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闇夜に迷う心を照らす、一等星の恋。
いちほ先生は去年が初文庫だったようなんですが、ほかのBLよりもどっちかというと文学的です。表現とかがちゃんとしっかりしてて他の作家さんと読み分けやすい。
1ぺーじ1ぺーじが無駄になってない、読み流しできないBLって案外少ないんですよね。
表現に使うことばがある程度決まっちゃってて、読者さんもそれに安心してる感もあったりするので。
そこよりもえが重視されてる世界なんだろうとは思うんですけどもね。
そんで、この話のすごいところはやっぱり「あらすじはむしろいらない」と思わせる文章力(あらすじがいらないっていうのは、本当に書いてることは日常的なことでしかなくて、ありふれてるといえばありふれてて、でもちゃんと読者にそれがすばらしいことだって思わせてくれる力がちゃんとあるから、あらすじってたぶん読ませるためにあるんだけど、これはあらすじにすると薄っぺらくなっちゃうからむしろ読んだ人の推薦文とか入れた方がいいんじゃないかと思う…けど、帯に入ってたようですね。あたし買ったとき帯ついてなかったので…)と、日常とか恋愛過程で確かにある悲哀が丁寧に書きこまれているところですね。
書かれてるのは日常なんだけど、表現が独特だから簡単に吸い込まれてって、いつのまにか号泣しているっていう…
まさか最後に号泣シーンがあるとは思わなくて涙がだーだー流れたまま読了しました。
前作がちょっと純文学色がつよくて「これえろいらないな…」とか「BLじゃなくていいんじゃないか…」とか
あと何より挿絵のタッチで本当に想像してしまうので犯罪ちっくだな…と思っていたりしたので、
今回は普通の本として読んでしまえ、と最初カフェで読むという暴挙に及んだんですけど(おい)
こっちはちゃんとBLとしてよめました。
表向きはきらきらしたはなしなのに、そこはかとなく底辺の方にじっと存在している悲哀の発露のさせかたが秀逸なので、ぜひ胸をぎゅっとつかまれたい方は読まれるといいかと^^
もえ、というよりはきゅん、という感じです。
太陽が5歳だった頃、隣に同い年でハーフの流星が引っ越してきます。
外見のことで周りの子供たちにからかわれる流星は、むやみに相手にしないことでプライドを守り自分の殻に閉じこもろうとするのですが、そんな流星の傍にはいつも太陽が寄り添い、そうやって二人はずっと一緒に成長していきます。
気難しい流星を理解できるのは自分しかいないとどこかで思っていた太陽でしたが、別々の高校に通う流星に思わぬ友人がいたことで嫉妬し、幼馴染というだけではない気持ちを自覚することになります。
そんな時流星の母親が亡くなったことで、離婚後10年間離れていた父親が現れ、流星を引き取りハワイで一緒に暮らしたいと申し出ます。
幼い頃からずっと一緒で、幼馴染だった二人が恋人という関係に変わっていく過程が描かれると共に、流星の母親が亡くなったことをきっかけに、二人でいることが当たり前だった状況からそれが当たり前ではなくなることで、今まで抱くことがなかった気持ちを持て余しながらも少しずつ大人になっていく姿を見せてくれました。
デビュー作の前作(「雪よ林檎の香のごとく」)からすでにクオリティーが高く、内容はもちろん文章力でも新人作家という事を思わず忘れてしまう程だったのですが、今作も文章の美しさはそのままに、いい意味でもうちょっと肩の力が抜けたような作品になっていたと思います。
前作でも高校生(先生×生徒モノでした)が主人公だったのですが、そちらはもうちょっと達観しているキャラで、そのせいかどこか現実感がない(ちょっと理想的過ぎるかな!?という)印象があったのですが、今作の流星と太陽(特に太陽)は等身大の悩みを抱えている高校生の感じが良く出ていたというか、余裕がなくちょっとしたことでグルグルしてしまうキャラだったこともあり、どこか親近感を感じながら読み進める事ができました。
また流星・太陽というそれぞれの名前がイメージさせるような、流星は“静”太陽が“動”という印象にもピッタリ合っていて、何気ないところにまでちゃんと気を遣っているところにも好感が持てました。
読む前から期待値が高かった(自分の中でのハードルも結構高めに設定していた)にも関わらず、前作に引けを取らない内容にまたまた引き込まれましたし、充分満足させてもらいました。
1、2作目と異なる部分はありながらも、作品全体のイメージ(繊細さ温かさ)は共通していて、今後ももちろんそういう作品を期待しつつ、今までとは全く異なるイメージに「えっ!?」と思わず驚いてしまうような変化があっても面白いかな…という点でも、今後どういう作品を読ませてくれるのかとても楽しみです。
幼馴染モノ、大好物なのでいただきました~!
大きくなって、ちょっと距離のあいた幼馴染…
それがちょっとしたきっかけで距離が縮まっていく。
もうこの時点でもだえますよね。幼馴染の醍醐味!
主役の太陽もほんとイイ子で大好きなんですが、流星が愛しくてたまらなかったです。
小さい頃から母親と二人暮らしの流星。その母親が癌でホスピスに入り、彼もすっごく苦しかったに違いない。
だってまだ学生ですよ。彼を支えてくれる家族はほかにいないし、心の支えは太陽だけ。
その太陽にも母親のことを告げられず、ほんとに苦しかったと思う。よく頑張ったね。
太陽も最初はもどかしくて怒ったけど、その後は流星に黙って寄り添い、「俺がいるよ」って。
そして流星の父親が現れれば彼の背中を押してくれた太陽。
これは後々太陽自身も振り返ってますが、ほんとこのタイミングを逃せば流星は父親のもとへ行くことはなかったでしょうね。
自分は苦しい思いをすることになるだろうに、流星のことを考えてやさしく背中を押した太陽。
すごいですよね。ほんと、子供だとは思えません。人を好きになると、ここまで強くなれるもんなんですね。
両想いになって、でも離れ離れになって、幸せだけどとても切ない二人。でも、一生懸命愛し合います。
ハワイに会いに行ったりもしますが、結局は住む場所は離れているわけで。学生だから家の手伝いでお金をこつこつ貯めて…ってあたりでほんと学生にとっての遠恋の辛さを知りました。
でもこの二人は、家族ともまた違う、強い強い絆で結ばれていると思うのできっと大丈夫と願いたいです。
お互いがお互いじゃないとダメっていうかんじがしますよね。
太陽と流星っていう名前がぴったりなくらいキラキラしてる二人です。
この二人を見ていて胸が苦しくなりました。恋するって凄い、本当に素敵なことなんだなって。
ふたりのお母さんになったような、なんか不思議な涙がいっぱいあふれました。
流星は口数が少なくて、太陽も、そして読んでる側としても何を考えてるのかよくわからないときがありました。
でも太陽も感じているように、ぶっきらぼうだけど、嘘がなくて誠実な人なんだと思います。きっと太陽のことが好きな気持ちは紛れもない真実で、すごく彼の中ではキラキラとしたものなのでしょう。
私もきっとこんな人がいたら恋しちゃうなーなんて感じました(笑)
この作品は全編通して切なくて、流星の母親が亡くなる場面や流星の父親が迎えに来る場面など、泣き場面も多い。
何故か私はその場面では涙は出ず、ハワイで二人がケンカしてしまうところで号泣しました。
自分でも何でココ?って思いましたが。
読み終わってから、二人の未来を妄想してばっかりです(笑)
木下先生の表紙がすごくマッチしてます。
素敵です!
最初、ハワイが出てくると聞き「外国ものはなー」とイマイチ乗り気になれなかったのですが、読んでみたら一変しました。
受けの太陽は、5歳の時に隣へ越してきた流星を気にかけ、親友となります。
両親と弟の四人暮らしでひじょうに明るく、名前の通り夏の太陽のような少年。
攻めの流星は寡黙な少年で、美しく儚い母との二人暮らし。
離婚した外国人の父とのハーフで、天体観測が趣味です。
流星は無駄な言葉は発しません。
周りに溶け込まず目を引く容姿の流星を、越してきた時からずっと沿ってきた太陽。
しかしそんな彼らにも分岐点が。
別々の高校へ進学し、なかなか同じ時間を過ごすことはできなくなっていきます。
太陽は陸上部、流星は天文部。
別々の高校へ通うふたりが、偶然、合宿で同じ宿舎になり顔をあわせることに。
今までは流星の何もかもを知っていると思っていた太陽。
しかし、部活動の仲間たちといる流星は、自分の知らない顔をしていました。
これは仕方ないことなのだけど、太陽はここからモヤモヤした気持ちを抱えていきます。
嫉妬ですよね。
すごく少年らしい独占欲で、可愛いです。
その後、流星のたった一人の家族である母親が病気でなくなります。
置いていかれ、本当に一人きりになってしまった流星。
ただ、それでも、病の苦しみを見続けていた流星は、母ががやっと楽になれたことに涙するのです。
もうもう、こちらまで涙が。
母が亡くなったことで、ハワイにいる父が流星を迎えにやってきます。
父親も好きで彼を手放したわけでなく、流星を愛していることが太陽にも伝わってくるのです。
父と暮らすことに躊躇する流星を太陽が背中を押すように、家族のありようを語ります。
自分の家だって外から見れば仲良し家族でも、実際は喧嘩をしたり腹を立てて無視したりするのだと。
ただそれを流星や外の人間に見せないだけなのだと。
家族なんてそれでいいのだと。
離れていても彼らは変わらない。
お日様と星は共にはいられずとも、本当は同じ空にあるのですから。
不安があっても流星の背中を押してあげられる太陽は本当に強い子でした。
本当に良い作品に出会えたと思います。
ちなみに、この後に発売された『ムーンライトマイル』では、流星の先輩で天文部の部長をしていた迫原が主人公です。
そちらには太陽と流星も登場して、彼らのその後に触れられますよ。
「幼馴染」というありきたりな設定にも関わらず、今回も感動させられました。普通な設定の物語にここまで入り込んでしまったのは初めてです。
それはやはり一穂先生が文章力に長けているからでしょうね。ストーリーに無駄なところも欠如しているところも無ければ、表現がとても繊細で、ひとつひとつが胸に染みてきます。思わずBL小説ということを忘れてしまうほどです。
流星と太陽の会話は、流星の無口な性格のせいか一つ一つが短くなっています。けれどちゃんと2人が愛し合って、お互いを大切にし合っているということが伝わってきます。流星の不器用な愛も、太陽の率直な愛もそれぞれがキラキラしていて素敵でした。
一穂先生の作品は、ただ2人の愛じゃなく「家族愛」もテーマに織り込まれている気がします。BLでは少ないですよね。けれどその家族達の言葉も2人の胸に響いて、より愛することを強めているんではないかと思います。
同時収録の「真夜中の虹」では遠距離恋愛をしていた流星と太陽が再会するお話が書かれています。
最後の別れのシーンは超号泣ですね!何度読んでも涙が出てきます。
「ほんとうの、最期のときにも『またね』と言いたい。その瞬間に全てを振り返り、すべてが宝物になる。」
身近に「死」を見て、過去の大切さを知った太陽だからこそ言える言葉ですよね。
今回も一穂先生には一本取られました←
これからも活躍していただきたいです。