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表題作抱きしめたまま、ここにいて。

五十嵐直,33歳,医者
矢吹雨音,20歳,お弁当屋

その他の収録作品

  • このままずっと、そばにいて。
  • あとがき

あらすじ

たったひとりの姉との暮らしを守る為に交わした契約―それは愛人になるということ。
小さなお弁当屋で働く雨音は、とある誤解がきっかけで、硬質な雰囲気を漂わせる医師・五十嵐に買われる。
性的な快感など知らない身体は、優しいけれど強引な五十嵐の愛撫に、ただ溺れるしかなかった。
自分は愛人だと分かっていたのに、包み込むような五十嵐の優しさに惹かれ始めた雨音は、彼の薬指に光る指輪の存在に苦しめられるようになって…。

作品情報

作品名
抱きしめたまま、ここにいて。
著者
真崎ひかる 
イラスト
麻生海 
媒体
小説
出版社
笠倉出版社
レーベル
クロスノベルス
発売日
ISBN
9784773003338
2.5

(13)

(0)

萌々

(4)

(4)

中立

(0)

趣味じゃない

(5)

レビュー数
5
得点
28
評価数
13
平均
2.5 / 5
神率
0%

レビュー投稿数5

医師×弁当屋

この作者様の作品は初読みです。表題作と続編SSが収録されています。両方とも雨音の目線で進みます。

「抱きしめたまま、ここにいて。」
両親が事故死した後、残された弁当屋を姉と続けていた雨音(受け)であったが、ある日姉の妊娠が発覚する。未婚の母を決意する姉に、雨音は出産費用を稼ごうとバーでバイトを始める。そこで男に絡まれていたのを、弁当屋の客・五十嵐(攻め)に助けてもらい…。

「このままずっと、そばにいて。」
17ページ。姉が駆け落ちしてから半年後、姉から手紙が届きます。

雨音は自分のせいではない不運が続く境遇なのですが、後ろ向きな性格でないので好感が持てます。20歳という年齢の割りに、大人びていて落ち着きがあります。

愛人契約(買う)から恋人になるという、まとめるとシンプルでよくある展開なのですが、五十嵐が雨音を大切で愛おしく扱っているのが透けて感じられ、非常に萌えました。「愛人関係=身体だけの関係」という雰囲気は最初からありません。雨音が惹かれていく過程も自然で良かったと思います。エロ場面で、互いに相手の職業を思い手を汚したくないと感じているのも、素敵でした…!

作者様はあとがきで「精神がお子様」と書かれていた五十嵐ですが、自分が読んだ限りでは、不器用だけど可愛い大人でお子様っぽくはなかったです。「雨音は青山とくっついた方が幸せかも」ともありましたが、私は完璧に甘えさせてくれそうな青山(28歳)より、世話を焼かせてくれる五十嵐(33歳)の方が、雨音の相手には良いと思いました。

雨音を残して駆け落ちする姉を酷いと思う一方で、好きな人と一緒にいたいからという気持ちにも共感できて非難しきれません。雨音に心を寄せる青山も良い男ですし、高坂夫人が雨音を責めるのも当然ですので、悪い人はいない作品と言って良いです。

シリアスっぽいですが重くはありません。落ち着いた年上攻め、一生懸命で可愛い年下受けがお好きな方にお勧めします。
麻生海さんのイラストが内容とぴったりでした。私は好きな作品です。

3

我慢強い2人

攻・五十嵐直(33) 医者
受・矢吹雨音(20) お弁当屋

両親を交通事故で亡くした矢吹姉弟は、2人でお弁当屋を切り盛りしています。
雨の日にスリップした両親の車は、並走していたバイクを巻き込み運転していた高坂を死亡させてしまっていました。
以来、月命日には姉弟で高坂の仏壇に手を合わせる日々が3年続いています。

お弁当屋には近くの病院から看護士や医師、患者などが多くやってきます。
その中に五十嵐も居ました。
無表情で口数の少ない五十嵐ですが、必ず卵の多く入った弁当を注文。
最初はロボットのような五十嵐を少し怖いイメージで見ていましたが、注文のパターンを知ってからは親しみがわくように。

ある日店の中で姉が倒れ、店にいた五十嵐に連れられて病院へ。
姉が妊娠していることを知ります。
恋人が居たことも知らなかった雨音は驚きますが、一人で生んで育てると言う姉の力になろうと決意します。

つわりで苦しむ姉の分も働こうとバーでのアルバイトを始め、バイト先で男に誘われ「100万円払う」と言われて心が揺らぎます。
そこに居合わせた五十嵐に止められ「自分を切り売りしようと思うなら、私が買いましょう」と愛人契約を持ちかけられます。

無口で無愛想な五十嵐のことを好きだった雨音は、彼から体を売ることができる人間だと思われていることに傷つきます。

お金で買われているはずなのに、五十嵐はとても優しく、セックスも最後までしない。
会って話をしただけなのに「時間を拘束したのだから」と金を渡す五十嵐。
自分から五十嵐に触れようとすると、やんわりと遮られる。
好きな人にお金で買われている辛さ。
代償に見合う行為を求めると拒絶される辛さ。

そして姉が雨音に黙って駆け落ちしてしまいます。
姉のためにと頑張っていた雨音は、緊張の糸が切れてしまいます。
慰めようとする五十嵐の優しさに腹が立ち「メチャクチャにして」と迫ります。
これまで据え膳をガマンしてきた五十嵐ですがこう言われるともう無理です(笑)。
しかし五十嵐が既婚者だと思っている雨音は後悔し、愛人契約をやめたい、と。

高坂の妻に怒鳴り込まれなじられて、姉の駆け落ち相手が高坂の息子だと知ります。
姉にも見捨てられ、五十嵐とも縁を切った(つもりの)雨音は精神的にボロボロ。

雨音が健気すぎて痛々しいです。
でもそこがキュンキュンくる(笑)。
無口で無愛想な五十嵐ですが、ちゃんと追っかけてきてかっさらってくれました。

0

いい人×いい子

姉と二人、交通事故で亡くなった両親の遺したお弁当屋を切り盛りする雨音(受け)。
そのお店のすぐ傍の病院に勤務する医師、いつもお弁当を買いに来る五十嵐(攻め)。

忙しいながらも姉弟で助け合い充実した生活を送っていた受けですが、突然お姉さんの妊娠が発覚。お姉さんを支える為始めたバイト先でのちょっとした事件から、なんと攻めと愛人(というか援助交際ですね)のような関係を結ぶことに。

受けがすごく頑張り屋さんのいい子です。「そりゃないよ姉ちゃん・・」という過酷な展開にもギリギリまで一人で頑張ってます。辛いことを一人で抱え込んでしまう性格なので、え?そんなこと?っていう理由の、攻めの薬指の指輪のことも聞けずに話がややこしくなってしまうんですが・・
攻めも無愛想ではありますが心の優しい男です。
愛人、という言葉から連想するような無理矢理感とか激しさとかは全然ありません。好きな子の力になりたい、できればもちろんHなこともしたいみたいな感じ(笑)
しかし私の苦手な穏やか敬語攻めなんだよなぁ(^_^;)

当て馬役の青山(受けのお弁当屋の隣の洋菓子店の責任者)も、好青年でした。

事故に関係ない子供に当たる高坂夫人と、お姉さん&相手の男はちょっとどうかなと思いましたけどね~。受けが明るく前向きなので決して読後感の悪いお話ではないです。

0

かわいそうな受け様

受け様は姉と2人で、亡くなった両親の残したお弁当屋さんを引き継ぎ働いています
大学も辞めて専門学校に通いながら、姉の役に立とうと頑張っている健気な子です
両親は事故で亡くなったのですが、その時に人を巻き込んでいて
月命日にはその方の家に行って手を合わせているという
かなりハードな苦労をしている受け様

最初、読んでいるとなんともまあ不幸の連続すぎて
攻め様からは身を売っていると勘違いされたり、
姉の為にと頑張ってましたが、姉も男と逃げ出したりと・・・

唯一、攻め様となんとかくっつけたのが救いだったのは事実ですw
攻め様は口数少ないですが、包容力がある人なので受け様・・・救われたかな

0

背景が重くて気が滅入る。

印象をひとことで言えば『陰気な作品だなあ・・・』です。

キャラクターやストーリーそのものもあまり好みじゃないんですが、それ以前に雨音(受)の背負ったものが重苦し過ぎてどうも・・・

切なさや健気の演出なら、それを楽しめる範囲で留めておいて欲しいですね。

ハッキリ言わせてもらえば、ラブストーリーに読んで気分が悪くなるような要素はいらないんです。それで肝心のラブを楽しめないのなら、そんなものは邪魔でしかないんですよ。←これが『すべてを吹き飛ばす勢いでラブがイイ・好き』ならまだしも、ラブもいまひとつだからどうしようもなかった。

たとえば(あくまでも例です。こちらは姉がいますし)、天涯孤独で苦労してるというのは一向に構わないんですが、問題はその背景・理由なんです。

雨音の両親は事故死したんですが、その際に無関係の他人を巻き込んで死なせてしまったわけです。

これが被害者側なら、明らかに辻褄が合わない状況でなければ(被害者側がなぜか責任負わされてるとか。実際他の作家さんの作品でそういうのがあった)、どんなに悲惨な境遇だとしても背景についてはたいして気にならなかったんじゃないかと思います。

でも、加害者側ってどうにも救いようがないので(あっさりどうにかなったら逆に興醒めだし)、何かと重苦しくて暗過ぎてラブに集中できなかったんです。
だったら、個人的にはラブストーリーを読む意味ないんですよね。

ラブ面のストーリーとしては、一応『愛人契約』です。
しかし、五十嵐(攻)は金は払うけど最後まではしない。どころか一方的に雨音を触ってイカせるだけ。

とにかく、雨音の事情の方に重点を置き過ぎで、五十嵐の存在感が薄くてどうしようかと思いましたよ。
五十嵐がどういうキャラクターなのかもよくわからないままどんどんページが進んで行ってしまう。←ラブ面の進展はないに等しいんだけど。

五十嵐の魅力が見えなくて、これならなんとも中途半端な当て馬・青山の方がいいんじゃないかと私も思った(あとがきでも書かれてたので)。

それにしても、姉のあまりの身勝手さには呆れ果てました。
作中で雨音も言っていましたが、発作的・衝動的な行動じゃないだけタチ悪い。これがいちばん気分悪かったな。

それに、被害者側の夫人がまるで悪者扱いでしたが、特に姉の駆け落ちのあとの殴り込み(?)は、心情としてはむしろ当然であってあれをさらっと流す方があり得ないと思ったよ(あの行為が正しいとは言えないが)。

イヤもう、まるで姉が理不尽に酷い仕打ちを受けて耐える可哀想なヒロイン(脇に過ぎないんだけど)・夫人はそれを苛める悪役と言わんばかりのポジショニングに唖然。

そもそも、加害者の子どもに月命日に毎回来られて嬉しいとでも思ってんのかなあ。墓参りならともかく家まで。
『謝罪したい(子どもが謝罪する必要があるかどうかはともかく)』気持ちとはまた別物だと思うんですけどね~。それこそ独善的で押しつけがましいとしか感じませんでした。

もちろん、延々と姉や雨音が贖罪だけ考えてる立場にいるのがいいと言ってるわけじゃなく、そういうのも含めてやっぱり『加害者側』は無理だってことです。

・・・なんというか、いくら何でも本筋以外に詰め込み過ぎて、横に逸れ過ぎじゃないですか?メインCPのラブはいったいどこ行っちゃったの?

ラブ以外の余計なものが多過ぎて、ラブを探しながら読むのに疲れるというか途中でイヤになりました。頑張って読んだけど。

なんとも不愉快な作品でした。

2

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