愛を知らない宵闇王×国の為に差し出された皇子――憎き仇敵に与えられる、毒のような偏愛。

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表題作宵闇極夜

宵闇王、極夜の国の国王
煌、オアシスの国の第一皇子

その他の収録作品

  • その後の話(描き下ろし)

あらすじ

残忍な国だと噂される極夜の国を治める王・宵闇王は、妾の子であるが故に自国の家臣にすら「お飾りの王」「零番」と呼ばれ、厄介者扱いされている。
唯一の心の支えは、幼い頃に出会ったオアシスの国の皇子・煌。
彼を手に入れるため、戦を仕掛け籠の檻に閉じこめたが、煌は宵闇王のことを覚えておらず憎き仇敵として反抗する。まともな名もなく、愛されたこともない宵闇王は愛を伝える術を知らず、煌の家族を盾に脅し夜毎煌を抱くが、想いが届くはずもなく空しく時が過ぎるのみ――
そうしているうちに、自らを暗殺する噂を耳にしてしまう。このままでは皇子の身も危ない。愛ゆえに、鳥籠から解放しようと決意するが―――!?

作品情報

作品名
宵闇極夜
著者
恋緒ジノ 
媒体
漫画(コミック)
出版社
海王社
レーベル
&.Emo comics
発売日
電子発売日
ISBN
9784796414418
3.8

(43)

(16)

萌々

(13)

(9)

中立

(2)

趣味じゃない

(3)

レビュー数
6
得点
161
評価数
43
平均
3.8 / 5
神率
37.2%

レビュー投稿数6

愛を知らない人

カバーデザインと帯の配色のおしゃれさ、褐色肌の皇子に惹かれて。
鳥籠や異国風の建築物の装飾など、丸みのあるもの…曲線の描き方と使い方が上手く、センスの良い画面構成が魅力的でした。

それはここではないどこか。
囚われの麗しき褐色の皇子と、にこやかな笑みを浮かべながら皇子を凌辱し、大切に閉じ込めて歪に愛でる宵闇の王。
架空の国を舞台に描かれる、最悪から始まる物語です。

鳥籠に異国の王子を監禁し凌辱する。
宵闇王の第一印象は決して良いものとは言えません。
言っていることもやっていることも最低でしょう。
しかしながら、かといって根っからの悪い人物にも見えないんですね。
少しずつ彼らの行く末を追っていくと、宵闇王がなかなかに拗らせた想いを抱えた、なんともまあ一途な上に健気で不器用すぎる男だということが判明していくではないですか。
初恋を忘れられず、愛を知らないまま大人になってしまった宵闇王の歪な愛し方にもどかしくなります。
不器用な攻めの頭を撫でたくなってしまう。
そして、そんな王に絆されながらも、自身を見失わずただ真っ直ぐに向き合う煌の心の広さがすごい。
外見は非常にかわいらしい人なのだけれど、対話をして相手を理解しようとする寛大さに、これは男前受けだなと。

酷い状況下から始まる物語だったはずが、気が付けばそうではないものに自然と変化していく面白さがありました。
極夜国の内情が想像よりも厳しいものだったのも、宵闇王という人に深みを持たせてくれるスパイスとなっていて、王が煌に執着をする理由についても納得がいく良い設定だったと思います。
彼に新しい世界を見せてくれるのはいつも煌だったんだなあ。
暗く狭いところから抜けるような青空へと羽ばたけるような結びも好みです。
なんだか終始攻めに肩入れをして読んでしまいました。

0

孤独な0番

初読み作家。
著者は、画があまりうまくない、だけど物語の構成が上手。
シリアスな展開を、崩れたギャグ描写で軽くしている。

宵闇王の子、ゼロ番は、身分の低い妾腹の子なので、命名もされず0番と呼ばれている。
シロワニのように、胎内にいる間に共食いの淘汰を受け、残った強いものだけを出産するように、宵闇国は、後継者動詞の暗殺戦を生き逃れた者が継ぐ。

キラ王子と幼い頃に遭った0番にとって、キラ王子は忘れられない初恋の人。

宵闇国に捕われて、宵闇王の妃の暗殺を何度も受ける二人。
ついに、事件に便乗して国外に夫々逃れて、再会。

あっさりした結末だけど、続編が出たら読みたい。
---

★鮫の子宮内共食い:生まれてくるのは二匹だけ
https://bit.ly/3AY7fyP

5

宵闇は明けるか。沈む陽か。

囚われの皇子様が、スパダリ王の愛を知る、という様な。甘い甘いお話かと思いきや。
かつて零番と呼ばれた王、宵闇王は 愛を知らない。その出自も怪しい。前王が戯れに奴隷に生ませた子供であったと言う。後継争いに塗れて亡くなった兄王子たちの代わりに即位しただけなのだ。
もう設定からして哀しい。そんな王は、幼ない煌皇子との想い出だけを頼りに煌皇子の母国と交渉する。それは建前。それを盾に、煌皇子を捕らえ、凌辱し、軟禁する。抵抗する煌皇子を押さえ付けながら「愛している。」とほざくのだ。これが愛情表現だとしても。無茶苦茶だ。煌皇子は、わけも分からず捕らえられ、凌辱される事に怯えながら。それでも気丈に振る舞い、恥辱に耐える。そんな日々の中でも。気高く優しい皇子は、傍若無人な宵闇王に絆されてしまうのだ。
子供の頃から毒を盛られる事の多かった宵闇王は、兄王子の毒味役をしていて。毒に耐性は付いたものの、その命は軽んじられて来た。今も。大臣の娘である妃に子が出来たからと、用済みとばかりにその命を狙われている。宵闇王に命の安寧は無いのだ。

物語は些か唐突に局面を迎え。
煌皇子は逃走し、母国に帰る。宵闇王は王座を捨てて、やはり逃走する。
王でも無く、皇子でも無くなった2人は自由になるのだ。そこで初めて、互いの想いを重ね合う。
かつて、零番と呼ばれた哀しき王は、煌皇子に「叶」という美しい名前を戴く。彼等の夢は叶ったのだ。自由であること。この広い世界を、船で旅に出ること。
縛り付けられた生活は息苦しかっただろう、2人の、本当の意味での自由。
もしかして、そこにロマンを感じられたら良かったのかもしれないけれど。地位も何もかも捨てて得られたという自由は、何だか物哀しい。冒頭のエチエチからはちょっと想像がつかなかったので。驚いてしまう。
読み終えて。何だかスン、としてしまった。
煌皇子の、エキゾチックな褐色肌のしなやかさと、異国情緒はあるので、それはもうちょい堪能したかったな。

9

宵闇王と煌皇子

表紙の褐色煌皇子が素敵で、褐色大好き人間としては飛びついてしまいました。

自国の街を焼き払われ宵闇王に囚われた大国の第一皇子の煌と歪んだ国に生まれた背景を持ち、大事なものも名前すらも持たない宵闇王(零番)の様々な心情が絡んでいくストーリー。
柔和ながらも強引で、はじめは腹のうちの読めない宵闇王ですが、読み進めるうちに権力を間違った方向に駆使してでもただひたすらに煌を求めることしかできなかった歪な感情が露わになってきて…。
ここは煌の立場上、煌が不憫になってしまうのだろうと思ったのですが、宵闇国の内情がとにかく酷くて、零番と呼ばれた宵闇王が不憫すぎて、それなのにあの煌を見つめる瞳に、煌へ向ける笑顔が健気ですっかり絆されてしまいました。

煌の懐の深さというか、自分に相当な事をしている宵闇王に対してもあれだけ思慮深い考え方ができてしまうまっすぐなマインドにも救われました。
口調が凛としているのにかわいくて、幼い頃は天使のよう。
そして、褐色、最高です。

三話で煌が囚われていた鳥籠のような檻の中での愛し方がわからない宵闇王と交わす行為が、抱きしめ合うふたりがせつなくもあって…。

陰と陽の対照的なふたりの不安定な恋。
流れ的にアンハッピーかとハラハラしましたが、最後は柵もなくなり極夜から解放されたふたりが新しい関係を築くエンドでホッとしました。
絵もお綺麗で、横顔が特に好きです。
これからのふたりのお話しも機会があれば是非読んでみたいです。

6

ぜひお勧めします!

恋緒ジノ先生の作品は「星降る夜は恋のつづきを」しか読んだこと無かったのですが、こちらの作品の方が素敵でとても好きだと思いました。

絵もお話も良い意味でお伽話でした。そして健気な宵闇王(零番)にとても滾りました。
ポーカーフェイスの下に隠した思惑に、とても切なくなる作品でした。

お伽話と言えばとても残酷な一面を持っていますが、この作品で残酷なのは宵闇王では無くて彼を取り巻く全てなのです。

そんな彼が唯一欲したものが煌でした。
真っ直ぐで影など知らずに生きてきた煌は、宵闇王にとっては眩しいくらいに純真なのです。

煌は忘れていましたが、2人で出掛けて初めて自分で選んだ食べ物に感激する、零番の姿がとても切ないのです。

そして宵闇王は愛されたことが無かったので、煌をどう扱って良いのか分からない所に凄く萌えました。

それにしても宵闇王を取り巻く人々が酷過ぎました。誰一人味方がいません。
特にあの女は酷かった…。

だから煌が気持ちを寄せようとした時に宵闇王は戸惑うんですよね。
そんな宵闇王を煌も憎みきれない所がとても萌えました。

2人が最後に国に縛られない身分になってたのも、凄く読後感の良い理由だったと思います。

7

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