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アドバンスドレビューアー

女性hepoさん

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萌と言うより謎2

表紙が綺麗だったので、1、2巻一気に購入しました。

美人な高校教師とチャラ男な2年生。
ぐいぐい来る生徒をうまくいなせない隙だらけの教師。
1巻を読み始めて数ページで

「ぐ…、む、無理かもしれぬ…」

と思いながらも、堪えながら読む。
読み進めるごとに大きくなる「無理感」を抑えつつ、2巻に何とか突入。
2巻は由良のトラウマ部分に迫る羽賀がミステリー仕立てになっていて、そこは面白かったです。
でも1巻から2巻の唐突なハワイへの修学旅行なんかはもう、隙がありすぎる由良にイライラしっぱなし。
唐突なハワイにも「え?」ってなったけど、お約束通り現地の人に絡まれちゃって、自分一人じゃ対処できない英語教師(27)。
それ以前に、学年違うのに、由良がハワイに行ってる間の1年生の英語、1番週のコマ数多い教科なのに、どうするんだろう、なんて思ってしまうくらい、入り込めてない自分。
いやもうほんと、教師の自覚、あるのかい?って思うことばかりで。
ふつうなら担任に即相談→学年団で指導案件だけど、隙だらけの由良はひとりで対処しちゃう。
だから余計につけ込まれる。
深いところまで入り込ませて、慌てて壁を作っても、勢いが売りの若者には通用しない。
その結果が、自分の一番弱くて柔らかいところに土足で踏み込ませるような出来事に繋がるわけで。
誕生日のシーン、若さでは許せないくらいのデリカシーのなさにムカムカしてしまいました。

たしかに過去に囚われて、そこから一歩も進めないでいる相手を好きになったら、がんじがらめの鎖を断ち切るために強引にならざるを得ないのかもしれない。
だけど思うのです。
10年近く経っても、大事にしていたい過去なら、由良には10年の間にもっと賢く大人になっていてほしい、と。
ただそんな賢く隙のない由良だったら、この話は成り立たないわけで。
もどかしい。

生徒×教師は、教師がずるいか、子供すぎるかのどっちかだけど、傷つきやすく壊れやすすぎるよ、由良先生。
そんな先生枠からも日本からも飛び出した由良が、7年経ってどう変わったか。
それは3巻を読まないと分からないんだなあ。
7年後ということは34才。
2巻最後のビジュ的には、まだ幼く「美人」枠な感じだけど、どうなるんだろうなあ。
2巻読んで、結局羽賀も由良も好きになれなかったわたしは、3巻を待つか悩み中です。

眼福も読み応えもあるおすすめの1作

いやあ、面白かったです!
シーモアで出版社の大幅割引セールがあったので、ずっとカートに入れっぱなしになっていたこちらを購入。
主人公2人が地に足着いてる感じが良かったです。

30才を目前にして将来を見据えたパートナー選びを始めた光成。(29)。
同僚に勧められて参加した婚活パーティーで、理想の相手(新・33)に出会ってしまい…。

という出だし。
ジャンルとしてもわりと作品数が増えている「ゲイ婚活」ですが、こちらの作品が良かったのは、光成がかわいいというところ。
見た目は黒髪イケメンで、高学歴、高収入なハイスペ男子なのですが、性格がかわいい。
初対面で「好きです」って言っちゃうのもかわいい。
自らだめんず育成してる自覚があって、そこに自嘲気味なのも良い。
光成が魅力的なので、「光成がんばれ!しあわせになってー!」という気持ちで読み進められます。

対する新は、スーツ姿でも最初「光成より年下?」と思ってしまいました。
スパダリと呼ぶにはちょっと滲み出る包容力が不足してる感じ。
包容力よりもやんちゃっぽさが前面に出てる感じとでも言いましょうか。
でも面食い光成が一目見て告白してしまうほどのイケメン。

婚活パーティーでの新のプロフィールで空欄だらけだった部分も早々にバレるし、バレた内容も想定内。
海外事業部ゆえに家族帯同が有利な光成の条件や、どうしても譲れないこだわりのようなものが絡まって、「好きだけじゃ勧めない」状況に2人がどう対処していくかが、現実味を持って読めるのは、テーマがやはり婚活だからなのか、リオナ先生のキャラ作りが成せる技なのか。
こういう作品だとわりと受けがテンパって突っ走っていくのが面倒くさくなったり、ご都合主義でまとめて大団円〜みたいな終わり方が多いような気がするのですが、この作品はそうじゃなかった。
向き合って、考えて、悩んで、でも譲れないものは何?と、しっかり考えた結果に出した答え。
たしかに同性パートナーをしっかり認めてくれる企業側の体制なんかは、まだまだ夢物語的な部分ではあるかもしれないし、海外赴任ありきの光成と一緒に歩んでいけるような職業は専業主夫じゃないと厳しそうとは思うけど、この先、本当に海外赴任に行くことになる頃には、2人できちんとした形になってそうだから、明るい気持ちで読み終えることができました。

問題が起きてもパニックにならない、ヒロインっぽくない光成、愛せます。
おまけのシャツガーターも微笑ましかった!
1冊でこれだけ満足感が得られる作品に出会えたのは久々なので、ぜひおすすめしたいです。

満足の最終巻

終わってしまった…。

思い返せば1巻の「むきーッ!直純許すまじ!」から始まり、北海道からの溺愛に戸惑いと驚きを感じつつも見守り続けた2人。
直純の実家も絡んできて、どうなるんだー!?と「待てない!次巻!!ふんがーッ!」と思っていたのは何ヶ月前だったか。
新刊リリース情報に「あ、出たんだ。え、最終巻なんだ」と割と冷静に、むしろ5巻までどんなだったかな?と思うくらいの時間が過ぎ去ったような。

巻頭から波乱のジェファーソン家。
石頭で選民思想な直純祖父にムカムカしつつも、ぎゃふんと言わせてやるんだから!智紀が!と思いつつ、ページをめくり、読み進め…。
まあ、そうですよね。
超大富豪にぎゃふんなんてそうそう起こらない。
スキャンダルが起ころうと、建国からの大富豪にはそんなのダメージでも何でもないってことかー。
直純実家は何というか、「金持ち喧嘩せず」ということなんだろうなあ、と思いました。
スカッとはしないけど、地位や名誉に固執して、家族ですら駒のようにしか思えない祖父が、自分が何より大切にしてきたものを1人の人を取るために簡単に捨てた孫の気持ちを理解するときは来ないんだろうなあ、と思った次第です。

最終巻の見どころはとにかく「智紀、強くなる」という一点でしょう。
王子様然として完璧で隙のなかった直純が、壁にぶち当たって、勝手に凹んで、勝手に離れて、勝手に身を潜めて。
タチがこうなると肝っ玉かあさん!という感じに頼り甲斐ある強さを見せてくれるのが、木下先生の作品の受けの醍醐味。
智紀もしっかり魅せてくれます。
強い、折れない、負けない。

そんな中で智紀が言う台詞で心に刺さったものがあるので、ご紹介させてください。

「直純さんは俺イチだから」

姿を消した直純を探す中で、力になってくれたミチルに「世界一イイ男」と言ったあとの台詞です。
No. 1じゃなくてオンリーワン。
こんな言い回しをさらっと真面目に、当然のように言ってのける智紀、やっぱり強い。

そんなこんなで読了。
新刊を待つ楽しみがなくなってしまったのが寂しいけれど、読み始める前に期待してしまった、無駄におじいちゃんぎゃふんとか、直純ママがパピーをがっつり認めるなんてシーンがなかったおかげで、これからもさまざまな困難があるだろうけど、この2人なら大丈夫、と思えて、しあわせな気持ちで終われました。
今から1巻を買おうかなと考えている人に勧めるかどうかと聞かれたら、「予算に余裕があるならば」と答えてしまうけれども…。

美しいビジュX可愛すぎる性格+軽妙な笑い=最高、なんだけど…

どの角度も美しいけど、横顔が特に素晴らしい。
どうも、ビジュアル至上主義です。
どんなにストーリーが良くても、キャラ設定が緻密でも、作画がいまいちだと…、という方、いらっしゃいませんか?
はい、わたしです。

というわけで購入しました。
表紙の第一印象から決めてました(この言い回しが伝わるひとは同世代)。

小さい頃から泣き虫な自分が嫌で、完璧な自分を演じ続けている蜂谷。
その反動で、家に帰ると涙が止まらない日常を送っている。
張り詰めた日々の中で、何とかバランスを取って生きてきたけれど、ある日酔い過ぎたせいで、後輩の立花に泣き顔を見られてしまい…。
という始まり。

うまくひとと付き合えなくて、やっとすべてを曝け出せると思った相手にも受け入れてもらえなくて、鎧を身につけることでしか立っていられなかった。
そんな重くなりそうな設定を軽くしてくれるのが、素の蜂谷が描かれているシーン。
11ページ目のえぐえぐシーンの2コマで胸を射抜かれてしまった。
可愛い。
この2コマで、蜂谷の可愛さにやられました。

すんなりあっさり蜂谷に陥落するので、その先はもはやぐいぐいです。
早く蜂谷にしあわせになってほしい。
その一心で読み進めると、立花のビジュがまた良い。
黒髪、長身、素晴らしいビジュアル。
そこに付与された、痒いところに手が届きすぎる溺愛系年下スパダリという属性。
何ということでしょう、言うことなしです。
ふわっふわに甘やかされて、緊張の糸が解けていく蜂谷とともに、こっちまで癒される。
「ああ、わたし、こんなに疲れてたんだな…」と、自分の疲れまでほぐれてくる。
そんな気持ちになりながら読み進めておりました。
最初の酔っ払い蜂谷の介抱シーンから痺れる。
身長差が良い。
泣く蜂谷を抱きしめているところも最高。
「最高か」と、心が洗われる気持ちでした。

弱い自分を曝け出した結果、拒絶された元カレとの再会や、ちょっとしたやきもちなんかも盛り込まれていて、1冊でものすごく満足できる作品なのです。
なのですが、わたしは後半、トーンダウンしてしまった。
なぜだ、蜂谷は可愛い。立花もイケメン。癒される蜂谷とともに、わたしも癒されている。
何も問題はないはず、なのに、このわたしの冷めた気持ちは一体…。

疑問に思って冷静に読み返してみると、えろすな風味が加わってから、蜂谷の表情がちょっと、アレだった。
鉄壁の守りの中に色気を添えていた泣きぼくろがいいね、と思っていたんだけど、えろすのときの蜂谷の表情が、わたし的にはちょっとアレだった。
うまく言えないのですが、色気とも違う、うーん、何だろう、汁気?いや、それもちょっと違う。
そこではたと気付く。
「あー」ってなってる蜂谷の口の中の状態と、ちょっと女性的になった表情が苦手だったのかも、と。
これはあくまで主観です。
だけどえろすなシーンだけ、作画がちょっと違う感じがして、そこで「神!」から「萌2」になってしまった次第です。
どろどろに甘やかすには、心身ともに包まれる必要があるので、えろすシーンはあって然るべき流れではあるから、そこで冷静になってしまった自分の脳内が憎い。

全体的に可愛い作品です。
お互いが赤面し合うのも良いし、蜂谷の可愛さに身悶える立花も良い。
巻末の設定にある身長を見て、「え、もっと身長差があると思ってた」と思ったけれど、そこもまあ、問題ではないです。
カバー裏の「蜂谷の日常」も可愛いし、癒されていただけに、えろすモードの蜂谷に拒否反応が出てしまった自分が悔やまれる。
たぶん自分が疲れ過ぎているときじゃなくて、「ちょっと最近疲れてるなあ」くらいのときに読むと「可愛い♡」で読み終えることができる作品なのかな、と思いました。

絵は綺麗。人物描写は弱い

食べ物が出てくる作品は極力買うようにしています。
というわけで購入。

高校で養護教諭をしている久世と、定時制4年の天宮。
全日制勤務の久世と、定時制通学の天宮には接点がなかったものの、久世が保健室から出ようとしたところで、ぶつかりそうになって…。
という出会いです。

うーん、いろいろ詰め込もうとしたのでしょうか。
教師と生徒とか、久世の過去のトラウマとか、天宮のふだんは笑顔を見せない設定とか。
だけどどれも「うーん?」でした。
大きな山がない。
元カレが出てくることもないし、元カレとの思い出で心の傷に苦しむ久世が描かれているわけでもなく、周囲に対してクールらしい天宮の、それっぽいエピソードも特に掘り下げられているわけでもなく。
もちろん当て馬的な存在もなく、結構平和。
元カレたちが去って行った理由がトラウマになっている久世は、トラウマ云々よりも元々の性格がネガティブな感じなのかな?という印象。
ただ定時制に通う男子校生が、養護教諭と仲良くなって、告白して、大人な方の教諭がちょっと逡巡して、でもやっぱり付き合っちゃおうか、みたいな。
サクッとサラッと読めます。

いろいろな要素を詰め込んだものの、天宮に関しては保健室で懐いている様子か、接客をしている様子がほぼなので、同級生女子の「あ、笑った!」的な小さいセリフで、「あ、笑わない設定?」と気付く程度です。
それに担任の先生と久世の話の中で、何か急に「久世に出会えて、自分の目標により熱意をもって向かうようになった」という感じに読み取れるセリフを担任に言わせているのですが、そもそも自分の夢を叶えるためにバリバリバイトしてがんばってきた子なんだけどなあ、という違和感が生じた次第です。
何というか、2人の出会いによって、お互いに救われることも、変わることもない感じ。
久世のトラウマもそこまで深刻に描かれていないし、教師と生徒という面でも、なぜか個人情報を知る前から「7才違い」と久世は言っているけれど、定時制だから、いろんな年齢のひとがいるわけで、その決めつけも違和感。
実際ストレートで定時制に進学した19歳になる子だったわけですが、これが、大家族で、親に負担をかけられないから一旦中卒で就職したけど、やっぱり夢を諦められなくて、大きな都市に出てきて、美容室で下働きをしながら…なんていう設定だったら、また違ったのかも。
中学を出てすぐ、故郷と離れた街で一人暮らし。
バイトを掛け持ちしながら、専門学校に通うためにお金を貯めつつ、定時制に通うっていう実際の設定よりは、現実味があるような気がしました。
そういう感じで、人物描写が浅いというか、上辺だけをさらっているような。
だから年下である天宮の、年下っぽい面も、年下だけど包容力あります的な隠れた一面を見られることもなく、久世に関しても「お菓子作りが好きで、毎日作るひと」というファーストインプレッションから一歩も動かないままでした。
どちらかでももっと掘り下げられていたら、サクッとサラッと読めずに、何かしらの引っかかりがあって没入できたのかもしれません。

いろいろ深刻にならないで、サラッと進んでいくので、ストレスフリーで読めます。
肝心の食べ物の方ですが、スパイスとしてもそこまで存在感もない感じでした。
絵は綺麗です。
辛口ですみません。

はー、しびれた…

出会い編の続きから、まるまる1冊豪と宇楽の話です。
「商会、どこへ行った?」なんて思う暇はありません。
引き込まれすぎて、泣いたー!
ティッシュを携えて読んでください。

ダンスバーでポールダンスをする宇楽が、雪の降りしきる日に拾った無職の豪。
そして質屋を営む島田さん。
この3人が描く歪な三角形。
歪なんだけど、妙にバランスが取れていて、複数ダメ、絶対!なわたしでも嫌悪感はありませんでした。
思えばわたしがレビューを書き始めたのは、阿部先生の『苦いのテーマ』を読んで、どうにも消化できなくて、何日も鬱々とした気持ちを抱えたまま、日常生活にも支障が出る!どこかに吐き出したい!と思ったことがきっかけでした。
そんなことをふと思い出しながら読み進めました。

島田さんはずるい大人。
だけどちゃんと宇楽が大事で。
こういう既婚者は「きえええ!成敗!」と思ってしまうわたしですが、今回は「懐が広いから、大切なものをたくさん持てるのかなあ」と思わせるひとでした。
宇楽は器用に生きているようで、すごく不器用。
その不器用な宇楽が出会った、もっと不器用な豪。
宇楽に執着して、忠犬のようについていく。
ひとはそれをストーカーと呼ぶわけですが、不器用な自分が不器用なままでいられる豪との時間は、居心地が良いわけです。
もうこの辺の気持ちの流れは、ぜひとも読んでほしい。
そしてスニーカーを買った辺りで、「ふがー!lって叫んでほしい。
バックハグは正義!

そんな3人の関係の傍らで描かれる、1組のお爺CPのエピソードも良い。
宇楽の職場の同僚も良い。
ゆかりさんも良い。
過去の場面でナオが生きてるのが見られるのも良い。

そして…。
三角形があっけなくなくなってしまう辺りは、涙なくして読めませんでした。
つらい。
お爺CPによって、あとから知らされた島田さんのエピソードが、さらに胸を抉ってきます。
宇楽の慟哭シーンのモノローグがつらい。
これはもう、読んでほしい。
ここでネタバレるより、自分にこころでぜひとも感じてほしい。

抉られました。
結構まだ引きずってます。
でも嫌な引きずり方じゃないのは、しあわせな時間が続いていくことが分かる終わり方だから。
買って良かったです。
久々に泣いて、心が洗われました。
欲を言えば、わんこのうめちゃんがどういう経緯で宇楽たちのところに来たのかも、知りたかったなあ。
良い作品でした。

1巻はオムニバス風味

阿部あかね節ですねぇ。
キャラが深い。濃い。
それが説明的に「はいっ、このひとはこういうひと!」ってモノローグとかで出てくるんじゃなくて、ちょっとずつ小出しにされる感じ。
まさに初対面から、そのひととなりを知っていくような。
そして気付けば、ものすごく好きな人になっている。
阿部先生の作品のキャラクターって、そういうひとが多い。

下巻が出たので上下ともhontoで購入しました。
1話目を読んでいる辺りでは、「オムニバスかー。この商会のキャラ濃い2人は何者なんだろ」と思ってました。
2話目から一気にのめり込みが加速していって、気付けば上巻が終わってました。

コワモテ風リーゼント(豪)と美麗なハイヒールさん(宇楽〈うら〉)が営む縁結び商会。
そこに来る客に、ぴったりの相手を見つけてあげるのが仕事のようなのですが、実際に仕事らしい仕事は1話のみ。
余命わずかなゲイ男性が「恋をしたかった」とやってくる第一話。
この段階ではまだ紹介程度なので、「どんな話だろ?」という程度。
読み終わった時点でも「ふーん、今回は軽い感じなんだなあ」というくらい。
ただ2話目からが重い!
重いけど、のめり込んでしまう!
元No.1ホストのお弁当屋さんと、売れっ子モデル。
ごはんが出てくるBLは大好物ですが、ここのお弁当、食べてみたい。
お弁当屋さんの過去が重いです。
そして過去に囚われながら葛藤するお弁当屋さんの心情を、1コマで表しているのが鳥肌、立ちました。
すごい。
こういうテクニックと言葉選びに痺れます。
お弁当屋さんの常連のゆかりちゃんも良いです。
傷ついたひとを励まして立ち直らせるんじゃなくて、ただみんなで静かに見守る。
そして一歩を踏み出せたときに、自分のことのように喜ぶ。
こういう温かさ、いいですよね。

上巻最終話は豪と宇楽の出会い編。
宇楽はずっとハイヒールを履いているのですが、2組目の途中で「昔の名残り」みたいな感じで言っているシーンがあって、「何をやってたんだろう?」とそこから気になっていた答えがここに。
こういう見せ方もうまいなあ、と。
会話で言わない。教えない。
最初から全部は見せない。
だから気になるし、知りたくなるし、引き込まれてしまう。

はー、楽しかったです。
出会い編、上巻では冒頭だけで終わるので、絶対下巻も一緒に買ってから読み始めた方が良いです。
わたしは立ち読み増量で3話くらいまで読んで、速攻で上下買いました。
いつもは上巻を読んでレビューを書く→下巻を読むという順番なのですが、今回は一気に読んでしまった。
そのくらい引き込まれるので、ぜひ。

画力で殴り、物理で殴られた結果

早く続きが読みたいです。

表紙のイメージでは、イケメンホスト的な感じの主人公なのかい?と思っていたのですが、試し読みを読んで、「ぬわあああ!?」と変な声が出ました。
迷う間もなく、即購入、即読了。
そして今、ここにおります。

初コミック。
漫画を生業にするつもりはなかった、とのあとがき。
この画力で!?
デビューしてくださって良かった。
おかげさまで良いものを見られました。

幽霊BL自体はそんなに珍しいものではない。
誰にも理解されないとか、誤解されて、怖がられて、というキャラクターも珍しくはない。
画力が高い作家さんも、世の中にはたくさんいる。
だけど、ものすごい勢いで惹かれてしまいました、この作品。
画風はほんのり井上雄彦先生風味な印象です。
途中、バスケ部に助っ人で参入するシーンがあるのですが、「あれ?復帰前の炎の男がスリーじゃなくてダンクしてるぞ?」と思ってしまった次第。
本編では主人公のガタイが表紙より1.25倍くらいゴツいです。
顔もこんなに細くない、というより結構隠れているシーンが多め。
でも美しい。

そんな逞しくも美しい椿と、高校入学から少しの間に亡くなってしまった、「美少年」という形容しかできないような美少年・兜の話。
小さい頃から誤解されて、でも不器用にしか生きられなかった椿が、初めて理解されたのが兜だった。
一緒にいることが心地良くて、認められると嬉しくて、「兜を喜ばせたい」という強い気持ちが椿の行動の中心にある。
兜は見た目はキラキラ系の少年で、中身は何というか「ふつう」。
「バスケしてるところ、見たい」とか、「この映画、見たかったけど、(椿と離れると存在できないから)見に行けない…」みたいな可愛いわがままで椿を振り回す小悪魔的なところもあるけれど、わりと等身大の高校1年生です。
なんだけど、椿の本質を見極めているのがポイント高いわけで。
そんな2人の「お互いがいればいい」(兜の方は椿から離れると…という縛りがあるものの)という密な関係が良いのです。
執着していく過程もいい。
椿への周囲の評価が変わっていくのが嬉しい反面、寂しく思う兜の心情も、周囲なんて関係なく、ただ兜にそばにいてほしいという椿の強い思いも、過不足なく描かれているのがいい。
良いです。

過去に因縁のある少年の登場や、ちょっとよくわからない同級生とか、「うーん?」と思うところもあるけれど、それを補って余りある2人の関係にどんどん引き込まれていきます。
1巻はものすごいところで終わっているので、本当に早く続きが読みたくなるはず。
あとがきに「ハッピーエンドです」と書いてあったので、希望としては、最終的に兜が実は生きてましたー!というのが理想だけど、どうなるのかなあ。
どきどきしながら、2巻を待ちたいと思います。

何もかも「優勝!」

最後まで読んで、表紙を見返してしまいました。
試行錯誤の末の「初恋感」、出てます。

いやあ、最高でした。
ビジュアル最高。
もともとショタっぽいアラサー男子とか苦手だったのですが、前々から暮田先生のは大丈夫でして。
清潔感が漂ってるんですよね、画面から(シーモアにて電子購入)。
作画が変わってから、ちょっと寂しい気持ちもしていたものの、圧倒的作画力を見せつけられて、寂しい気持ちも吹き飛びました。
美しい!そして可愛い!

ストーリーは結構重めな設定もありつつも、それをサクッと上回るキャラクター描写。最高です。
4人兄弟の長男で、11歳のときに父親が他界。
頼りない母親を何とか現世に引き留めつつ、生活のために自分の人生を全振りしてきた鴇(とき)が、母親の再婚で突然自由になる。
16年間、必死で「みんなのため」に生きてきた。
それが自分の存在理由になっていた。
「ふつう」のひとたちと違う人生でも、選択肢がそれしかない状況だったから、前へ進めていたんだろうなあ。
急に状況が一変して、手にした「自由」への戸惑いや寂寥感、それまでの自分との折り合い。
じっくり向き合ってしまうとかなり重い設定です。
だけどそれを文句なしに可愛くて、透明感しかないビジュアルが緩和してくれています。
なので、重くなりすぎない。

対する尭良(たから)。
初登場から息を飲むほどのビジュアル爆弾で、実際に芸能人を見るとたしかに「別世界のひと」って感じる、あの感覚が画面からバシバシ感じました。この説得力、すごい。
昔、某モデル出身の女優さんと、都内の某書店のトイレでばったり会ったことがあるのですが、個室から出てきただけで別次元。あの感覚。
こちらもいろいろとあるのですが、それは読んでいただいて。

そんな2人が出会って、こころに触れて、お互いが大切になっていくというストーリー。
こうまとめてしまうと「よくあるやつ」となってしまうのですが、そうならないのは全て画力が優勝しているからでしょうか。
アラサーショタなのに、そういうキャラにありがちな「天然ふわふわおじさん感あざとさを添えて」が一切感じられないキャラクター設定のおかげでしょうか。
完全優勝している尭良のビジュアルのせいでしょうか。
とにかくぐいぐい読み進めて、あっという間に終わってしまった。
寂しい。
もっと読みたい。

「これから」を予感させる終わり方になっています。
続きも読みたい。
でも芸能人である尭良のゴタゴタに、ピュアで真っ直ぐな鴇が巻き込まれてほしくない。
裏がありそうな次男・蒼の存在も気になるけど、そこも深掘りはあんまり読みたくない。
知りたいけど、知りたくない。乙女心は複雑。
そんな読後感も楽しい作品でした。
ビジュアルもキャラクターも優勝なので、ぜひ読んでみてください。

激甘が天井知らずの眼福CP

しあわせ。

この一言しか出てきません。
が、これだけだと何も伝わらないので、このしあわせを文字化したいと思います。

とうとう始まった同棲生活!
1巻の時点で西脇は「一緒に住みたいけど、あいつ(片桐)の性格的に無理かなー」みたいなことをポロっと言ってましたが。
2巻で登場した熊兄の2ヶ月片桐宅居候事件を経て、一緒に住むことになった2人。
そんなしあわせ満載なスタートから今回登場する新キャラは2名。
スタッフの送別会で登場した國見さん。
さらに西脇妹。
1クセも2クセもある2人ですが、このCPは大丈夫。
じれじれしません。
1巻では意地っ張り過多だった片桐も、素直にちゃんと伝える大切さを分かっているし、西脇は片桐のちょっとした変化もすぐ気付いてくれるので安心して読めます。

意外だったのは國見さん。
え、片桐に似てる…からの、もしや過去の…?というモヤモヤ感。
読者も片桐と一緒にモヤるものの、そっち!?みたいな。
いろいろと想像に容易いので、みなまでは言いますまい。

妹も拗らせてるけど良い子です。
ただ妹の思いには共感できない派なので、その辺りは「うーむ…」という感じでしたが、カフェでの片桐と妹ののシーンはとても良かった!

繊細で美しいビジュアル。
中でも灰田先生の魅力はやっぱり横顔。
イケメンな溺愛攻めと、意地っ張りからすっかり素直にシフトチェンジした美しい受け、それぞれの横顔を堪能できました。
片桐に関しては、寝顔が美しい。
灰田先生の描く受けの、目を閉じた表情って罪すぎませんか?
あのまつげ。まぶた。斜めの鼻筋。
どれを取っても最高のバランスです。

仕事はきっちり、恋もしっかりな美しい2人を見ていると、自分の自堕落な生活に反省しきりです。
読んだ後に「よし、ちゃんと生きよう」と思うBLにときどき出会うのですが、この3巻も仲間入りしました。
よし、ちゃんと生きよう。