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表題作囀る鳥は羽ばたかない 7

百目鬼 力,三和会系桜一家組員
矢代,裏カジノオーナー兼金主

あらすじ

平田との抗争終結から四年。
矢代は組を離れ、闇カジノの金主として稼いでいる。
カジノには時折、三角が訪れ、そろそろ真誠会に戻るようせっつかれていた。
一方、矢代から捨てられた百目鬼は、真誠会と良好な関係を結ぶ三和会系桜一家の組長・綱川の下でヤクザになっていた。
四年間、一度も会うことのなかった矢代と百目鬼。
けれど、ある事件をきっかけに再会して!?
止まっていた時間がついに動きだす! !

作品情報

作品名
囀る鳥は羽ばたかない 7
著者
ヨネダコウ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
大洋図書
レーベル
H&C Comics ihr HertZシリーズ
シリーズ
囀る鳥は羽ばたかない
発売日
電子発売日
ISBN
9784813032786
4.8

(401)

(351)

萌々

(34)

(10)

中立

(5)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
40
得点
1926
評価数
401
平均
4.8 / 5
神率
87.5%

レビュー投稿数40

人は変わる。人は変わらない。それはきっとどちらも正しい。

6巻を読み終わった時、これは7巻発売まで待てないなと思って雑誌で追いかけることにしたんですけれども。
なんていうかもう内容が全然甘くないので、1話読んでは2ヶ月(もしくは4ヶ月)待つ日々は寧ろ精神修行の反復訓練のようでした。
強くなれた気がします。笑

さて、6巻のラストで離れ離れになってしまった矢代と百目鬼。
あれから4年の年月が流れ。
36歳だった矢代は40歳なのかな?闇カジノの経営者になっています。
以前の矢代とは少し違った表情に中年の色気を漂わせながら三角さんと並んでお酒を飲んでいる姿に、あぁ時間は過ぎてしまったんだなぁという何とも言えない物哀しさを覚えました。
一方、矢代に捨てられ行き場をなくした百目鬼は、天羽のはからいで綱川に預けられていました。
25歳だった百目鬼は29歳ということですね。(まだ20代なのか百目鬼…!)
百目鬼もまた以前とはすっかり顔つきが変わって、昔以上にヤクザとして生きていることを思わせます。
黒シャツの百目鬼、手には黒のレザーグローブ。すごくすごくカッコいいけど、虎のトレーナーを大事に着ちゃうような百目鬼はもう見れないのだろうな……と思うとこちらも何とも言えない気持ちが募ります。

でもね、
そこでタイトルのテーマに戻るんですけれども。
ちょっとここからはうまく伝わるように書けるかなという感じなんですが、読んで感じたままに書いてみます。

後半で綱川が矢代にこう聞くシーンがあります。
“人は変わるもの”
“変われるもの”
どっちだと思う?

矢代は“変わるもの”と答えます。
私はその答えが「あれ?なんだか、らしくないな」と思いました。
矢代って外的要因の影響を肯定するようなタイプだっけ?と。

案の定、綱川もこう続けます。
俺は“人はどうせ変わらない”派だ
てっきりアンタもそうだと思った

7巻自体がこの“変わる”“変わらない”について描いていたように思います。

人は変わる。
人は変わらない。
きっとどちらも正しいと思います。
多分答えは、その時比重の大きい方が口を突いて出てくるだけに過ぎないと思っています。
人にはおそらく一生変わることのない軸のようなものがあって、それをアイデンティティと言いますが、そっちを見て答えるなら“変わらない”と答えるだろうし、そうではなくもっと表層のメンタルやフィジカル的な変化の方に意識がいっているなら“変わる”と答えるんじゃないかなと思うのです。
で、綱川は、前者の“人の本質”のような視点で話していて、矢代も当然そっち視点で答えてくるタイプだと予想したと思うんですよね。
けれど意外にも矢代は後者の視点で答えてきた。
矢代の頭の中には“人は変わる”を実感する出来事の方が先に頭に浮かんでしまったってことですよね。
それが自分の内面に起きた変化なのか、4年ぶりに再会した百目鬼を見て「変わったな」と感じた思いなのかは分からないけれど。
事実、百目鬼の言動は矢代が知っていた頃とは少し変わっています。
「俺がどう生きようと何になろうと俺のものです」と矢代に向かって言っちゃうようになっているんですから。
百目鬼のこの言葉を聞いた時の矢代の意外そうな表情。何を思っただろうか。
・・・という、そんなやりとりを経ての、その後の第43話で繰り広げられる2人の「変わった」だの「変わっていない」だのの会話は、矢代の心の中を思いながら読むとなんともむず痒くて仕方がなかったです。

矢代のことを「矢代さん」と呼ぶ百目鬼。
「もうあなたの部下じゃない」と言う百目鬼。
停滞した関係を変えてくれるのはやはり百目鬼なのだろうか。
ここから2人がどう変化していくのか既に気になりすぎて仕方ないです。
歯痒いなぁ。。。。
でもその歯痒さが堪らないのですけれどね。


「囀る鳥は羽ばたかない」の連載が始まったのは2011年。
それから10年が経ち、BLジャンルの流行り路線も随分と変わったと感じます。
ここまでじっくりと丁寧にキャラクターを掘り下げてもらえる作品というのは、段々と他に類を見なくなってきました。
寂しいなと、ストーリー自体の切なさにプラスして、何だかそんな切なさも込み上げた7巻でした。
囀るが終わってしまったらどう感じるだろうなぁ。

49

羽ばたかない鳥に温もりを

 好きだから大切だから離れようとしたのに、いつまでも後ろをくっついてくる雛鳥が可愛くない訳ないじゃない、、夢に見るほど想っているのに、その愛を受け入れてしまったら自分の中の矛盾に首を絞められる矢代という人間が可哀想で可哀想で愛おしい。裏社会で泥水啜ってまでも追いかけたくなるほど美しくて儚くてかわいい人。毎巻読むごとになんでこんなにもこの人に惹かれてしまうんだろう、って百目鬼の気持ちがよくわかる。

 百目鬼が裏社会に残らずかたぎとして生きていたらいつかまたグレーな世界を行き来する矢代と穏やかに出会えたのかって言われるとそれは無理な気がするから、やっぱりこれしかなかったのかなあ。でも百目鬼の家族を想うと少しだけ切ない。

 鳴いて飛べない雛鳥は百目鬼のことだと思っていたけれど、心の中に残るその雛鳥を捨てられず今どこにも飛べずにいるのは、矢代なんだと思わされた7巻でした。私はやっぱりこの2人に報われてほしい。どちらかが欠けるなんてことはなく。願う最後は、似合わない幸せに包まれて。

30

萌えと面白さしかない

ヨネダ作品なので、絵柄がカッコいいのは当たり前として。

この表紙のカッコよさよ…!
紙質、色遣い、そしてこの百目鬼のイラストのカッコよさに、手に取った瞬間から痺れました。背景、百目鬼のスーツから靴から手袋まですべて黒、というところに意味があるのかなあ…。

袂を分かって4年。
それぞれの道を歩んできた二人。そんな二人が、とある出来事を介して再会し―。

んー。
皆さんのレビューを拝見すると、甘さ控えめ、という感想を持たれた方が多かったみたいですが、個人的には『囀る~』シリーズで一番甘い1冊だったと、そう感じました。

誰とでも寝る男・矢代さんですが、今巻ではその雰囲気を感じる描写はあっても彼が誰かと寝るシーンは描かれていない。そして、矢代が身体を張る、その理由は、金のためでも自分のためでもなく、百目鬼を守るためなんじゃないかと思ったから。

そして百目鬼も。
彼にとって、矢代は常に「頭」だった。
自分が尽くし、守る、それは尊敬し畏怖の念さえ感じる存在だったと言っても良い。

ところが、組を離れ、百目鬼にとっての「頭」ではなくなってなお「頭」と呼んでいた百目鬼が、最後に矢代に呼び掛けたセリフ。百目鬼にとって、「頭」から「矢代さん」になったのだと。常に矢代ファーストの百目鬼にとって、矢代さんは同じ土俵に立つ一人の男になったのでは?と感じました。

しがらみがなくなり二人の間にあるものは、ただ一つ。
相手を想う、深い愛情だけになったんだなって。

だからこそ、最後の井波とのつながりを知った百目鬼が、今後どうでるのか目が離せない。

ヨネダ作品の大きな魅力の一つに、サブキャラでありながら魅力的な登場人物たち、の存在があると常々思っていますが、今巻のキーパーソンの一人に網川さんという男性が登場します。百目鬼が預けられることになった組の人。彼のセリフに痺れました。

人は変わるのか。
変われるのか。
あるいは、どこまで行っても変われないのか。

深いなあ…。

『囀る~』って、もうすぐ完結だと思ってたんですけども。
7巻に入り第2章が始まった感が否めない。

矢代が、身を切る思いで手放し、堅気の世界に戻してあげたはずの百目鬼が未だこちらの世界にいる、その理由。
矢代さんの、目。
矢代さんを取り巻く、男たちとの今後。

まだまだ続いてほしいような、そろそろ矢代さんと百目鬼を幸せにしてあげて欲しいような、不思議な感覚を持ちつつ。

次巻が今から待ち遠しいです。

26

続きます…

ものすごーく切なく感じました。
6巻が終ってどこかの記事でヨネダ先生はあと少し続きますと言ってたと記憶してますが


矢代の過去のトラウマから、百目鬼に愛されていると
自分が自分でなくなってしまうから
アィデンテティの崩壊と言うことで。
百目鬼を捨ててしまった矢代
そういうことって現実にはあることだけれど
辛い。

BLって愛こそすべてでそのほかの障害は乗り越えてる
という作品が多く
それだけBL脳になっているのでしょうね

百目鬼が幸せになる日がくるのでしょうかね??

次はあと二年近く待たなくてはならないのかと思うと
もどかしいです

それだけ神作品ということでした。

6巻後、4年経過してある事件を通じて矢代と百目鬼が再会する。
再会のシーンはドキドキしました。
流石の表現です。

24

4年の月日がもたらすもの

「たった4年」か「もう4年」か。
「変わった」のか「変えられた」のかもしくは「変わらない」のか。
そんなことを考えながら最後までページをめくりました。

あの日から4年。
矢代は闇カジノのオーナーになり、三角さんから「組を持て」の誘いをのらりくらりかわしながら生きています。
側に七原と杉本は居るのでそれは一読者としてひと安心。
そして、百目鬼は天羽の口利きで三和会系桜一家の組長・綱川に預けられています。
矢代から捨てられ、それでも同じ世界にいたいと裏世界に留まり居場所を作ったけれど、矢代と直接会うことは一切なく日々は過ぎています。
互いに相手の居ない世界での日常が描写されているのですが、色のない世界というか、物悲しさすら感じられる画面の連なりにこちらの気分も切なくなり・・・。
別れたあとの日々を所々に挟み込んで物語は進行していくので、4年間の空白の時間もわかりやすく埋められて現在に繋がっていきます。
ちなみに4年後の矢代は色気倍増!百目鬼の男振りも倍増!です。

ある事件が起こり、矢代サイドも百目鬼サイドも同じ人物を追うこととなり、ついに運命に引き合わされた二人。
矢代はどう感じたのか。
百目鬼をまっとうな世界に戻したくて手を離したのに、まさかの「ヤクザ」として目の前に居るなんて。
個人的に、綱川に向かって百目鬼との間柄を話す矢代の言葉に静かな怒りや落胆が混ざっていたように感じました。
手を離したのに、自由にしたのに、カタギの世界がそこにあったのになぜ陽のある場所に戻らなかったのか、と。
一方、百目鬼の方は胆が座ったというか、矢代に相対する姿に成長を感じました。
ずっと感情面(恋情面)では百目鬼が押して矢代が躱す、逃げるといった構図でしたが、7巻においてもその構図は変わらず。
百目鬼の心が成長したのはもちろんのこと、4年間の想いも積み重なってより一層強い気持ちで矢代を掴まえにいくのではないかな。いや、いってほしい!!
矢代と百目鬼が紡ぐ関係は捩れたり切れそうだったりするけれど、最後の最後は二人で並んでいて欲しいと強く願います。

7巻も印象に残るページが多すぎて、全てに感想を書いたらとんでもない文字数になってしまうので、2つだけ。
百目鬼が矢代に発した「俺のこと覚えてたんですね 頭」。
この言葉を言う前の百目鬼の表情が少し緩んで嬉しそうにも見えて。
矢代が記憶喪失の振りをして百目鬼の存在をないものとしたこと、嘘だとわかっていても百目鬼には非常に辛い出来事だったのだと改めて胸が痛みました。
もう1つはお風呂場のシーン。
『囀る鳥は羽ばたかない』といえばお風呂はいつも名シーン!!
今回も、最後の最後にきました。井波に嫉妬(おそらくこの感情が一番近そう)した百目鬼が発した言葉、行動に読み手の私まで心臓がギュッとされました。
誰にも触られたくなかった体。その体に触った奴がいる。百目鬼の男としての独占欲みたいなものが発露した瞬間。からの8巻へ続く・・・。 

番外編
1、拘置所で竜崎と矢代(と七原)が面会したシーン。竜崎!生きてた!!嬉しい!!!と私のテンションが上がりました(笑)。
髪を下ろした矢代は十代の面影を残していて、竜崎また惚れちゃうなー。そして相変わらず報われないなー。
2、三角さんと矢代の戯れ(もはや茶番?)の濡れ場もどき。三角さん、矢代に対して超Sのご主人様。


シリアスな事実として、矢代の目が片方失明していたこと。右眼を手で覆うシーンがずっと気になっていたのだけど、まさかの失明。
今後、片眼であることが物語に何かしらの意味を付与する展開になるのでしょうか。
着地点はどこなのか。
どうかどうか二人にとって最良の場所に行き着きますように、と祈る気持ちで神評価。

24

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