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表題作雪原の月影 満月

ガンチェ,26歳,元王宮の下男の傭兵,エルンストの体液適合者
エルンスト・ジル・ファーソン・リンス・クルベール,60歳,メイセン領主,元皇太子

その他の収録作品

  • 上弦の月
  • 下弦の月
  • ガンチェの満月
  • エルンストの満月
  • ガンチェと光輝く庭(書き下ろし)

あらすじ

「ガンチェが側にいてくれるだけで、私は強くあれる」
少年の体のまま成長できない病におかされた元皇太子エルンストは、国内最貧の領地メイセンを救うために、知恵で奮闘する。エルンストと出会い、己の生き方の全てを変えた戦闘種族の男ガンチェは、エルンストの命を奪おうと襲ってくる敵を迎え撃つ。
強い絆で結ばれた二人。ガンチェへの想いが募るたび、エルンストの胸を締め付けるのは、自分とガンチェとの寿命の差だった…。
そんな時、隣国がメイセンに侵略を開始し…!
光あふれる未来へ――WEB発BLの伝説的傑作が完結! 書き下ろしも収録。

作品情報

作品名
雪原の月影 満月
著者
月夜 
イラスト
稲荷家房之介 
媒体
小説
出版社
リブレ
発売日
電子発売日
ISBN
9784799754627
4.8

(122)

(112)

萌々

(6)

(1)

中立

(2)

趣味じゃない

(1)

レビュー数
17
得点
589
評価数
122
平均
4.8 / 5
神率
91.8%

レビュー投稿数17

待望の「満月」!!

ようやく、ようやく、ようやく、待望の「満月」まで紙本で手に入れることができました。
前ノーベル発売から数えて4年!
本当に長かったです。
初めてwebで読んだ時の感動はいまでも忘れられません。
多くの方に、この「満月」まで手に取っていただきたいと思います。

まだ「BL」という言葉自体がなかった時代から小説&漫画を読んできました。
当時はどこか薄暗く、悲恋もののお話が多かったと記憶しています。
お話の内容も、考え込ませるようなものが多く、簡単に、気軽に読み終われるようなものではありませんでした。
その当時を知る身からすると、昨今の商業誌は物足りなく感じます。
簡単に恋をして、簡単に体を重ねる。
問題が起きたとしてもすぐに解決、あまりに軽すぎる。

空き時間にさっと読んで、ぱっと捨てる、そんな付き合い方になっていました。
作り込まれたお話というのは商業誌より、webの方が多いのかもしれません。

そんな軽い商業誌に飽きた方には特に、この本を読んでいただきたいと思います。
長く、作り込まれたお話は、頭を使わずに読み終えることはできません。
貴方に対する挑戦だと捉え、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?

そして、最後の「満月」で泣かずにいられるか、試してみるのも楽しいと思います。
お涙頂戴ものではありません。
泣かせようと言葉を重ねてもいません。
極力削られたと思われる言葉、それにも関わらず情景が浮かんできます。
彼らが出会って、困難を乗り越え、時に笑い、時に戦い、そうして「満月」を迎えた。
特に「ガンチェの満月」ではまるで、登場人物の一人になったかのような心境になります。
うん、うん、いろいろあったよね……そう思いながら、いつも読み終えています。
そして、自然と涙が零れているのです。

対して「エルンストの満月」では充足感があります。
そのため、読後感は満たされたものしかありません。

最近のお話に物足りなさを感じている方、考えることをしたい方、そして、感動を求めている方、どうぞ、一度読んでみてください。

上巻の帯に書かれた言葉「唯一無二の伝説的傑作」この言葉は正しく、このお話にこそ相応しいものです。

35

堂々、完結。

『雪原の月影 三日月』の続編。
続きものなので前作未読だと理解できません。未読の方はそちらから読まれることをお勧めします。

前作を読み終えて、続きが気になって気になって今作品の発売を心待ちにしていました。稲荷家さんの描かれた表紙も素晴らしく、手に取った瞬間からテンションが上がりっぱなし。その高揚とした気持ちのまま、いそいそと読み始めました。

ネタバレ含んでいます。ご注意ください。







年を取っても少年のまま成長することのない奇病・クルベール病。
この病に侵されてしまったがゆえに皇太子という身分をはく奪され、辺境の地、メイセンの領主となったエルンスト。

そしてそのエルンストに恋焦がれ、彼を追いかけ彼のためにすべてを投げ打ち尽くすガンチェ。

この二人の恋と、エルンストがメイセンを守るための奮闘を描いた今作品。前巻でエルンストがクルベール病に犯された経緯や、メイセンの復興のために奮闘する彼ら、の描写が描かれていましたが、下巻に入りメインとなって描かれていくのはメイセンの繁栄のためにエルンストが策を練るシーン。

BLにあるまじき、というとちょっと語弊があるかな?
けれど、恋愛を軸にせずに紡がれていくストーリーは一般的なBL作品とは一線を画す作品かと思われます。

けれどBL要素がないかと言われればそれは否。
エルンストのためなら身体を張り彼を守るガンチェと、ガンチェを心の底から信頼し愛するエルンストの二人の掛け合いがきちんと描かれているから。頭脳はエルンスト、それを実行するのがガンチェ、といった構図。この二人のやり取りはひたすら甘く、優しくエチエチです。濡れ場はがっつり描かれているわけではないのですが、いかんせん回数が多い。エロい、というよりも二人の愛情の確認、といった体を成しているのでそれもまた良い。

エルンストがメイセンのために吹っ掛ける駆け引きの数々がまた良い。男気に溢れていてカッコ良いのです。とっても。そこに彼の私情は一切入っておらずただひたすらにメイセンのため。だからこそ、彼の有能な部下たちがきちんと彼についていく、その流れが痛快です。有能なトップでありながら、ガンチェのことになると途端にアホな子になる(褒めてます)エルンストが可愛い!

今巻に入り新しい仲間たちが加わりますが、また彼らが良いの。味がある。

ガンチェ×エルンストの甘々なやり取り、彼らの良き仲間たち、メイセンが少しずつ栄えていく様。良い。めっちゃ良い。読んでいて気持ちいい。

と思いきや。

もう最後の最後に涙が止まらなかった…。
えー、そう来る?

でもこの結末がまた良い…。
とんでもなく良い…。
もしかしたら読み手によっては地雷かもしれません。最後まで二人の優しく温かな描写で終わって欲しい方にはちょっぴり注意が必要かもです。

でも、この終わり方が個人的にドツボでしたね。
優しいだけではなく、人の本質を描き切った神作品。そんな風に感じました。

描き下ろしは「ガンチェと光り輝く庭」。
彼が一途に、ひたむきにエルンストを想い続けてきたさまが描かれていました。

上下巻の2冊。
かなりの分量のある作品です。その厚さに見合った内容が盛り込まれています。でも一気に読んじゃう。読み始めたらページを捲る手が止められない。素晴らしい作家さまと作品の出会いに感謝。

次回作も楽しみに待っていようと思います。

27

涙なしには…

満月。
何度泣いたかわかりません。
二人の最期の姿は、こんなにも愛に包まれていたかと…
種族としての寿命が二人を裂くことになりましたが、
どのように生きたのか、また二人が成し得たことが尊く、
死別という辛い辛い時間を、こんなに温かく書いてくださった
作者様に手を合わせたくなるような気持ちになりました。
表紙のガンチェの姿…とても素敵でうっとりなのですが
その赤い鎧兜見る度に涙がこみ上げます。


書籍化にあたり、私の愛するサブキャラたちのことは
あまり多く描かれませんでしたが、作品に出てくるキャラそれぞれに
素敵な人生があり、またメイセンに生きる人たちがどう生きたのか
エルンスト様が思い巡らせたことがどう結実したのか
本作ではそれが描かれていて、領国の成長譚としても素晴らしいです。

二人の関係がファンタジーの世界の中とはいえ、愛おしくて愛おしくて…
ゆっくりとじっくりと読んで、何度も読み直したくなる作品でした。


25

満足感が半端ない

長さを感じない位に面白く読み応えがありました
人物設定も興味深く人種だけでなく種別や
土地、風土、習慣、思想等細かい設定が
まるでリアルに存在するかのように感じられました

登場人物の容姿、人柄も読んでるだけで
頭で思い浮かべられるようでした

主人公元皇太子エルンスト(見た目少年)と
相棒で伴侶であるガンチェ(超大柄)
この2人の人生を追ってのお話しになります

甘々で恵まれた環境にあるお話ではなく
寂れ落ちぶれた自分の領地をどのように
土地の人々や兵士を導いていくか等
を中心に進んで行きます
歴史の人物書に近いような.....

もちろんLOVEも大いにありで
2人がなんともキュート
周りの登場人物も個性ありです!

読み出すとほんとに止まらなくなるぐらい
引き込まれるので本の厚さにビビらず
トライして欲しい良作です
そして挿絵が良過ぎです!
何度も眺めながら読み進めて下さい

読了後
誰かとこのお話について語り合いたい
泣きあいたい
心の中はあたたかい気持ちで溢れる
そんな素敵な作品です

拙い説明ですがたくさんの方にこの本を
手に取って頂きたくさんのレビューをあげて頂きたい
感想を読ませて頂きたく思い投稿しました!

今は2周目読んでいます
色んな気付きがありつくづく素晴らしい作品だと
感じています

22

間違いなく名作

三日月と満月通じての感想です

読み終わり最後のページを閉じる時この本を読めたことへの感謝で胸がいっぱいになりました
こんな瞬間があるから本を読むのをやめられないんだと思う

身体の成長を止める病にかかり子供のままの姿の元皇太子エルンストは寿命200年の種族
彼を愛したのは寿命100年の戦闘種族ガンチェ
彼らは寿命も身体の特徴も特性も違う
ただこの本は種を超え愛し合う二人の睦まじさを愛でるためだけにあるのではないと思う(そこは本当に愛らしく読んでて満たされるのも間違いないが)
この本は二人の戦士の戦いの記録だと思う
二人の愛は二人を変え戦う力を与え人生を与えた
王になるためだけ60年を生きてきたのに病のため皇位継承不適格とされ皇太子の称号を奪われ辺境の貧しい領地を与えられたエルンストは
戦うことで生きていく戦闘種族ガンチェの愛を受けれ愛する
辺境の極貧の地に飛ばされその地を再生させるために奔走するエルンストと側で支え続けるガンチェ
種族を超えて愛し合う二人は互いを尊び影響し合う
二人は体液適合者という互いの体液が力になるの特性を持っているのだがこれは余りに違う体格差を持つ二人のために作られた設定だろう
(だがそこにご都合主義的な匂いを感じさせない技量がこの作者にはある)

種族の違う二人の最大の壁は寿命が違う事だ
個人的には死別が地雷でどんな名作でも死別のお話はあまり再読できないのだがこのお話は読み返すことができると思う
死が二人を別つ時を過ごすのも二人に与えられた戦いなのだから
運命を彼らが乗り越えた時
戦いを全うした二人を称えずにいられなかった

彼等が出会えたことに感謝し
この本と出会えたことに感謝します

これを読んでいた時ふと銀河英雄伝説を思い出しました
先生の深い造詣がこの物語を恋を描くBLと一線を画すものにしていると思う

20

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