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10DANCE 6 コミック

井上佐藤 

別離のリアル

切ない、そして、リアル。
心は相手を想ってやまないのに、離れるしかない。という、切なさの極み・・・。
鈴木の恋心が痛みを伴って揺れる描写が秀逸なのですが、人の心の機微をこんなにも掬い取って表現しきる井上佐藤さんの力量にひたすら感服。
例えば、
鈴木が自分のスタジオでレッスン中、目の前にいる生徒さん(男性)と杉木を比べてしまい『ちゃんとアイツを抱きしめときゃ良かった』と思うモノローグと表情や、ノーマンとのレッスン後、杉木のことを想い『気ぃ抜くとすぐに会いたくなる』とこっそり杉木のスタジオ近くに行こうとする際に鈴木の心に浮かぶ二人の甘い場面。
なんだかもういじらしいというか、鈴木がいかに杉木を愛しく想っているかが伝わるシーンになっていると思います。
かたや杉木も鈴木が世界ヘ羽ばたけるように万全の態勢を敷いて強力バックアップ。
杉木が最大限できること全てを鈴木に与えている状態。
互いに相手を特別で愛しいと感じているのは間違いないのになぜこんなにも辿る道が違うのか・・・。
男性同士の勝負の在り方や、リスペクトが行き過ぎた神格化、そもそも異性愛者なのでそこから生まれる肉体的・心理的な葛藤。その他諸々互いを思い遣るが故の方向性の違い。
そんないろいろをすっ飛ばして結ばれる(良い意味で)BLファンタジーな作品が多い中、異端な作品。
でもそうした物語展開がとってもリアル。
結果的に『10DANCE』は他作品との差別化をはかれたのではないかな、と。
そして、魅力の大きな源泉の一つになっているのは“大人の男性が先に進めない/進まない”という展開に他ならないと個人的に思っています。
私は6巻まで巻数を重ねたBLで体を重ねていない漫画を他に読んだことがありません。
時折、受け攻めどちらでもいいから一度セックスしてから考えませんかー?という即物的な脳みそをもつ私が叫ぶこともあります(笑)
でも、丁寧に二人の想いを積み重ねてきた『10DANCE』がそうした展開になるほうが不自然極まりないので、一読者としては二人の(ある種)純愛を見守る気持ちでページをめくるのみ。

最後のレッスンは真夜中の外でのダンス。
噴水の前で「ジジィになってもこの8ヶ月は忘れないな」の鈴木の言葉と杉木の表情。
二人の思い出とともに描かれるダンスシーンは美しさと切なさが読者の感情を揺さぶる名シーンです。
恋愛パートもダンスパートも素晴らしくて紙面から目が離せません。

物語としては新たな登場人物が現れたり、互いに新しいコーチのもとレッスを重ねる日々へと変化していきます。
次巻が待ち遠しくて仕方ないのですが、来年の発売のようですね。
二人の関係性がどのように変わっていくのかはもちろん、周囲の登場人物の関わり方も楽しみ。アキちゃん、ちょっと気付きつつある?

特装版の小冊子ですが、
そうきたか!!の一言です。
読者の気になる「どっちがどっち?!」にこんな風に応えてくれるとは!!
特装版、ものすごくお薦めです!
収録してあるカラーもとっても素敵。特に地下鉄の電車のキスシーンがカラーになってお目見えしたことに感涙。美しい。眼福です。

神評価、連打できるものなら超連打。

4年の月日がもたらすもの

「たった4年」か「もう4年」か。
「変わった」のか「変えられた」のかもしくは「変わらない」のか。
そんなことを考えながら最後までページをめくりました。

あの日から4年。
矢代は闇カジノのオーナーになり、三角さんから「組を持て」の誘いをのらりくらりかわしながら生きています。
側に七原と杉本は居るのでそれは一読者としてひと安心。
そして、百目鬼は天羽の口利きで三和会系桜一家の組長・綱川に預けられています。
矢代から捨てられ、それでも同じ世界にいたいと裏世界に留まり居場所を作ったけれど、矢代と直接会うことは一切なく日々は過ぎています。
互いに相手の居ない世界での日常が描写されているのですが、色のない世界というか、物悲しさすら感じられる画面の連なりにこちらの気分も切なくなり・・・。
別れたあとの日々を所々に挟み込んで物語は進行していくので、4年間の空白の時間もわかりやすく埋められて現在に繋がっていきます。
ちなみに4年後の矢代は色気倍増!百目鬼の男振りも倍増!です。

ある事件が起こり、矢代サイドも百目鬼サイドも同じ人物を追うこととなり、ついに運命に引き合わされた二人。
矢代はどう感じたのか。
百目鬼をまっとうな世界に戻したくて手を離したのに、まさかの「ヤクザ」として目の前に居るなんて。
個人的に、綱川に向かって百目鬼との間柄を話す矢代の言葉に静かな怒りや落胆が混ざっていたように感じました。
手を離したのに、自由にしたのに、カタギの世界がそこにあったのになぜ陽のある場所に戻らなかったのか、と。
一方、百目鬼の方は胆が座ったというか、矢代に相対する姿に成長を感じました。
ずっと感情面(恋情面)では百目鬼が押して矢代が躱す、逃げるといった構図でしたが、7巻においてもその構図は変わらず。
百目鬼の心が成長したのはもちろんのこと、4年間の想いも積み重なってより一層強い気持ちで矢代を掴まえにいくのではないかな。いや、いってほしい!!
矢代と百目鬼が紡ぐ関係は捩れたり切れそうだったりするけれど、最後の最後は二人で並んでいて欲しいと強く願います。

7巻も印象に残るページが多すぎて、全てに感想を書いたらとんでもない文字数になってしまうので、2つだけ。
百目鬼が矢代に発した「俺のこと覚えてたんですね 頭」。
この言葉を言う前の百目鬼の表情が少し緩んで嬉しそうにも見えて。
矢代が記憶喪失の振りをして百目鬼の存在をないものとしたこと、嘘だとわかっていても百目鬼には非常に辛い出来事だったのだと改めて胸が痛みました。
もう1つはお風呂場のシーン。
『囀る鳥は羽ばたかない』といえばお風呂はいつも名シーン!!
今回も、最後の最後にきました。井波に嫉妬(おそらくこの感情が一番近そう)した百目鬼が発した言葉、行動に読み手の私まで心臓がギュッとされました。
誰にも触られたくなかった体。その体に触った奴がいる。百目鬼の男としての独占欲みたいなものが発露した瞬間。からの8巻へ続く・・・。 

番外編
1、拘置所で竜崎と矢代(と七原)が面会したシーン。竜崎!生きてた!!嬉しい!!!と私のテンションが上がりました(笑)。
髪を下ろした矢代は十代の面影を残していて、竜崎また惚れちゃうなー。そして相変わらず報われないなー。
2、三角さんと矢代の戯れ(もはや茶番?)の濡れ場もどき。三角さん、矢代に対して超Sのご主人様。


シリアスな事実として、矢代の目が片方失明していたこと。右眼を手で覆うシーンがずっと気になっていたのだけど、まさかの失明。
今後、片眼であることが物語に何かしらの意味を付与する展開になるのでしょうか。
着地点はどこなのか。
どうかどうか二人にとって最良の場所に行き着きますように、と祈る気持ちで神評価。

男前受け万歳!

男前攻めと男前受けという個人的に最高の組み合わせ。
さらに沙野風結子さんと小山田あみさんという素晴らしい組み合わせ!
買うしかないでしょう!と発売を楽しみにしていました。
結果、大・大満足。
好みのカップリングということもありますが、最初から最後までノーストレスで読み進めあっという間に読了してしまいました。
そしてまたイラストがとんでもない破壊力。眼福です。


フリーライターのゼロ(攻め)と刑事の鹿倉陣也(受け)が半グレ集団である東界連合を潰すために共闘する物語。
二人ともに理由があって東界連合に拘り、なんとしても倒すことを心に誓っています。
利害関係の一致から利用したりされたりするのですが、互いにマウントを取る姿が男前。
同等な二人が遠慮会釈せずに力を出しあっている関係性が堪らない。均衡するパワーバランスからしか生まれない色気が充満していて読んでいて心が踊ります(笑)
ページが進むほどに二人の間に信頼や情が生まれ、少しずつ心の距離がなくなっていく道程もある意味お約束な展開かもしれませんが、十分に楽しませてくれるものでした。

一冊に「獣はかくして交わる」「獣はかくして喰らう」、SSの「ゼロの匂い」が収録されています。
「獣はかくして喰らう」に曲者な桐山検事が登場するのですが、この人の胡散臭さ&きな臭さが凄い。
一応の決着はありますが、嬉しいことに続編が決定しているとのこと。
本にまとまるのはまだまだ先のことだと思いますが、次巻発売を楽しみにしています。