阿蘭陀さんのマイページ

レビューした作品

女性阿蘭陀さん

レビュー数0

ポイント数3

今年度401位

通算--位

  • 神0
  • 萌×20
  • 萌0
  • 中立0
  • しゅみじゃない0
  • 絞り込み
条件

指定なし

  • レビューした作品
  • 神作品
  • 萌×2作品
  • 萌作品
  • 中立作品
  • しゅみじゃない作品
  • 出版社別
  • レーベル別
  • 作品詳細
  • レビューした著者別
  • レビューした作画別
  • レビューしたイラスト別
  • レビューした原作別
  • レビューした声優別
媒体

指定なし

  • 指定なし
  • コミック
  • 小説
  • CD
  • DVD
  • ゲーム
  • 特典
発売年月
月 ~
レビュー月
表示モード

これぞ葵居先生の世界観!

葵居先生の表現による、砂漠の世界、不遇の受けちゃん、強い立場の攻め様…
嫌いなわけがない設定!これぞ葵居先生!という世界観です。
BL(特にファンタジー系)の作品にはある程度お決まりの流れがあって、それが猛烈に欲しくなるとき、いくつか同じような世界観の作品読ませていただくということがあるのですが…少し読み始めて「止まらない!」「これ好き!」ってなる作品は実は少ないです。「読みたかったのこれだ!」と思う作品との出会いって、本当に貴重ですが、今回はまさに当たり!の作品。葵居先生もあとがきで書いていらっしゃいましたが、砂漠の設定、そして受けであるアルエットちゃんの鳥人設定〜♡これが本当に素晴らしくて、表現の美しさ、優美さ、情景の書き込み方など、うっとりする設定が次々と登場して、寝るのも惜しんで拝読しました(本当に止められなかったです)。
BL読みさんには、1つや2つ(もっとかな)好きな設定ってあると思うのですが、そういった中でも葵居先生の描く世界観はいつもとても素敵で感激します。また私にとってBLは肉体の快楽だけが中心ではないので(詳細はなくても大丈夫な読者です)そこに至る設定、ストーリー、登場人物の魅力、状況などの表現がお上手な先生の作品には本当に引き込まれてしまいます。今回の作品は鳥人という設定であったので、羽耳の表現や尾の表現は特に楽しめました!
少し気になった点があるならば、アルエットの弟のユーエは人として掴みきれない部分があって、読んでいて気になりました(あまり好きな設定ではなかったのかもしれません)もう少しすっきりと愛される設定であっても良かった気がします。少し不穏な感じがする人物設定は次作への布石なのでしょうか。気になるところです。
それとイラストが大好きな羽純ハナ先生でしたが、表紙はあまり感じなかったのですが挿絵のハイダルが若く見えすぎて(童顔?)30すぎという設定のわりには少年のように見えてしまっていたので、次作(きっとあるって信じてます)では大人の男性の魅力を感じたい!と思っています。
止められない素敵なお話をありがとうございました!次はジャダーロの恋のお話でしょうか…また是非拝読したいです。

心があたたかくなる。冬に読みたい一冊。

2024年、年明け1冊目として拝読しました。
春になるまで待っててねの二人(デイビスさんリックさん)と関わりのある設定なので、世界が繋がっていて、その後日談のようなお話になっています(その時点で好き!という世界観)。
デイビスさんの同僚である雪豹獣人のテイラーくんは年下ワンコ攻めの典型!とも言える大好き設定。良い子なんです!本当にすごくいい子。このいい子であるテイラーくん(お育ちもいい)が恋するお相手がフィンさん。真面目ゆえに不器用で、恋がなかなかうまくいかないヤマネ獣人(小さくでかわいい)、でも年上さんなんですよね。ゲイ受けって本の紹介に書いてあって「あ!そうか」と思いましたが、そういうことになりますね、今までの人生で傷ついてる部分があって…もう大好きな設定すぎて、胸がキュっとするお話です。伊達先生のお話って、とても手の込んだ設定のものも多いのに、この「春に」の2シリーズはBLの初心者でもわくわくドキドキして読める、ある意味入門のようにあたたかいシリーズもあって、作家さんとして本当に幅が広いなと思います。百戦錬磨のBL読みさんには物足りないかもしれない…と思いつつも萌えの要素が様々なところに散りばめられていて、なぜか初心に返ったような清々しい気持ちになる作品でした。読むことで心が晴れ渡るような、年明けにふさわしい作品を読めて、心がホッとしました。冬だからこそ感じられる切なさやあたたかさがふんだんに詰まっている良作です。BL初めてですという人にはいつも「春になるまで待っててね」を薦めていますが、続きの話もあるよ!とまたおすすめできる作品が増えました。
伊達先生のこの冬眠と絡めた優しいお話のシリーズは、年に1回くらいはゆっくりリリースしていただけたら嬉しいです(絶対読みたいです)。次はフィンさんの弟さんのお話?ざまあからスタートするロディくんのお話?楽しみにしています!

この厚みの中に果てしない世界がある…

「背中を預けるには」ファンとして、心からお待ちしておりました小綱実波先生の新作。円陣闇丸先生の美しすぎる表紙を拝見したあたりから、期待値は上がるばかりでしたが、それを遥かに超えてきた!…というところが素直な感想です。

1)まず設定と描写がすごい。
俳優としてニューヨークに渡った主人公の真宮藍。そのニューヨークのシーンから引き込まれます。小綱先生ご自身がお仕事で現地に行かれていたことを公表していらっしゃいましたが、そのあたりの実体験がおそらく生きているのであろう、生き生きとして現実味のある描写!街の様子や建物や人物の描き方が、映画を見ているかのように感じられました。そしてその現実味のある設定の中に「狼のような」今回の攻め様であるイーサン・ダニエルが登場します。そして彼の存在が通奏低音のように藍についてまわるようになり…そのあたり今回も小綱先生らしい音楽表現的な展開をする美しい流れです。

2)そして界渡りからの異世界が興味深い。
飛ばされた世界はギリシャ神話のような世界です。タイトルにあるアンブロシアは「ギリシア神話に出てくる神々の食べ物」の意味のようですが、ところどころ難しいワードが出てきます。小綱先生が学ばれてきた知識の片鱗が垣間見えるアカデミックな香りがする世界。ワードを調べながら読み進めましたが、なんとも興味深い設定です。検索しながら読む感覚も新鮮で、何やら知識が増えていくような満足感が得られました。ギリシア神話でのアンブロシアはそれを食べた者は不老不死となるそうですが、この知識こそが甘露な喜びのような気がして、おお!となりました。

3)とことん感情が揺さぶられる。
読みすすめて、最初の号泣地点が老夫婦と少女のエピソードのところでした。ニキアスの背負う世界があのシーンで強烈に印象づけられました。全てにおいて優位であろうはずの攻め様が、恵まれた境遇でもなく運命として苦悩を背負う様子が一家のエピソードで鮮明になります。この家族のシーン、悠斗との葛藤のシーン、二十八夜のシーン、と次々と印象的なシーンが撚り合わさり、その中で藍がニキアスに惹かれていく…やはりシンフォニーのように重なっていくエピソードとともに、自分の感情もどんどん昂まっていくのがわかりました…このあたりがもう離れられないところです…

4)切ない結びつき
そしてようやく交歓シーンとなるのですが…切なさが優って、単にBLの醍醐味としてのシーンというだけでなく、心のやりとりが切なかったですね。BLにはさまざまな表現があり、それこそが性癖となるものですが、快感のみのシーンでなく重いものがあります。このあたり、好き嫌い分かれるところかもしれませんが、私はこういうところがとても好きです。運命を背負った身体のやりとりなのです…

5)極上の執着
そしてニキアスは自分の運命を…ああ、もう書けない!このあたりから二人がどういう生き方をしていくのか何を選び取っていくのかが次巻への新しいメロディーが流れてくるところでしょうか。まだ上巻なのですよ…この感情をどこに持っていけば…というところで、私はこんなネタバレをずっと書いていいものか…とハッと反省に至りやめておこうかと思います…。極上の執着が出てきました…でもそれが別れをも予感させる命をかけた執着であるというところが最高にグッときたところでした。

読みながら心に残ったところをつらつら書いてしまいましたが、小綱実波先生の描く作品はしっかりBLでありながらも、そこを土台に、ものすごく広大な世界観が広がるところが素晴らしいと思います。鈍器と呼ばれる分厚い本の中に、果てしない世界が広がるこの作品も、名作の予感。完結まで目が離せません。難しい語句などをしっかり把握しながら2周目、3周目読みたい!と思える作品です。次作をじっくり、ゆっくり楽しみに待ちにしたいと思います。

拡大して愛でました✨

ジャケ買いでした。
美しい表紙に微笑!そして中表紙!美しい〜
…ですが、上巻には中表紙のようなシーンはありません(残念!)
Ω王子が嫁いだ王様は少年です(びっくり!)。

物語冒頭の傷つき、心を閉じているΩ王子には心が痛くなります。
そこに登場する侍女のスゥヤ。こういった作品に登場する
心の綺麗な女子って好きなのですが、とても素敵で素晴らしい。
可愛らしく描かれていて癒されました…
そしてもふもふ好きにはたまらないタルジューーーー‼️
すごく丁寧に描かれていて可愛さ満点です。
電子購入し、テレビ画面に接続して隅々まで拝見しました。
そのくらい描き込みが素晴らしいのです。
小説は行間を感じて萌えますが、コミックスはこういった
獣の表情(仔虎特有の靄がかかったような瞳や抱っこのときの前足とか)や
装飾品やしつらいなどに作者様のこだわりと美意識が感じられて
感激しました。

そして上巻のキーとなるシーン
朝日の中、少年王ハーリドが思いを告げるシーン
イリヤが受け入れた表情がとてもとても印象的でした。
この時のイリヤは寝ているところから起こされたので素顔
髪は乱れて、ピアスもしていない…「素」の状態
暗い顔で嫁いできて、やっと素の状態で微笑みを浮かべた
あの表情がとても心に残りました。良いシーンでした。

上巻ではここからが急転直下になりますが
後半心に刺さったのはイリヤが市民に囲まれるシーン
とても不穏でしたので、ハラハラしましたが
私も民と一緒に泣きました…生きていて良かった!
王后として覚悟が決まったシーンに感激です。

ハーリドを失って8年、失ってもなおハーリドが夢見た未来へ
歩み続けるイリヤ、支え続けるスゥヤ、大きく成長したタルジュ
…そしてハーリドと再会か?!というところで終了。

読み応えもたっぷり、見どころもたっぷり、
可愛さも美しさもみんなまとめて素晴らしい作品でした。
BL要素はまだありませんが、それは上巻ゆえ…
上下で一つのお話ですものね。

この設定が愛おしい

まず表紙でグッと来ました。
名倉先生の作品だから読みたい…に拍車をかける笠井先生の精緻なカバーイラスト…
まるでおとぎ話のようなはじまり、はじまり〜です。
私の大好きな「ファンタジーBL」とはあり得ない設定のオンパレードを楽しむものだと思っているのですが、今回の作品は王様と王様の恋…
これは読んだことのない設定でした。
どんな着地をするのだろうとハラハラしながら拝読。
あまりにもピュアな恋話に、途中モダモダしたり、ほのぼのしたり、そしてそんな素敵なお話の合間合間に差し込まれる、笠井先生の挿絵が可愛らしくて!ため息が出ます。
かくしてそれなりの事件は起き、無事に解決し、BLの味わいの一つでもある、素敵な協力者も登場し、めでたく結ばれる二人…
めでたし、めでたしで大団円。これぞハピエン!と言える、スッキリした幕引き…
こんな幸せな話でいいんですか?って美味しいご馳走をいただいたような気持ちになりました。

それありえない!って断言できる設定なのに、ふわっと物語に入り込めてしまう、名倉先生の文章力でしょうね。細かいところに突っ込みを入れずにただただ美しさ、多幸感に埋没できるBLならではのファンタジーでした。
こういう幸せな設定、御伽話のような世界観は本当に癒されます。
時折、ページをめくっては読み返し、素敵な挿絵にうっとりし、幸せを1つ手に入れた気持ちでおります。
名倉先生の25周年の記念すべき作品。先日のJ・ガーデンでは番外編も発表され、二人の後日談も拝読できました。
幸せな世界がこれからも続きますようにと願わずにはいられない素敵なお話でした。

難しい、重い、辛い…(褒めてます)

前作1巻はアニメのおかげもあって、ストーリーは割とスッと入ってきましたが、本作は準備なく読む人にはちょっと難しい…言葉がわからなかったり、人物がわからなくなったり(わからないんじゃないけど、すぐ忘れて戻ることになる)、戦いや妖怪の話だったりと、なかなか読み進めることができず、結局かなりの日数をかけて読了。
内容は非常に重く、辛いものでした。

本作は2巻という体裁をとっていますが、第二巻 太子悦神は1/3すぎたあたりからです。
第二巻は過去の話なので、花城との関係が進展するどころか、出会いのところから〜となっており、甘いシーンをおねだりする心に蓋をして読み進めねばならない試練の回なのです。でも、ここを読み進めねば、二人の関係性が掴めなくなる…と思い、少しずつ読みましたが、結果胸にずっしりと残るものになりました。

 墨香銅臭先生の作品を拝読するのは、魔道祖師に続く2作目なのですが、作中に政治、倫理、道徳、宗教のようなものが見え隠れし、単にBLファンタジーと言い切れない世界観を感じます。「人として」という深いテーマ…普遍的なものを感じるのです。謝憐が抱く、人を助けたいという心、悪を倒したいという思い、間違っていないはずなのに、それが歯車を変えていくというストーリーに「こんなはずではなかった」という違和感とともに「こういうことってあるな」という既視感を覚え、胸がざわつきました。魔道祖師の中にも感じた「正しいはずだった行為が恨みを買っていく」という展開は読んでいて非常に辛く、歯がゆい感情を持ちます。だからこその救いを求めるようになるのですが…本作ではまだその回収はありません。

 中国作品にあるあるの名前が覚えられない問題を整理しクリアすれば、ストーリーが腑に落ちてきます。1巻冒頭の飛昇して武神となったが、2度にわたって天界から追放されて…に?となった謎が徐々にわかってきて、ますます物語の世界に没入することになりました。頑張っても問題ばかり身に降りかかる、でも果敢に立ち向かっていく謝憐は、1巻の彼と印象が違うところもあり、主人公としての謝憐に引き込まれていきます。花城(三郎)との出会いと二人がどのように関係していくのかは、進行途中ですが、描かれていますので必読と言えましょう。

今後どんな展開になるのか心惹かれています。そしてこの後、三郎がどのように花城になっていくのか…800年の話でしょう?神様の時間軸ってすごい!まだまだゆっくり物語は進みそうですね。衝撃的なところで本文は終わっていますが、3巻を待ちたいと思います。それにしても壮大なスケール…墨香銅臭先生って本当に素晴らしい。日本の文化と違うところも含めて非常に興味深く、魅力的な作品です。

いろいろとわかってきて胸が熱いです(ネタバレ注意)

BL好き、中でも獣人モノばっかり愛好して読んでる私にとって『はなれがたいけもの』シリーズは最高峰と言える名作だと思うのですが、今作はディリヤの過去についてしっかりと書き込まれていて本当に胸熱でした。
過去に何かあったのだろうな…ということは初めからわかっていましたし、彼の生き様や心の仄暗いところは、ところどころで見えていましたが、まさかそんな過去があったとは…と絶句するような壮絶なものでした。
そしてその過去を内包した心のまま、愛する者たちを守るために遠くへ行こうとするディリヤに、全てを尽くし、愛を傾け、取り戻そうとするユドハ…
ディリヤの心とそれを決して離さないユドハこそが、この物語の特に愛おしいところであり「はなれがたいけもの」とはお互いのことであるのかと思い至るところです。
野営地でユドハに抱かれるあの夜の始まり…あのときはなれがたいと思ったのは尻尾を掴んで離さなかったディリヤの心の声なのかと思っていましたが今回の「想いは通う」でお互いのことであると認識し、腑に落ちた感じがしました。

ディリヤがアンタって呼ぶところとか、妙に他人行儀であった言葉遣いとか…今回、その所以が明らかになり、切なさが込み上げました。
そして離れようとするディリヤを追いかけるユドハの姿に感動!
愛が壊れるときって、お互いが愛を手放してしまうときだと思うのですが、決して揺るがず、ひたすら追いかけ愛し続けるユドハ!本当に素敵です。
これぞ獲物を追う狼!と生き物を感じさせる表現もとても良かったです。
身も心も本当に本当に大きな存在…ユドハだからこそディリヤを愛せたのだと、心の震えが止まりませんでした。
前作からハラハラしっぱなしでしたが無事に戻れて本当に良かった!
でもこれからは少し二人の関係が変わるのでしょうか…それは嬉しい変化ですね。
そして相変わらず、二人が愛し合うシーンはとっても生々しいのですが、今回どこか崇高に感じてしまうほど愛が深くて…有難いとはこのことかと…。

八十庭先生の文章はとても魅力があり、ストーリーとしての描写もさることながらところどころに実生活を感じさせるような…胸に落ちてくる思いが詰まった言葉があります。
読み進めながらも何度か読み返して親子関係を想ったり、人間関係や道理などを感じたりしています。
物語の世界観だけでなく、心の旅をしているような思いがいたしました。
本当に素晴らしかった!読み応えがある極上のお話でした。
二冊に渡り(間にもう一冊挟んで)壮大なお話でした。

佐々木久美子先生の素晴らしい挿絵、扉絵にもいつも惹きつけられます。
毎回「はなれがたいけもの」の世界観をさらに輝かせ、目を楽しませてくれる作品です。
お話と挿絵がこんなにマッチしているもの、この作品の素晴らしいところ!
文字の入れ込み含め最強タッグで読者に届けてくださる出版社の方にも最大級の感謝をしたいです。

&次作も出るんですね!嬉しすぎます!!気になるキャラクターがさらに増えて、ますますこのシリーズが好きになってしまいますね。
これからも楽しみに読み進めたいです。

今年一番泣きました

本編からのファンです。
「背中を預けるには」に登場する多くのキャラクターはそれぞれに魅力的であり、
忘れられない個性を持っているのですが、その中でも特に気になる3人の恋の涯てが
描かれています。
ヨセフ、ディルク、ルーカスそれぞれの愛は、複雑に絡み合っていて、それがどのように解かれるのかとても興味深く、楽しみににしていた作品でした。
結果としてこの作品は私が望んでいた「ハピエン」ではなかったです。
でもこれが帰着であったということに、唸らされたというか完璧なる落とし所であったと最終的に心にストンと落ちてきました。
それぞれの登場人物には目指すところがあり、そこに向かって強く生きていく姿がとても心に響きます。
それぞれの「涯て」はとても言葉で言い表せない人生の奥深さがありました。
またこの作品を通して、人が生きていく中には自身の考えがあり、価値観があり…
それは他人が「そうなればいいのに」「そうなのでは?」という思惑とは違うということを改めて気付かされた作品でした…
なんてこのレビューを書きながら…ああ、これは(ファンタジー)小説だった!と思ってしまうほど、人生を深く考えてしまう厚みのあるお話なんですよね(本の厚みもさることながら…)
それほどに深く深く推敲されている小綱実波先生の文章力と、お話の世界観の素晴らしさに今回も圧倒されました。
人がどうしてそのような行動をするのか。その原因となるところの描き方も丁寧であると多います。1つ1つにだからそうなったのか!と気付かされることが多く、何度読み直しても、毎回たくさんの感動を与えてくれます(そして毎回泣きます)。
いきなり本作から読むのはおすすめしませんが、背中を預けるには本作をお読みになってから是非足を踏み入れていただきたい作品です。

涙なしには…

満月。
何度泣いたかわかりません。
二人の最期の姿は、こんなにも愛に包まれていたかと…
種族としての寿命が二人を裂くことになりましたが、
どのように生きたのか、また二人が成し得たことが尊く、
死別という辛い辛い時間を、こんなに温かく書いてくださった
作者様に手を合わせたくなるような気持ちになりました。
表紙のガンチェの姿…とても素敵でうっとりなのですが
その赤い鎧兜見る度に涙がこみ上げます。


書籍化にあたり、私の愛するサブキャラたちのことは
あまり多く描かれませんでしたが、作品に出てくるキャラそれぞれに
素敵な人生があり、またメイセンに生きる人たちがどう生きたのか
エルンスト様が思い巡らせたことがどう結実したのか
本作ではそれが描かれていて、領国の成長譚としても素晴らしいです。

二人の関係がファンタジーの世界の中とはいえ、愛おしくて愛おしくて…
ゆっくりとじっくりと読んで、何度も読み直したくなる作品でした。


気づかされることが多い

雪原の月影は読み進めるごとにハッと気づかされることが多いです。
もちろん二人の関係性やBLとして読んで、とても良いものではあるのですが
何かもっと社会的なことや政治的なことや倫理的なことや
難しい話にはなるのですが、無意識に思っていたことを目の前に突きつけられる
というか…感覚的なことにはなるのですが、私は多くの気づきを与えて頂きました。

エルンスト様の持つ為政者としての力と彼を真摯に強く愛するガンチェの姿
ファンタジーではあるものの、生き方に感じ入ることが多かったのです。

作品ではメイン二人が描かれるので、サブキャラたちは控えめですが…
素敵なキャラクター、愛すべき仲間の背景にも愛がたくさん詰まっています。
素晴らしい作品だと思います。