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ショック療法で5月病退治5選

2014/05/12 17:33

癒し系じゃ5月病を癒せない? ではパンチのある作品で吹っ飛ばそう!
大型連休も終わってやる気が迷子な5月。今回は、そんな5月病を吹き飛ばすようなパンチのあるBL作品をピックアップしてみました。
前回は癒し系作品で5月病を克服しよう! としましたが、うまくイカなかった方もいらっしゃるかと思います。そんな方にお贈りするのが今回のコラムです。

心の準備をお忘れなく!

まさかの結末にしばし放心
■刺青の男 / 著者:阿仁谷ユイジ / エッジコミックス(2008年)
 
幼馴染みの潟木と10数年ぶりに再会した久保田。道を踏み外しヤクザとなっていた潟木と恋に堕ちた久保田だが、ある日潟木のスーツから拳銃を見つけてしまい…。

短編集かと思いきや、話がリンクしています。話の作り込みがすばらしく、読めば読むほど味が出る。最初に登場した久保田と潟木の話が、まさかこんな展開をするとは! 当のふたりも、自分たちの行為がそんな悲劇を引き起こしているなんて、予想もしていなかったでしょう。読み進めるにつれ徐々に明らかになる背後関係から目が離せなくなり、衝撃的な結末に心奪われます。激しくも儚い男たちの愛憎劇に胸を打たれる作品。

BLというよりもはやホラーな愛憎劇
■春に孵る / 著者:国枝彩香 / バンブーコミックス(2011年)
 
幼い頃、おじである輔に連れられて閑也という親類の家を訪れた佳苗。閑也は優しく、輔と3人での生活は穏やかに過ぎていった。しかしある日、佳苗は絶対に入ってはいけないと言われた地下室を覗いてしまい…。

佳苗という女の子視点で話は進みます。明らかになっていく血縁関係と、それに絡んだ愛憎劇。見てはいけないものを見てしまった佳苗のその後が怖い。

表題作含め、短編が6話収録されています。国枝先生はコメディからシリアスまで振り幅の大きい作家さんですが、この単行本はドロドロで濃厚な短編ばかり。ホラー要素満載なおで、最後まで気を抜いてはいけません。

万人受けはしませんが、国枝先生の仄暗い心理描写が好きな方、そしてパンチの効いた漫画が読みたい! という方にはオススメです。

暴走する執着が行き着く先
■鬼畜 / 著者:吉田珠姫 / 挿絵:相葉キョウコ / シャレード文庫(2012年)
 
祖父母の家で育てられた文人は、大学生となった夏休み、家族の元に戻る事になった。しかし、文人は以前から過度の愛着を向けてきていた弟の達也に戸惑い、身の危険を感じるようになった文人はついに逃げ出そうとするが、本性を見せた達也によって阻止されてしまう。抵抗も虚しく、達也に身体を奪われてしまった文人は…。

タイトルからしてインパクトのある近親相姦モノ。周到に達也は文人の逃げ場をなくしていき、快楽にも溺れ始めた文人はついに……という、無邪気な笑顔の裏に粘度の高い執着を隠している弟の蜘蛛の糸にかかり喰われていく兄の話です。

常識や良識やモラル、そういった心の規制を既に飛び越えている達也の暴走は、寒気すら覚るほど。でも、行き着くところまで行き着いた閉鎖世界は美味しくもあるのだと気付かされます。

兎にも角にも、作家さんの情熱が迸っている作品。ひと味違ったパンチ力を求める方、怖いモノ見たさでドキドキを楽しみたい方にオススメします!

この重量感は圧倒的!
■明日も愛してる / 著者:安芸まくら / 挿絵:深井結己 /Hollyノベルズ(2008年)
 
ある朝、見知らぬ部屋のベッド目覚めた櫂。17歳だった自分が35歳になっていて、目の前にあるファイルには自分の筆跡で「前向性健忘で13分しか記憶を保てない」事が記されていた。戸惑う櫂の前に現れたハウスキーパーのツダは親切だが、櫂は何故か落ち着かなくて…。

記憶障害というと記憶喪失がすぐに思い浮かびますが、この作品では新しいことを覚えられない「前向性健忘」が題材になっています。櫂の場合、5年前に遭った事故によって、事故以前の過去の記憶と13分間の現在の記憶しかない状態。

睡眠を取るとすべて振り出しに戻ってしまう。恋人であった津田は、そんな櫂と一緒に暮らしながら世話をしています。一冊の中に起承転結があるのではなく、起承転結が短いスパンで繰り返されているので、驚くほど密度が高い。

繰り返される二人の恋を少しだけ垣間見ているだけで、二人が過去にどんな出会いをして、どんな関係を築いていたのかには触れていません。それなのにこの重量感。何度も何度も津田を忘れ、関係を再構築していく日々。それでも、そんな毎日の積み重ねが未来に繋がっていく。希望を感じられるラストに救われます。

読み応えたっぷりの、切なく胸締め付けられる作品です。

まさかのラブ展開!
■Don't Worry Mama / 著者:木原音瀬 / 挿絵:志水ゆき / BBN(2005年, 新装版2007年)
 
製薬会社で働く東山裕一は、出張で上司の今蔵隆と共に小さな無人島を訪れた。しかし、薬草を探すための日帰り出張のはずが、連絡の行き違いでふたりは島に取り残されてしまう。嫌みな上司とふたりきりのサバイバル生活で、裕一は精神的に追い詰められていくのだが…。

パンチ力と言えば木原先生を抜きには語れませんね! 数ある衝撃作品の中でこの作品はコメディよりですが、何事に対しても徹底的に、読者の予想を超える事をやるのが木原先生なのだと再確認させられます。

そもそも、BL的に今蔵はかなりありえない存在。性格ブスでマザコンのデブ。これがどうやったらラブに繋がるの! と誰もが疑問に思うでしょうし、もちろん、相手の裕一も同じ気持ちです。

裕一は根っからのゲイだけど、今蔵には何があっても恋愛感情なんて沸かないだろうと本人も思っている。でも、こんな嫌な男の中に潜んでいた思いがけない可愛いさに、限界生活の中で裕一は気付いてしまうのです。そうなると痘痕も靨。まさかのラブ展開に発展します。

ふたりが恋に堕ちたのは限界状態だったからに違いありませんが、裕一が惹かれている今蔵の可愛さは一時的なものではありません。切っ掛けがどうであれ、ふたりの気持ちが通じ合っているという事は伝わってくるので、意外にもすんなりと展開を受け入れられます。

ネタも調理の仕方も、さすが木原先生。スピンオフが2作品出ていますが、そちらも意外性たっぷりです。パンチの効いたラブコメが読みたい方は、シリーズ通してぜひどうぞ!

記者:にゃんこ

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