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表題作僕らは運命じゃない

市川豪,α,18歳,高校生
森本虎雄,α,18歳,高校生

あらすじ

【ドSな腹黒幼馴染(α)×抱かれたがりのドM(α)】
2人は“運命の番”のはずだった――お互いをαだと知るまでは。
愛らしいルックスで蝶よ花よと可愛がられて育った市川 豪(いちかわ ごう)は、自分はΩで、幼馴染の森本虎雄(もりもと とらお)が“運命の番”だと信じで生きてきた。
しかし、14歳になった時、オメガバースの性検査で2人ともαだったことが発覚し、そのことがきっかけで虎雄に別れを告げられる。
時が経ち――18歳になった豪は、“αらしさ”にこだわる虎雄への腹いせに、αらしくない可愛らしいキャラクターで周囲を偽り、女遊びを繰り返していた。
ある日、豪は些細な口喧嘩から、虎雄が自分の暴言に欲情していると気づいてしまい――
運命に抵抗する2人の物語がはじまる。

桂馬びんぞこが描く、エモーショナルオメガバース始動!
1話は大増42ページでお届け!

僕らは運命じゃない(1) 46ページ
僕らは運命じゃない(2) 28ページ
僕らは運命じゃない(3) 32ページ
僕らは運命じゃない(4) 24ページ
僕らは運命じゃない(5) 32ページ
僕らは運命じゃない(6) 32ページ

作品情報

作品名
僕らは運命じゃない
著者
桂馬びんぞこ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
メディアソフト
電子発売日
4.8

(5)

(4)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
2
得点
24
評価数
5
平均
4.8 / 5
神率
80%

レビュー投稿数2

α同士の一筋縄でいかないすれ違い

タイトルと、作品紹介の「運命に抵抗する2人」というフレーズにつきます。
αでも男でもなく自分を見てほしい攻めと、αらしく男らしくあることが互いの幸せだと信じる受け。
こう書くと受けはステレオタイプに見えますが、実はあるがままの己の欲求というある種の運命とも言えるものに抗っています。

定石としてハッピーエンドと予想するものの、どうすれば受けが攻めを受け入れるのか、なかなか見えません。
受けが家や相手のために身を引くだけではない、絶妙に積み重なるすれ違いが2人の溝を深くしています。
攻め視点が多いこともあり、攻めの報われなさに切なくなります。
期待しては裏切られる攻めですが、負けないでほしい。
3話の映画鑑賞中に攻めが受けの手に触れて照れる受けをからかうくだりは、何度読んでもキュンキュンします。

序盤のように行為を通じて攻めと受けが思いを垣間見せたり吐露したりする様が本作の真髄かと思っていたのですが、濡れ場のない4話で攻めの悲痛な叫びに胸を撃ち抜かれました。

しかしながら、行為の描写ももっと見たい!
濡れ場になると、硬派で雄くさい受けの唇がぷるぷると色っぽくなるところに作者さんのこだわりを感じます。
攻めも受けもしっかり筋肉のついた厚みのある体で、見応え十分です。
中性顔の攻めによるきつめの言葉責め、男前な受けのトロ顔やハート目というギャップと濃厚さがたまりません。
思いが通じ合ったら、甘々になるのだろうか。
早く答え合わせしたいです。

3

Ωでありたかったα攻、男に抱かれたいα受

2021年1月現在、連載中です。

オメガバースが浸透してきて、α✕Ωだけでなく、βが主人公になったものやα✕αの作品も出てきました。
この作品もα✕αではあるんですが、Ωでありたかったαが攻という、今までにない設定ですごく惹かれました。

αの豪は見た目も華やかで可愛らしく中性的、一方、αの虎雄は逞しい筋肉もあってものすごく男性的。2人は幼馴染で運命も感じるほどで、豪がΩで、虎雄がαに違いないと信じ、将来的にはきっと結婚するだろうとお互いに思い合う仲。しかし、バース性の検査で二人ともαと判明。虎雄の家は代々αの伴侶はΩとする家柄で、豪がαとわかり、虎雄は豪にお互いΩの伴侶を見つけて別々の道を歩もうと伝える。さらに、豪にαならαらしく振舞えと忠告し、二人の間には溝が生まれる。

豪はそんな虎雄の態度に失望し、女の子と気ままにセックスを楽しむような男に。豪はいつまでもαらしく振舞えと指摘する虎雄に対しイライラが募る。しかし、豪が女の子を抱いていることに顔を真っ赤にして反応する虎雄を見て、豪は無理やり虎雄を抱く。豪の顔には似合わない鍛えられた男らしい身体を見て欲情する虎雄。あんなにうるさく豪に指摘していた虎雄だったが、実は虎雄は男に抱かれたいという願望を持っていた、という話。

豪は虎雄が本当に好きで、αだろうがΩだろうが、自分自身を愛してほしいと願っている。虎雄も豪のことを大切に思っているんだけど、αとして振る舞わなければいけないという固定概念や、結局、Ωと結ばれなければいけない使命感みたいなものがあって、素直になれない。でも、隠された本質には、男に抱かれたいという抑えがたい欲望がある。

自分がΩだったら良かったのにって思ってる側が、攻になるって、ほんと今までなかったと思うんですよね。すごく珍しい。それに、豪は顔は女の子顔負けの美少女フェイスなのに、身体はムキムキで性格はめちゃくちゃ男性的なんです。そのギャップもいい。片や、虎雄はすごく男らしい見た目だし男気もあるのに、抱かれるとめちゃくちゃトロトロになるんです。豪の下に組敷かれて涙流して喘ぐ虎雄はめちゃめちゃ刺さりました。

豪はα同士である運命を呪い、ものすごく責め立てるように虎雄を抱くんです。ひどい言葉で責めて、欲望のはけ口みたいにセックスする。抱いても抱いても自分のものにならないことに苛立ちを抑えられない。

でもそれは自分にとってやっぱり虎雄が運命に思えるほど好きだから、運命じゃないことを受け入れられないことの裏返しなんですよね。

この作品では、男性で妊娠できるのはΩのみ、となっているので、オメガバースとはいえ、普通のBLと同じ同性同士の恋愛なんです。オメガバースだと、男性でもΩが妊娠できる設定なので、α✕Ωだと、同性同士というよりも、バース性に注目されやすく、あまり同性愛という概念がない感じなんですが、α✕αだと妊娠できないから、普通の同性愛なんですよね。

なので、豪は自分がΩではなかったばかりに、運命が狂わされた感を拭えず苦しむんです。その根底には虎雄がバース性を前提にしてしか自分を見てくれないことへの悲しみや辛さがあって、虎雄がまたそこを理解してないもんだから、余計腹立たしいし、無力感を感じる。

なんだか、虎雄、気づいてやれよ、とも思うし、豪ももっと素直になって、真正面からぶつかっていけよとも思うし。でも、家柄のこととか、周りの環境がそれを許さない感じもあったり、まだ高校生で子供なので人生左右するような決断もできないしで、豪の苦悩は半端ない。

もちろん虎雄も、豪がΩであったなら、と思ってるところはあるのかもしれないけど、一方で、男に抱かれたい願望を持つことへ罪悪感を感じたり、抱かれたいんだったら、自分がΩのほうが良かったのか?と考えても良さそうなもんなのに、αであることへの謎の責任感みたいのがあって、こっちもこっちで苦悩しているという。

お互い苦悩しかしてないつらすぎる状況なんですけど、ハッキリさせるには、これはもうどっちかが腹を決めるしかないなと。でもハッピーエンドになるには、虎雄が腹を決めるしかないんですよね、正直。豪はαとわかっていても、バース性に関係なく、虎雄がありのまま自分を受け入れてくれたらと望んでいるので。それにバース性はどんなことしても変えられない。Ωじゃないことを呪ったところで、なんにも変わらないんだから。受け入れるしかない。その上でお互いを認め合うしかない。

バース性を前提にして結ばれないのであれば、それは二人の言うように運命じゃないんでしょう。でも、それを乗り越えて結ばれるのなら、やっぱり二人は運命なんだと思います。二人がどんな結論を出すのか、見届けたいです。

2

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