umeair
こちらの小冊子、読む価値ありありです…!
このお話があることで、より深く作品世界に浸れると思います。
保管場所等問題なければ、こちらの小冊子付きをぜひぜひ!
おすすめします。
この小冊子、なんと日秋でも烈でもなく、
ネコ型配膳ロボット”アッティン”となったアウグスティン視点のお話。
◯ーミヤン…じゃなかった、某中華系ファミレスで働きながら、
新たな感情を覚えていくアッティン(配膳ロボットの名前)の物語です。
熱々の酢豚や青椒肉絲を運び、子どもたちに
「アッティン!アッティン!」と囲まれ大人気、
「ニャアアーン!」と鳴くアッティンの仕草、描写が可愛くて可愛くて(*´艸`)
子どもたちに囲まれ身動きできなくなるアッティンを救おうと、
厨房から出てきてアッティンを救う
”リアン”ことユリアンとの関係性も 微笑ましく、
前半はひたすらほのぼのとするお話。
なんですが!!!
話は”ほのぼの”では終わらない。
小さな女の子の隣のテーブルで、別れ話のもつれから
騒ぎ出した巨漢の男。
違法ナノマシンの投与によって興奮状態になった彼が、
振り返って目にした小さな女の子にナイフを振り上げーー
いや、この時のアッティンの咄嗟の行動!!
読みながら情景が目に浮かび、手に汗握って大応援です。
「ニャーーーーーー!!!!!」とロボの目を三角にさせ、
男の突進するアッティン。
愚直にぶつかるアッティンだけれど、ナノマシンの力を借りた
男には到底及ばず、回し蹴りによりひっくり返されてしまい...(泣)
自力では起き上がれず焦るアッティンですが、
その時!
…烈ーーーーー!!!! お店に来てたのね!!
頼りになる男。。
「猫型ロボット」に堕ちた自分のことを嘲笑っていると
思っていたのに、どうして自分を救ってくれたのか。
モニターの目をはてな?にするアッティン。
そして、そんなアッティンのもとに飛び込み、
抱きついて「ありがとう、ありがとうアッティン…!」と
泣きながら呟く女の子。
…なんかなんだか、書きながら思い出して泣けてきてしまう( ; ; )
そしてそんな体験を通して、アッティン、いやアウグスティンが
思い出した、”本当に自分が欲しかったもの”。
ナノマシンによって、人々を難病から救うー
という当初の思い…
最期の時が訪れるまで、懺悔の思いを抱え
このお店で働くことになるアッティン。
彼のしたことはもちろん、到底許されるものではないのだけれど…
初めて過去を悔い、心から懺悔する彼に、
”赦し”の気持ちを持ちたい、と思わされたお話でした。
どうか”その時”が訪れるまで、
アッティンに温かい子供たちの言葉や態度がかけ続けられますように。
(ちなみに...水を差すようで本当に申し訳ないのですが、
ヨーロッパでは既に死刑ってほぼ廃止されていると思うので、
アウグスティンは死刑ではなく終身刑になるのではないか?と
個人的には思っていたりします;)
悪者が退治され、めでたしめでたし!で終わるのではなく、
”その後”の姿、改心して生まれ変わる様子まで見ることができ、
切なさ噛み締めながらも満足感で心満たされる、そんな小冊子でした。