クセつよエロが特徴の加東鉄瓶先生による電子短編。
本作はこれまでの先生作品に見られた甘さやコミカルさは無く、どこかゾッとする怖さが味わえる…かな。
主人公は、宅配の青年。
マンションのある部屋に配達に行き、出てきた若い男性といきなり玄関先で抱き合う。
どうやら前にも男から誘われてヤった事がある模様。
今回は男からオナ禁を命じられてもうtnkはカチカチ。
男は仕事中で時間のない青年にお構いなくフェラ、騎乗位とヤり続けて、搾り取る。
青年は男を本気で好きになり家や食事に誘っているが、そこに急にもう1人の男が現れる…
この「寅」と呼ばれるコワモテの男は青年に殴りかかろうとするが、
男「俺が誘ったから怒るんなら俺にして」
この言葉を機に、結束バンドで拘束された青年の前で寅と男が「仕置きセックス」を繰り広げる。
だが男は自分としてる時よりも気持ちよさそうだし、何なら主導権も握っているようで…
この寅と男のセックスシーンは、アングル等AVちっくでかなり激しいし煽情的。少々暴力的でもある。
座らされてる青年の目の前で背面座位逆駅弁スタイルで後ろから寅に攻められ揺れる男のtnk。それを咥える青年。
といったように、3P的描写もあります。
思うに…(ここから私の勝手な想像)
この若い男と寅は恋人。しかし男は普通の恋人関係では満足できない。いつも誰か他人を誘惑して寝取りを演出し、そこをわざと見せて寅に暴力的に自分を抱かせる…
寅は全てわかっているけれど自分も男の虜だから言うがままに…
みたいな関係性なのかな。いや知らんけど。
短編だから「こわっ」で終わります。
大好きな作品「お父さんは悩ましい」の同人誌。
春、夏、冬のお父さん編があるようです。
本作は「冬のお父さん」。
年末年始が舞台です。
遠距離恋愛である安浦と浅井。
浅井は忙しく体調がすぐれなかったが、とにかく仕事納めをして飛行機に飛び乗るも、安浦の家に着くや否や気が抜けたのか高熱を出して玄関先で倒れてしまう。
じっくりいちゃいちゃできると思ってたのに痛恨の浅井。
しかし、安浦はとても真摯に看病してくれて、それはそれで良かったな、とも思う浅井なのです。
さて。
とは言ってもこちらは成人向け同人誌なのであります。
本調子ではないし、安浦は体を気遣ってくる。それでも浅井はどうしても抱いて欲しいのです。
はじめは手で、そして口でも浅井を愛する安浦。
自分がイくだけで終わり、なんて許さない浅井。
結局浅井がとことん満足するまで…
終わったら年が明けていました。
安浦さんて包容力すごいなぁ。
ゴミ箱のティッシュの山もすごいけどね。
「チキンハートセレナーデ」番外編の2作目。
本編と番外編1作目はかなり切ない印象を感じましたが、本作は穏やかに甘くて、しっとりと落ち着いた愛だったな、と思いました。
終電で人身事故。
それはもうウンザリですよね。
残業や仕事上の付き合いで終電になったのならなおさら。
もちろん央倫もドッとお疲れ。
でも帰宅したら駿斗がにこやかに出迎えてくれる。
これはほっとしますよね〜。
しかもお風呂で洗髪もしてくれるなんて。なんていい恋人なの⁉︎
そしてその後はベッドに移って熱い絡み。
ふたり入浴後の温まった肌の温度や湿度まで感じられそう。
ピロートークは、禁煙の理由について。
駿斗の甥っ子の赤ちゃんを抱っこしたいから、だって。
というか、駿斗のデレを共有したい、っていう事なのかも。
お互い辛い過去とか色々あったけど、今は本当に穏やかな時間を手に入れたんだなぁって。
ラブいエピソードでした。
吉池マスコ先生の切ない系傑作「黄昏小説家」の同人誌。
「黄昏〜」は20年も付き合って、同棲もしていた恋人と別れてズタボロで、だけど生きていく小説家のお話。
この同人誌は、本編の前日譚的なお話です。
金春はまだ「小説家」ではなくて、その恋人とまだ付き合っていて。
新しい編集さんに作品を読んでもらってアドバイスをもらう。
もうすぐ世に出られそう。
恋人の安田は優しく応援してくれるけど、金春は安田に読んでほしくて書いているのだ…
そんなモヤモヤを抱えていたある日、新編集者から突然ある事を聞かされる。
「黄昏小説家」を読んでいるからこの後の展開はわかっているけれど、別れのいきさつからしてこんな残酷さがあったのか、と切なくなる。
でも多分、安田はこうなる以上金春にキッパリ嫌われたいと思ったのでしょうね。
自分が嫌な奴になる事が最後の金春への贈り物になるように。
つらいわぁ…
沙槻先生の「江戸川乱歩」パスティーシュ作品の一作。
…ていうのは知らずに獣人さんの金色の瞳に魅入られて手に取ったんだけど、主人公の名前が「江川蘭伍」だもんね。
そして、本作は乱歩の「人間豹」という作品から着想を得たそうです。
時は戦前昭和初期。主人公・蘭伍はサーカスの猛獣使い。
終演後セクハラに遭っている所に突然現れた豹の獣人に助けられ、「豹さん」が蘭伍の用心棒兼サーカスの手伝いになって…
…と始まります。
豹さんの優しさを知るにつけ惹かれていく蘭伍。
そこはピアスレーベルですから、ほのかな片想いなどではなくガッツリHになるわけですが。
さて、豹さんには秘密があるようで…
豹さんが「親父」と呼ぶ博士。オヤジと言っても若い美形ですが。
彼が獣人を創り支配している?そして豹さんには危険な「弟」がいて…
…という展開に移っていくわけですが、この弟の黒豹獣人が怖い。
兄豹のものを何でも欲しがる。だから蘭伍も欲しがる。
蘭伍は弟の黒豹に思いっきり犯られ、その間豹さん本人は麻酔で動けなくさせられ。
しかし、蘭伍はヤられて壊れるような人物ではなかった!
ここが良かったですね〜。
カラダは快楽を追い、「心は屈しない!」と機をうかがう蘭伍です。
その後もパトロンに名乗り出る議員(博士の元恋人)や明智らしき人などの登場、そして戦争のキナ臭さから身を隠すために蘭伍と豹さんがどこかに消えてしまう…というラストまで。
非常に余韻がありますが、詰め込みすぎで消化不良なのが残念。
沙槻先生の江戸川乱歩シリーズ、他の作品も読んでみよう。
めちゃくちゃ面白くて一気読み!Mりあ先生天才だな。
私は転生ものとか全然読まないんだけど、この作品の面白さはわかります。
主人公はさえないBL漫画家・鉄男。
〆切になんとか間に合わせ、スーパーに買い出しに行った帰りにバスジャックに遭い、胸を刺されて。
次に気づいたらなぜかクラブの中。
そして鏡を見たら自分が描いたBL作品の登場人物になっていて、オタクの性(サガ)、自分が転生した事を即座に悟るのであった…
で、自分の作品だから、他の登場人物やら場所やら全部自分はわかってるの。
そして出会うのが、自分が描いた「受け」。
自分の理想を詰め込んだコなんだけど、その作品では「ビッチ受け」なわけ。
だからこっちがドキドキして話しかけると即エッチもOKみたいな。
OKされて、誰でもかよと傷つくというね。
そこに自分の描いた「攻め」が来る。
自分は自分の描いた「当て馬」なんですよ。わ!このままじゃ攻めと受けが恋に落ちちゃう!って焦るの。
だから当て馬だけど超頑張るというお話。
これが超オモロイ。
ラストは結局夢でした〜かなと思いながら読んでたけど、最後まで本当に転生ものだったのも面白かったし、当て馬が本命攻めに勝つのも良かったし。
何より発想がいい!
この天才性、どんどんとんがってどこまでもぶっ飛んだ作品を描き続けて欲しい。
「龍虎の甘牙」書き下ろしSSカードとなります。
B5サイズの四つ折り。
片面はオールカラーで表紙と同じ絵柄。
片面にSS収録。
タイトル「午後に紅茶」
本編後。
リヒトは、受け継いだ茶葉農園の紅茶を世界展開していくビジネスを締結したこと、それ以上に王位継承で巻き込まれた陰謀を解決してくれた高柳に対して、高柳だけのためにオリジナルの紅茶ブレンドを作ってくれるという。
ついては、そのブランド名を高柳につけて欲しい、というお話。
高柳はなかなか思いつけず、ティエンに相談しがてら一緒にそのオリジナルブレンドの紅茶を飲むのです。
ティエンは普通に美味い、と言い、マレー語でありがとう、と。
それに「どういたしまして」の意を同じくマレー語で返す高柳…
「決めた」
高柳らしい優しさが込められたネーミングができたようです。
複雑長期シリーズ23作目。
タイトルからわかる通りメインの「龍」編。カップリングはティエンx高柳。
ウェルネスを退社した高柳はティエンと結婚し、これからベトナムをひとつの拠点としてフリーのビジネスネゴシエイターの仕事を始めようとしていた…
その第一弾が、マレーシアの紅茶を世界展開する、という試み。
だから今回の舞台はマレーシアで、故に「虎と翼」で登場した「マレーの虎」ことハリーも関わってきます。
マレーシアで個人茶葉農園を運営しているリヒトを紹介され、その農園の紅茶に心から惚れ込んだ高柳は早速ビジネスとして進めていきたいのだが、リヒト本人にキナ臭い陰謀が取り巻いていて…
…という展開。
マレーシアの王位に関わる陰謀に巻き込まれる高柳を騎士のように見守り助けるティエンがカッコイイ、というストーリーですかね。
ティエンの高柳溺愛物語一色ですかね。
食いしん坊の高柳ですから、マレーシアの美味しそうなお料理描写はお約束、そして2人のアツアツなセックスシーンも盛り盛りです。
ところで。
高柳はウェルネスを辞めてしまって、ますます本丸の「ウェルネスの謎」が遠くなったなぁ。残念。
複雑長期シリーズ22作目。
上海組、カップリングはレオンx梶谷、「獅子」編の第5弾です。
21作目「龍の恋炎」のエンディングで高柳がティエンにプロポーズしましたが、本作は2人の結婚式で幕を開けます。
はぁ〜、2人もついに本物の夫夫か…
感慨深かったのは梶谷も同じ。はともかく、なんとあのレオンも⁈
…という感じで、なんとウェディングの最中にレオンが梶谷にプロポーズとは‼︎
なのにまたクヨクヨ乙女が顔を出す梶谷だから、お返事ができないんですね〜。
でもここが梶谷らしいとも言える。
さて、今回は梶谷にとっての大事件が起きます。
それは…
レオンの隠し子⁉︎
子どもと接点のない梶谷はアワアワ。かわいそうだけどどこか微笑ましい。
ショックもあるけど、小さな子にレオンの面影を見て愛しさすら感じるようになる梶谷がいい。
これまでの「獅子編」は、素直になれない梶谷の意地っ張りで頑なな面が強調されてたけど、本作では優しくて柔らかい梶谷の姿が垣間見られて良かった。
一方レオンはと言えば。
やっぱり俺様系だったかなぁ。
梶谷を愛してるのはわかるんだけど、この2人どうもコミュニケーションが…
勿論このシリーズは全CP通じて裏社会ものでもあるので、隠し子騒動と並行してスパイ?的な事件も起こるわけですが、今回はかなり事件性は薄味。
色々あって、でもやっぱり2人は運命!的な展開でした。
さて、隠し子騒動は?といえば、まあ順当な種明かしだったかな?レオンの顧客はどうも非常識な人が多いようで。
総合「萌」で。
殺人鬼BLという異色作、完結巻。
いや〜…想像よりも怒涛の展開でした。
2巻の終盤で、レフが怒りの感情を出していたのでコレはどうなるか?と思ってたけど、こう進みますか!、と。
森を出るディータと太一を襲うのは想定内。
撃たれたのに元気なディータはさすが!
状況を考えて一人で街に戻る太一は…強くなったね!
離れても募る想い…これはもうストックホルム症候群を越えたんじゃないかな。
そして、レフにも2人の気持ち/決意を伝えて筋を通すというか…それが「遊園地で遊ぶ」というのが「らしい」なぁ。
レフはジェットコースター絶対好きでしょ!
さて、無事2人で暮らすようになってからの展開が私には意外でした。
なんか急にヒューマンドラマみたいな?
感動的ですらあるんだけど、Mりあ先生のブッとび側面しか知らなかったから新鮮です。
いや〜実際感動しました。
ここまで猟奇が勝ってエロは薄味という感じだったけど、この3巻のセックスシーンは心が入ってて読み応えアリ!
ディータの苦しみ、それを包む太一の真心が沁みた!
太一が聖母になるとは…
1巻から3巻への流れ。猟奇から感動へ。この意外性に「萌x2」で。