倉科るりさんのレビュー一覧

王様の夏休み 小説

倉科るり  穂波ゆきね 

ささやかな不幸とそれを含めた幸せ

すっごく良かったです。
学生がたくさん出てきて、皆それぞれの思いを抱えていて悩んでいて、でもすごくきらきらしています。

主人公の語り口調の文体なので子供っぽく、稚拙とも言えるのですが、だからこそ余計にこの子たちが子供ながらに色々悩んでいて、でも結局自分で自分を幸せにしなきゃね、という言葉がすごく自然と心に入ってきます。
作者さんがあとがきで、幸せな話を書きたかったんだと言っていたとおり、…

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最後の夏休み 小説

倉科るり  穂波ゆきね 

お互いが好きって気持ちがいっぱい

可愛くって可愛すぎて恋愛云々の感想を書こうとしても難しいお話でした。
男の子のほうが女の子より大人になるのが遅いって言いますが、BLでたまに中学生のものを読むと実際よりは大人びてる気がします。

これはまさしく、恋と言うものがまだ実体として感じられる前、友情と区別がついていないような頃の等身大の男の子を描いている作品だと思いました。
主人公の平も、君は好きより優位にいる、というふんわりとし…

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最後の夏休み 小説

倉科るり  穂波ゆきね 

大切な一冊

読み返す度に、まだ読めるかな?と不安になるけど、毎回そんな気持ちを見事なまでに打ち砕いてくれる一冊です。といいますのは、文章が主人公・平の話し言葉だから。

でも、中学生が友人の耐え難い不幸に一緒になって対峙し、葛藤する様をリアルさをもって表現するなら、こういう手法が効果的に思えます。そして、かわいい文章なのに視点が鋭く、そのギャップに唸らせられます。
さすがはコバルトでもご活躍された方です…

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