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表題作孤独な鬼王と千年の秘め恋

雪雅,帝が討伐を望む妖たちの頭領の鬼
蒔田凛,現代で神社の息子として育つ呪術者

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

神社の息子である蒔田凛は、幼い頃から飼い猫の伊織と会話ができ、あやかしが見える特異体質だった。18歳の誕生日、凛は伊織とともに千年前の世界に飛ばされてしまう。実は凛は赤子の時に現世に送られた呪術者で、あやかしの長として恐れられている鬼を封印できる唯一の存在らしい。式神の伊織と呪術者としての修行を始めた凛は、ある日、雪雅と名乗る不思議な男性と出会う。雪雅は白髪赤眼の奇異な見目を隠すために面を被っているらしいが、心優しく親切で、突如見知らぬ地に運ばれた凛の心を癒やしてくれた。次第に淡い恋心を抱く凛だが、実は雪雅はあやかしたちの頭領の鬼で、凛が封印しなければならない相手で…?

作品情報

作品名
孤独な鬼王と千年の秘め恋
著者
月森あき 
イラスト
れの子 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
電子発売日
ISBN
9784344847941
3.8

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萌々

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(2)

中立

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趣味じゃない

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レビュー数
1
得点
23
評価数
6
平均
3.8 / 5
神率
16.7%

レビュー投稿数1

想いは時を超えて

今回は妖を束ねる最後の鬼と鬼を倒す力を持つ呪術者のお話です。

鬼との因縁から時を超えた受様が鬼である攻様と幸せを掴むまで。

蒔田家が代々宮司を務める静山神社は
平安時代から続く神社です。

当時、この辺り一帯には
陣地を超えた不可思議な力をもつ妖がはびこり
被害を受けた人々が地からある術者たちを集結させ
妖を封じるために静山神社を建立したと伝わります。

現在ではその伝承を信じる者はほとんどいませんが
古い歴史を持つ地域に根付いた神社として
様々な催事を執り行って人々を守り、
人々に支えられて存続してきました。

実は受様は境内に置き去りにされた子供で
両親は受様が高校受験を控えた年に
自由に将来を選べるようにと養子だと告げられますが
父や祖先と同じ道を選ぶのです。

そんな受様ですがすこし変わった力を持っています。
1つは赤ん坊の受様に寄り添っていて飼い猫となった
黒猫と人間の言葉で話ができる事で
もう1つは黒い影が見える事です。

黒猫の言葉は受様にしか聞こえず、
黒い影を妖だと言う黒猫の言葉を信じてはいますが
なぜ自分だけに声が聞こえ、影が見えるのか不思議ですが、
実害もないからと深く考えませんでした。

ところが受様の18の誕生日が迫ったある日の夜、
突然黒い影に追いかけられる事となります。

数えて20ほどの影に追いかけられた受様は
黒猫に先導されながら静山に分け入り
深い池に吸い込まれるように落ちてしまうのです!!

次に受様が目覚めたのは
一面の青空と小鳥の囀りの聞こえる山里で
受様を助けた青年は受様の兄だと名乗り
黒猫と平然と言葉を交わすのです。

なんと黒猫は受様の式神で妖を討つ力を持ち
その式神を仕えている受様は鬼を討つことのできる
力のある術者だと言うのです。

なんでも受様の父は力ある術者で
生まれて間もない頃に起こった妖たちとの戦いから
千年後の縁者のいる安全な場所へと逃したのだと
教えられます。

それは千年後に伝わる静山の伝承にも似ていて
受様は兄だと言う術者の言葉を信じるしかありません。

果たして受様に本当にそんな力があるのか!?
静山に住む鬼を討つことができるのか!?

人と妖という相容れない種族の対立を
妖の棟梁である攻様と呪術者である受様との出会いで描く
和風ファンタジーになります♪

受様は兄と式神である黒猫の元で修行に励みますが
迷い込んだ静山で少女の妖を助けた事から
山に住むという白髪に赤い瞳を持つ青年に出合います。
この青年こそが攻様になります♪

実は攻様は妖の統領で最後の鬼なのですが
受様をそれを知らずに接し、妖を滅するのではなく、
共存する事ができるのでは考え始めます。

そして攻様もまた自分を怖がらない受様を
大切な相手と思い始めていくのですが
新しくやってきた都の神祗官は
妖と鬼の殲滅強引なほどに推し進めるのです。

鬼を滅するためのある特定の条件、
18年前に妖達が人里を襲った真相、
神祗官の謎めいた言動に秘められた過去等

細やかな伏線が丁寧に張られていて
受様が攻様との恋を実らせるまで
ハラハラとワクワクの連続で
とても面白かったです (^O^)/

受様は過去から千年後にやってきますが
千年前に戻って体験した出来事が
受様の飛ばされた現代へとつながる
お仕立てなのもお見事です。

そして受様や攻様だけでなく
受様の父親や兄、攻様の弟や妖達もまた
大切な人達の幸せを未来に託したのだろう
事が感じられて胸温でした。

読了後に再び巻頭の部分を読みと
コレはアレだったのね♪とふふっとする部分があり
更に楽しまさせて頂きました (^-^)v

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