だいたいの感情は3つ数えれば抑えられる。

  • 電子書籍【PR】
  • 紙書籍【PR】

表題作目をとじて3秒

(仮)梶ヒロト,高校2年→大学生20歳
(仮)知花マナブ,高校2年→社会人

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

小さい頃からずっと一緒だったチバとヒロト。 2人の関係は一生変わらないと思っていた…。 ところが、チバにはずっと心に閉じ込めていた想いがあって…? ユイジが贈る、珠玉のラブストーリー!
(出版社より)

作品情報

作品名
目をとじて3秒
著者
阿仁谷ユイジ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
コアマガジン
レーベル
drapコミックス
発売日
ISBN
9784862528056
3.7

(62)

(16)

萌々

(17)

(26)

中立

(1)

趣味じゃない

(2)

レビュー数
27
得点
227
評価数
62
平均
3.7 / 5
神率
25.8%

レビュー投稿数27

意地っ張りと臆病者

たぶんそんなに目新しさのない設定。
ほぼ予想通りに進む展開。
それなのに読むたびに何かしら感じるのは何なんだろうなあ。
印象に残る作画のせいなのか、胸に響いてくる言葉のせいなのか。

好きな作品ほど言葉が出てこなくなってレビューが書けません。神作品と思った気持ちを伝えようとすると擬音しか出てこないという困った現象に陥るので、擬音だらけになったらすみません。

幼馴染のヒロトとチバ。
ヒロトにとってチバはおかんのようであり、子分でもある大切な親友。
チバにとってヒロトはどんなわがままも聞いてあげたい大切な存在。
高校生になったある日、ヒロトが女子に告白をされて…。

目を閉じて3秒数えて気持ちを落ち着ける。そうしていろいろな感情を飲み込んできたチバ。それでも飲み込めない感情がひとつだけある。
チバ目線で始まるので、ヒロトがひどいやつに思えてなりません。お弁当強奪に始まり、会話をしていても女子とのメールでうわの空。わたしだったらお弁当を食べられた時点で絶交する。食べ物の恨みはおそろしいのです。

…と、ふつうにレビューしようとしたら、きっとこれ、ものすごい長さになってしまう。どれだけスクロールしてもこのひとのレビューが終わらなくて、他の人の素晴らしいレビューが見られないんだけど!?という状態になってしまう。

なので可能な限り、好きなところを簡潔に挙げていきます。
・チバがふわふわ王子で、ヒロトがかわいい系→ハーフアップ美人に成長しているところ
・チバ目線で一連の出来事をきっちり語り終わってから、ヒロト目線になるのがいい。途中で混ざるスタイルじゃなかったから感情の流れがすっきり整理されていて入り込みやすかった。
・ぶつかり合ったあとのエピソードが引っ越した後のチバじゃなくて、4年後のヒロト目線だったのが良かった。こういう展開だとそのままチバに目線も話もついていってしまうことが多いけれど、あのテンションでひとりになったチバを見せられてもうじうじしているだけできつかったと思うので、構成力素晴らしい!と脱帽。
・モノローグがいちいち胸に刺さる。
・「目を閉じて3秒」というチバのクセが単なるスパイスではなくて、気持ちや成長、2人の距離や関係を表現するすべてに使われているのが秀逸!
「目を閉じても消えない自分の想い」「目を閉じてるから見えないヒロトの気持ち」「目を開けているのにヒロトが見えない」からの、気持ちが通じ合ったラストの「見てる」がもう…。その後の幼稚園時代の回想もここで入れるんだ!?という心底痺れる演出を経てのラスト…。しまった、目から水分が放出され始めました。
・ヒロトがものすごく意地っ張りだけど、爆発したときの泣き顔が可愛すぎるので許せる。
・チバが臆病すぎるけど、そのおかげでヒロトの泣き顔が見られるので許せる。
・阿仁谷さんはブルーハーツとミッシェルガンエレファントがきっと好きなはず。

ふう。

チバの母兼父のミミちゃんは何度読んでも子供を振り回して、自分の好きに生きて、何やってるの?と思うから嫌いです。
ものすごい深読みしますけど、ミミちゃんは元からゲイ→何らかの理由(最愛の人が死んだとかでもう恋はしないと決めたとか?)でチバ母と愛のない結婚→子供もできたし、チバ母いなくなったから、もう好きに生きようと女性に変身→彼氏できる→彼氏の心遣いで最愛の人が眠る地(ミミの地元か?)に引っ越し決定→子供は黙ってついてこい→彼氏の藤谷の優しさに胡座をかいて過去に浸る日々、という感じで、父親としての義務をチバ小4の時点で放棄している。お金は稼いでるかもしれないけど、見る限りそれだけ。せめて子供の節目まで待てないのかと。阿仁谷さんの作品にはこういう「自分だけしか見えていないひと」がちょこちょこ出てくるけど、本当にイラっとします。
こういう親だからチバが「何を言っても無駄」→「何も言えない」子に育ってしまったんだろうな…。チバのもじもじもいい加減にせんか!と思うレベルに達しているけど、この父親じゃ…と思えてしまうキャラ作りはすごいと思う。もじもじに対する苛立ちを凌駕する存在のおかげでチバを好きになれる不思議。

結局すごく長くなってしまっていますが。
カバーもすてきです。美しい2人の横顔。間に挟まれたタイトル。
そしてカバーを取ると…。
計算し尽くされたカバー裏と本編の構成力に作画力。シリアスになりすぎない展開。
痺れました。
最初に読んだときから「神ー!」と思って、生まれ初めて「薄い本」というものを購入したのもこちらの作品。何度読んでもきっとずっと好きだと思う1冊です。

5

泣けます。

初阿仁谷ユイジさん作品でした。
チバがヒロトを想う場面。
常識から考えても、彼女として付き合っていってしまうんだろうなぁと嫉妬してしまうほどの仲が非常に良い女友達がいるヒロトに、拒絶されるのが怖くて想いを告げられなかったチバ。
ヒロトがチバを想う場面。
知らず知らずの内に、チバを意識していて、その間に、チバの謎の目を閉じる(沈黙の3秒)後には本音と裏腹な態度や言動を取る癖が有ることまで見抜いていたヒロト。
中2の頃から薄々気付いていたチバの想いを確信する時に、ヒロト自身もチバを好きだった事に気付いてからは、毎日(?)アピールしてチバが告ってくれるのを待ち続けていた。(後から自分も充分チバが好きだった事がわかったりも)
珍しくチバが誘ったから、告ってくれるのかと期待したら、転校するという話を、しかもチバ本人からの口ではなく、知ってしまって傷付いて走り去ろうとします。
やっと追い付いたヘタレなチバの代わりにチバの想いを聞き出したら、目を閉じようとした(自分への想いに目を瞑ろうとしたにしかヒロトには映らなかった)チバ。その事に対して怒って立ち去ってしまうヒロトと、動揺に慣れなくて(自分の気持ちに立ち向かったり、そのまま表現する事が下手くそ)立ち去ってしまうヒロトを見つめるしかないチバ。
それからの四年後、チバからの「会いたい」という一通のハガキで、
目を閉じて深呼吸。
3秒でオレの気持ちは4年前に逆戻りする。
でヒロトが嬉し泣きするシーンとか、再会した時に想い続けて待っていたのに、チバからの告白が無いことに焦ったり怒ったり、頭がぐちゃぐちゃになってしまって、何であの時にも、今でもお前から好きだと言ってくれないんだ? 謝れよ!と泣きながらヒロトが踞って(?)しまうシーンとか、擦りあいしている最中に、チバにヒロトが
オレの事ちゃんと見ろ
って言った後、チバがきちんと見続けてくれて、もう一度しようとも言ってくれた事が本当に嬉しそうなヒロトの表情とか、本当に可愛くて、心にドカン!って来ました。
勿論、振り回されながらも前を向かせてくれていたヒロト、に気付いて、そんなヒロトと共に生きていきたい、自立したい、って無力な自分を変えていこうとしたチバの強さ(ヒロトへの想いの深さ)にも感動しました。あぁ、いい加減、俺もチバみたいに自立していかんとなぁ、自立したいなぁ、と共感しまくりでした。
この作品は携帯コミックで初めて読みましたが、その時点から惹き付けて離さない魅力がありました。が、コミック(現物)はその倍以上に心をドンドンと叩くし、ギューギューと締め付けてきます。コマ送りというのか何なのか、まるで珠玉の映画かドラマを観ている様で、涙を流しながら読んだ後の爽快さや嬉しさは半端ないです。
阿仁谷ユイジさんという優れた作家の扉となってくれたこの作品。
ありがとう!って感謝の毎日です。

3

目を閉じて

もっとこぉ、ふわんとしたイメージのお話かと思っての読み始めだったんですが、なんていうか、こぉ
もっとハッチャけたというか、ぶっちゃけたというか、
パワーも感じる一冊でした。
エロ云々は薄めでありますが、こういう作品もっと増えるといいなと思わず感じてしまいました。
ウマイ!
エロという意味では、ある意味あの最後の指なめシーンだけでも相当だと思うのは私も大人になった証拠だとおもうのです*.。.(´∀`人)
お話は、幼馴染の二人。
お互いに気持ちはあるのに、結局はっきりしないがために
しばらく離れてしまう。再開してからもやりきれないこの気持ちはなんだ!
はっきりしろよオイ!だからヘタレだっちゅーねん!
なお話なのであります。
や~。なんというかさぁ。
その片思いのどきどきも、告白してくんじゃねーの。
と待つのもいいけど、ヘタレで駄目ッコだとわかっているのならば、
自分からガッツリいくのも大切だと感じました。
視点が、前半、後半かわるのもいいですね。
実はあの時、相手はこんな気持ちで行動してて~とか
可愛すぎるんだよ!!!
不意に感じる男のにおい~な表現ウマwでした。
最近そういうのがないんだよ~BL・・薄まってる気がする
もどかしい愛をありがとうw
もっと早く読めばよかったな

2

どっちもかわいすぎる

阿仁谷さんの幼なじみ・両片思いもの!!!!!!!! 
やさしいチバとちっさい俺様ヒロトのふたり。こいつらがかわいすぎます。特に後半とかふたりがかわいいしどっちが攻めで受けなのかわからないもうどっちでもいいやリバも大好き・・・・!!!!!!!!!(^////^)、となりました。

だいたいの感情は目を閉じて3つ数えれば、抑えられる。それでも抑えられない感情は、どうする?
いっそずっと目を瞑ってしまうか、それとも。
逃げ腰のチバをヒロトがやきもきしながら待ってて、結局逆ギレしてるところが可愛かったです。いやー良い幼なじみものでした。

エロシーンの表情が相変わらず素晴らしくてさすが!!!  食とエロスをかけてるのも良かったです。いつもの阿仁谷作品よりエロ少なめで、焦れ焦れで楽しく読めました。

2

幼馴染もので焦れ焦れしたいのを読みたいときに

阿仁谷さん、けして嫌いではないのだけど「もういちど、なんどでも。」のようなクセのあるトロエロ描写があまり好きではないので、エロ多めだとちょっと…と思ってしまう作家さんです、私にとって。
この作品はエロが少なめなので、何か一冊、阿仁谷さんの作品を読んでみたいという方にオススメしたいです。

そして読む時はできれば電子書籍をお勧めします。
というのも巻末に電子限定の番外編が収録されていて、チバというカプの片割れの父、この人が女装してるかなりクセのある父親なのですが、その過去とチバの出生の秘密について描かれているんです。
そしてこれは出来れば電子限定ではなく全員に読んで欲しかった…という内容なのです。

さて本編。
チバとヒロトという幼馴染同士のお話です。
チバはやりきれないことがあっても、目をとじて3秒過ぎれば大抵のことはやりきれるという処世術を身につけている少年で、日々の不満やら家庭のあれこれを、そうやってやりすごしています。
だけど、ヒロトに対する思いだけは1000数えたってやり過ごせない…

この「目を閉じて」「目を瞑って」「目を見開く」など、視覚に関する表現が形を変えながら何回も登場します。
これが、幼馴染のままでいるべきか、一歩踏み出すべきかと揺れ動く心や、臆病な自分を見つめ直したりという二人の心情や気持ちの変化、そして恋人同士になれた後の幸せも含めてとっても効果的に使われていて、そこが凄く好き。

いわゆる両片思いなのだけど二人とも超ヘタレなので、もだもだ、焦れ焦れです。
おまけにすれ違った挙句の4年後の再会なのでゆっくり、ゆっくり。
でもそのゆっくりさが、ずーーーっと仲良しで一緒にいることが当然だった二人が、思春期を迎えて性を意識し始めたり、少しずつ子供から大人へと切り替わっていくにつれて、自分たちの仲も変化させたいけれど、もしかしたら全てを失ってしまうかもしれないと恐れるがあまりの臆病さにつながっていて、そこがただの友達ではない幼馴染ものならではの醍醐味に繋がってます。

最初読んだときは萌萌くらいかなぁと思ったんだけど、今日久しぶりにじっくり読み返したらめっちゃいいじゃん!となりました。
たまに読みたくなるんです、この作品、焦ったさがクセになる。
阿仁谷さんの作品の中では一番好きなので萌萌寄りの神つけます。
(現時点の未読は因果性のベゼ 1ともういちど、なんどでもの下巻、カンゴク69、ミクとネオの下巻です)

2

この作品が収納されている本棚

マンスリーレビューランキング(コミック)一覧を見る>>

PAGE TOP