てんてん
本品は『孤独な鬼王と千年の秘め恋』のコミコミ特典小冊子です。
本編幕間、明満視点で雪雅が眠りについた5年後のお話です。
その日、明満は5年ぶりに静山を訪れます。
牛車の先に見える小高い山は5年前と同じ姿でしたが
麓へと続く林が伐採された事で遠目からも静山の全貌を
はっきりと見て取れるようになっていました。
しかし静山の手前に鳥居が立てられている事に気づき、
眉根を寄せます。
静山に関する事柄は全て明満が
管理を任されてはいるものの他にも仕事を抱えている為
実際の管理は里の術者に命じていたのですが
報告も許可もなく勝手な事をされたと感じたのです。
ほどなく牛車が停まり、従者が御簾を持ちあげると
朱塗りの鳥居の前で自分を出迎える2人の術者の内
細身の男と目が合います。
明満はどうして鳥居を作る事を報告しなかったのかと
苛立ちもあらわに問い詰めますが
術者頭である連翹は飄々と
「無駄と診断しました」と言い出すのです。
都まで書簡を送っても返事が返る頃には
冬となり雪が降って鳥居を作るどころではなくなりますし
どうせ明満様は許可なさるんですから
反省した様子の無い連翹に
明満はさらに不快感を強めていると・・・
A5判カラー表紙(カバー同イラスト)2段組12頁の
大ボリュームで明満が静山を訪れるお話です♪
控えていたもう1人の男・弦空が
彼の口を押さえて非礼を詫びながら
連翹を睨みつけた事で明満に頭を下げる事となり
明満もやっと鳥居を建設した理由を知らられます。
静山に張った結界で妖は封じられたものの
術者がやむを得ず結界内に入る事があり
この鳥居から入ることで敵意がないと示すために
建てたと言うのです。
しかもその先に続くように作られた石段は
鳥居の意図を組みとった妖達によるものだと言われ
石段の先に目を凝らした明満は先へは進まず
視察はこれで終えて戻る事にします。
そして
もう二度とこの地には立ち寄らぬから
これから先はそなたたちの一存で
静山の守りを固めるように
と2人に告げるのです。
弦空は戸惑ったような声を上げますが
連翹は弦空を制して居住まいを正し
その場にて平伏する
・・・という明満視点での静山のその後のお話でした。
本編では凜があっという間に千年後に帰ってしまうので
あっという間に過ぎてしまった間の出来事になりますが
明満のやるせなさと共に決意が読めるお話でした。
明満は本編では敵役でしたので
こういうお話が読めると言うのは番外編ならではで
とても良かったです。