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砂漠の王は精霊使いに悠久の愛を誓う

sabaku no ou wa seireitsukai ni yukyu no ai wo chikau

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表題作砂漠の王は精霊使いに悠久の愛を誓う

サラム、アガスティア王国第一王子、20~
リーファ、水の精霊使い、18~

その他の収録作品

  • あとがき

あらすじ

水の精霊使いのリーファは王の命で、砂漠の国・アガスティア王国の水不足を救うため海を渡った。しかし、旅の途中で嵐に遭い海に投げ出されてしまう。その時の影響か、アガスティア王国に流れ着いたリーファの身体は八歳時の大きさに縮んでしまっていた。そんなリーファを助けてくれたのが褐色肌の青年・サラムで、実は彼はアガスティア王国の第一王子だった。リーファは八歳の姿のままサラムと共に砂に埋もれた国に潤いをもたらすため、水源を探す日々を送る。苦楽を共にするサラムとの間に友情が芽生えはじめた時、突如リーファの身体が十八歳の元の大きさに。その姿をサラムに見られてしまい、さらには想いを寄せられてしまう。ふたたび子供に戻ってしまったが、サラムは子供のリーファと大人のリーファが同一人物だとは気づかずに――?

作品情報

作品名
砂漠の王は精霊使いに悠久の愛を誓う
著者
月森あき 
イラスト
小禄 
媒体
小説
出版社
幻冬舎コミックス
レーベル
リンクスロマンス
発売日
ISBN
9784344845978
3.5

(12)

(0)

萌々

(7)

(4)

中立

(1)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
1
得点
41
評価数
12
平均
3.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数1

「悠久の愛」のとおりに、とても壮大な物語でした

水不足により滅亡の危機にある砂漠の王国ー。
国の第一王子と水の精霊使いが共に力を合わせ、そんな砂漠の国を緑の大地へと変えてゆく物語です。

もうこれ、ストーリーとしてすごく読み応えがあって面白かったんですよね。
18才でありながら、何故か幼い子供の姿になってしまった主人公の謎しかり、力を合わせての国の復興しかり。
こう、同志である男達の熱い絆や忠誠心だったり、逆境からの勝利的なものがお好きな方には間違いないと思うんですけど。

ついでに、オチがめちゃくちゃ感動的でして。
いやもう、ようやく結ばれる事が出来た二人に、胸が熱くなりましたよ。
攻めの十年を思うと、涙が出ちゃいそうですよ。

まさに王道、そして壮大な物語だと思います。

ザックリした内容です。
精霊に守られた聖なる国・プレアデス王国の水の精霊使いであるリーファ。
王命により、友好国である砂漠の国・アガスティア王国の水不足を救う為、海を渡るんですね。
ところが嵐に遭い、流された先で目覚めると、何故か子供の姿に。
そこで、助けてくれたアガスティア王国の第一王子・サラムと共に、「子供の水の精霊使い」として水源を探す事に。
そんな中、何故か新月の晩になると、本来の18才の姿に戻るリーファ。
更に、子供のリーファとは別人として、サラムと交流を持つ事になりー・・・と言うものです。

こちら、物語の主軸となるのが、砂漠を緑にと言う壮大なプロジェクトなんですよね。
並行して、主人公達の「別人だと勘違い」系の焦れったいラブが絡む。

で、このプロジェクト部分がですね、とにかく面白くて。
サラムですが、第一王子でありながら側室腹と言う事で、冷遇されてるんですね。
そんなワケで、彼が水不足解消の為の意見を出しても、誰からも支持されずに実行する事が出来ない。
そんな中、サラムの元にやって来たのが水の精霊使いである主人公。

リーファなんですけど、精霊使いとして人々の幸せを第一に考えるように育てられと、とても真っ直ぐだし前向きなんですよ。
勿論、生来の性格もあるんでしょうけど。
会議で水場の整備を脚下されると、じゃあ自分達で掘ればいいと言い出す。
で、精霊使いの力を使って水源を見つけ、スコップを手に自身で掘り始める。
これ、面白いのがですね、そんな彼の行動が第一歩となり、次第に味方が増えと、人々の気持ちを動かして行く事でして。

実は最近気付いたんですけど、ノブレスオブリージュの精神的なものが、ものすごく好きなんですよね。
と言うか、その精神の元、真っ直ぐ国や国民の為に尽くす男が好き。
サラムなんですけど、まさにそれを体現してる男でして。
冷遇されつつも、ひたすら国民の事を考え、予算が無ければ私財をなげうってでも水場整備の為に動く。
で、彼のそんな誠実で地道な活動により、いつしか同志と言う名の味方が増え、やがて大きな成果を生む。
これが鮮やかに書かれていて、ただただ読んでいて胸が熱くなると言うか。
感動しちゃうと言うか。
いや、しつこいですけど、同志達の熱い絆や主従の強い忠誠心的なものに弱いのです。

で、ここに並行して語られる、二人のラブ部分。
リーファが子供の姿となった理由ですが、終盤で驚きのオチが語られます。
とりあえずはそれに絡んで、新月の晩前後のみ、元の18才の姿に戻るリーファ。
そのリーファとサラムは交流を持つようになりますが、別人だと勘違いしたままで、大人のリーファに思いを寄せるようになるサラム。
精霊使いの掟により、同一人物だとは言えないリーファ。

この流れだとギャグになりそうなものですが、今回は切なキュンの方でして。
ずっと共に居る自分よりも、ほんの数回会っただけの青年に思いを馳せるサラムに、悲しみを覚えるリーファ。
それにより、初めて自分の気持ちを自覚する。
しかし、他国の王となるサラムと、国に尽くさなければならない精霊使いである自分は、決して結ばれる事が出来ない。
こう、自身の背負っているものや責任、そして恋心の間で思い悩むリーファ。
このへんの苦しい心情と言うのが丁寧に書かれていて、読者も切なくて仕方ないんですよね。

で、国は良い方向に動きだし、自分の役割が終わった事を悟るリーファ。
別れを決意しますが、そんな折、何者かに拉致されて・・・と言う流れ。

ここからハラハラドキドキの展開であり、更に驚きのオチが語られ
更に更にとても感動的なラストへと続きます。
いや、タイトルにある「悠久の愛」の意味がここで分かるんですけど、胸がいっぱいになっちゃうんですよ。
こういうさあ、相手の事を思いながら、ひたすら待ち続ける的なエピソードに弱いんですよ。
緑の大地となった所を見せなくてはと言う使命だけを支えに、頑張ってきたんでしょうね。
サラムの十年を思うと、本当に泣けてきてしまう。

若干、リーファが本当の事を告白しようとする度に邪魔が入るのは不自然な気がしますし、精霊使いとしての能力が、その場その場で差があって矛盾してるような気もするんですけど。
ここで、精霊使いとして水を操れば良くね?的に。

とは言え、とにかく面白くて感動的で壮大さを感じさせてくれる、素敵な作品でした。
ちなみに、サラムが青年の方のリーファに思いを寄せるエピソード。
ネタバレで萌えまくりました。
リーファが思ってるよりずっと、サラムは彼の事を深く理解してるんですよー!

3

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