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不自由な夏が恋を教えた

fujiyu na natsu ga koi wo oshieta

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表題作不自由な夏が恋を教えた

鏑木太一,26歳,映画監督
東環,22歳

あらすじ

駆け出しの映画監督・太一は絶賛、スランプ中。気持ちを切り替えるため、2ヶ月の休暇を作り田舎に帰ったまでは良かったが、とあることに気を取られた拍子に、春原という男にぶつかってしまう。荒々しい言動と強面の割に、根は真面目で情に厚い質らしい春原と、彼の友人である無表情な男・環に付き添い病院に行くと、春原は全治2ヶ月と診断される。
クラブのセキュリティとして働く春原が「仕事に穴を開ける訳にはいかない」と悩む姿を見て、太一は春原の仕事を2ヶ月の間、引き継ぐことを申し出る。学生時代からずっと映画漬けだった太一にとって、クラブのセキュリティという仕事は新鮮だった。なかでも、クラブの常連でもある春原の友人、環の存在が妙に気になる。第一印象は最悪で、これ以上関わり合いたくないと思うのに、環の方は太一に興味があるようで……。

138ページ

作品情報

作品名
不自由な夏が恋を教えた
著者
無理薫 
イラスト
岡舘いまり 
媒体
小説
出版社
くるみ舎
レーベル
スピカ文庫
電子発売日
4.7

(17)

(14)

萌々

(2)

(1)

中立

(0)

趣味じゃない

(0)

レビュー数
4
得点
81
評価数
17
平均
4.7 / 5
神率
82.4%

レビュー投稿数4

大切な人を思い出すのはそういう時

合う色より、好きな色で選んでいるのが、どこかちぐはぐでいじらしい。


中編ですが読み応えありました。
全体の半分にきても男同士や環境に悩んだりしていて、そういったものを久しぶりに読んだので良かった。悩んでいるのが長かった分キスシーンが滾った。
1ページ目から脱字でびっくりしたけど…
太一の長年の製作の原動力が父だったり、環との再会のきっかけだったりがドラマティックになり過ぎず、でも人を思い出す時ってそういう時だよねと共感出来て好きでした。

0

めっちゃ良い!出来ればみんなに読んで欲しい!!!!!

主人公が映画監督だからという訳ではないだろうが、一編の映画みたいでした。
多分これこのまま映画に出来ると思うな。映像がすごく浮かびました。でもBL映画じゃなくて、一般の映画で同性愛が出てくるという感じになる気がする。

人物の内面描写と肉付けがめちゃくちゃ上手い。キャラが生きてる、を越えて、太一と環がそこにいました。
多分本編に書いていない小さいエピソードや人物設定がもっと沢山あるのではないだろうか。脇役もみな魅力的だし、伏線と回収も見事だった。ああ、ここに繋がるのか、と気持ちよくピースがハマっていきます。
最後まで一気読みしましたと言いたいところですが、読み終わるのが惜しくてワザと間置いたりしました。

プロローグ、1~6、エピローグとあり、4の段階では「萌2」かなと思っていたのですが(理由は後述)、しかし5を読んだら「神」しか無くなりました。

濡れ場もBL小説っぽく無くて、それが逆にすごく良かったです。この人もともと一般書いてる人なんじゃないかな?と思ったら碧雲さんが書いてくださってますね、やっぱりと納得しました。

他にコミック原作として一本ありますけど、小説もこれ一作で止めて欲しくない。是非つぎを書いて欲しい。読みたいです。

最初「萌2」だった理由はですね、ご・誤字~…だ・脱字~…(泣)こんないい話なのに~!!!…それだけです。
校正まで行かずとも、編集さんが確認としてキチンと読んでくれたらそれで回避出来るレベルなんですが、それがしてもらえないのか、するだけの余力が編集側にないのか、どっちにしても悲しくなってしまったのだ。
しかしそれでも「神」にしたくなるお話でした。

3

書きなれていると思ったら、他名義で受賞歴ある作家だった

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書きなれていると思ったら、「森かおる」名義で受賞歴ある作家だった。 

★「攻の顔が好きすぎて逃げまくる受と追っかける攻の攻防」
★「うまくいきそうにない二人がど田舎で出会い 閉鎖的な環境を抜け出したくてもがく話 ⚠️攻め視点⚠️ 」
・・の著者自身による説明を読み、読んでみた。 
著者初めての長編。「読後感を大事に書いた」のだそう。

長編というより、長めの短編といった感じ。
息がつまるような詰将棋のような心理描写。
伏線回収は、かなり後半にある。表紙の「プールでの濡れ場」まで、我慢して読めば苦しい焦れから解放される。

サンプル➡https://privatter.net/p/8295773

次作に更なる期待。

4

寄る辺となる恋を

映画監督の太一はこのところスランプ気味で
もがくほどにハマっていく沼のごとく、そこから抜け出せずにいた。
思い切って2ヶ月間の休養を取ることに決め
処女作データを回収するため帰省した太一が地元で出会った、掴みどころがなくどこか不思議な雰囲気を持つ青年・環とのお話。

太一の地元「みさき町」は、かつての思い出を探すことさえ難しいほど再開発が進み、亡き父とよく通った映画館もパン屋もなくなっていて。
記憶が曖昧になったような切なさを感じていた太一は、その感情をまさか環と共有できるなんて思わなかったんだろうな、と。
思い出を共有できるということはどんなドラマチックな出会いよりも
ふたりの距離を近付けるものなのだなとしみじみ思いました。

環の家族との確執は簡単に解消されるものではなく、想い合うようになったふたりには大きな障害となり…涙ながらにプールで抱き合うシーンは本当に苦しかった。
でも解決しないまま逃げ出すことを選ばなかった環の決意は離ればなれを選ぶものではなかったのだと知らせてくれるラストには心が震えました。

ふたりの出会いは本当に偶然だったのに
全てが組み込まれていたように感じる展開に
運命ってこういうことをいうのかなと思いました。流れに無理矢理感がないからこそ、そう思えたのでしょう。
情景が目に浮かぶような描写も素敵で、読み終わる頃にはみさき町が
私の頭の中ではひとつの町としてしっかり完成していました(笑)

あらすじを読み、気になっていた作品で
普段あまり小説は読まないのですが、購入してみて本当に良かったと思える素敵な作品でした!

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