私だけの運命の番。あなたを私のものにするよ。

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貴公子アルファと桜のオメガ

kikoushi alpha to sakura noomega

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表題作貴公子アルファと桜のオメガ

ジュード・リットン,伯爵家の嫡男で大学院生
朔実・セレソ・水瀬,18歳,内職で生計を立てているオメガ

その他の収録作品

  • 二人の秘密のチョコレートケーキ
  • あとがき

あらすじ

両親を亡くし、祖父と質素に暮らすオメガの朔実は、突然伯爵家の屋敷に誘拐される。そこで待っていたのは、美しいアルファのジュードだった。彼は、自分達が祖父同士の決めた番だと言うが、そんな約束は知らないと拒む朔実。しかし、伯爵が別荘から戻るまで屋敷に滞在することに。その夜、朔実に初めてのヒートがやってくる。熱に浮かされる朔実を、ジュードは優しく慰めてくれて――…。

作品情報

作品名
貴公子アルファと桜のオメガ
著者
弓月あや 
イラスト
明神翼 
媒体
小説
出版社
フロンティアワークス
レーベル
ダリア文庫
発売日
電子発売日
ISBN
9784866573991
2.7

(7)

(0)

萌々

(2)

(2)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
1
得点
16
評価数
7
平均
2.7 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

じんわり心が温かくなるオメガバースもの。

あらすじと、オメガバースものだという点に惹かれ購入。

弓月さんというと薄幸受けがスパダリに愛され幸せを手に入れる、という王道のシンデレラストーリーを多く書かれる作家さま、のイメージが個人的に強く、そのためか弓月さん×オメガバースものってすごくしっくりくる組み合わせだと常々感じていますが、今作品もそのイメージを損なうことの無いオメガバースもの、そしてストーリーでした。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。




舞台はイギリス。
倫敦に住む朔実は祖父と二人暮らしのオメガ。両親と祖母を事故で一度に亡くした朔実にとって祖父は唯一の肉親だが、その祖父が腰を痛め入院。心細く思っていたある日、屈強な男たちに誘拐紛いにとある場所へと連れていかれてしまう。

死をも覚悟した朔実だが、そこで彼を待っていたのはジュードという伯爵家の嫡男という由緒正しい出自の男性で―?

というお話。

朔実という男の子の中身。
朔実の祖父の存在と、彼の亡き両親と祖母。
そして、朔実がオメガである、ということ。

ストーリーの展開が秀逸でするんと彼のバックボーンが読み手に迫ってきます。

そんな朔実に会いたくて、自分の屋敷に連れてきたジュードという男性も。ジュードが朔実に会いたいと思っていた、その理由が、これまた素晴らしい。

オメガバースものって、「運命の番」という言葉がご都合主義的に使われるところがあって、「運命の番」だから惹かれ合い、恋に堕ち、そして子を宿し、っていう。安直な感じがするものも多く、その流れが今一つ好きになれないんです。

実は今作品も、「運命の番」なんですよ。彼らは。
なので、あっという間に恋に堕ちるし、身体の関係もあっさりと持ってしまう。

が、そこを取り巻くバックボーンが読みごたえがあり、グイグイと引き込まれます。根底にあるのはオメガに対する根深い差別意識で、それによって朔実がどれほどつらい思いをしてきたのか。がっつりと描かれているわけではないのですが、でも、朔実の孤独や苦しみがじんわりと読者に流れ込んでくる。

なので、そんな朔実をまるっと包み込むように愛するジュードの溺愛ぶりに、朔実と共に読者もまた、心が癒されてくのです。

今作品はオメガに対する偏見がある世界、が舞台ではあるのですが、登場人物たちは皆さん等しく優しく温かい人ばかり。なので、痛い展開になることはほぼほぼなく終始優しいお話に仕上がっています。反対に言ってしまうとオメガバースものらしい痛さとか切なさはない作品なので、そういったものが読みたいときは肩透かしを食らうかもしれません。

で。

今作品のキーパーソンが、一人います。
それが誰なのか、ぜひとも手に取って確認していただきたいのですが、彼がまあ、とにかく、めっちゃ、

カッコいいです。

惚れてしまいそうです。
「彼」なくして、今作品は成り立ちません。

「彼」の過去のお話もぜひ読んでみたい。
ということで、弓月先生、スピンオフをぜひとも書いてくだされ―!
と絶賛切望中であります。

5

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