訳あって、森の中でひっそりと隠れるように1人で暮らしていたエリオット。
彼のキャラクターがとても良かったんですよ。
勤勉でよく働く聡明な努力家でありながら、森育ちゆえの初心さからくるかわいらしさがふわ〜っと漂うのです。
その一方で、弓も剣も強いというギャップがまた素敵でした。
人への感謝は忘れず、うじうじ悩まずさっぱりとしていて、けれど色事のこととなると…と、嫌味がなく見守っていたくなるようなバランスの良い主人公だったなあと思います。
お話としては、まさにタイトル通りなお話です。
途中で一悶着はあるものの、全体的に軽い読み口で読める、甘みのあるBL版白雪姫といったところでしょうか。
サクサクと進むからか非常に読みやすく、攻めと受けの両視点で語られる心情もおもしろく追いかけられたのですが…
名倉先生の他作品と比べると、細部の展開がやや薄口に感じられたかなと今回はこちらの評価になりました。
攻めのアレクサンダーも、王弟だというのに親しみやすい人柄で好感が持てました。
かつて遊び歩いていたというわりには、エリオットへの恋心に気がついてからというもの、思春期のような心の声がなんだか微笑ましい人でした。
後半へ進むにつれて、名倉先生作品らしい受けのことが好きすぎる攻めへと育っていってくれます。
もう、かわいくてかわいくて仕方がないんでしょうね。わかります。
そして、エリオットの育ての親であるダレルが本当にかっこいい人でして、彼のエピソードももっと読みたかったなあ…!
継母に関しては残念だったけれど、義弟との関係が良好になるパターンはあまり見かけなかったので新鮮でした。
彼もまた素直そうな良い子ですし、エリオットとオースティンはこれから良い義兄弟になりそうですね。
王と王妃ものんびりとしていて好ましく、サブキャラクターが魅力的にうつる作品でした。
夜が明ける前の薄紫色がかったような、静かなトーンで進む幼馴染の再会もの。
とにかく絵がうつくしいです。
やや辛いテーマも描かれているのだけれど、不思議と切なさよりも穏やかさを感じるお話でした。
昔、つらい境遇にあってよく眠れずにいた年下の幼馴染・凪と一緒に添い寝をしてあげていた圭一。
一度は縁が切れてしまった彼らですが、社会人となり再会をはたして…
と、添い寝をするという行為を除けば、再会ものとしてはそこまで珍しくはない再会の仕方かなと思います。
この添い寝がですね、お互いに大人となった幼馴染との距離感に焦ったさをプラスしてくれるのです。
大人になっても昔のように甘える凪を意識し、ぐるぐると戸惑う圭一の表情が良かったです。
執着やヒーリングというよりも、どちらかというと全体的に破れ鍋に綴じ蓋か共依存が近いかな…なんて思いました。
甘える攻めをそっと包んでくれる受けの図がお好きな方はピンとくるものがあるかもしれません。
全体的にゆっくりと丁寧に心の動きが描かれていて好印象だったのだけれど、やや盛り上がりには欠け、エピソード不足だと感じるところも。
会社内でほぼ全員が下の名前呼びなことも気になりました。
2人の幼少期の繋がりが強いものなのはわかるのですが、断片的に語られる過去だけでは説得力が足りないように思います。
どうやって出逢ったのか?なぜ仲良くなっていったのか?
ここがもう少し描かれているだけで、再会後の2人の印象がだいぶ変わるのではないかなと惜しいです。
この分厚さ、幸せだなあ。
yocoさんの美しいカバーイラストに胸が躍り、手に取った瞬間からその分厚さにわくわくとしました。
パブリックスクールシリーズのうまみがぎっしりと詰まった番外編集第2弾となる今作。
前作も読み応えありだったのですが、新規書き下ろしが加わったこちらも大変魅力的な1冊でした!
すべて読み終え、あらためてパブリックスクールシリーズはとても愛情深い作品だなと感じます。
エドとレイ、そしてスタンとケイトCPがメインではあるのだけれど、彼ら以外の誰もが主役になれるというのがこの作品のすごいところ。
語り手が誰であっても、メインCPが自然と引き立つのもおもしろいですし、なんだか全員ひっくるめて愛おしく思えるのです。
それはやはり、これまで樋口先生がパブリックスクールシリーズに登場するキャラクターたち1人1人に愛を込めて丁寧に描かれていたからなのでしょう。
デミアンは妙にかわいらしく見え、ギルがちらりと顔を見せれば胸がぎゅっとなり、アルビーの成長は感慨深く、メンべラーズにはざわざわとします。
各キャラクターたちの関係性もどれも素敵なんですよね。
サブキャラクターの誰も彼もが魅力的で、そんな彼らが語るエドやレイ、スタンとケイトが大好きです。
エド×レイは、どのお話を読んでもブレないレイ第一なエドの溺愛っぷりと相変わらずの嫉妬の嵐に笑みがこぼれたかと思えば、初めて2人が出会ったあの日からの歩みをあちこちに感じられる作品ばかりで感無量になりました。
本編初期ではレイからエドへの無償の愛情が印象的でしたが、番外編集ではエドからレイへの愛の深さと重さが印象的でおもしろかったです。
心が広くなったり狭くなったりするエドがすごくかわいい。
時にいちゃつき、時に独占欲を抱き、お互いを尊重し合って幸せに暮らしていく2人の未来をもっと想像したくなりました。
スタン×ケイトは、学生らしい若さあふれるお話が多く、エドたちとは異なるカラーで読み応えがありました。
一緒にいたいけれど、自分自身についてがはっきりとしていないがゆえにどうすればいいのかがわからず、ぐらぐらと不安定な足場を手探りで渡ろうとするケイトの姿が苦しい。
ケイトが思い悩めば悩むほど、少し前のレイを思い返してしまっていたのですが…
いやはや、こう来るのかー!とつなぎの上手さにぞくぞくしました。
この出会いはきっと一生ものになるでしょうね。
まだ青さが残るスタンたちの未来がどうなっていくのかが楽しみです。
70歳になっても一緒にいてほしいな。
どこをめくってもうれしい、優しさと愛で満ちた素晴らしい1冊でした!
また彼らに出会えることを願って。
倫敦巴里子先生、毎話の引きがうますぎます。
続きが気になるインパクトがありつつ、1話ごとにスパッと終わるのが気持ちが良いです。
2話の終わりはずるいなあ…!
そして、なんといってもストーリー展開がおもしろいのです。
特にお仕事描写は本当に読み応えがありました。
真剣にぶつかり合って、より良いものを作ろうとする大人ってかっこいいですよね。
笠原も佐伯もプロ意識が高い人物で好感が持てました。
元嫁の不倫相手と仕事をすることになり…と、これまたインパクト大な設定から始まる今作。
序盤から登場する元嫁がなかなかに強烈なキャラクターに見えたので、もしかしたらこの感じは肌に合うかわからないなあと思いながら読んでいると、なぜかまったく気にならなくなってくるではありませんか。
むしろとても重要な人物になっていのだからおもしろい。
彼女の存在があるかないかで、かなりお話が変わってくるだろうなと思います。
佐伯と笠原の関係がどうBLになっていくのかが1番の疑問だったのだけれど、コンビニのスイーツ開発を通して、読み終える頃にはするするするっとあれもこれもが自然にまとまっているんです。
いったい倫敦先生の頭の中はどうなっているんだろう。すごい。
登場人物の掘り下げもうまかったですし、だんだんと笠原の年下らしいかわいらしい部分が見え隠れするのも良かったです。
ただ、ものすごく萌えたか?と考えると今回はこちらの評価になりました。
個人的には前作のBUDDIESのほうが恋愛・お仕事ともにバランス良く楽しめたかなと。
うーん…彼らの恋愛描写よりも、どちらかというとお仕事描写のほうに魅力を感じてしまったのかもしれません。
Momentsというタイトルの通り、過去に配布されていた特典類や雑誌掲載分の短編漫画をこれ1冊で網羅できる素敵な仕様となっています。
なので、これからコスラバをまとめて読みたい方や、逃してしまった特典や読んだことがない特典がある方のほうが楽しめるかなと思います。
どちらかというとコレクター向けの1冊ですね。
(10巻・Momentsに付属する特典は掲載されていません)
まず、こんなにも特典があったのか…!と驚きました。
既に読んだことのあるお話も多々あったのですが、個人的にはギュッとまとめて読めるのはいいなあと思ったり。
ただ、描き下ろし部分は8Pほどの長さのパロディもの短編漫画なので、もうすべて持っているよという方にはもしかしたら物足りなさが残るかもしれません。
内容に関しては、斗真×棗が9割+ビターネスの2人&トワイライトの2人がちらほらといったところでしょうか。
1巻〜9巻までの各書店特典小冊子やペーパーなど、BAな2人や日常の甘い一瞬、パロディものまで幅広く色とりどりの作品が掲載されています。
どれも良かったのですが、中でも好みだったのは相澤さん視点の短編。
女性キャラクター視点で斗真と棗を見るのも新鮮でしたし、BAというお仕事の素敵さがよく分かるストーリーでした。
他にも、もしも斗真と棗が別の職業だったら…シリーズは、医者やカフェ店員や探偵など、普段の2人とは異なるビジュアルと一面が見えて楽しいですよ。
きらきらとした宝石箱のような1冊です。
コミカルでかわいらしいトーンのコスラバが読みたい方はぜひ。
はーーー、幸せだなあ…
どのページをめくっても、ずっと見守っていたくなるようなぽかぽかとしたあたたかい幸せでいっぱいなんです。
漫画を読んでいて、こんなにも頬がにやけることってあるんだなと思ってしまうほど、全ページが多幸感に満ちあふれている大満足の最終巻でした!
コスラバシリーズを追いかけて早数年。
まだまだトゲトゲとしていた斗真と棗の関係から始まり、次第に成長し深まっていく2人の姿を、部屋の壁となり職場の床となり見守り続けた数年でした。
そんなこんなで読み進めた最終巻だったのですが、何も言うことがないというか、これ以上ないだろうというか…
一言で言うのなら、すごく良かった!これにつきます。
はじめからすべてが上手くいっていたわけではなく、トラブルも離れ離れになった時期もありました。
けれど、その度に2人で一緒に乗り越えてきたからこそ、より「これが読みたかった」が詰まりに詰まった素敵な結びに感じられたのかなと思います。
お互いの存在がなくてはならない存在になっていく過程をじっくり追いかけられて幸せでした。
あらためて1巻から読み返すと、斗真の表情がとても柔らかくなっているんですよね。
斗真が棗にピタッとくっついて甘えるたびに、斗真ってこんなに甘えたでかわいい人だったんだなあ…となんだかとても感慨深い気持ちに。
斗真帰国後の、糖度MAXな甘い日常の何気ないやり取りが本当に微笑ましいやらかわいらしいやらで、なんだかもうたまらなくなってしまいますね!
恋人へのリスペストと愛情がダイレクトに伝わってくる2人が大好きです。
できることなら、2人の日常を永遠に読んでいたくなりました。
そして、恋愛面だけではなく、最初から最後までお仕事面の描写も充実していたことが個人的にうれしいポイントのひとつでした。
男性BAという、あまり商業BLでは見かけない職業を通して、BAとしてのスタイルが異なる2人が切磋琢磨しながらレベルアップしていく姿や、個性豊かなサブキャラクターやお客さまたちの人生を垣間見られるのが毎巻楽しかったです。
今巻でも、2人が勤務するロミーのコンセプトがしっかりと生かされたエピソードにグッとくるものが…
大切なあなたへの気持ちがこもった世界にひとつだけのパレット。
棗の斗真へ贈ったパレット色のひとつひとつが、真っ直ぐな性格の棗らしいなあ。
きっと、パレットに入りきらないくらいの思い出がこれからも増えていくんだろうなと未来へ想像を膨らませながら、2人の幸せが末長く続くよう願っています。
最高のシリーズをありがとうございました!
やられました。なんだあのウインクは…?
かわいい。レイオウがものすごくかわいいです。
なんだかもう萌えすぎて言葉が出てきません…
スピンオフとしても、アイドルものとしても最高でした。
ストーリー構成も、攻めと受けの関係性も素晴らしく良かったです!
崖っぷちアイドルグループの存続を通して、お互いの存在に影響を受け合いながら変化していく様がとても印象的なCPでしたね。
まさか、あんなに擦れていたお兄さんがこんなにも不器用さがかわいらしくもかっこいい人になって、真っさらな真面目坊ちゃんがとびっきりの愛らしさと男前が共存した存在になるだなんて思いもしませんでした。
そんな2人が全力でアイドルをやっている。これはたまらないなあ。
前作とはカラーが異なるアイドル像もおもしろく、レイオウの加入が起爆剤となり、崖っぷちから徐々に上向いていくグループの行方も甘さと辛さがMIXされていて非常に読み応えがありました。
特に良かったのは、やはりレイオウのキャラクター。
前作でも沼な予感がひしひしとしていましたが、今作で完全にやられたー!と思いました。
この1冊で、前作では頼れる大人のようだったレイオウの意外な1面を、2面も3面も見られるというたいへん素敵な仕様となっています。
右も左もわからなかった末っ子が、どんどん成長をしてすっかり頼もしさが増してきたかと思いきや…?
根っこの部分はまったく変わっていなくて、慈雨の前ではこんなにもかわいい顔になっちゃうんだな…と、あんな姿もこんな姿もたっぷりと見せてくれるものですから、どうしたものかと頭を抱えてしまいます。
血統の良い子犬を丁寧に毛並みを整えながら育ててみたら、その素直さと愛らしさにどっぷりとハマっていく飼い主の姿を見ているようでもあり、よく見ると実際に手綱をきゅっと握っているのは美しく育った子犬のようでもあり…
お互いへの独占欲とリスペクトと、なんともいえないどでかい感情がとても良いバランスでMIXされている素敵な2人です。
抱かれているのはレイオウのはずなのに、なんだか精神的には慈雨を抱いているように見える図も個人的にはツボでした。
今後を想像したくなる結びも上手く、もっとこの2人のお話が読みたくなりました。
願わくば、ラブがあふれる続編も見てみたいです。
作中での登場回数はそこまで多くはないというのに、レイオウくんの沼に落ちそうです。
BLY、魅力的なメンバーが多すぎる…!
アイドルオーディション番組の撮影を通して描かれる、アイドルの原石たちの夢と恋が詰まった成長物語でした。
全体的にテンポ良くポンポンポンっと進んでいくので、導入部分と丈偉とナナの恋の芽生えに関しては少々性急かなと思うところも。
しかしながら、彼らの魅力もアイドルグループとしての魅力も、1冊の中にきれいにまとまっていたようにも思います。
もう少し彼らの続きが読みたい!で終わるのがにくいですね。
恋愛面に関しては、ずっと相思相愛が隠しきれない溺愛っぷりですから、最初から最後まで安心して読めます。
デビューが決定した丈偉とナナのアイドルとしての成長が眩しく、どちらかというと恋愛面よりも彼らの仕事に対する姿勢を魅力的に感じました。
ただ、個人的にはナナとプロデューサーのやりとりに1番グッときてしまってですね…
プロデューサー視点でもっと詳しく読みたいくらいでした。
丈偉とナナの恋愛に没入して読めたか?と考えると、もう少しじっくり読みたかったなと、星3.5寄りのこちらの評価になりました。
それにしても、BLYはいい子たちばかりだなあ。
彼らのグループがもし実在したのなら、きっと私はFCに入ってしまうかもしれません。
突然の出会いからはじまり、ぐっと近づいて恋の予感がしてきたかと思いきや、自分の気持ちをうまくコントロールできずにもだもだしたり。
1歩進んでは下がったり曲がったりする、青くて未熟な恋を追いかけられる学生ものってやっぱりかわいいです。
全編モノクロのはずが、なぜかどのページもきらきらと輝いて見える画作りも素敵でした。
ころころ変わる登場人物たちの表情がとても魅力的。
声優の攻めやアニメ好きの受け設定など、サブカルチャー要素もありつつ、とっつきにくくない塩梅で描かれているので読みやすいのではないかなと思います。
ストーリー自体はごくシンプル。
攻めと受けそれぞれがしている、誤解と思い込みの正解を読み手だけが知っている状態で「これはこの後こうなるのだろうな」を楽しむというのかな。
王道展開を予想しながら、流れに身を任せて彼らの行く末を応援し見守る楽しさがありました。
コミカルかつテンポ良くサクサクと進み、合間合間にときめきポイントがしっかり組み込まれていて読みやすかったです。
不器用な春川が時折見せる、照れ隠しのようなひとことは妙にかわいらしく、表情豊かで好きな気持ちにとにかくまっすぐな日向も愛らしかったですね。
ただ、はたしてこの設定は必要なのだろうか?と思う箇所や、ダダダダっと展開が早く感じられたところもあり…
決して悪くはなかったのだけれど、強く印象に残ったかと考えるとどうでしょうか。
個人的には、もうひとひねりほしかった+もう少しじっくり読みたかったなとこちらの評価になりました。
熊獅子鷹虎、なんておもしろい男なんだ。
彼の良さとダメさメーターが、1冊の中で急上昇と急降下を繰り返すんですよね。
前巻よりも甘みが増した恋愛描写に、亀山と付き合うようになって成長をしたんだね…と思いきや、突然デリカシーのなさを見せつけてくるのだからたまらないです。
やっぱり鷹虎はこうでなくちゃ。
こういうところが妙にかわいらしくて憎めないんだなあ。
ただ単に元アルファのオメガという設定だけではなく、いわゆる正統派や完璧な主人公ではない、なかなかにクセが強めの鷹虎が鷹虎であるからこその魅力が光るお話だと思います。
現代社会でもしばしば見られるものがさり気なく作中に溶け込んでいて、オメガバースBLとしても新しいですし、社会派作品としても非常におもしろかったです。
タイトル通りといいますか、鷹虎自身はもちろん、かつての学友たちが社会で揉まれていく姿も見ごたえありでした。
主役は鷹虎なのだけれど、オメガである彼らそれぞれの人生を見守りたくなるというか…脇役がいないんですよ。
最終的には彼らに自分なりの幸せを見つけてもらいたいなと思いつつ、幸せになるまでの道のりも見せてほしい。
そんな気持ちになっています。
そして、元々アルファとして育ってきた鷹虎にとっての初体験を見させてもらっているようで、毎巻わくわくしてしまっている自分がいるのです。
今までの人生にはなかったなにかと遭遇した際に、アルファ思想が抜けないままオメガとなった彼はいったいどんな反応して、どう成長していくのか?
少しずつ人間味のある人物になってきた鷹虎のこの先の人生を追いかけるのが楽しみです。