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犬だったボクがご主人様に愛されるまで

inu datta boku ga gosyujin sama ni aisarerumade

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表題作犬だったボクがご主人様に愛されるまで

レシト(松下翔)、メッセル王国の辺境伯、21
マル、亜人で翔の元ペット

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

自分を庇って事故に遭った大好きな飼い主の魂を追いかけて、次元の狭間に飛び込んだ柴犬のマルは、目覚めると耳と尻尾の生えた「亜人」になっていた。謎の集団に拾われメッセル王国の辺境伯レシトに引き合わされたマルは喜ぶ。姿がすっかり変わっているもののレシトこそ、捜していた飼い主だった。マルは側付きとして屋敷に置いてもらえる事になるが、前世の記憶を持っているはずのレシトの態度は冷ややかで…。

作品情報

作品名
犬だったボクがご主人様に愛されるまで
著者
いとう由貴 
イラスト
れの子 
媒体
小説
出版社
心交社
レーベル
ショコラ文庫
発売日
ISBN
9784778124267
3.8

(10)

(1)

萌々

(6)

(3)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
3
得点
38
評価数
10
平均
3.8 / 5
神率
10%

レビュー投稿数3

とてもあたたかくて素敵なお話でした。

深読みするとすごいタイトルですが、素直にそのまま「元ペットだったワンコが異世界で犬の亜人として、ご主人様の生まれ変わりと結ばれる」と言うお話です。

こちら、ファンタジーとしても、とても面白いんですよ。
作り込まれた世界観に、ハラハラドキドキさせてくれるストーリー、そして気分爽快の痛快なオチ。
が、一番魅力的だったのって、主人公の心の救済なんですよね。
てっきり「マル(元ペット)が人間になって愛されて~」と言う方に萌える作品だと思ってたら、そんな彼に真っ直ぐ純粋な想いを向けられた事で、人間不信だった攻めが心の鎧を脱ぎ捨てる・・に感動みたいな。
いや、やっぱ両方同じくらい萌えるわ。

ところで、いとう先生でこのタイトル。
真っ先にSM系を想像しちゃったのは、私だけでは無いと思います。


内容ですが、メッセル王国の辺境伯・レシト×犬の亜人・マルによる、転生もので主従ものです。

子役として活躍してる翔が、ペットであるマルを庇い、車に跳ねられて亡くなってしまった所からお話はスタート。
マルですが、翔の魂を追いかけて次元の狭間に飛び込むと、何故か目覚めた時には耳と尻尾のある人間・亜人として、見知らぬ森に居たんですね。
そこで謎の集団に拾われ、引き合わされた辺境伯・レシトに翔の魂を感じて、姿形が変わっても彼がご主人様だと再会出来た事に喜ぶ。
が、前世の記憶がありマルを知ってるのに、レシトはマルに冷たくてー・・・と言うものです。

まずこちら、設定がかなりしっかり作り込まれてまして。
マルですが、実はただの犬では無く、祖父が犬の亜人になります。
次元の狭間に吸い込まれ、こちらの世界に飛ばされて来ちゃったんですね。
で、魔素によって人間の姿を保つ事が出来る彼等は、こちらの世界では犬の姿になってしまう。
そんなワケで三代目であるマルは1/4が亜人、残り3/4が犬みたいな。
この微妙な比率がとても重要になって来まして!
えーと、ちゃんと会話なんかも出来て亜人でありながら、犬の血が入っているためとても純粋で無垢なんですよ。
こう、犬の特性からご主人様第一で、ひたすら無邪気に「大好き」みたいな。

で、そんな彼のご主人様・レシト。
彼にも実は前世の記憶があり、マルの事を覚えています。
が、彼は前世でも今生でも常に人から裏切られと、完全に人間不信なんですね。
そこで、人間になったマルに無邪気に好意を寄せられようと、冷めた気持ちで見てしまうー。

と、最初こそちょいマルがかわいそうなのです。
が、ここから徐々に徐々に変化して行く二人の関係。

マルですが、もうめちゃくちゃ健気で真っ直ぐなんですよ。
こう、ガチのワンコでして。
どれだけ邪険にされようが、少しでもご主人様の役に立ちたいとまとわりつく。
前世でもレシトは辛い境遇にあり、そんな彼にマルはずっと寄り添って来たんですね。
犬の為、何も出来ない事に落ち込みながら。
でも、人間になった今なら、レシトが辛い時に慰める事が出来るー。
そんな風に、ひたすら真っ直ぐ純粋な想いを向け続けるマルにですね、もう読んでいてすごく心を動かされて。

で、そんなてらいのない愛情を一身に寄せられ、少しずつレシトの中で変化してゆくものー。
彼は誰一人信用出来るものの居ないこれまでの日々で、こう心に分厚い鎧をまとっているとでも言いましょうか。
それがマルの存在により、人のあたたかさを知る。
そして心を開いた時に、ちゃんと味方は存在する事に気付くんですね。
この、レシトの心の救済みたいのが丁寧に綴られていまして。
読んでいて、すごく優しい気持ちにさせてくれるんですよ。

と、ここに、王位をめぐる争いだったり、マルが一途に慕うのは忠誠心からで、男として愛されてるのでは無いと言うレシトの葛藤なんかが絡んで、お話は展開して行きます。

これ、大団円なんですけど、オチがとにかく痛快でして。
とりあえず、マルがここで大活躍してくれて、ニヤリとさせてくれると言うか。
また、やたら苦悩していた攻め・レシト。
マルはめっちゃ能天気なんですよ。
超シンプルなんですよ。
「大好き」なら「大好き」で、ただそれだけでいいんですよね。
わざわざ、複雑にしていたのはレシトで。
そんなマルに感化された、レシトの変化が素敵でした。
いやもう、序盤とは別人じゃないか!

ところで、重箱の隅をつつくような事を言って申し訳ないんですけど。
レシトに前世の記憶があるのは何故なんかな。
あと、ほぼほぼ同時に次元の狭間に飛び込んだハズなのに、二人に20年もの時間のズレがあるのはなんでなんかな。
ついでに、あまりに無邪気に自分を慕うマルに苛立ち、「何をされてもいいと言うんだな」とレシトは犯します。
ダメじゃん・・・。
いや、萌えちゃったけど。

と、ちょい引っ掛かる部分はありますが、それ以上に個人的ツボで大変萌えました。

6

今すぐリアル豆柴をお家に迎えたくなりました

マルがひたすらに可愛かったです…!
ワンコ系男子ではなくワンコそのものなところが新鮮で気を抜くとすぐにご主人様の足元にすり寄ってしまう…そんな全力愛がたまりませんでした。
健気で一途で何も疑わない…眩しいほどです。

レシト視点で見れば酷い仕打ちもマルにとってはなんのその…全てをまっすぐな愛へと変換し全身で受け入れ尻尾を振る姿にはひたすらキュンキュンきました。

全体を通して丁寧な言葉遣いに苦戦しているところもいちいち可愛いです…!

セックスのことを匂い付けと称しているところにも悶えました。
それからの変化はもちろんありますが、レシトに素敵な奥様を当たり前のように望んでいたところにも…あぁ。
終始ワンコ要素をしっかり詰めてくださっているので、退屈せずに読めました。
互いの言い分が分かるけども…なちぐはぐさがうまく描かれているなぁと。

犬の姿のマルも挿絵含め楽しめるのですがあまりの愛くるしさに魅入ること間違いないと思います!

肝心な物語もファンタジー要素を踏まえつつお話自体も当人たちの関係についてもめでたしめでたしでまとめてくださっているので、ストレスなくラストを迎えられました。


関係ないですが最初背表紙だけ見て「太ったボクがご主人様に愛されるまで」とタイトル空目していた自分に笑いました。
一度は通り過ぎたのですがやっぱり気になり手に取れば「いや、犬じゃん!」って。

1

ご主人様の為に頑張るワンコ

いとう由貴先生の既刊作品は拝読させて頂き、今作も作家買いさせて頂きました。

個人的、各項目5段階で
ワンコ 5
健気 5
可愛い 3
エロ 3
な感じだと思います。

辺境伯のレシトさん×犬の亜人のマルのカプです。

人気子役のご主人様と愛犬のマル。しかし、交通事故に遭ってしまい、マルを庇って亡くなってしまったご主人様。そのご主人様の魂を追いかけ、次元の狭間に飛び込んだマルは、身体は人間だが犬ミミと尻尾が生えた亜人になっていて…。

受けがワンコです。ワンコ属性でもありますが、実際に犬として生きていたマルなので、亜人として人間の身体になっても思考や言動は犬のままです。因みに柴犬の姿に戻る描写もあり、最初から最後までずっとワンコ要素が得られます。

マルが次元の狭間に飛び込んで追ったご主人様の魂は、メッセル王国の辺境伯のレシトさんとして生きていた。しかも前世の記憶が残っているようなのに、マルに対して態度が冷たい。しかしマル以外の相手にも心を開いてはいなくて、何故そんな風になってしまったのか…。

でもそんなレシトさんに対してもずっと「ご主人様大好き!」と言葉でも態度でも示すマルが可愛くて可愛くて。そしてほんの少しずつ心が揺れ動かされるレシトさん。
だけど、元々犬であったマルには、レシトさんはご主人様として大好きであって、恋心としての大好きではないので、心を開き始めてるレシトさんからするとちょっと複雑で…。それがとても焦ったくてもどかしいですね。

魔法が使える国、亜人や恐竜のような生物、王族達の確執や謀略など。ファンタジーな世界観で紡がれる、従順で健気なワンコがご主人様の為に奮闘する、ワンコ受けが堪能出来るので、是非とも読んでほしいです。

0

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