことを自分に課しているようにも見えるので、今後の動きに注視したい。彼が勤務する会社と、それとは別に彼が目指しているものは何なのか…。

謎解き編、ではあるものの、すっきりさっぱりしたかといわれると答えは否。
最期の田中さんのセリフの真意は一体?

5巻の表紙がちょっと怖いんですよね。
今までの表紙はまだ希望が見える明るい雰囲気を醸し出していましたが、5巻のよしきを包む禍々しいまでの雰囲気は何を表してるんだろうか。ヒカルだけではなく、彼もまたあちらに行ってしまうのか?それともヒカルを守るための決意の表れ?なのか?

深読みしようと思えばいくらでも深読みできてしまうシリーズだけに、人によって捉え方も変わりそう。でも、それが良い。面白いです。

光は、そしてヒカルは、よしきは。
ヒカルはけして化け物ではない。彼には心が通っています。朝子ちゃんの涙をぬぐうシーンに、海辺で決意をよしきに語るシーンに、胸が締め付けられました。

いったいどうなってしまうのかな。ハピエンはどうしても思い描くことができずしんどいです。でも、結末まで追いかけたい。

すごい作品に出会えたことに、感謝。

「可愛い」が詰まってる

作家買い。
典雅さん作品はコミカルで爆笑必至のお話が多いので安心して手に取りましたが、今作品は「可愛い」が過ぎて危うく昇天させられるところでした。危ない危ない。

タイトルからも推測できるように、今作品はリスが主人公。
リス×リスの恋のお話ではなくって、人間×リスのファンタジー要素が詰まったお話です。




イリヤは温暖な気候の森で暮らしているリス。
イリヤの従兄弟のピムに頼まれ、ピムの主人(カールハード王国の王子のアシェル)を見張るために城に赴くがー。

という出だしで物語はスタート。

あれ、ピムという名のリス?
そしてアシェル?
何やら聞き覚えが…、と思ったら、典雅さん作品の「王子ですが、お嫁にきました」に登場していた王子さまかー!区分としてはスピンオフ作品になると思いますが、前作未読でも問題なし。この作品単体で読めます。

様々な手違いでロックハート城から遠く離れた地に魔法で飛ばされてしまったイリヤだが、その地で、イリヤは汚名を着せられた挙句流刑囚として厭世的に暮らしているライジェルに助けられ、そして彼に恋をしてしまう。

リスと人間の恋の行方はいかに?

もうイリヤの可愛さに悶絶。
作中も様々な人から可愛がられ愛でられっぱなしのイリヤですが、その描写に納得の可愛いが詰まった小リスちゃんなのです。そして、そんな可愛いイリヤに、ライジェルも少しずつ頑なに閉ざされた心を開いていくけれど。

今作品は、魔法が使える人物がいる、という設定のお話なので、バッサリ言ってしまうとかなりご都合主義的な展開を見せますが、その魔法ですら「可愛い」の言葉で納得してしまう。どこまで行っても「可愛い」が詰まったお話でした。

前半はイリヤ視点で進むストーリーですが、終盤に収録されている「実は可愛いもの好きですが、なにか」はライジェル視点で描かれています。

これが…、

悶絶必至の可愛さと笑いがてんこ盛り。

ライジェルー!
と、突っ込みつつ読破しました。彼がいい味出してます。最高です。

恋を知らなかったイリヤが、アシェルとの会話の中で「恋」というものをうっすらと把握し、その彼がライジェルと出会い「恋」の本質を知る。さらさらと紡がれていくストーリー展開なのですが、伏線の回収の仕方とか彼らの感情の機微が手に取るようにわかる描き方で、さすが典雅さんだなと感心しきり。お上手です。イリヤの小リスの姿の時の可愛さも、人間の姿になった時の可愛さも、文章中から読み取れるのも素晴らしい。

アシェルの恋の行方が気になられた方にはぜひとも「王子ですが、お嫁にきました」を読んでほしいなと思います。個人的にはケアリーのスピンオフを激しく所望中であります。


「恋する小リス、いりませんか?」

いります。大好物です。モフモフさせてください!

めちゃんこ可愛らしく、笑いあり萌えありの典雅さんらしい一冊でした。

3年越しの新刊。最高か。

『ジュリアが首ったけ』の7巻目。
6巻が刊行されたのか2021年の7月、ということで実に3年越しの新刊。首を長くしてお待ちしておりました。

ジュリアの記憶が戻ることはなく、けれどみきおを失ったジュリアは少しずつ心身ともに蝕まれていく。そんなジュリアを心配した彼の熱狂的ファンでありマネージャーでもあるルシアンによって、ジュリアに接触を求められたみきおだったがー。

という前巻の続きから。

みきおは無事(?)ジュリアから首を言い渡され、そして、心機一転引っ越しをする。思い出のあるアパートを手放し、新しい生活に、ジュリアのいない生活に戻ろうとするけれど。

みきおのことを未だ思い出せないジュリアと、ジュリアを第一優先で慮るみきおとの間には、目には見えない、けれどはっきりとした壁が立ちふさがっていて。でも、みきおを細胞レベルで欲しているさまが、かつてのワンコ・ジュリアを彷彿とさせるシーンがこれでもかと描かれていて、でも、それでも、みきおを思い出すことはない。

みきおは、ジュリアにとって自分の存在が不要なら潔く身を引こうとしているので、二人の間のベクトルが繋がりそうで繋がらない、そのすれ違いに終始やきもきさせられました。

記憶を失う前のジュリアは本当に可愛くって。
みきおのことが好きで好きで、みきおさえいてくれればほかには何もいらない。
そんなジュリアの一途な想いに萌え禿げていたワタクシにとっては、今のジュリアの姿がなんとも切ない。ジュリアが、一日でも早く樹里亜に戻って帰ってきてほしいと願ってやみません。あとがきで扇先生も書かれていますが、ジュリアはみきおと出会ったからこそ、あんなに可愛いイケメンに軌道修正されたんだなあ…。みきおと再会して、再び可愛い樹里亜に戻りつつある彼の姿にほっこりとしました。

で。

今巻も仙台くんは漢だった。
みきおのことが好きで、でもみきおを無理やり奪うことはしたくない。今まで人間関係が希薄で他人はどうでもよかった仙台くんを、こんなにイケメン(中身が)に変えてしまうみきおマジック恐るべし。

ということで、みきお最強。
みきおを奪い合うイケメン二人。いいねえ、萌える!

今巻もですね、終わりがですね、なんでそこで終わってんの!という良いところで終わってましてですね。また次巻までお待ちしないと続きが読めないですね、ハイ。

何度でも。
何回でも。
出会って、恋に堕ちる。めっちゃロマンティック。
でも、いままでみきおに冷たく当たっていたジュリアに、今度はぜひともヤキモキしていただきたいと思ったりもしつつ。

次巻を首を長くして、お待ちしています。

最高すぎて。

作家買い。
作家買いですが、宮緒先生×笠井さんのゴールデンコンビということで発売日を心待ちにしていました。

笠井さんの描かれた美麗表紙にうっとりしてしまいますが、この表紙がめっちゃすごい…!

肌色率は笠井画伯にしてはやや控えめ。とはいえ、真ん中の美貌を誇る青年の下半身に迫る手とか、彼を取り巻くイケメンさんたちの人数とか、宮緒さんお得意の複数攻めのお話か?とか思いつつ読み進めましたが。

読後じっくり拝見すると、この絵柄のヤバさに気づきます。
ぜひとも手に取って確認していただきたいです。

と、表紙で悶絶しっぱなしのレビューというのも何なので、中身についても触れようと思います。



舞台は伽国。
神の加護がある国で、その為、1000年にわたり豊かで争いごととは一切無縁の国だ。
そして、その神の言葉を信託され、告げる役目を担っているのが、この国の若き皇帝・玉還。表紙の真ん中の彼です。真珠色の髪、肌を持ち、そして紅玉(ルビー)と同じ赤い瞳を持つ彼は、1000年という長き年月の中でも最も有能な皇帝といわれている。彼が受ける神からの信託と、そして彼の存在によって国にもたらされる富が莫大だからだ。

そして、神の信託に従い、玉還は17歳の今、後宮から妃を選ぶこととなった。
果たして玉還が選んだ妃は、貴妃の位を持つ月季、淑妃の位を持つ聖蓮、徳妃の位の沙羅、そして賢妃の位を持つ銀桂の4人でー?

というお話。

宮緒作品なのでね。
皇帝が妃を娶るわけですが、抱かれるのは皇帝の方、という宮緒葵ワールドへようこそ!というCPなのですが。

4人の攻めさんに溺愛され、愛でられ、愛されまくるお話かな?なんて思いつつ読み進めましたが、いやいやいや。

宮緒さんはやっぱり天才だった。

月季、聖蓮、沙羅、銀桂の4人は、それぞれ趣が異なるイケメンさんたち。
見た目はもちろん、その中身が。
優しさを持つもの、母性を持つもの、一途に玉還を想うもの、そして父性を持つもの。様々な側面を持つ彼らに、玉還は深く愛され幸せを感じるけれど。

玉還という青年はですね、何もかもを持ち合わせている青年なわけです。
豊かで広大な国の皇帝で、麗しい美貌を持ち、彼の持つ神の加護の力と本人の優しさで国民からも家臣からも愛され慕われる存在。

が、その彼を悩ます「悪夢」の存在が、彼が誰からも愛される皇帝、というだけ存在ではないのだと、序盤から読者に提示している。

四人の妃たちは、本当に玉還を慈しむための存在なのかー?

そんな不穏な空気を孕ませつつ、そして、実際4人の妃に孕まされるほど抱きつぶされる玉還の本当の姿とは?

謎解きの側面も持ち合わせながら進むストーリーにページをめくる手が止められませんでした。そこに、人間の持つ欲望とか、反対に相手を想う深い愛情や愛憎が盛り込まれていて、BLとして読んでも面白いし、ファンタジーもの、謎解きもの、といった様々なバックボーンを上手に絡ませ読ませる宮緒先生の手腕に脱帽。モブたちですら「モブ」の形容詞で言い表すのには躊躇いが生まれてしまう、そんな素晴らしき脇キャラなのです。

そして、複雑に進むストーリーに華を添えるのが中華の世界を舞台に描かれる後宮、という設定。そしてそれを見事に描き切る笠井画伯の美麗イラストです。非常に美しいです、はい。

4人の妃たちはみな見目麗しいですが、彼らが漂わせる空気感は全く異なります。この彼らの個性がストーリーのキモにもなっているのですが、その異なる雰囲気、空気感、内面を、笠井さんがしっかり描き切っているのはさすがの一言です。

で。

はい、妃は4人なのに、表紙で玉還を囲んでいる男性は5人。
これがもう、こうきたかー!という結末に度肝を抜かれました。伏線が一気に回収されていく展開に圧倒されまくり。いやー、まいったね。素晴らしい。

で、ですよ。

最期に収録されている「神のみぞ知る」。
これがまた良い…!

宮緒作品の「あの夏から戻れない」。
読んでいない方は、ぜひとも読んでほしいです。今作品とのつながりがヤバいです。「神」とは一体なんぞやという、古今東西永遠のテーマにこうも食い込んだ作品はそうそうない気がします。

いや、でも、受けちゃんに執着しすぎてワンコならぬケダモノになってしまうのは人も神の同じなのかな。ワンコ攻めを書かせたら宮緒さんの右に出るものはなし、と個人的に崇拝しているので、そんな風に思いました。最後の初代皇帝の遺言。正解を読んで答え合わせがしてみたいです。宮緒先生、どこかで書いていただけないでしょうか。

攻めさんが多く、濡れ場も多いので玉還のお尻が本気で心配になりました。作中、父様、母様、と攻めさんたちとの行為の最中に玉還が言うシーンがそこそこあって、ちょっと近親相姦を思わせる部分がちょっぴり萎え要素だったのですが、読み終えるとそのシーンにきちんと意味があって納得。

めちゃめちゃページ数の多い作品で、しかも濡れ場が多いので小説を読みなれていない方にはややハードか?が、そのページ数に納得のめちゃ面白い作品でした。

宮緒作品には個人的にはずれが少ないのですが、今作品は中でもぶっちぎりで「面白い」と感じました。

バックボーン、キャラ、ストーリー展開に挿絵。
どれをとっても文句なしの神作品。最高すぎる1冊でした。

最高。

「噛み砕いて愛をおしえて」の2巻目。
1巻のレビューでも書きましたが、2巻完結の作品ではありません。

紆余曲折経て恋人同士になった狼谷さんと人見くん。
さぞかし甘々な日々を過ごしているのではないかと思いきや、二人にはまだ懸念事項があって…。

狼谷さんと人見くんは、お互い相手に話していない想いがあります。
そして、その隠した想いが、勘違いやすれ違いに繋がってしまうのですが、相手に本音を言えないのは相手を信じていないからではなく愛しているからこそ。

相手を傷つけてしまうのではないか。
ふられてしまうのではないか。

相手を想うからこそすれ違いを見せる二人にやきもきしつつ、ここにさらなる登場人物が増えてくることでさらに話が混とんとしていきます。

狼谷さんの獣人症の主治医・三芳先生。
1巻から登場している人物ですが、彼がまた良い。
なんかありそう。腹黒そう。でも、純粋に良い人にも見える。どっちなんだろ。

そして人見くんのお姉ちゃん。
彼女の登場により、人見くんの「懸念事項」が浮き彫りになるさまが非常にお上手に描かれています。そして、人見くんのその「懸念事項」が終盤へと続きー。

いやー!
続きが気になる!はよ続刊をください…!

あとめっちゃ良いなと思ったのは、狼谷さんの「狼」という属性と今作品のタイトル。
絶妙にリンクしていて最高。狼谷さんと人見くんの対格差に悶絶。オオカミくんが必死で受けちゃんを傷つけないように耐える表情がまた良いんだよね。狼谷さんを煽り散らかす人見くん、GJ。

ということで、まあ何もかもが最高な神作品。
次巻を正座してお待ちしております。