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表題作特別な友情 フランスBL小説セレクション

あらすじ

BLの聖地・フランスから届いた少年たちの熱い戯れ。
《萌え場》まみれの耽美なアンソロジー。
輝かしいフランス文学の一隅に息づく、美少年たちの「友情以上の熱い関係」の物語を耽美な新訳で味わう12篇。

目次:
ロジェ・ペールフィット 
『特別な友情』(抄)(森井良訳) Roger Peyrefitte, Les Amities particulieres, 1944

アンドレ・ジッド 
『ラミエ』(森井良訳) Andre Gide, Le Ramier, 2002

ロジェ・マルタン・デュ・ガール 
『灰色のノート』(『チボー家の人々』第一部より)(中島万紀子訳) 
Roger Martin du Gard, Le Cahier gris, in Les Thibault, 1 ere partie, 1922

マルセル・プルースト 
『ソドムとゴモラI』(『失われた時を求めて』第四篇第一部より)(芳川泰久訳)
Marcel Proust, Sodome et Gomorrhe I, in A la recherche du temps perdu, tome IV, 1921

ポール・ヴェルレーヌ/アルチュール・ランボー 
「尻の穴のソネット」(森井良訳) Paul Verlaine/ Arthur Rimbaud, ≪Sonnet du trou du cul≫, 1871

ポール・ヴェルレーヌ/アルチュール・ランボー 
「往復書簡」(一八七三年七月三日・四日・五日・七日)(森井良訳) Paul Verlaine/ Arthur Rimbaud, Correspondance, 1873

ラシルド
『ムッシュー・ヴィーナス』(抄)(中島万紀子訳) Rachilde, Monsieur Venus, 1884

ジャン・コクトー
「友は眠る」(森井良訳) Jean Cocteau, ≪Un ami dort≫, 1948

ジャコモ・カサノヴァ
『わが生涯の物語』(第一巻第十一章より)(芳川泰久訳) Giacomo Casanova, Histoire de ma vie, 1826-1838

ジャン・ジュネ
『泥棒日記』(抄)(朝吹三吉訳) Jean Genet, Journal du voleur, 1949

ジョリ=カルル・ユイスマンス
『さかさま』(第九章より)(森井良訳) Joris-Karl Huysmans, A rebours, 1884

マルキ・ド・サド
『閨房哲学』(第三の対話・第四の対話より)(森井良訳) Marquis de Sade, La Philosophie dans le boudoir, 1795

仏文×BLのただならぬ関係:森井良
著者紹介
訳者紹介
(「BOOK」データベースより)

作品情報

作品名
特別な友情 フランスBL小説セレクション
著者
アルチュール・ランボー  ジャン・コクトー  アンドレ・ポール・ギヨーム・ジッド 
媒体
小説
出版社
新潮社
レーベル
新潮文庫【非BL】
発売日
ISBN
9784102045138
4.6

(3)

(2)

萌々

(1)

(0)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
14
評価数
3
平均
4.6 / 5
神率
66.7%

レビュー投稿数1

古典BLアンソロジー

BL要素を含むフランス文学作品アンソロジー

最近流行のBLを何冊も読んでいると、著者の萌の暴走表現の強い刺激で脳内グチャグチャ、感性が麻痺してしまう。
なので、構成とか 表現とか 色々ネジや箍が外れた感性を元に戻す為に、古典作品を読んだ。
原作より、翻訳者の語彙センスが巧みで、原作を凌駕している。
「特別な友情」以外は全作一部抜粋で、全編ではないです。
この文庫本サイズの本に編集されているのは、欧州のBL古典。ズバリと表現していないお上品。
「トーマの心臓」の原点になった「特別な友情」が、この本の一番の推し。今のところ、他に和訳は出ていない。

-----メモ
*「特別な友情」:
・・ジャン・ドラノワ監督作品「寄宿舎 悲しみの天使」の原作。キリスト教神学校の寄宿舎。宗教的に禁忌の同性愛。

*「ラミエ」
 ジッドの未公開の遺稿『ル・ラミエ』 : 森鳩は歓びとともに飛びたつ。・・「鳩」とは、恋人の少年達のこと。晩年のジッドは、少年達との恋で若さを取り戻していた。

*『チボー家の人々 第1部 灰色のノート』
ジャックとダニエルとの秘密の交換帳を読み、体面を気にするチボー父は、ジャックを自ら創設した少年院「オスカール・チボー少年園」の特別室にいれてしまう。第一次世界大戦後の時代背景に、ブルジョワ社会の精神的風土と、思想の摩擦を描いた小説。※当時、キリスト教で禁忌の同性愛は少年院行だった。

*「ソドムとゴモラ」
有名なので省略。

*「尻の穴へのソネット」/「往復書簡」
・・ランボー達の恋愛は、映画「太陽と月に背いて」で有名。ランボー役のレオナルド・ディカプリオが一番綺麗な時の映画だと思う。

* 「ムッシュー・ヴィーナス」
女性作家が、男性名「ラシルド」で執筆した作品。男女不平等への不満が土台。主語が曖昧で捉えにくい原文を、ここまで訳した翻訳者の力量を褒め讃えたい名訳。

*「友は眠る」
同性愛を隠したコクトーについてhttps://bit.ly/3Maobrb←ここの解説が面白かった。 コクトーの半自伝小説『白書』には、父親の性嗜好についてと、コクトーは父親似だと書いている。

*「我が生涯の物語」
 冒険家・漁色家ジャコモ・カサノヴァの自伝。生涯に1,000人の恋人と恋をした。 カサノヴァはヴェネツィア人、本書はフランス語で書いている。

*「泥棒日記」
 ジュネの『泥棒日記』は、一部は事実、一部は虚構の自叙伝。 創作目的は「到達不可能な無価値性の追求」・・BLを哲学するとそうなるらしい。

*「さかさま」
 「道理にそむくこと」という意。「ルルドの地にはかつて悪魔信仰があったからこそ、そこに聖地信仰がおこったのである」

* 「閨房哲学」 
 サド伯爵だから、SMかと思ったら、そうじゃなかった。
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読みながら、雰囲気とか語感が似ている・・と、思いだしたのは、よしながふみさんの「ジェラールとジャック」だった。

★アメリカ作品のアンソロジーは、平凡社ライブラリー『ゲイ短編小説集』がある。 タイトルが下衆で嫌。
 ゲイ短編小説集 (平凡社ライブラリー) オスカー ワイルド
 古典BL小説集 (平凡社ライブラリー) ラシルド
 少年愛文学選 (平凡社ライブラリー) 折口信夫、稲垣足穂ほか

★これは、良さそう。➡ 須永朝彦小説選 (ちくま文庫)山尾悠子が25篇を選ぶ

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