書き下ろしSS付き
作者独自のルール設定の付与が、展開や構成に変化を産んでとても面白かった。
溺愛、盲愛の「愛の物語」です。心に愛が不足して「愛したい」をチャージしたいときに良い一冊。アマアマ。
▶この物語のお約束:今までのΩバースと違う点は「Ωあってのα」
★『スーパーΩ』
奪い合いの戦争が起きたほどの稀少バース。
相思相愛のαとの間に子を成せば、高確率で『スーパーα』;世界を統べるα;を生むバース。「番ったαの能力以上のものを引き出し、必ず純粋なαを生む」
スーパーΩは、国から多大な庇護を受け、その一生を保障され管理される。
安全を確保する為、出産後にGPSを体内に埋め込まれる研究対象。
★「詩音に関する研究発表」Ωの存在意義
αはΩのための存在。世の中の頂点に立つのは実はΩ。αがこの世に存在するためにΩがいる。αを愛して愛されるための絶対的存在。Ωがいなくなれば、αもいなくなる。
★麻生田 継 25才 『絶対的α』
創業者の息子、母は男のΩで頭のキレるやり手営業マン
幼い時から特別なことをしなくても常に何でもトップ
容姿端麗。切れ長の目に力強い瞳
★橋下詩音 23才 男のスーパーΩの希少種。
営業事務
大きな瞳。真っ直ぐで透き通った…醒めた目 薄く品の良い唇。シャープな顔立ちの中世的な美人。
生まれた時から国の管理下の研究対象。SPの警護がつく。
番相手は国に申請が必要。
α×Ωの両親の第三子 兄姉はα、『運命の番』と既婚。
厄介な身体に生まれて、αから拉致強姦未遂を体験。幸せを諦め、醒めている。
芯が細くて堅いので折れやすく脆い。物語が進むにつれ、泣き虫化。
★入社試験の試験官の一人は、継の父、先代社長。志願の本音を問われる。
「一人でもいい、前を向いて胸を張って生きたい」と答える詩音。←これが、作品全体に連なるテーマ。
詩音が採用されて入社、同時に社長は息子に譲って引退。←二人の出会いを目論んだ。
★継が『淡雪の君』と呼ぶ、社内に漂う特殊なフェロモンの持主=橋本を探し始める。臭いの跡を追う姿はまるで狩り。臭いを辿り回って、やっと詩音をみつけた場面から物語が始まる。
外では俺様な継は、詩音にだけは弱い。粘着質で愛情過多なスーパーαが、自己嫌悪で醒めたスーパーΩを愛して尻に敷かれて幸せな番になるまでの物語。
邪魔ものが登場しても、大した敵ではないので、大丈夫。
評判通りの飽きない面白さだった。
神評価
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★残念な点:セレブ着道楽の嗜好
オーダースーツの一流は「ア○マーニ」と、どうもBL系作者の間で定着しているようで、何度も見かけるのですが、違います。
皇室がオーダーするワイシャツの生地は日本の最高峰、糸の番手が違う。
セレブは英国か伊国のオーダースーツを好みます、着道楽の憧れ=麻生太郎氏のスーツ。生地もいいけど、仕立てが違う。日本で縫える職人はもういないので、海外でオーダーしている、と仕立て屋から聞きました。皺の入り方、襟のラインは、名人の技を感じます。
ア○マーニは水商売が好む吊るしの既製品部類に入ります。