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盗まれた宝石の犯人は



新進気鋭の実業家×美術品をこよなく愛するギャラリーの店員

マンハッタンのギャラリーに勤める碧(受け)は開催されたパーティーで目玉の宝石が盗まれる事件によってオーナーの不興を買い解雇されてしまいます。

状況証拠的に最近お得意様になったグレイソン(攻め)を疑うのですが、途方に暮れる碧をグレイソンは彼の経営する会社の新部門に採用してくれます。人柄を知るうちに犯人は別に居ると確信するのです。
なんとなく距離を図り損ねている2人でしたが、碧のアパートの水道菅の故障をきっかけにグレイソンのマンションに居候することになり、とんとん拍子に恋人になります。
が、宝石泥棒の行方はようとして分からず、警察からは疑われたまま。
そんな時、グレイソンが犯人だという記事が掲載されたり、宝石が見つかった私書箱の防犯カメラにグレイソンが見つかったり、不利な証拠が出てきてしまうのです。
犯人は一体誰なのか。

今作もロックハート一族の誰かの恋愛かしらと思いきや、直接的には関係のない(知り合い程度)人たちの話でした。

このシリーズは2人がくっつくところまでのウダウダと事件の解決までのハラハラとが絡まっていることが多いのですが、今作は2人がくっつくのは結構あっさりで、犯人を捕まえるまで、グレイソンを犯人にしたい何者かがストーカーのように追いかけてくるのにハラハラする話でした。

グレイソンに似た人物の防犯カメラあたりで、もしかしてと当たりは付けられますが、なかなか登場しないので、ハラハラしながらも、ロックハート家のあの探偵さんなら速攻見つけそうだなーとか思いながら読んでました。

結局、同じような立場でありながら、上を目指したグレイソンと堕ちていった犯人の心根の違いが如実に現れた結末でしたね。

それにしてもグレイソンのクズ父はどういった経緯で生き、そして死んだのでしょうね。
そこそこの早死になので幸せになれたとは思えませんが。
家族を裏切った彼に安寧の生活は訪れなかったになら自業自得ですね。

これからは2人で好きな美術を堪能しながらも無名の芸術家の発掘に力を注いでほしいですね。



居場所が欲しい


学生時代に起業した年若い社長と
恋愛がらみで離職する羽目になった営業マン


恋愛がらみで失敗し転職を余儀なくされた重治(受け)は社長の久瀬(攻め)含め全員が20代半ばの若い会社に転職します。
転職してきた自分だけが30代半ばだという驚きの事実。
全員合わせて10人に満たない会社にも関わらず、社長と社員の関係がギクシャクしていることに気づいた重治は、久瀬に会社の空気を攪拌してくれることを期待していると言われた通り、世話を焼くことにするのです。


重治は元医療機器メーカーの営業をしていましたが、繁忙期に会社で盛ってきた恋人に流されてことに及ぼうとしたところを同僚に見られた上恋人が重治に迫られたと吹聴した結果、会社に居づらくなり辞めることになってしまいました。
元々人が困っていると手を貸さなければいられないたちで、転職した会社でも社長と社員の間を取り持ったり、クレーム対応や書類書きなどさまざまな雑用を引き受けては自分はボロボロになってしまうのにやめられません。
それに気づいてくれたのが久瀬でした。

変わった癖を持つ受け様を描かれることの多い作者様のお話ですが、今回は他人の世話を焼きすぎてしまう受け様。
表題から見れば、社長を無理やり会議に引きずっていくコメディタッチな話かと思っていたのですが、役に立たなければ自分の居場所がないという強迫観念にも似た呪いにかかってしまっていた重治が救われる話でした。

重治はこの悪癖で、面倒を見た後輩に成果を譲ったりして出世は遅れるし、世話を焼きすぎて上には怒られるしとなかなか幸せになれていません。
これが、生来のものかと思いきや、成育環境のせいだと後からわかり、ただひたすら自己評価が低く、自分さえ我慢すればという呪いにかかった本当に気の毒なひとでした。
求めているのは自分を見てほしい話を聞いて欲しいというだけなのに。
子供の頃の話はその時の重治を想像すると本当に辛い。
身体のネグレクトはなかったとはいえ、心のネグレクトを受けた重治を久瀬はうんと甘やかして欲しいと思います。

表紙では久瀬が壁ドンしていて、俺様っぽいのかと思ったけど、末っ子らしく素直で可愛い人でした。甘やかされている環境をよしとせず頑張ろうとする気持ちが空回りしていた久瀬は重治のアドバイスを素直に聞き、社員との誤解も解けてますます会社が成長していく予感しかしません。
彼らがこれからも成長し、幸せになれるといいなと思える話でした。

ただ、重治の家族にはもう関わらないで欲しいと思います。都合よく利用しようとしないで欲しい。
そして、久瀬には重治を家族から守ってあげでほしいと思いました。


イタコ小説すごい


片想い歴10年以上の男と友人が1人しかいないせいで恋がわからない男


政治家一家の次男・光彦(受け)は上司から勧められた見合い話を受けるという話を小学校からの親友・藤吾(攻め)に話します。すると、藤吾に流されて結婚するな、そして実は昔から好きだったと言われて驚きます。
持ち帰って考えてと言われた光彦は悩みに悩みんだ挙句、今ネットで話題になっている従姉妹の柚希が書くイタコ小説を書いてもらうことにするのです。
イタコ小説とは、依頼者を主人公にした小説で、小説に書かれたように行動すると恋がうまく行ったと今評判の小説なのです。
男性同士でうまく行くはずがないと告白を断った後どうなるかを小説に書いてもらった光彦でしたが‥

光彦は政治家一家に生まれていますが、家業は兄が継ぐので、光彦は完全に放置されています。それでも、政治活動に支障が出ないよう静かに暮らすことを強要される生活を生まれた時から続けています。
放置されることが寂しく、優秀であれば家族が自分を見てくれるのではないかと長年努力を続けてきて、結婚も家族のためにしようとしている状況に待ったをかけたのが藤吾でした。

今作ではイタコ小説がトリガーとなって話が進んでいきます。
これがよく出来ていて、本当に2人に憑依して未来を見てきたんではないか本気で思ったくらいです。
何度か話を作ってもらった光彦はそれを元に藤吾と話をし、頑なだった自分の殻を破り自分の気持ちに気づくことができるのです。

この作者様の受け様は変わった考え方や癖のあることが多いのに、今回は家族の愛に飢えてる比較的普通の人だなと思いながら読んでいましたが、後編で本領発揮。複雑怪奇な楽しい思考の持ち主でした。
クリスマスなんて一度も祝ったことかないのに、恋人ができたら当然のようにイベントに参入する光彦に笑える。いつもやってなかったから今回もやらないつもりだった藤吾に対して、言うに事欠いて情緒がないのか?だなんて、情緒がないのはお前だろーって笑ってしまいました。

後半の覚悟を決めた光彦は強かった。
観察に優れている柚希が読み間違えるほどに。
諦めきれないと言いながら直ぐに親友の座に戻ろうとしてしまう藤吾と今まで自覚してなかったくせに自覚した途端、家族を半ば脅迫してでも一緒にいようとする光彦という正反対な2人がとても楽しかったです。


読み始めと読了後の感想の違いがすごい




密売業者から二束三文で買い取った商品の中に紛れ込んでいた男ルカ(受け)。
古道具屋のジャレス(攻め)は殺ししかできないというルカに仕事ができるようにと男娼としての商品になるようにと指南をするのですが‥


この作者様のお話は甘い話が多いという印象でしたが、今作は初めの方はまーったく甘くありません。
指南という名の感情の伴わないセックスは読んでいて全くそそらず、この辺りが苦痛で、読み進めるのに非常に時間がかかってしまいました。いつもの5倍くらいの時間をかけて読んだような気がします。

よくあるBLでは、こういう(家に仕方なく置いてやる)シチュエーションでは何だかんだ面倒見てあげるのですが、ジャレスは初めは面倒も見ないし、なんなら自虐趣味のヤバいやつに売ってしまいます。間一髪(どちらかというと買った方の命)で助け出した後も、男娼の手ほどきをしたりして、優しい(酒屋の友人曰く)ながらも完全に面倒を見る気はない。
常に人が死んでたり銃声が聞こえたりする土地柄で、常に何気に緊張するし、2人の関係も緊張感漂う関係だしで、ずっとヒリヒリしていて読んでいて疲れました。この緊張感が読んでいて楽しいと感じられればとても面白いと思うのではないでしょうか。
私は甘々な話が好みなので、前半までは「趣味じゃない」でした。

表題作は、後半に行くに従ってどんどん緊張感が増して、しんどくて、でも最後はほっとする話でした。
書き下ろしも甘さには程遠いのですが、2人が恋人になって、人間らしくなっていく様子が、よかったと思える話でした。

甘さはあんまりなかったけど、良いお話でした。



ところで、シャレスの腐れ縁の酒屋のフェルナンドの空気読む力がすごい。実は読心術が使えるのではというくらいで、2人の間に彼がいてくれて良かった。
フェルナンドの夢が叶うと良いですね。ルカのおかげで叶うんじゃないかな。




勧善懲悪


楽園と称される大陸の英雄の末裔、第8代国王の第一王子フィンリィ(受け)。
何故か生まれた時から王妃に疎まれてたフィンリィは12歳の頃より打ち捨てられた離宮にひとり住んでいます。離宮のそばの廃墟で見つけた銀色の大きな猫のような
獣カイ(攻め)と共に。
次期王の証クレイドのミドルネームを持つフィンリィはそんな環境でも次代の王となるべく勉強その他を頑張ってきましたが、ある日そのクレイドという名も弟王子に譲るようにと言われてしましまいます。
世の中に絶望するフィンリィでしたが、そんな中、カイに導かれ廃墟の中から初代国王の手記を見つけます。それを読んでびっくり。
実は自分達は英雄ではなく侵略者であったのです。そして、元々のこの大陸の王は聖獣であるカイのことだったのです。
驚くやら申し訳ないやらでパニックのフィンリィに対してカイは人に変化してみせるのでした。

自分達の先祖の行った所業を知り、この大陸の統治権を再びカイに戻すために画策するカイはじめ眷属たち。それに協力するフィンリィ。Xデーは弟王子の誕生日。
計画はうまく行くのか。
裏切り者の眷属は誰か。



何故か全ての人から遠巻きにされる不遇な王子フィンリィ。両親から名付けすらしてもらえず、病床にいる王弟クインツィから名前をもらう始末。
1/4ほど話が進むと理由が明かされるのですが、意味のわからない不遇な状況が不快で不快で‥読むのやめようかと思いました。
思いあまって他の方のレビューを見ると、勧善懲悪だとあったので、気を取り直して読むことができました。

両親含め誰もフィンリィの名前を覚えていない中、唯一フィンリィの名前を覚えてくれていた名付け親の叔父(実は伯父)との邂逅は涙なしでは読めません。
クインツィとフィンリィは一族の被害者で、身体の弱いクインツィもまた悲惨な生涯でした。

数代前、王位継承で揉めて無理やり王座を奪わなければきっとこの日は来なかったし、フィンリィにカイを救えなかったと思うと、本当に自業自得でした。

これから2人で長い年月を慈しみあって行って欲しいものです。


小説ユニット


愛情に飢えた陽キャな人気者×愛情過多な家族に囲まれた人見知り

夏生(受け)は幼馴染の洸史郎(攻め)とユニットを組んで恋愛小説家をやっています。
小1で出会った時から洸史郎のことが好きな夏生はビジネスパートナーとして洸史郎といられる毎日がとても幸せなのですが、最近この先洸史郎が人生のパートナーを見つけてくるのではないかと不安になる日々です。
そんなある時、洸史郎が都合が悪いため一人で取材に出かけたケーキ屋で、偶然オーナーが洸史郎と仲の良かった小学校の時のクラスメイト平口だとわかるのです。
その上、実は平口の初恋が夏生だと告白してきてびっくり‥


自分に自信がない夏生は誰とでも仲良くなれる洸史郎が眩しくて告白できず、せめてそばにいたいと思ってる。
親になりきれない男に依存する母親に育てられたせいで、変わらない愛が信じられない洸史郎は、1人でも毅然としている夏生が眩しくて、同じく告白できずそばにいることを選択してる。
どちらも涙ぐましい努力をしているのに相手の気持ちに気づくいていません。

2人揃っていまの状態に満足しながらも不安に思っていたところに一石を投じたのは取材対象のパティシエの平口。
平口が夏生が初恋で今からでもどうかと声をかけたからもう大変。
それでも、遠回りに遠回りを重ねて、平口のところで何度も揉めて(なんでいつもうちで揉めるのという平口の叫びが笑えます)大団円となります。

途中、2人が想いを通わせるようになってからはどっちの愛が重いか競争を始めたり、思ってることを言わないせいですれ違ったりとか、最後までバタバタしていましたが、まーるく治って良かったです。

当て馬にされた平口とバイト君との仲がひじょーに気になります。きっとバイト君は夏樹がくるたびにソワソワしていたことでしょう。その辺りを想像してくふくふするのも楽しかったです。

失ってしまった記憶とは



冥王の王と考古学者

所属する教授の付き添いで新たに発見された古墳の調査に来た助手の伊月(受け)は落盤事故に巻き込まれ、気がついた時には冥府にいました。
冥府の王ルイ(攻め)に悪霊が現世に影響を与えたための落盤事故なのでこちらで治療してから現世に帰すとので、それまでひと月冥府の城の中で暮らすように、そしてルイとは関わりらないようにと説明されます。
城の中は昔やったゲームと同じだったり、部屋の中が昔の隣人の部屋と同じだったり、玩具なども伊月の知っているものばかりで、もしかして知り合いなのかと疑問に思います。

伊月は10年前の土砂崩れで両親含め近隣の人達を亡くしていて、その際神隠しにあっており3ヶ月間の記憶がありません。
何か大切なことを忘れている気がして、恋人とも長続きしません。
冥府に来て、あの時もここに訪れたことがあったのでは、ルイとは知り合いなのではと聞きたいことが沢山あるのですが、ルイはこちらと接触しようとしません。
なんとかルイと話がしたいと画策するのですが。

実はルイは伊月の幼馴染なのですが、なぜ記憶が無いのか、どういう関係なのかとか、読む前からの想像と全然違っていて、とても面白い。
お互いの執着具合がいい感じで、特にルイはあとがきにもありましたが、考えが表と裏と実際の望みと全部違っている上、臆病で暴走しがちなのでどこに落ち着くのかとハラハラしました。

伊月との出会い以外は何一ついい事のなかったルイが幸せになるといいなと思います。
ただ、2人の祖父的存在、佐伯さんが取ったあの行動はなんでだったのかがちょっと疑問のままなのと、気の毒ではあったけど何一つ悪くないルイにあんなに酷く扱った継母が成仏するのはちよっともやもやしましたが概ね良いお話だったと思います。

鎮魂の力は伊月の方が上らしいので、最終的には2人で冥府の王と伴侶という感じに落ち着かないかなーと思いました。そうすればルイの不幸な生い立ちと相殺されるのではないかな、というのが希望です。

此岸と彼岸の間にあるお宿



囲い込み系スパダリな元鬼の頭領で現宿屋の主人と薄幸系先祖返り霊感少年


両親が亡くなってから唯一自分を愛してくれた祖母が亡くなり、身を寄せていた伯父宅を追い出されることになっている凪(受け)は、妖に操られた従兄に殺されそうになります。
そこを助けてくれたのは、幼い頃あやかしに襲われていたところを助けてくれた鬼の時雨(攻め)でした。妖のいる場所と人間のいる場所の境にある宿「ゆわい」の店主をしているという時雨は元の場所に未練がないなら伴侶にならないかと言ってくるのです。



凪は両親を事故で亡くし、母親の実家の祖母のもとで育てられました。
母親は許嫁がいたのに駆け落ちし実家から絶縁されていたたため、祖母以外の親戚は皆凪に冷たい視線を向けます。その上凪は強い霊能力を持っていたため、側から見ると不審な行動が多く、気味悪がられ、当主である伯父の息子(従兄)より成績が良いことで僻まれていました。
祖母も亡くなり、高校も卒業したため、追い出されようとした時、妖に劣等感を刺激された従兄が襲ってきて時雨に保護されるのです。

時雨は元々鬼の頭領でした。圧倒的な力で持って君臨していましたが、凪のを助けるために掟を破って力の大半を凪に渡してしまったため、罰と共に時雨を守るため妖の力の弱まる「ゆわい」の店主になったのでした。
その時に、凪の力に気がつき、力を手に入れようとする妖に狙われないよう力を成人まで封印しその後こちらに呼ぼうと小鬼を作りストーカーしていたのです。


凪は生い立ちのせいでとても自己肯定感が低いです。どんなに酷い扱いを受けても、それが全て自分なせいだと思い相手に申し訳ないと思っています。

妖が視えるから変な行動を起こすことがあるのは確かだろうけど、何故か周りから苦言を呈されることが多いらしく伯父夫婦が周りに何度も頭を下げているらしい。それが余計に伯父夫婦や叔母や従兄に憎々しげに思われています。
ただ、この辺りがよくわからなくて、なぜ伯母が周りに頭を下げているのだろうかと気になりもやもやしました。
そんな扱いをされてきたからもあって、凪は自分の命をとても軽く扱っています。
時雨が命をかけて助けてくれたのにそのことを軽く扱うような行動には少しイラッとしました。

時雨が早々に伴侶に望んだことで、簡単に答えを出せない凪。
時雨が頭領の地位を譲ったことをよく思わないブラコン弟の奏矢や時雨の身体を心配する元許嫁、力を持つことに執着する天狗の長老など面倒な人々。
凪と時雨の全面的な味方には、元店主の柊に妖狐の頭領で友人の早霧に店の従業員たち。たくさんの登場人物が話に緊張と和やかが混じった面白い話になっていると思います。

最後は大団円。
家族のいない凪に伴侶ができ、もしかしたら子供も望めるかもしれないという明るい最後になっています。

ただ、伯母たちが周りに謝ってばかりだった理由や天狗の長老が自滅したほどの凪の力とはなんだったのか、元婚約者の真意とか、宿の宝玉の力というか意志は一体どこから持ってきてるのかとかわからないままのものが多く、またブラコン弟や「ゆわい」で出会った人間の女性のその後など、気になることが多くてすんなりした読了感がなかったのが残念でした。

ちょっと尺が足りなかったですかね。
2人の子供も見たかったし。

神が望む争いのない世を作りたい


神獣と共にひっそりと暮らす神子が国の思惑に巻き込まれそうになりながらも戦争のない世のために尽力する話と運命のつがい。


アイ(受け)は天から遣わされた神獣シルラを統べる神子。
隠れ里でひっそり辺境の村々を癒してまわる毎日を送っていましたが、国境では隣国との戦争が今にも始まろうとしています。
そんな時、国境警備隊から軍人アーサー(攻め)がやってきます。
シルラは心の鏡。愛には愛を敵意には敵意を向ける為、シルラへ敵意を向けたアーサーは攻撃され怪我をしてしまいます。
アイはアーサーの手当てをし、シルラの本当の役割を訴え、数百年前のようにシルラが利用されないよう訴えるのです。
怪我が治るまでとアーサーと共に里で生活をしているうちに、オメガであるアイはアーサーが運命のつがいではないかと思うのですが‥



アイは10年前に両親や里の人たちとほとんどのシルラを山からやってきたシルラの天敵によって殺されてしまい、残った12頭のシルラとたった1人で里を守っています。
アイの里は、数百年前の戦争で利用されてしまったことを悲しんだ当時の神子が表舞台から去り住み着き始まった村で、国境の村々をシルラと共に癒してまわる役割を担っています。
神子は次代の神子を産み育てなければならないので必ずオメガで生まれてきて運命のつがいと共に生きるとされているので、アイは自分のつがいと早く出会いたいと孤独な日々を送っています。
そんな時に現れたのが、アーサーでした。

シルラは慈愛の獣であれど、ひとたび攻撃を受けると殺戮の猛獣になってしまいます。

アーサーは隣国に攻撃された村の生き残りで、軍人として隣国との戦争に勝ち平和な世を願って、隣国との戦争に有利になるようシルラを戦争に利用できないかという密命を帯びて里へとやってきます。
が、本来のシルラの役割を知り、考えを変えるのです。


オメガバースと思って読んでいましたが、はっきり言って添え物程度でした。
実際、オメガだとされたのは現国王とアイだけだし、アルファと明言されているのもアーサーと隣国王太子だけだし、発情期も必要だったかどうかわからないくらい薄い印象だし、神子は男女どちらもありうるから、次の神子を産むということのために付けられた設定のように感じ、オメガバを生かしきれてないと感じました。
そういう意味では少し残念に思いました。


ひっそりと人々を癒していたいアイ。
隣国からの脅威に強力な戦力としてシルラを使いたい軍。
シルラが怖いから早く叩き潰したい隣国の老王。
老王の妄執に惑わされる隣国王太子。
と色々な思惑が混じって話は進みますが、おおむね王道な展開であったと思います。

ただ両国が友好的になったのは良かったとは思いますが、最後の方でこちらの王と隣国の王太子(即位したので王)が、くっつくっぽくて、のちのち統一してしまうのそれはそれで豊かさの違いから新たな争いの種になるんじゃないかなと思うので、王同士が結婚する展開は賛同しかねるなーと思いました。
そもそもその展開、この話に必要かしらと思ってしまいました。

ともあれ、孤独なアイに伴侶ができてよかった。


オカルトとBL



元僧侶の花屋と憑かれやすいサラリーマン


光春(受け)は体調不良を押しての仕事帰り、誰かの視線に怯えながらふらふらしているところを、花屋の蘇芳(攻め)に助けられます。
蘇芳に一目惚れした光春は、元々家に花を飾るのを習慣にしていたので、それ以来蘇芳の店に寄るのが習慣になります。
蘇芳がフレンドリーに接してくれるので勘違いしそうになるのを自省する日々です。
そんなある時から、ストーカーと思しき誰かからの視線や奇妙な出来事を誰にも相談できず神経がすり減る毎日を送っていると、心配した蘇芳に‥


「闇に香る赤い花」「花と言葉を束にして」の中編2編。
前半は光春がずっと執着されてた霊との話と2人がくっつくまで。
後半は、元カレが出てきて引っ掻き回される話と蘇芳の未練に光春が背中を押す話。


昔からいつも誰かに見られている追いかけられている気がする光春。
が、それは他の誰にも見えなかった為、虚言癖を疑われ、自分の言葉をいつも疑われるようになってしまい、嘘だと思われないよう気をつけるせいで余計に怪しまれることになってしまい、話すのが苦手になってしまいます。
実は、光春は霊感が強く霊の気配を感じていて、共感してもらえる人が周りにいなかったため虚言癖を疑われていたのですが、そのことには全く触れられないまま話は進むので前編の真ん中くらいまでは何が起こっているのかわかりません。
その上、蘇芳も思わせぶりな言動をするので、実は蘇芳が黒幕なのかとミスリードされる展開になっています。


オカルトとBLという好きなものを一緒にした美味しい話と思っていたのですが、恋愛部分がなかった方が良かったのではと思いました。
特に、前半で蘇芳が遊び人だったことがわかった時はかなりがっかりしました。
私が受けの遊び人は許せて身攻めの遊び人は嫌いだという勝手な理由です。
それまでの言動で、崩れた色気があるとはいえ、包容力のある頼れる存在と思って読んでいたので、爛れた生活をおくっていた人だと明かされた瞬間勝手に裏切られた気がして読む気が失せてしまって困りました。まだ前編少しと後編丸々残ってたのに。
後半部分でそんな気持ちになるのもわからないでもない気の毒な人だと明かされるのですが、それでもやさぐれるなら色事の方にやさぐれるのではなく別の方向に行って欲しいかったなと思いました。

そしてそのまま、慣れない光春にがっついてしまうのもちょっと嫌な気持ちになりました。
自分は二丁目で散々遊んできたからそういう付き合いだったかもしれないけど、誰とも付き合ったことのない光春相手なんだから、自分本位にがっつかないでゆっくり進めてほしかった。
前半では挿入までやらなくてもいいくらい。
最後の早急な展開にガッカリして、それまでの怖くてでもいい話が台無しになった気がしました。

読むのを断念しようかと思ったくらい読む気が無くなったのですが、頑張って読んだ結果、後半はオカルトも恋愛も良かったと思います。
元カレがきて引っ掻き回されるのはよくあるパターンですが、横入りしようとするのではなく怪異がらみと元カレの性格の悪さの話なので面白く読みました。
元カレに同情する安定の光春でしたが、自業自得の嫌いがある元カレくんはちゃんと自分の行動を顧みるまで安らぎを与えてはいけない思います。
とてもそんな日が来るようには思えないけど、いつか誰かに刺されるんじゃないかしら。


光春は身近に霊感のある人がいたならきっと早くから自覚して対処がとれ、このような孤独な人生を送らなくても良かったと思うと気の毒。

蘇芳が、見目の良さから苦労してきて、僧侶修行で生き甲斐を見つけたのにも関わらず、生来の霊感の強さのせいで道が閉ざされ、やさぐれてしまうのもまた気の毒ではありましたが、爛れた生活の方へシフトしてなかったら神評価にしてましたね。
ただの性癖なので私はすごーく気になりましたが、気にしないのなら良いお話だったと思います。