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うーん、素晴らしかったと思います。
モフモフファンタジーなのですが、獣人だけにスポットを当てたものではなく、人間の業・欲などを描いた壮大な物語でした。
表紙の印象よりシリアスで切なかったです。
何度も涙してしまいました……
第二王子のテオには、傷付いたものを癒す不思議な力があります。
剣術は苦手でひ弱なテオですが、その癒しの力を高く評価され、戦争に利用されていくのです。
父に愛されたいのに、求められるのは力ばかり。
テオの初陣は、6歳の時でした。
癒しても治しても次々に運ばれてくる怪我人たち。
6歳のテオの心は壊されていきます。
辛くて耐えられなくても、父や兄から望まれれば戦地へ赴くテオ。
テオの中の大切なものが音を立てて崩れていきます。
もう、思い出しただけで泣きそう(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
6歳ですよ!
血だらけの兵士に縋られ、父兄から期待され……
6歳の子どもに大の大人が頼るなよ(怒)
小さなテオの心が壊れていくのが本当に辛かった。
そんなテオの癒しは、庭で見つけた獅子の子・ブラーヴ。
ブラーヴは、感情も表情も死んでしまったテオの心を癒し、温かさを与えてくれました。
ブラーヴがいるからブラーヴに会いたくて、戦地から帰ってくるテオ。
そのブラーヴも気付けばテオの側からいなくなってしまいます。
全員を助けることができない悲しさ、命の序列を付けなくてはいけない苦しさ……
テオの心はもう限界。
終わらない地獄から抜け出せず、病死した母に会えなくなるからと自ら命を絶つことも出来ない。
そこで、テオは城の奥にある樹海に足を踏み入れます。
樹海には獣人が住んでおり、一度入ると戻れないという噂がありました。
テオは、樹海に自らの運命を託すのです。
この樹海の中でテオは獣人たちと出会います。
テオの力で傷付いた小さな獣人を治したことで、獅子王・クライドからお礼として〝シークレットガーデン〟への立ち入りを許可されます。
この秘密の庭がテオの癒しになっていくのですが、森に入っていくテオを不審がる者たちが現れーーと、展開していきます。
ふぅー
人間て強欲ですよ。どこまでも。
獣人王の血には、不老不死の力があるという噂がありました。
実際にはそのような力はなく、実はその血は猛毒なのです。
だけど、不老不死の力を求めたテオの父親が、テオを利用して獣人の国に攻め込もうとします。
獣人の国とクライドを守りたいテオ。
今まで何も言えなかった父に、初めて盾つきます。
テオの成長が素晴らしかった。
愛する者を守りたいという強い気持ちに、胸が熱くなりました。
もうね、父親が最悪ですよ。
兄からはテオに愛情を感じました。
でも、兄もやっぱり戦士なんですよね。
優しくしては突き放す兄にも憤りを感じました。
そして、どうしてもクライドを守りたいテオは、身をもってクライドの血は猛毒だと示すのです。
テオが死に、唖然茫然の父兄。
すごく悲しかったけど、傷付く父兄にはザマァという気持ちにもなりました。
そのくらい、この二人にはムカついてた。
実は、クライドはブラーヴであり、テオとは愛し合う仲です。
猛毒を飲んで倒れたテオの解毒のために、クライドが取った唯一の手段とはーー…?
そして、テオの出自にも大きな秘密がありました。
ラストの、特に書き下ろしがまた本当に切なかった。
テオを失った兄の話なのですが、兄の後悔が手に取るように分かって泣きました。
思い出すとまた涙がぁ〜
とにかく、とても切ないけど読み応えのあるお話です。
読後はスッキリではないんだけど、何かを失うまで大切なものに気付かない人間にはなりたくないなと思いました。
テオを失って戦争をやめた父にも、何か思うところがあったんだろうなぁ。
初めて読ませて頂いた作家様のお話です。
受け様は、リカドール王国の第二王子、テオ。
幼少期から傷を治す不思議な力を持ち、それ故、6歳には隣国との戦へ初陣。
たくさんの救えなかった命を看取ってきて、心は疲弊しきっていて。
そんなテオの心の癒しになっていたのは、城に迷い込んできて獅子の子供。
ブラーヴと名付けてかわいがっていたけど、いつの間にか姿を消してしまう。
治療する事が自身の存在意義だと言われ、心を殺して治療行為をしてきて、いつしか20歳になったテオは、獣人が住むという樹海に入り込んで、そこで獣人王のクライドと出会う。
このクライドが今回の攻め様であり、実はブラーヴが大きくなった姿。
クライドは、城を逃げ出してきたテオに、逃げ込める居場所を与えてくれて、テオはそのシークレットガーデンで少しずつ生気を取り戻していく。
他の獣人達も交えて、薔薇園作りにいそしんで、親しくなっていく2人なんですけど、ある日、クライドの鬣が大好きなテオはクライドに抱きついた時「我慢できなくなるから」と距離をとられてしまう。
それが寂しくなって「我慢できなるくなるって何?」と聞いたら、クライドがこういうことだ、とテオを裸にして、最後まではしないけど愛の行為をいたしちゃう。
それまで、性的な雰囲気は一切なかっただけに、その展開に驚きでした。
えっ!?いきなり!?
穏やかに見守っていてくれていたクライドの豹変ぶりに、我慢していたのでしょうけど、それはないなぁ、と私はちょっとがっかり。
その後会った時も、なんか普通だったし。
私の中でクライドの評価はダダ下がりです。
獣人王の血が不老不死になる、と信じた父王と兄王太子がテオの後をつけてシークレットガーデンまで乗り込んできて、迎え撃つ準備をしている獣人達。
戦をやめさせたくて、テオがクライドの血は不老不死どころか猛毒である、と身を持って伝える。
ここからのお話は萌えがつまっていて何度も読み返しちゃいました。
テオの亡骸を抱きかかえて去っていくクライドの胸中を思うと切なさと萌えが爆発で、クライドの株が急上昇。
テオが復活した方法はなるほど~であり、テオの出生の秘密もなるほど~で面白かったです。
私の中で、攻め様の評価が下がったり上がったり。
残念と萌えが入れ乱れたお話で評価に迷いましたが、好きなシーンは何度でも読み返しちゃいましたので、萌×2かな。
すいません。今ひとつ読んでいて夢中になれませんでした。
幼いテオが戦場に連れられて兵士達の傷を癒す役目を与えられた事によって、命に順列を付けなければならなかった事や、多くの兵士を助けられなかった事に、心が壊れて行く様は可哀想でとても気の毒でした。
ただ気になったのは何もかもを諦めて、考える事を放棄して父王の命に逆らう事もしなかった点です。自分の気持ちも言えないのです。二十歳になってもです。
そういう風に育てられたからしょうがないのだと思いますが、獣人王のクライドに「逃げないで最後には自分で決めろ」と言われたのはもっともだと思うのです。
クライドに「秘密の庭」への交通証を貰い、獣人達との交流に夢中になっていました。父王が獣人王の血が不老不死である事に執着していた事も、頭から抜け落ちてたのです。頻繁に城から消えるテオに周りが不審に思っても、気が付きもしなかったんです。とうとう父王にバレて初めて反抗したテオは、自室に閉じ込められてしまいます。
そしてクライドに危険を知らせる筈が、自らが獣人達の元に父王や兵士達を案内してしまっていました。獣人達と父王達が一触即発な様子を見て、テオ自らがクライドの血を飲みクライドの血が猛毒だと証明して死んだのです。
クライドが怒り父王にテオの気持ちを伝えていました。そう何もかもがクライド任せなのです。
初めてクライドに会った時も服の着方も分からなかったんです。全て従者に着せて貰ってたから…
テオが母親が亡くなった後に見つけて手当てした獅子の子がクライドだったのは分かりますが、だからといってクライドが今まで会っていなかったテオを好きなのも理解出来ませんでした。
私はどちらかというとテオの兄が可哀想でした。