己で刻んだ印を背負い、愛を求め続ける男たちの物語

刺青の男

shisei no otoko

刺青の男
  • 電子専門
  • 非BL
  • 同人
  • R18
  • 神62
  • 萌×222
  • 萌14
  • 中立10
  • しゅみじゃない6

--

レビュー数
43
得点
450
評価数
114
平均
4.1 / 5
神率
54.4%
著者
阿仁谷ユイジ 

作家さんの新作発表
お誕生日を教えてくれます

媒体
漫画(コミック)
出版社
茜新社
レーベル
EDGE COMIX
発売日
価格
¥619(税抜)  
ISBN
9784863490277

あらすじ

刺青を持つ三人の男たち(牡丹の潟木、ラナンキュラスの武藤、狂い鮫の埜上)。それらに絡む謎の男、久保田。社会の裏側を生きる男たちに救いはあるか…? 刺青シリーズ完結編『みんなの唄』描き下ろし42ページを加え、すべての物語が収束される。ほか、片思いの相手が毎夜生き霊になって現れて…『はるのこい』『ゆめのあんない』を加えた異色作品集。
収録作品「僕のカタギ君」「ラナンキュラスの犬」「狂い鮫とシンデレラ」「みんなの唄(描きおろし)」「はるのこい」「ゆめのあんない」
出版社より

表題作刺青の男

同時収録作品僕のカタギ君

久保田みつる,刑事
潟木清次,ヤクザ

同時収録作品ラナンキュラスの犬

武藤大輔,ヤクザ
金城有馬,ヤクザの息子

同時収録作品狂い鮫とシンデレラ

埜上猛志,街を牛耳るチンピラ
久保田みつる,刑事

同時収録作品はるのこい / ゆめのあんない

春野,遊び人の大学生.最近具合悪そう
安奈光久,大学生,春野に片思い中

その他の収録作品

  • みんなの唄

レビュー投稿数43

幸せの雛形なんて

バッドエンド、衝撃の、という枕詞で必ず名の上がる作品、それが「刺青の男」。
私が初めて読んだのは、2014年頃。
今再読して、その衝撃度は全く色褪せない。
ただ…
その「衝撃」は、正直暴力描写に因っているかなと感じている。

さて、再読としての「刺青の男」。
連作的にストーリーは展開していく。

「僕のカタギ君」
まずチンピラの潟木が、幼馴染の恋人(♂)との時間に溺れている。
ここでまず第一のどんでん返し。
その恋人・久保田は実は警察だったわけ。

「ラナンキュラスの犬」
ヤクザの坊はデイトレーダー。父親の組長から軟禁されて巨額のカネを動かしている。
だけど彼が欲しいのはただ一人。組の右腕・武藤。

「狂い鮫とシンデレラ」
武藤に変わり新しくシマを束ねている埜上(のがみ)はアタリがキツい狂気の男。
その埜上がシマの新入りの「嬢」に興味。だがそのコは本当は男。
…埜上を検挙しに潜入した久保田。

「みんなの唄」
まるで新婚夫婦のように連れ立って夕食の買い物をする武藤と坊。
夜、寄り添って眠る2人だが、坊はひどい耳鳴りに襲われる。武藤の声も何も聞こえないほどひどい耳鳴り…
そして出所する潟木を出迎える久保田。(埜上の逮捕時に片目を失明している)
再会した恋人たちは抱き合うが、ムショの中で輪姦三昧されていた潟木はある思惑があった。
久保田は潟木を「武藤たち」に会わせると言って病院に連れて行く…

ここがこの作品の最大の衝撃。
武藤と坊の生活は?夢?幻?
誰にも、何の救いもない。このどこにも行き場のない感情。
もう一つだけ知りたいのは。
久保田はなぜここまで自分を投げ出す?差し出す?
この「刺青の男」のどうしようもない結末は「物語」の持つ力を強く伝えてくる。
読む者の心を深く濃く揺さぶってくる。


「はるのこい」
「ゆめのあんない」
「刺青の男」の世界観から打って変わって、ちょっとコミカル?からのもう助けて…と神に懇願するような「生き霊」との恋物語。
だがなぜそんな女好きが生き霊になって来てくれるのかが最後までわからない。

0

どんとこいフロイト野郎

潟木くん、カタギじゃないのに潟木くん

救いようのない連作です。
上げて落として落として落とす…みたいな。阿仁谷先生の作品はこの毒が好きだったのですが、これ以降ここまで毒の強い作品も出なくなってしまったな。
BL初心者だった頃に評価してたら神を付けていたと思う。再読の今、当時強い衝撃を受けたこの作品が結構普通に思えてきたのは、ショッキングな内容を扱うBL作品を多く読んでしまったからだと思うとちょっと寂しい。

久保田が失明やHIVを受け入れて生きる理由はなんなのか。他の人間は道外れた罪が想像されるけれど、咎無く罰ばかり背負っている気がして。久々に再会した潟木への愛と、彼への偽りだけならあまりにも重すぎないか?久保田にはもっと深い何かがある気がしてならない。

◾︎はるのこい/ゆめのあんない
生き霊をこんなにエロく描けますか?!ある種"人外"モノ
当時は"刺青"シリーズが好きだったはずなのに、読み返してこっちの方が好きになってました。もともとどちらも好きだったけど。また数年後に読んだら、逆転してるかもね。
公然の秘密というか駆け引きというか、腹の探り合いをしつつそこから漏れ出ちゃう感情と、溢れ出た後の爆発。こういう展開好きです。

1

私にとって理想のヤクザの世界

◆僕のカタギ君〜みんなの唄(表題作)
 私は個人的に、痛々しいとかグロいとか救いがないといった作品にまったく抵抗感がないので、少数派かもしれませんが、この作品はそこまでショックや重苦しさを感じずに読み進めることができました。ヤクザものを読む時はどんな展開が来てもいいように、自然と受け入れる器を広くしているのかもしれませんが。目次で短編集かと思わせて、実は4つの短編が時系列を入れ替えて、すべて繋がっている作品です。繋ぎ方も緻密に練られていて、それぞれの短編を初めて読む時と、すべて読んでからもう一度読み直す時では感じ方がぐっと変わるようになっています。

 ヤクザの世界で言う「落とし前」。たとえ正義や愛のためであっても誰かを踏み躙った上に成り立っているのなら、この世界に少しでも関わった者である以上は必ず皆それをつけさせられるんだ、ということを改めて知らしめてくれる作品でした。綺麗事やラッキーで済む話なんて万に一つもありえない、それでこそヤクザの世界。最後までとことん救いがないように描かれていたのは素晴らしかったです。ただ、ずっと第三者目線で見ているような感じで、どのカプの魅力にも入り浸る暇はなく萌えは少なかったです。それぞれ短編ですし、ある程度関係性を築いたところから始まるので仕方がないとは思いますが。ストーリー展開は高評価です。

◆はるのこい / ゆめのあんない
 一連のヤクザ短編集とはまたがらりと雰囲気を変えてきて良かったです。生き霊というなんともファンタジーな設定を、色気と劣情と主人公の自分の気持ちへのやりきれなさを上手く絡めながら、とてもリアルな雰囲気に描き上げられていたと思います。攻めも受けも学生相応で可愛らしかったです。ヤクザものを読んで心が疲れてしまったという方も、こちらで十分癒されるのではないかと思います。

0

余韻を引きずる話たち

短編集かと思ったら繋がってますね。
ああ!10時に行けなかったから!

みんな辛いお話です。久保田もきっと。潟木と一緒にいつまでいられるか。潟木も久保田の為に模範囚として早く出て来たけどきっと輪姦された時に感染してて久保田にも。

最初はラブラブゲイカップルのお話かな?と思ったらどんどんお話が切り替わり、あれ?捕まったはずの潟木がいると思ったら、その前の話に繋がって。

有馬と武藤は逃げられなかったの?
二人で幸せそうに買い物して部屋で抱き合ってたあれは夢?
組長が外道で有馬の母や武藤や有馬が不憫で。
夢の耳鳴りは病院で眠る有馬の聞いてる音?あの日に武藤は…。

埜上も久保田が体を張って捕まえました。失明し犯され。そうか、だから潟木が早く武藤の居場所を言っていればに繋がるのか。
悲しいです。

はるのこい

片思いの相手春野の生き霊が現れて安奈にエッチなことをしていく。でも本体は女好きでチャラくて、どれだけ好きでも絶対に伝えることはできない。でも現れてはどんどん行為がエスカレートしていき、二人ともやつれていく。
本体は夢を見ていると言いますが…。体に痕が!

とうとう本体に気持ちを告げ体を繋げます。
不思議なお話でした。前から安奈の気持ちはバレていたのに春野は気がつかないふりして、でも生き霊で現れてはあんなことを。

余韻が残る本でした。

0

ヤクザオムニバス

OPERAやるな~。いい作品多いな。
ヤクザがらみのオムニバス形式で短編がいくつか入っています。

カタギぐん(ヤクザのぱしり)と久保田(警察)のカプ。
ハニートラップでお縄にするという芸風の久保田。しかしカタギにはマジ惚れしてしまい、自分で手錠をかけながらも出所を待って迎えに行く。
あれ、迎えに行くのは違う単行本収録だったかな。

他に、組のボンとそれに惚れ込んだ若頭(かな?)の武藤の逃避行。二人の幸せなひとときはあるんだけど、結末は悲しい。。

どうしようもないヤクザの埜上を捕まえるために体を張った久保田だが、片目をつぶされてしまう。後で、出所したカタギに成敗されるっぽい。

メインカプの二人は幸せになったんだと想うが、武藤×ボン(有馬)はなんとも切ない話だった。

しかし達者な作家さんだなーと想う。

0

切ない…じゃない、切ねぇ…!

およそ10年ぶり読み返してみた。
時代をまったく感じさせません。
やっぱりなんとなくしか覚えてなくて、新鮮な気持ちで読めました。

切ないし幸せな終わり方じゃないのもあるけどラブい…さすが阿仁谷作品。
ハッピーエンドじゃない作品を、嫌悪感なく後を引かせることもなく見せるのって凄い技術だなーと。
重い話なのに重苦しくない見せ方も、グッチャグチャなドエロ描写では無いのにセックス描写もエロい!
ほんと流石としか言いようがない。

今、新たにこの作品を読んで見ようと思ってる方はまず、「ハッピーエンドや王道甘々系が好きな方」と、「とても暴力的な描写もあるのでそう言うのが苦手な方」は気を付けてください。
抵抗が無い方なら是非おススメいたします。

2

短くても上質で重厚な愛と哀

僕のカタギくん〜みんなの唄まで、オムニバスで綴られる刺青の男達の物語。と、大学生の恋愛を描いた2つのストーリーが収録された作品です。背中に花を背負った男達の殺伐とした切なく痛いテイストと、ノンケに片想いする学生の不埒で可愛い夢に翻弄される甘い物語の、2作が楽しめます。

表題作の刺青の男の物語では、主に2組のカップルが出てきます。久保田とカタギ、武藤と有馬の4人です。
久保田とカタギから始まる僕のカタギくんでは、意外なラストを迎えるも久保田の潔さと愛情混じったプロフェショナルさが痛快で、少しの切なさを残します。
続いてのラナンキュラスの犬では、組長の息子である坊こと有馬と、その目付役であるいかにも堅物そうな男、武藤。この2人の関係性がとても絶妙で、有馬の出生の秘密や武藤が抱える先代への想いなど、短いながらもしっかりと練られた設定が匂いたつような色香のある絵によって綴られてます。
それぞれ時系列がバラバラですが、数年の時を経た現在が最後『みんなの唄』でまとめられています。このみんなの唄で描かれる幸せな日常とラストとの対比が凄まじい。奈落の底に突き落とされつつも、久保田の最後のセリフは読者へのメッセージのようにも受け取れました。彼の贖罪と、カタギを愛してしまった葛藤を思うとやり切れないけれど、カタギもまた苦しみながらも久保田を求める気持ちは本物なのだろうと思います。
ヤクザの世界はどこか殺伐としていて、ハッピーエンドの気配が薄く、難しい題材の印象ですが、このまとめ方はお見事だなぁと感動。短いながらも練られた構成に、二度読み返したくなる展開。また、設定だけでなく、背中に咲いた刺青の花が艶めかしく随所に演出され、全体的に耽美で綺麗な雰囲気が作り上げられていました。全体のトーンが作品に非常にマッチしていて、漫画としても流石といった感じ。
かなり切ないけれど、とてもオススメできる作品でした。

1

なけます

多分初めて読んだヤクザものBLがこちらでした。しかも泣けるっていう・・・ 自分のなかの新しい扉が開きました。バカの受けがかわいい、ちょっと軟弱な攻めもかわいい。

0

「神」か「中立」か「しゅみじゃない」か

とことんやりきれない。
今でも思い出して泣いてしまうくらい。

何とか色々考えたけど、私にはメリバにすら思えませんでした。

あまりにも悲しくて辛くて痛くて、現時点、作品を読み返せないので、私を土偶人形顔になるまで泣かせた「ラナンキュラスの犬」「みんなの唄」のみ、簡単なレビューをいたします。
坊と武藤のお話・・・。
坊の耳鳴りの意味。そして二人が見せてくれた愛溢れるほのぼのとした幸せな日常風景。

真実は余りにも残酷でした。
木っ端微塵に打ちのめされました。
これは堅気の世界で生きてこなかった二人への報いなんでしょうか?
肉体はあんな事になっていても坊の夢は終わらないほうがやはり幸せなんでしょうか?
武藤はあっちの世界で一人で寂しくないんでしょうか?
登場人物たちに何らかの救いはあるんでしょうか?

私には何にも答えが見つかりません。
ただひたすら泣くのみでした。

評価が真っ二つに分かれると思います。
バッドエンドに耐性がない方は「中立」か「しゅみじゃない」
ただしBLでここまで描ききったという点からは「神」。
萌えの要素はありません。
中立か神かどちらにしようか迷いましたが、生涯これ以上痛くて忘れられない作品はないという点で「神」にいたします。

私がトピ立てした「ちるちるのランキング圏外だけど、心の琴線に触れた作品を教えてください」
http://www.chil-chil.net/answerList/question_id/4967/#IndexNews

で教えていただいたのがこちらの一冊。
教えてくださりどうもありがとうございました。

2

読んだ後の余韻が

絵が苦手でずっと避けていたのですが、評価がとても高いので読んでみました。絵は読んでいくうちに気にはならなくなりました。

ストーリーは裏の社会で生きる男達と自分の身を投げ打って取り締まる刑事(久保田)の愛のお話。
裏の社会らしく愛には傷が伴ってしまう、でも裏の男だって人を愛するというなんとも深いテーマ。
しかも結局誰も幸せになれないところが、なんとも切なかったです。

坊と武藤の話では、ピー、ピーという耳鳴りの意味が分かったとき、鳥肌が立ちました。
耳鳴りの中であっても二人が幸せでよかったと思ってしまいます。

初めて阿仁谷さん作品でしたが、独特の世界観で、読んだ後の余韻が何とも言えない。
素晴らしい作品だと思います。

2

この作品が収納されている本棚

レビューランキング

漫画(コミック)

人気シリーズ

  • 買う