HIDERO先生インタビュー

お前はただ黙って私に嫁げば良いのだ… 王国にある言い伝えのせいで♥
王国の近衛兵、ギヤの身体に現れた薔薇の痣……。王子であるアルシャクは、言い伝え――“剣の痣を持つ者と薔薇の痣を持つ者同士が結ばれると国に幸福をもたらす”にしたがって、男のギヤを花嫁と決めます！ しかし、ギヤはもちろん嫌で！ 4月15日発売、HIDERO先生の初コミックス『その薔薇の名は』。国を優先する王子と、夢は「可愛い嫁さんと一家団欒」のギヤは、いったいどう結ばれるのでしょうか!? それでは「801 AUTHORS 108」第588回、HIDERO先生どうぞ！

Q. 作品紹介をお願いします！
表題作は、特殊能力に目覚めてしまったばかりに強制的に王子様と結婚させられそうになる近衛兵のファンタジーです。

自らの腕を頼りに、大事な妹を守りながら兵士として生きることに誇りを持っている受け。
全くのノンケなのに、何の因果か王子様と結婚させられそうになります。
さらに陰謀に巻き込まれるわ、弟王子に押し倒されるわ、散々な目に遭いますが最後は…というお話です。
同時収録は、心を閉ざした叔父さんに引き取られて、「なんとか笑わせよう！」と奮闘する健気な甥っ子のお話です。

Q. メインカップルはどんな攻×受ですか？
陰鬱王子(攻)：アルシャク×男前強気近衛兵(受)：ギヤ、です。

アルシャク王子は、顔だけはいいけれど「とにかく国優先！」で人間味に欠ける男。
表情筋が動くことはめったにないし優男風ですが、一度心に決めたら貫き通す苛烈さを秘めています。
(ちなみにムッツリでやることはちゃっかりやっちゃいます)

ギヤは、「会話は殴り合いから～」というタイプのガサツな兵士。
でも妹を大事にし、人の機微にも敏感な優しいお兄ちゃんです。
(ちなみに妹を下世話な話から守るうちに、自分も清いままきちゃいました)

Q. 当て馬や重要な脇役は？
当て馬の見本のような、攻めの弟王子が出てきます。
頭で考えてモダモダしちゃう兄王子に比べてガンガン攻めていきますので、受けが脱がしやすかったです。
Q. 今作のこだわりポイントはどのあたりでしょう？
登場人物の気持ちの変化です。

表題作は、最初はギヤもアルシャクもお互いの性格が真逆すぎて、大嫌い！ です。
嫌なのに周囲の思惑で結婚せざるを得ない、気持ちが近づいたかと思ったらすれ違う、弟王子が出てきてややこしくなる～と、とにかくギヤを窮地に陥れることに心血を注ぎました。
そんなグチャグチャな状況の中で一本筋を通したのが、ギヤもアルシャクも「人として自立している」ということ。
「キライ！」でシャットダウンするのではなく、自分の目で相手を確かめようとする人間的な余裕？ を持たせるようにしました。
そうしたら「自分とは違うけれど、相手のこういうところ好きだなぁ」とお互い尊敬する部分が見え隠れしてきて、気がついたら…
という宝探しみたいな展開になるよう目指しました。

もう一作は、受けの健気さにほだされて、「義務で育てる」から「こいつがいないと生きていけない！」に順調に病んでいく攻めの変化を楽しんでいただければと思います。
Q. 苦労した点、また楽しかった点など聞かせてください！
「エロって、BLってなんだーーー!?」に尽きます。
“キュンとくるBLを読みたい！ という方に向けたBLコミック”というふれこみだったので油断していたところ、全然キュンどころじゃないじゃないか「uvu」、エロガッツリだよ「uvu」、ダマサレタッッ!! という事態に陥りまして(笑)。
私も玄人のはしくれ？ となったからには全力で臨んでみせよう！ と正面から受けてたった結果。
主に資料検索をした私のPCが、以前よりスパムメールやエロ広告表示が増えるという地味にキツイ被害を被ったわけですが、読者様に喜んでいただけたなら瑣末事です♥♥

Q. 今作にまつわる裏話ってありますか？
表題作のギヤ。
「俺は絶対下になんてならないぞ！」っていう矜持をグチャグチャに叩き潰すのが醍醐味であろう！ と、最初のラフは格闘ゲームの主人公みたいな強面マッチョで出したのです。
そうしたら、担当さんからやんわり「BLなので‥」と軌道修正が入りました。
両者の闘いの結果をコミックスでご確認いただければと存じます。
(二の腕の筋肉は譲れない…っっ!!!)

Q. 執筆中の、思い出に残る日常エピソードをご披露願います！
雰囲気の参考にしよう！ と、何軒か洒落たカフェに取材に赴きました。
写真を撮っていいか確認すると、どこも可愛い店員さんがムチャクチャ丁寧に料理の説明をしてくださったり資料をくださったり。
「すみません、活用されるのは食○ログではなくBL漫画です…っっ！」と心の中で詫びを入れ続けたのが心の修羅場でした。
Q. 今、何かハマっていることは？
お香にハマってます。香炉から香りを楽しむ「聞香」も、最近では気楽に体験できるのでオススメ！
香りももちろんですけれど、普段生活をしていたらお目にかかれないような物品や心構えに出会えて、脳がマッサージされるような気がします。

Q. BL作家になったきっかけを聞かせてください！
持ち込みをしていたところ、担当さんからお誘いを受けました。ありがたいことです。
「uvu」は比較的新しいBL誌だからでしょうか、描き手の立場からも多くの可能性を感じています。
これからも凄い作品や作家さんがドンドン出てくることかと思いますので、是非ご注目ください！

Q. 発売前の今のお気持ちはいかがでしょう？
早く過ぎてくれ。

Q. ちるちるユーザーにメッセージをどうぞ！
はじめまして、HIDEROと申します。
今回コミックス発行にあたり、担当さんや友達、その他いろいろな方からお力をいただきました。
なかでも、本を手に取っていただいたり、感想をくださったり、このインタビューにここまで目を通してくださったりする方、ありがたすぎてもうどうすればいいのか。
作品で返すしかないので、黙って手を動かしました。
コミックスをお手に取っていただき、ちょこっとでも明日への活力にしていただけたら本望です！
担当編集より
HIDEDRO先生の初コミックス『その薔薇の名は』は、主君を守るはずの近衛兵である主人公・ギヤが、王子にまさかの嫁入りしてしまうという、ファンタジックラブストーリーになります。同時収録の『グラスハート』は、主人公・律の幼少期と青年期の2期に分けられ描かれる、長い時間をかけて育まれたグローアップラブ。どちらも、くるくる変わる主人公(受)の表情が可愛く、その主人公に対し独占欲を抱くようになる攻にキュンとくる作品です。ぜひチェックしてみてください。

特典情報
・中央書店各店　描き下ろしモノクロペーパー
・コミコミスタジオにてWEBサイン会開催中

(c)HIDERO／マッグガーデン